2話 神様も苦労するわな
はい、無茶振り入りました。
無理に決まっとるやろうがい、相手は神やぞ。それも他の神を吸収して強くなった神ですよ。俺が叶うような相手ではないと思うんやけどね…
「小僧は荒神を殺したことがあるであろうが?」
「アレは下級の神やったけん、出来たことで星を管理する神なんて無理に決まってるでしょうが!」
「そこは大丈夫であろうよ。小僧の親となる者は遥かに強い、それに小僧の持っている力は小僧を成長させ、その神などあっという間に殺すことも出来るであろう。まぁそれが出来るかは小僧次第ゆえのんびり過ごしたいので在るならば励め」
ちょっとそんなんで納得できるわけないでしょう!って消えちゃったし、完全に気配なくなったよ!完全に丸投げやなかね。残されたのは俺と跪き続けていた神様のみ気まず。
するとその神は立ち上がり苦笑いを浮かべながら俺に話しかけてくる。
「いや〜紡様相手に物怖じしなかったね君?」
「そう?結構恐れ入っとたと思うばってん、俺もヒヤヒヤしたばい、あんな恐れ多い存在会った事がなかったけんね。本能で逆らってはいけんと一発で分かるわ」
神は肩を竦めながら苦笑いのまま「分かるよ」と言ってきたばい。この神様も相当苦労ばしとるんやろうね。上司があんなすごい存在なら下の神様達は大変ばい。
「そうでもないんだよ、紡様はご自身の領域である極次元にこもってるし今のも本体ではないからね!今回は時空の切れ目の修復にお力を少し使っただけ。まぁ君は、それに巻き込まれたんだけどね」
「そっか…あっ紡様のインパクトが強すぎて神様に失礼な態度をとってしまいました。すいません」
今更だが土下座をする俺。
紡様の存在がデカすぎてこの神様もかなりの位にあるはずだ。だって地球の上位の神様と気配がおんなじ何やもん、俺がとやかくできる存在ではなかね。
「良いよ、そのままでそんな堅苦しいのはあまりない好きじゃないんだよね!まぁ人は選ぶけど。君にはあの厄介な女神を殺してもらうんだからね。無茶振りしてる訳だし、ゴメンね!因みに紹介が遅れたけど私の名前は異世界の星アークガンドの最高神アクアジーネね!宜しく」
軽い感じで自己紹介してきたよ。軽すぎない最高神様よ。
「いや、謝らんでも…紡様には逆らえんし、あの方を楽しませんといかんしね。それなりに抗うばい」
「そう気を負わなくても良いんだよ。純粋に私の世界アークガンドを楽しんでもらいたしね。その女神は一度私の世界に攻め込んでいるんだけど、その時は私と同じ力だったし、私の世界の子たちが退けてくれて異次元門も封印してくれたから。当分は大丈夫だったんだけど、その間他の世界を侵略してそこに神を吸収して力をつけしまってね。次は私の世界ってわけ!」
神様って暇なんやろうな、野心を持つぐらいなんやから…相当自信があるんやろうけど紡様を超えるのは無理ばい。あのお方の力は次元が違いすぎるけん神様を吸収してもあのお方には手も足も出んと思うんよね。残念やったね。
でもその女神を殺すのは俺何やけどね…俺の方が無理ゲーだーー。
「まぁまぁ、落ち着いて今の君じゃ無理だけど、どうにかなるよ。君の母親になる人は特殊だから」
「そんなに?紡様もそんな事良いよったばってんそんなにすごい人なん?」
「まぁ、それはここで話すもんでもないかな、転生してからのお楽しみっていうことで!」
「またそれかい。どんだけ隠すんよ!」
これはなんかあるばいね。
これだけ隠すってことはなんかある、俺の常識を壊すような何かだと思うんやけどこれ以上のことある?紡様でお腹いっぱいなんやけど、まぁ神様が「楽しみに」っていうんやけん楽しみにしておくとするかね。
「うん。楽しみにしていて!常識は壊されるからね」
「そんなにか?」
「まぁ紡様程インパクトはかけるけどね!じゃあ君の力何だけど紡様が調整してくれたからそれがスキルになる感じかな?」
「スキル?アニメやラノベで出てくるようなもの?」
「そうそれ!力を明文化したものだね!スキルはその人の才能によって増えたりするから努力次第だよ。あっ!君の妖術はほとんど魔法に昇華してらっしゃるからね」
「妖気は使えると?」
「うん!呪術なんかもあったりするから妖気は空気中にあるよ、でもほとんどの人が魔法に頼ってるから体内ある魔力器官で魔力を溜めて使う感じかな?」
「闘気は?」
「勿論使えるよ!使っている人はごく少数だけど居るけど殆どが身体強化魔法で賄ったちゃうんだよね」
用は魔法に頼りきりってわけか、魔法が使えないような状況になったら不利になるばいね。闘気や妖気をまとった身体強化が必要になってくるばいね。
因みに闘気とは自然にある気を体に入れたり元々身体にある気を練って闘気に昇華する技法でこれで身体を硬化したり身体を強化したりと用途はある。
妖気は負に近いんやけど、ちゃんと制御すれば役に立つし地球では目覚める者がハンターになるぐらいで一般人は知らないし血筋に関係していると言われとうけど突然目覚めたりすることもあるんよね。
「君の持つ力は殆どユニークスキル何だけど私から一つ調停者って称号を与えておいたから」
「調停者?何なんそれ?」
「世界を調停する者、調整したりするものかな?いろんな国を冒険したりするんだと思うけど各国の揉め事を上手く調整できちゃう代物です!エッヘン!」
いや、ドヤ顔されても困るんですけど。
俺はのんびり過ごしたいの!そんな大層な物もらっても面倒いですけど…まぁ神殺しを受けている時点でもう面倒くさいんですけどね!紡様の為と思えば良いか…良いのか?あぁ無性にタバコが吸いたくなってきたーー。
「良いよ、吸って。ちょっと待ってね」
そう言うと指パッチンして何もない空間にソファーとテーブルの上に灰皿と俺の愛煙していたタバコとライターが現れアクアジーネ様に促され座ることに。
アクアジーネ様がドカッと座り俺はその対面に座りテーブルにあったタバコを持ち一本取り出し火をつけて吸い出す。
「私の事はアクアジーネで良いからね!敬称は無しでフレンドリーに行こーー!」
「ふぅ~、意外と軽いんやね?でも地球の神々も言えんかフットワーク軽かったし素戔鳴尊様なんか戦いを挑まれたし」
「でもギリギリ引き分けに持ち込んだんでしょ?スサちゃん悔しがってたよ!」
「会った事があるん?」
「今回、君の一件でね。豊久は強いって言ってたよ。太鼓判を押すって言ってたし!」
「アレは俺の妖術が特殊だけだっただけやし、俺の刀の力をフル活動してありったけの妖気と闘気で身体強化しまくった結果やけんね!」
「荒神を殺した結果かもね!スサちゃんが言うには少し神気も混じってたって言ってるし」
そこでタバコの灰を灰皿に捨てる。
アレは本当にギリギリだったんやけど素戔鳴尊様も本気ではなかった、本気なら殺られとったわ。本当に危ない戦いやったばい。一歩間違えれば俺が死んでたに違いなか。
「本気は出してなかったみたいだけど手加減はしてなかったみたいだよ。草薙の剣を使ったって言ってたよ」
「厄介やったね。神器に妖刀が勝てるわけが無いやん。折れるかと思ったけんね…」
「まぁ大人気ないけどそれを引き分けに持ち込むんだもんね」
「この話は良いやろう。で、異世界について話してくれんね。神様事情を特に!」
「そうだねそこら辺は話しておかないとね」
異世界であるアークガンドについては転生して常識を学べば良いやろ。今はアクアジーネから神様事情を聴いておかないと後々協力してくれるかもしれん。
「地上で知られているのは最高神の私と火の女神フレデリカ、水の女神ウィンジーナ、風の女神フリージア、土の女神ドラインの5柱になるんだけど、後は四大魔王と呼ばれている存在が居るんだけどね、主に魔族何かを統率してもらってるんだけど実は神なんだよね」
ハァッ!?魔王が神?魔王って絶対悪じゃないの?頭が込んがるのが分かるばい。何で態々神を魔王何かに仕立てるんだ?わけわからん!
「勘違いしないで、アークガンドの魔王は悪の象徴じゃなく人々の助けになる存在でもあるだよ!まず冥府の王であり大魔王ライト、戦の魔王フェルド、樹と薬の魔王アンサ、空の魔王であり龍神王デュークこの4柱だね全部で9柱が本来の神だよ!先の5柱は天て見守ってるけど魔王の4柱だけは地上に居て人類と魔族を見守ってる感じかな!他にも神は居るけど全員下級だね」
なるほどね、おおよそは理解した。
吸っていたタバコを消し新たにタバコに火をつける。これから転生するやけん多めに吸っとかんと当分吸えんけんね。
神々の事は理解した。後の知識は転生してからの常識学ぼうと思うし強くならんといかん地球に居た頃より遥かに、じゃないと紡様を楽しませることが出来んのやから
「聞きたいことは聞けたかな?それが吸い終わったら転生しようか!」
「そやね、後は自分で調べていくわ。さて親に隠しながら調べるのは至難の業やけど嫌われんようにせんとね!」
「そこら辺は大丈夫!」
ない胸を張ってドヤ顔をするけど、どこからそんな自信が出てくるとや。転生者とか気持ちが悪いやろ、しかも39のおっさんが子供なんだぞ!普通嫌がるだろう。ってか気持ち悪いに決まっているやろうが!!
それでも目の前の女神は自信満々何やけど…
「フフ、実はね君の母親には転生者ってことは告げてあるんだよ!エッヘン!」
何がエッヘンだバカチンが!
何で伝えているんだよ、嫌に決まってるだろうが普通の親だったら嫌うに決まってる。はい!終わりました、転生して直ぐに積み決定ですお疲れ様でした。
俺はタバコを吸いながら肩を落とし視線を下におとす。
「そう落ち込まないでよ。私が悪いみたいじゃないの」
視線を上げると困った顔をしながら肩を竦めるアクアジーネの姿が見えたが俺はそれどころではない余計なことを言いやがって嫌われたらどうすんだこのバカチンが。
「もう!早合点しすぎだよ!ブーブー」
頬を膨らませ怒ってますと言わんばかりに抗議して来るんやけどそれフリって分かっとうけんね。わざとらしいんやけん、それにしても早合点とは?
するとアクアジーネは今度はニッコリ笑顔になり俺に応える。
「母親になる人は特殊って言ったでしょ?転生者だろうが前世の記憶があろうが関係ないって私にとって愛し我が子なんだから愛情を掛けるって言ってたよ」
「えっ?」
マジか〜とんだ変わり者だな。
でもこれで嫌われずに済むのか?まぁよく分からんが親は…まてよ父親は?
「あぁ父親は君の妊娠がわかって直ぐに遠くに行っちゃったから合わないけど転生者ってことは知ってるしこちらも関係ないって!良かったね!」
ふぅ~、父親は遠くに行っとるか、いつ会えるのやら…最後の一吸いを肺に入れ吐き出しタバコの火を消し意を決して立ち上がり、それを見たアクアジーネも立ち上がりテーブル越しに俺に向かって手を掲げると足元が魔法陣らしき者がうかびあがり俺は光につつまり掛ける。
「それじゃ気楽に異世界ライフを楽しんでよ。神殺しとかあるけど自分のペースで良いんだからね。次こそは満足いく人生を送れることを願ってるよ……頼んだよダリアン」
最後の方は聞き取りづらかったばってんまぁ気楽にやりますかね。ここで俺の意識は切れるのやった。