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11話 隣国が地獄ってどう言うこと?


 絵梨花お姉ちゃんとシノさんが争っているのを横目に僕は、涼子様に挨拶をする。この方は亮平お兄ちゃんのお母様であり天王寺家の当主でもある。ジン皇国の重鎮でもあるから失礼があってはいけん。

 着物のような服を着ていてこれがジン皇国の正装でもあるらしか。

 挨拶をすると僕を見て微笑み頭を撫でてくれた。とっても優しい方だと思う。

 涼子様は僕を撫でた後皆を見回した。


「お久しぶりですね、皆さん。と言っても私にとっては5日ぶりですけど、それにしても画像で見ていましたが大きくなりましたね豊ちゃん、進ちゃん」

「ありがとうございます」

「はじめましゅてしーでしゅ」

「初めまして進ちゃん、挨拶できて偉いですね」

「あい!」


 進を撫でる涼子様。

 本当癒しだよな〜進って。そんな風に見ていると絵梨花お姉ちゃんが進に抱きついた。これはメロメロばいね。俺でもそうなるもん、自信しかない。分かるよ絵梨花お姉ちゃん!


「なんて可愛いの!豊も可愛いけど、進も可愛い!ここは天国なの?もう私ここから離れない!!」

「駄目でしよ!それにそんなに抱きついたら進が可愛そうだよ。離してあげな?」

「嫌よ絶対に離さない!」

「じゃあアタイが豊を抱きしめるよ」


 彩也姉に抱っこされる僕。

 それを見た絵梨花お姉ちゃんは慌てて進を下ろし彩也姉にすがる。忙しない人だなぁ〜。外見は落ち着きのある、出来るOLみたいな顔をしてるばってん僕たちのことになると極度のブラコンを発動させる、残念なお姉ちゃんみたい。

 

「彩也花姉さん、お願いだから私から豊を取らないで!」

「ゴホン!絵梨花ちゃん落ち着きなさい。皆が見ている前ですよ。みっともない…どうしてこんな風に育ったのか…それより風殿順調ですか?」


 涼子様が問うとママは顎に手を当て考えるように涼子様に応えようとするけど、あの顔は何も考えてないばい。途端に拳骨がママから飛んでくる。痛かねぇ!図星突かれたからってすぐ手を出すんやなか!


「そうだね〜本格的に肉体を作り上げていくのはこれからかな〜ねっ?悠木」

「そうだね。肉体はこれから本格的に鍛えるとして豊と一緒に育ってくれる友達もいる訳だし心強いと思うよ。後は統治の仕方を実際にやってみるとか?」

「それはいい案です悠木殿。風殿、何処かにいい土地は無いのですか?」

「そこら辺はベスターに聞いてみないとどうにもならないね〜でも今まで私からお願いしたことないし、聞いてくれるかもね〜」


 統治か〜面倒いけどこれも勉強の一環何やろうね。涼子様も俺のことを思って言ってくれてるんだし、無下には出来ん。

 これはチャンスなんよ。邪神を斃した後僕がのんびり暮らす為にはね。


「何か話が長くなりそうやけん夕食の後にしません?僕が作りますから涼子様も待っていてください」

「それもそうね。待たせてもらいます。楽しみにしていますね豊ちゃん」

「はい!」


 彩也姉に下ろしてもらい僕はキッチンに向かう。キッチンには、クロエさんとイザベラさんが待機していていつでも作れる状態。

 僕は包丁を召喚して冷蔵庫に保管してあるホーンカウの肉を取り出したり、シノさんの好物であるジャガイモを取り出す。

 今日はローストカウと肉じゃがを作ろうと思う。サラダはシーザーサラダにする。


 食事を作り終え、居間に料理をクロエさんとイザベラさんで運び、それが終わると各々席に着き僕は、ママの隣りに座り向かいに涼子様が座っている。

 ママの号令で、食事をし始め、涼子様も美味しそうに食べている。


「豊ちゃんの作る料理は、どれも美味しですね」

「豊誇って良いよ!涼子殿は料理にうるさい人でね〜、その涼子殿を唸らせるのは凄いことだよ!」


 ママが僕の頭を撫でてくれるけど、それはスキルのおかげであって僕の実力じゃないと言って、頭を項垂れるけどママはさらに力を込めて撫でてくれる。ママに撫でられると心の底から安心する。


「それは違いますよ豊ちゃん。ちゃんとこの料理には豊ちゃんの心が籠もっているから、こんなにも美味しいのですよ!」

「そうだよ〜スキルは凄いけど、万能じゃないからね〜人の心まで動かすことはないよ〜だから自信持って!」

「はい」


 食事は終始和やかに終え、大人たちは酒を飲みながら僕の今後について話していた。

 僕が料理をしている間にベスター爺に通信晶で話をつけたらしく、とある場所なら良いと許可をもらったらしか。


「トワ、半蔵!」


 僕が呼ぶと影からトワと半蔵が出てきてレオナルド君とセレナちゃん、進が驚いていたがそれは無視して、トワが懐から地図を取り出し、皆が見えるように床に置き説明をしだす。


「主が許可もらった場所は、シュナイゼル王国とゾルタニア王国との境にあるウラス砦の城塞都市ベインから馬車で二、三日行った場所やで。そこは魔獄に近くてホンマに何も無い所やな」

「城塞都市ベインを治める領主はドクトリウム辺境伯でこの御仁周りからは、俗に言う脳筋と思われがちでござるが、政務もこなすキレ者で利用できる者は利用する御仁でござるが情には深いでごるよ」

「ゾルタニアから去年から飢餓や疫病で難民がドクトリウム辺境伯になだれ込んでなぁ、ドクトリウム辺境伯も困っておったんやけど、ここでこの話や上機嫌に話に乗りよったでぇ!」


 2人の話を聞き涼子様やママ達も顎に手を当て真剣に考え込んでいる。何も無いし魔獄に近いと人が寄り付かんね。こりゃあ困ったばい。

 これ試されてるよね?

 考え込んでいた悠木さんが口を開く。


「何も無ければ作れば良いよね、風?」

「そうだね~、ダンジョンを作ろうかね〜!難易度は魔獄レベルでダンジョン内なら死んでも1回は生き返る魔道具を作ろうかね〜それなら冒険者がやって来るだろうね〜」


 この世界には冒険者ギルドが存在し、ランクも下はFから上はSSランクまであり、SSランクは世界で四人しか居らず英雄的に扱われるそうだ。

 総司さんや真凛さんは実力的にSSランクに相当するけど面倒くさくて上げてないらしい。

 冒険者はパーティーからパーティーが集まったクランが存在する。

 クランはチームみたいで大きな組織となっている。

 冒険者の仕事は、魔物の討伐やダンジョンの攻略、商隊の護衛、街の何でも屋何かをしたりするらしい。


「人は難民や冒険者で集まるとして、政務が出来る人が必要ですね。トワさん、難民の中に政務ができそうな人は居ませんか?」


 涼子様に問われニチャーと悪い笑みを浮かべるトワ。これ、なんかよからぬこと考えているばいね。さぁ何を考えているのか。


「居るで〜、2人ほどな。せやけどドクトリウム辺境伯に声をかけられとったなぁ。それでも2人は断固として断り続けとるわけや!その2人はなぁ十年前に国を良くしようと動いて殺されたゾルタニアの第二王子の知恵袋と懐刀何や、今でもその王子の事を思ってる忠義に厚い男と女たちやで!ホンマ!」

「それなら難しいですね」


 そう言う、忠義に厚い人ってどこの世界にも居るんやね。俺の妖魔にも契約する時、困ったやつがおったわ。そん時は黄泉の国に行ってソイツの上司にあたる人を説得したんやったな。

 あん時は苦労したばい。

 この世界にも黄泉の国があればその王子を説得出来れば良いんやけど難しいやろうな。


「豊、妖魔の中に政務が出来るのいる?」


 ママが眉間にシワを寄せながら僕に問いただすんやけどなぁ〜政務か〜。

 僕は首を横に振りながらママに応える。


「残念やけど、僕の妖魔は戦闘に特化した奴らばかりだから政務は厳しかね。軍師ならおるけど政務となると難しいかもしれん。黄泉の国に行けたら契約できるやけど、転生しとるかもしれんけんね…ごめん」

「豊が謝ることじゃないよ。それに黄泉の国に行ってそのまま豊が死んじゃったら意味がないからパスで!貴族の紐付きじゃない人となると一から育てるしか無いか〜」


 再びママ達が考え込む。

 なんか良い案内かな〜、一から育てるとなるとかなり難しい。この世界の識字率はかなり低い、そこから読み書き計算が出来て思考できる人となると厳しい。

 どこからか人を呼ぶと良からぬことを考える貴族がバックに付いている可能性もある。

 注意しなければいけない。

 そう思うとトワが僕を見てまだニチャーと悪い笑みを浮かべている。


「トワ何なん?」

「いやー、そのうち分かるでー」


 こう言う時のトワって何考えてるか分からんのよね。悪い事考えてそうで怖いんやけど。

 前世ではかなり翻弄されたけんなぁ。

 そんな事を考えていると脳内にトワからメージが来た。


『因みにゾルタニアは今、昔の室町幕府みたいに地獄やったでぇ。しかもシュナイゼルに戦争しかけようか上層部で揉めとるでぇ』


 マジか…最悪やな。

 何やってんだよゾルタニア国王!!そんなんやったら国滅ぶぞ。まったくしっかりして欲しいものだ。その状態で戦争とかするなよ。


 話を戻そう。

 兎に角、今は村か街を作り統治の仕方を、実施する事。

 人材については、育成する方向になると思う。

 後は自分の身を強くすることやね。

 僕が思考していると話は進み、今後について大人組が話をしてた。


「彩也花ちゃんと絵梨花ちゃんは来年には戻るの〜?」

「アタイ達は一旦来年戻って大仕事を終えて長期的休暇をもらうつもり。シドさん達がいるから当面は大丈夫でしょ?」

「ワシらが出来ることを、教えるつもりじゃから大丈夫じゃ!」


 ママの質問に彩也姉が応え、絵梨花お姉ちゃんがブツブツ言っていたけど触れないでおこう。

 シド爺が返事をすると真凛さんと総司さんが首を縦に振り頷いている。この三人は強いけん学ぶ事は多い、これからやることがいっぱいや。


「それでは進ちゃんが眠りかけていますし、今日の所はこれまでにしましょう。私も1年間居るから話は幾らでも出来ますしね」


 いつの間にか時間は9時を回っており、進はお眠になっているので解散となった。僕もお風呂に入りキッド兄ちゃんとネェネを思う存分モフりベッドに入り眠りにつく。




「で、トワ?ハルハンドはどういう状況なのかな〜」


 私は豊が眠りについた状態でハルハンド神帝国の状況をトワから聞く。あの国が大人しいのがおかしいからね〜。

 豊が戦う相手はしっかり確認しておかないと。

 メンバーは私と悠木、遥花ちゃん、亮平君、彩也花ちゃん、絵梨花ちゃん、涼子殿の7人とトワ、半蔵の妖魔だけ。


「ワイが監視して2年は何もなかったんやが、この3年でいきなり文明が近代化しだしたでぇ。これはおかしいと思って探ったら異世界人が迷い込んでハルハンドにいついたそうや。名前は確か…」

「Dr.マーゴットでござる」

「そうそれや!」

「何!?Dr.マーゴットだって?」


 トワの話しを黙って聞いてたんだけど半蔵が言った名前に彩也花ちゃんが立ち上がり強く反応する。その顔は若干焦りが見える。


「永久指名手配の一人ですね。彩也花ちゃんが焦るのは無理もありません。危険な犯罪學士ですから」

「で、そのDr.マーゴットはどうしたのかな〜?」

「ワイも危険やと思ったから仕留めようと思ったんやが邪魔が入ってな…今思い返しても苛つくわ!何が悪魔王や!何が主を裏切れや!ワイが主を裏切るわけ無いわボケが!!」

「落ち着いてくだされトワ殿!」


 トワが怒ってるわけだけど、どうしたのかな〜?

 それに悪魔王って?ハルハンドは人類史上主義なはずだけど…

 涼子殿がトワと半蔵に質問する。


「その悪魔王とは何です?」

「悪魔王は()()だけや!何がディーンや!知るかボケ!」


 ディーンだって?

 あの子は何してるの!




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