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23話 商人の転落人生、モリブのその後?


「お前さんよ、よりにもよって大賢者様を敵に回すとはな、愚かとしか言いようがない。無知とはこんなに愚かとはな。悪いが闇ギルドはお前さんとは手を切らせてもらう。それに今までウチに依頼してきた仕事の証拠を騎士に渡す。俺等も大賢者であるフウ様を敵に回したくねえんでね」


 そんな事を言い出すガルード殿…いやガルード!この私が闇ギルド対してどれだけ金を使ったと思っている。恩を仇で返しおって!

 まあ良い、まだ私には他の貴族と築き上げたパイプがある。騎士にだって伝手がある。

 こんな事揉み消してくれるわ。と思考しやっとのことで立ち上がりその場を後にしようとするとガルードのやつが私に言葉を放つ。


「最後に大賢者であるフウ様を敵に回したんだ、お前さんの末路は悲惨なものだろうな。後、逃げても無駄だ、フウ様の教え子は両手で数えるほどだが、どれも国の重鎮、少なくともシュナイゼル、ゼルク、フリーゲン、ジャシアーノ皇国、聖グラナルド、ドレント山国何かは無理だぜ。俺もフウ様に止められて無ければ俺がお前さんを殺してた所だ」


 ガルードの言葉に嫌な冷や汗を感じた。

 そこまでの影響力を持っているのか…嫌、そんなはずはない!断じてだ!何が大賢者だ、偉そうにふざけるなよ!私はこんなとこで終わってたまるか!まだ貴族とのパイプがあるし、他の国にも伝手がある。私の方が影響力はでかいはずだ!ガルードの事など信用できない。まだ私はやれる。

 そう自分を奮い立たせその場を後にした。


 外に出ると日が昇っており、清々しいまでに晴天でその光が、今の私には忌々しく思えるほどだ。私は、一歩足を踏み出すそれが私をドン底へと続く道とはこの時の私は、一ミリも思っていなかった。

 

 私は屋敷の付近まで帰ってきた。

 屋敷に戻り次第態勢を整え反撃してやる。そう思っていると屋敷の周りが騒々しかった。

 まだ早朝だと言うのに何事だと見てみると私は驚愕する。

 屋敷の周りには騎士団が囲っており、それにつられて市民で溢れかえっていた。

 屋敷の中から妻や息子たちが捕縛され、騎士達に連行されている。何事だ?何が起こっている?

 そんな時屋敷の中から出てきた人物達に、私はさらに驚愕する事になる。


 中から出てきた人物達は三人。

 先ずシュナイゼル王国騎士団団長を務め大剣豪の称号を持つガルフ・デン・ジンジャー団長。

 その次がシュナイゼル王国近衛騎士団団長でこの国の最強と呼ばれ国王の剣として有名でガルフ騎士団団長の兄である剣聖ヴォルフ・デン・ジンジャー団長だ。何故こんな所にと思っていると最後の人物で納得してしまい頭が混乱状態になる。

 最後の人物は、この国の第一王子ラインハルト殿下、賢王の称号を持ちまだ8歳と幼いがその風貌はまさに王族として堂々としている。

 何故こんな大物が私の屋敷に居るのかと言うとラインハルト殿下が市民に向かって説明した。


「昨晩この屋敷の主であるオゴール商会長、ヨーグ・オゴールがレイグ・ミリダス率いるクラン俊光のメンバーに大賢者センダ・フウ様とそのご子息ユタカ殿に対して暗殺を企んだ。尚同時刻に大賢者様が関わる商会、オルトロス商会にも襲撃し、扱っている商品を脅し取り、自分の商会で販売しようと企んだのだ!」


 ラインハルト殿下の言葉に、私は震えが止まらない。私が企んだことがもう王家に知られている。私は目眩がしたが何とか踏ん張り意識を保つが、次のラインハルト殿下の言葉で絶望の淵に叩きつけられることになる。


「それだけではない!大賢者様によってヨーグ・オゴールが今までやって来た不正の数々の証拠を先代公様に提出されその悪質性と大賢者様に行った仕打ちや、昨日お忍びで先代公様が大賢者様のご子息が管理することになった村、アトランにいかれた際ヨーグ・オゴールは先代公様や同席なさったゼルク王にも暴言を吐かれたそうだ。暴言に関してはあくまでお忍びとのことで不問にするつもりであったが、昨晩の暗殺の件は先代公様だけでなくゼルク王もお怒りでヨーグ・オゴールとレイグ・ミリダス、そしてクラン俊光は指名手配となる!見つけ次第王家ならびに騎士団に報告するように褒美は渡すので皆の協力を願う!」


 ラインハルト殿下が言うと民衆から歓声が上がり、皆やる気に満ちている。マズイと思い咄嗟にマジックポーチからローブを取り出し被る。その場を後にして逃げようとするとヴォルフ近衛騎士団長からさらに追い討ちをかける言葉が放たれる。


「大賢者様は今まで表舞台にでてこられなかったが、そこは8英傑の一人でありその他の英傑の師匠でもある。影響力は今でも大きいその方を敵に回すのはシュナイゼル王国としては大きすぎる痛手だ!即刻そのもの達を捕らえ罰を与えねばならぬ!隠し立てするものも容赦はせぬ、変に匿おうとするな!この件に関わった者も容赦はせぬが今自主するのであれば罪は少しは軽くなるかもしれんが主犯であるヨーグ・オゴール、レイグ・ミリダスに関しては別だ!」


 そんな馬鹿な()()()の話と全然違うではないか!何が「大賢者に大した影響力などありません」だ!かなりの影響力を持っているではないか!ふざけよって!

 私は足早にその場を後にしてレイグが使用している隠れ家へと向かう。

 どうしてこうなった。私は富や名声、地位を手に入れるはずだったはずだ。こんなところで終わるのか。そもそもアイツがこんな話を持ってこなければ私はこうはならなかったはずだ。

 もっと大賢者に対して調べれば良かった。全てアイツの言う通りにしなければ良かったのだ。

 だがアイツの助言で今の地位があるのは事実で私も疑わなかった。

 だが結果はこれだ。私はボロボロになっているのだ。

 そんな事を考えながら隠れ家へと走る。


 暫くして漸く隠れ家にやって来た。

 中に入ると憔悴しきった様子の俊光メンバー数人と闇ギルドに置いてきた暗殺を失敗した二人がいて、それとは別に肩を落とし項垂れているレイグがソファーに座っていた。

 私が入ってきたのが分かるとレイグが立ち上がり物凄い勢いで残った右手で私の胸ぐらを掴み怒声をあげる。


「どうしてくれるんだ!アンタのせいで俺まで主犯で指名手配されちまったじゃねえか!王家を敵に回すなんて聞いてねえぞ?簡単な仕事じゃなかったのか?こんな事になるなら話に乗るんじゃなかったぜ!」

「私だってこんなことになるとは思ってもいなかった!私も騙されたのだ!まさか大賢者にそんな影響力があるなんて思いもしなかった…」

「ろくに調べもしなかったアンタが悪いだろ!相手は8英傑の一人だぞ!ろくな策もなくやるなんてアンタらしくもない!いつもの慎重さはどこに行っちまったんだよ…」

「それは意識操作をされてたからだ!」


 ここには居ないはずの声に驚き入り口にレイグと共に顔を向けるとそこにはモリブがいた。何だか雰囲気が変わっており一瞬誰だか分からなかったが確かにモリブだ。

 暗殺に加わっていた二人がモリブを見て縋るように足元に近づくがモリブはその二人に冷ややかな視線を向けた。


「モリブ生きていたのか?」

「お前は死んだとばかり…」

「俺はお前たちと違う!家族を犠牲にして自分だけ助かるようなクズとはな。今頃お前たちの家族は悲惨なことになってるぞ」

「何だと?」

「そんなの嘘だ!妄言だ!」


 信じられないとばかりに怒鳴り散らす二人だがそんな二人を意に返さず、二人に家族の現状を伝えるモリブ。


「お前達の家族は職を失い、兄妹達は離婚や婚約破棄を言い渡され全てを失った。王家がそうなるように仕向けたからな。全ては家族を見捨て自分の命を優先したお前たちの失態だ。お前たちの家族は心底恨んでいるぞ、お前たちのことを!」

「そんな…」

「どうしたら…」


 絶望になる二人だが、それは自業自得にすぎない。自分の命を優先したのだから当然だ。私だってそうする。家族などまた作れば良いのだ。

 そんな二人にモリブは追い打ちをかける。


「大賢者様は鬼ではない。お前たちの家族が元の状態に戻れるようにしてある。お前たちを見つけお前たちの命を差し出し、永遠の苦痛を受けさせることを条件にな!家族にはここの情報は伝えてある時期に来るだろよ」


 二人は息を呑み顔面蒼白になる。

 だが二人は良いとして何故モリブは無事なのか、疑問に思う。それは私だけでなく、レイグも同じ考えに至ったのか疑問をぶつける。


「モリブ!何でテメェは無事なんだ?家族を取ったんじゃねえのか?自分の命を引き換えに!」


 レイグの言葉にモリブは不敵な笑みを浮かべる。その笑顔が私にとって不気味に思えてならない。レイグも同じで一歩足を後退させる。


「俺達三人はある選択を迫られた。一つは死んで意思なく屍兵として終わりの来ない、転生もないただジット様というネクロマンサーに戦うだけの兵になるか、家族を捨て自分だけ助かるか…」


 そこで言葉を区切り、今の自分に自信があるような口調で続けようとする。何だこの自信は…どこか誇るように見えるが気の所為か…嫌な予感がする。


「人を辞め妖魔と言う新たな魔族のような者になり、生涯ユタカ様に忠誠を誓うかだ!俺は後者を選んだ、どちらにせよ誰かにこき使われるなら、自分の意志があり行動できる方がまだマシだ。俺は人を辞め妖魔として新たな名をもらった、その名はダンセルだ。この二人は得体のしれないガキに仕えてたまるかって逃げ出したがな…逃げずに俺のように選択すれば家族も助かり自分も救いが少しはあったのになぁ。俺の家族なんてアトランで自分の土地貰って農業出来るように采配して頂いた」

「じゃあ俺もなる!」

「俺もだ!」


 この期に及んで自分の事ばかりだな。

 もう遅いに決まっている。そもそもそんな上手い話があるなら私だって飛びつくわ!だが無理だ。もうその域ではない。もう遅いのだ、私もレイグもここに居る者達もな。

 モリブ改めダンセルはそんな二人をゴミでも見るかのように眼を細め冷たい眼で睨み眉間にシワを寄せる。


「遅すぎる!そもそもユタカ様はお前たちの命などいらないし犯罪者奴隷として罪を償えと言っていたんだぞ!だが大賢者様やその友人の方やユタカ様の姉が家族を大事にせず自分の事ばかり考えて逃げたお前たちを許せんと仰せだ後悔しながら死んで無限の責め苦を受けるんだな」

「そんな…」

「俺達だけ…こんなのって…」


 すると入口に人が入ってきた。

 2人の家族だろう。入ってきた者達は二人を見るなり鬼の形相で二人を捕まえ殴りながら二人を連れて行った。

 それと入れ替えにあのガキと大賢者、後数人入ってきた。


「やぁ、ダンセル良くあの人達を案内してくれたばいね。ありがとうね」

「礼なんて不要だぜユタカ様。俺も選択を間違っていれば奴らと同じ末路だったんだ」

「そこはダンセルが賢いけんよ。まぁ僕の妖魔になるなんて突拍子のないことを考えるママもママやけど…」

「良いじゃないの〜妖魔召喚は数が限られるんだから〜この世界で増やさないと〜」

「そうやけど呼ばんとうるさい奴らが多かとよ?僕の苦労もわかってよね」

「はいはい〜その話は後で聞くから今はこの人達だね〜」


 そう言うと大賢者達は私達のことを見た。

 ここまでか、何かこいつ等に復讐することはできないのかと考えていると私たちの背後から声が聞こえた。


「お困りのようですね、ヨーグさん?」

「この声は!?貴様、()()()()今までどこに隠れていた!!」


 私は振り向き今回の原因を作った張本人に声をぶつける。






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