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20話 Sランクの冒険者がやって来た?


 僕が村作りをしている間も、ラインハルト殿下達は魔獄にやってきて、授業や鍛錬を行っていた。

 勉学に関しては遥花お姉ちゃんが、魔法に関しては真凛さんやシド爺が、剣術などの武術は彩也姉や亮平お兄ちゃんが担当している。

 勿論ルイ嬢やフォビアナちゃん、レオナルド君やセレナちゃん、ディラン君も受けている。



 僕も勿論ゆとりがある時は受けて自己鍛錬も欠かさない様にしている。僕が授業を受ける時はエルリックさんも受けていて武術に関してはメキメキと腕を上げている。

 ディラン君のお母さん、ジルさんはウチでメイドをし始めた。かなり仕事ができイザベラさんやクロエさんが助かっている。

 ベンジャミンさんはウチで、当分居座るらしく授業にも参加していた。

 強くなりたいそうだ。


 村も500人となり農業に就いたり、兵として働く若者が少し出てきた頃、僕の村、アトラン――ママが命名した――に冒険者ギルドが出来た。

 村に冒険者ギルドが出来るのは中々なく、アトランにダンジョンがあるから出来たとのこと。

 冒険者ギルドが出来たことで、冒険者がちらほら来るようになったのだが、冒険者ギルドが出来て数日、アトランにこのシュナイゼル王国で有名なクラン、猛虎の集いの一パーティーがやって来た。

 猛虎の集いはSランク冒険者が三人も所属しておりその中の一人豪剣のグラッドと呼ばれる人が自分のパーティーを引き連れて来たのだ。


 目的はアトランにあるダンジョン攻略で、レベルが魔獄と聞きどんなものか気になってきたとのこと。ダンジョンに何日か挑みその2日後にグラッドさんがママに合いたいとのことで、僕とママ、エルリックさん、シノさん、キッド兄ちゃん、ネェネで会うことに。

 応接室には金髪でリーゼントをした碧眼した厳つい顔をした、いかにもヤーさんを思わせる強面の筋骨隆々の人と、黄緑髪を伸ばして翡翠の眼をしている女性がいた。

 額には角がありまだ10代後半に見えるがかなりの実力者だと理解する。

 僕達が席に座り、シノさんとエルリックさんは後ろに立って話しを聞く。


「儂がグラッド・オールフェンや、大賢者フウはん、儂はここが気に入ったわ。せやさかい儂はここに骨を埋めようと思うてのう。儂も年やいずれは引退せんとあかん。それを考えたらここはいずれ発展すると思うてまんねや、儂は勝ち馬には乗るほうでっせ」

「そう。それは良いことだね〜あの猛虎の集いの豪剣が居着いてくれるのであれば、こっちにも利益はある。でも〜猛虎の集いはいいの〜?」

「やつらはまだ若いし強い。こんな35になったおっさんがいるよりまだマシやろ。せやけどこのラスティアだけは儂について行くと言って聞かんのですわ。ラスティアは19にしてAランクや!もったいないんや」

「私はグラッドさんに拾われた身、どこまでもついていきます!」

「こうして話を聞かんのですわ。仕方なく儂と一緒に行動する事になりましたんや」

「ラスティア・パーカーです。よろしくお願いします」


 パーカー?何処かで聞いた事があるような…

 ママも僕と同じく思ったのか、僕と顔を見合わせ首を傾ける。

 頭には?がいっぱい何やけど。

 するとエルリックさんが「ベンジャミン殿も同じ性ですよ、関係があるのでは?」と小声で言ってくれた。

 意を決して僕はラスティアさんに聞いてみることに。


「あの〜、ベンジャミン・パーカーって人はご存知ですか?」

「えぇベンジャミン・パーカーは私の弟ですが…それがどうかしました?」


 ビンゴ!ベンジャミンさんのお姉さんでした。

 ラスティアさんにベンジャミンさんの事を伝えた。仲間に裏切られたことや、そのせいで転移で魔獄に飛ばされ瀕死なったことなどを話した。

 ラスティアさんに話していると段々怒気を強めていき一緒に聞いていたグラッドさんもキレ、落ち着かせるため葉巻を吸い出した。

 話を聞き終わり、ラスティアさんは助けてもらったことに対して礼を言いその後「失礼を」と言い、紙タバコを吸い出す。


「弟がそんな事になっているとは…ハァ〜…許せませんね」

「同感やな。そげぇな事するパーティーは到底許されることじゃありゃしまへん」


 ドンっとテーブルに拳を叩きつけるグラッドさん。

 うん、気持ちは分かるばってんテーブルは壊さんといてね。

 僕は話を変えるため、ある話をする。


「ベンジャミンさんとは後で会って近況を話してください。それよりですね…」

「はい、ベンとはしっかり話します。で、それよりとは?」


 僕はママに作って貰ったマジックポーチから紙タバコを何種類か取り出しジッポライターを何個か用意する。

 それを見たグラッドさんとラスティアさんは目の色を変えた。


「これらはオルトロス商会で売り出す物何ですが紙タバコは一箱600ラルでこのライターは一万ラル何ですがいかが?」


 そう言ってタバコの説明をしてグラッドさんはきついタバコをラスティアさんはバニラ味のタバコを購入してくれてライターも、グラッドさんは金色の龍がデザインされた物を、ラスティアさんは蝶々がデザインされたん物を購入してくれてた。


「これ安すぎやおまへんか?」

「そこは大丈夫。ライターを貴族には豪華な装飾を施して高値で売りつけし、タバコに関しては薄利多売で採算は取れるばい」


 これらは悠木さんの船で自動で生産が可能となるけん。生産自体は大丈夫。

 ライターと共にオイルも売っておく、無くなったら定期購入するように二人に頼んでいる。

 気は紛れたのかラスティアさんの怒気は少し収まっている。

 だが心配はしているようで顔が不安げだ。

 僕達は話を切り上げグラッドさんとラスティアさんを連れて城の中にある転移ドアを使って魔獄の家まで行く。


 魔獄に着くと広場で武術の稽古をしていたらしく殿下達やルイ嬢、レオナルド君、セレナちゃん、進、ディラン君に混じりベンジャミンさんも加わっていた。


「ベン!」

「姉貴!?どうしてここに?」

「大賢者様とご子息に案内してもらったのよ!ベンは大丈夫なの?」

「あぁ、大丈夫だ。坊主にケガを直して貰ったし、今は訓練を受けてる弱いままでいられねぇ」

「そう…ベンが良かったら私達のパーティーに来ない?グラッドさん良いですよね?」


 ラスティアさんは心底安心してベンジャミンさんを自分のパーティーに勧誘する。

 ラスティアの言葉にグラッドさんは「かまへん」と了承を出した。

 だがベンジャミンさんは首を横に振る。

 ベンジャミンさんの顔には明確な拒否を示していた。


「何で?」

「今はどこのパーティーにも入るつもりはねぇ!今は自分一人の力でやっていくつもりだ!」


 ベンジャミンさんの顔には確固たる覚悟をした顔をしている。

 それを見たラスティアさんは深く勧誘することを止めて、ベンジャミンさんを尊重するように苦笑いを浮かべ口を開く。


「そうなのね…確かに今は、裏切られたばかりで、パーティーに入りたくないわよね…分かったいつかベンが心から信頼出来るパーティーに巡り合うと良いわね」

「おう!俺も暫くは此処で、俺を鍛えなおして坊主が運営している村で、冒険者をしていくつもりだからよ」


 ニカッと人の良い笑みを浮かべるベンジャミンさん。この人なら大丈夫やろう、伸びしろはあるって遥花お姉ちゃんが言ってたし、将来凄い冒険者になったりして?まぁそれはさておき、それを聞いたラスティアさんは顔を笑顔にして受け入れた。


「私はグラッドさんとアトランに住まいを置くつもりだから、何かあったら言いなさい。力になれることは協力するから!」

「そん時は頼むわ。まぁ迷惑かけるかもしれんが…」

「良いのよ。唯一の姉弟だもの迷惑だなんて思わないわ」


 お昼を魔獄で過ごしグラッドさんもラスティアさんは僕が作る料理にご満悦。満足してアトランに帰っていった。




 僕が訓練やアトランの事をしている事、2週間経ちオルトロス商会も商品を販売してそれが大ヒット。

 タバコはもちろんのこと、ライターや化粧品、シャンプー、リンス、ボディーソープや下着等が売れ、特にテレビは映像付きの通信が出来る機能を追加したのでそれが貴族にも口伝いに人気になっていた頃、事件が起こる。

 王都に店を構える、大店のオゴール商会が貴族を使って圧力をかけてきた。

 しかもその貴族がシュナイゼル王国で四公爵と呼ばれる公爵の一つダクネリーナ公爵。

 その使者とオゴール商会長ヨーグ・オゴールがオルトロス商会の支店があるアトランにやって来た。

 何故アトランに来たのかと言うとナヤさんとガルさんがアトランで商売が忙しくアトランから離れられないからだ。


 使者達を僕の城で迎え入れる。

 対応するのはナヤさんとガルさんがメインだが、僕やママ、悠木さん、絵梨花お姉ちゃん、護衛にシノさん、僕の従者としてエルリックさん、そして僕の癒しとしてキッド兄ちゃんとネェネが僕の側に居る。

 使者とヨーグは入ってくる、使者は痩せ細った胡散臭そうな顔をし、ヨーグは見た目がブクブク肥った身体に煌びやかな宝石や装飾品を着飾っている。

 来ていきなり遠慮なくソファに座り僕達を見下した目をしている。

 ナヤさんに僕達の紹介をされてもその表情は変えずむしろバカにした態度だ。

 ほーう。大賢者と聞いてもその態度ですか…

 

 そしてヨーグはオルトロス商会で扱う商品はオゴール商会で扱うべき品、テレビ等は我が商会で扱うべきだと豪語した。

 使者もダクネリーナ公爵が出てきたから手を引けと遠回しに言ってきている。

 これまで通り野菜だけを売っていれば痛い目をみないで済むと。

 カッチーン。僕ちゃん精神耐性はSSSだけどこう言うのは許せんとよね。誰を敵に回したのか目に物言わしてやる。


「テレビはここに居る悠木さんと大賢者である母が作ったもの。一公爵の使者にすぎないアナタに言われてホイホイと変えたりしませんよ。オルトロス商会だからこそ信頼を置いて販売してもらっているのです。大店かなんか知りませんが、自分達で努力せず、他人の成果を奪うような商会に、大事な商品を卸すことなど無理です!」


 僕の言葉に怒気を膨らませる二人。

 使者は顔は嫌味な笑みを浮かべているが目の奥は笑っていない。ヨーグに関しては顔を真っ赤にして怒りをあらわにしている。

 すると使者がニチャーと嫌味な笑みをさらに深めママに口を開く。


「大賢者と言いながら子供の躾はできていないようですね。良いのですか?シュナイゼル王国四大公爵であるダクネリーナ公爵の使者である私を一公爵の使者にすぎないなど言わせて、あなたはダクネリーナ公爵を、いやシュナイゼル王国を敵に回すおつもりか?」

「敵に回すなんてとんでもない。シュナイゼルで商売できないなら他の国で販売するだけの事。その代わり金輪際シュナイゼルに関わらないですが」

「子供に聞いていない!!私は大賢者に話をしているのだ!子供は黙っていろ!」


 とうとうキレた使者に悪い笑みを浮かべる僕。

 ママと悠木さん、絵梨花お姉ちゃんはこの場をどうやるきるのか、悪い笑みを浮かべ静観している。

 さぁここからが本番だ。お前の末路はもう決まっているのだよ。




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