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カノジョ(仮)

作者: GTM

 人類が人型兵器で戦争をするようになって半世紀。

 月に土地を買って、汚れきった元青い惑星(ほし)を見下ろしてセレブ暮らしをしている月の住人と地球から出られない多くの一般地球人との戦いも最終局面をむかえていた。

 難攻不落の月の要塞ムーンベースZに地球合同軍が特攻を仕掛けた。


「ここまでか・・・・」

 人型兵器スコルピオンEXで数々の強敵を撃破してきた少年パイロット・ナナミは、クレーターに落ちた動かない機体の中で、そうつぶやいた。

「来たよー」

 彼と戦い続けてきた、実は敵である月の住人のセレブ一家のお嬢様・ミナミが、

「ナナミー、生きてるー?新型持ってきたよー」

「完成したのか!」

「スコルピオンGXよー」

「GXのGは君のGカップから?」

「オッパイのことは置いといて、乗って乗って」

「複座なんだ」

「前の席は操縦、後ろの席は火器担当よ。あんたは後ろよ」

「えっ!ボクのほうが誰よりもうまく操縦できるのに!」


 終戦・・・

 ナナミ君が所属する地球合同軍の全面勝利。

「休暇とかくれ無いのー」

 真っ赤な髪とクビレた体が目立つ女性パイロット、ミナミちゃんは不満たらたらだった。

 (ふね)の格納庫で頭部と片腕を失った愛機を見ていたナナミは、

「次の機体は赤く塗るのは、よしてね」

「もうちょっと背が高いほうが絵になったわね」

 見知らぬスーツ姿の女性に言われた。

「ナナミー、この人、軍の広報の人。あたしらにインタビューしたいって」

 ミナミは、カメラを向けられると、宇宙一の作り笑いで、スマイルした。

 広報の女性は、

「きみたちつきあってるんだよね?」

 少年の方が、

「つきあってる、というか・・・」

「毎日、彼女が君の部屋に泊まりに行って、朝帰っていくじゃない」

「なんでそんなこと知ってるんですか?」

(うち)の情報部ではなく、この人型兵器用揚陸艦ストリングフェローの乗員数名の証言で」

「彼とは、つきあってます、今は」

 ミナミが横から言ってきた。

 ナナミ少年は、

「ボクはつきあってるとかじゃなく、無理矢理童貞うばわれて・・・」

「あたしも彼にヴァージンささげました」

「うそだ!あんなテク使う子が処女のわけないだろ‼」

 広報担当は、

「思った以上にドロドロなのね・・・でも、きみたち、今回の大戦の勝利の立役者なんだから、つきあってる設定にしなさい。『冷凍月面焼き』のCMも決まってるんだから」 

「月面焼き、嫌い」

 実はセレブのお嬢様が、

「なんにも具が入ってないお好み焼きみたいなのなんて貧乏くさい」

 地球で育った庶民の少年は、

「ソースかければなんでもおいしいんだよ」

「ホントは、あんたなんか嫌い!あたしにつりあう男が現れるまでもカレシ(仮)よ!」


 ナナミ君はミナミちゃんの寝顔をながめながら、心の中で、

「カノジョ(仮)なのか・・・」


(おわり)

 


 



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