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アリスプロジェクト:RE  作者: 黒衣エネ
第二章:拡散/白昼/自我
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夏美の休日と甘いもの、そして苦い現実

日常を満喫しようとしても、既にそれは壊れて元には戻らない。


己の身近なものすらも、些細な事すらも。


「あたしは大丈夫だから、行ってきて。ヒトには気晴らしも重要なんでしょ?夏美。」


ベットで横になりながら、赤髪の可愛い女の子、祭ちゃんが言う。もしくは『イグニス』って名前もあるらしいけど、本名が『祭』ちゃんなら、あたしはそう呼ぶ。


出会ってからはそんなに経って無い、でもあたしにとっては大切な



「でもさ、そうなると祭りちゃんがあーしの家に一人になっちゃうじゃん?もしまたあのアンドロイドが祭りちゃんを狙って来たら…」


「それはあたしより夏美が心配すべきね、まぁアレだけ派手に行動起こして失敗した後だし、暫くは相手も大人しくなると思うけど。」




数日前、あたしは今でも信じられないような事件に巻き込まれた。


アンドロイド兵ってロボット軍団があたしの住んでる住宅街を襲撃して、それを祭ちゃんと、あたしの友達の有栖ちゃんが迎え撃つ。


祭ちゃんと有栖ちゃんは実はサイボーグって人間が改造された存在で…



いやうん、ホント色んな事が立て続けにあったなー


まぁ2人が何であろうとあたしの友達には変わらないし、みんな無事だったから良いんだけど。




今は祭ちゃんはあたしの家(正確にはアパート)に居る。ま、独り者の利点を上手く活用するってワケよ。

地元離れてこっちの学校に来た以上、それなりに一人暮らしには慣れてるから家事は別に問題無いし。


祭ちゃんは多分生活力ゼロだろうからね…


と言うか祭ちゃんの歳(多分13~14歳くらい?)で家事云々を言うのは色々と違う気がする。



最初はしげちーの家にいたけど、祭ちゃんはあたしと一緒に居た方が良い気がした。



『乗り手』


祭ちゃんが『サイボーグのイグニス』としてあたしをそう呼んだ。


説明された事の内容はよくわからなかったけど、それが大切な事を意味するのだけは分かった。


あたしをそう想ってくれるなら、あたしも答えるべきだと思った。



勿論それだけが理由じゃないけど、だからこそあたしは祭ちゃんを自分の家に住まないか誘った。



「夏美があたしを想う様に、あたしだってこう見えて色々考えてるの。少し気疲れしてるのは分かってるし、あたしだってあんたには元気でいて欲しいから気分転換の1つくらいして欲しい。」


たはー、バレバレかぁ。



「うん、わかった。じゃあお言葉に甘えさせて貰うよ。」






******************




「で、気分転換をしたいけど一人だとつまらないからってボクを引っ張り出して来たってことかい?夏美。」


「いやぁ、一人でぶらぶらするのはさ、性に合わないし、しげちーは有栖ちゃんと出かけてるしさ。」


そして今に至る。


ああ言ったけど、一人でいてもあんまり気分は晴れないのがあたしちゃんだったり。



という訳で、インドア派な友達を引きこもり状態から引き摺り出して来たってワケよ。


ちょっと灰色みのある黒い髪にちょい小柄で痩せてる、あたしの友達『絵美』だ。有栖ちゃんと同じ一人称だけど、中性的でカッコイイ見た目の有栖ちゃんとは違って、ちょっとダウナーな雰囲気だけど可愛い女の子だ。


今日もジーパンに長袖フード付きパーカーって、暑くないのかなぁ。と言うか割とこの組み合わせの服装ばっかだけど、拘りでもあるのかな。



「折角の休みだから読書三昧にしたかったんだけどね。」


「そう言わないでよぉ~えっちゃん、夏美は寂しいと死んじゃいますのん。」


「殺しても死ななそうでしょ夏美の場合は。」


ひどい言われようだなー



「でもそう言いつつ付き合ってくれるえっちゃん好きー」


「まったく、それに坂本君と姫見沢さんなら一緒に出掛けてくれたんじゃないの?」


「いやぁ、カップルの邪魔をする程空気読めないあたしちゃんじゃあないのよ。」


「さいですか。」




「と言うかさ、えっちゃんは割といつも通りだよね。えっちゃんも数日前のアレに巻き込まれたんでしょ?」


一つ気になる事が有った。


数日前の『アンドロイド』の襲撃事件、テレビでは『凶悪放火強盗グループによる犯罪』って報道されてたけど、住んでる場所的に絵美もアレに巻き込まれたはず。


だけど絵美の態度はいつも通りだ。

少しダウナーで面倒くさがりだけど、意外とノリが良いいつもの様子。


あたしだって動揺してないと言えば嘘になる、普段にも増して口数が多いのは自分で自覚してる。


でも絵美はあんなことの後でも動じているように見えない。



「えっちゃんはあんまりショックじゃないんだ。」


「思うところが無い訳じゃないけどね。一応身近な事件だし。」


口ではそう言ってるけど、態度とかはやっぱりいつも通りだ。



ま、いいか。

絵美がいつも通りなら、あたしも心強い。




さて、それはそれとして何処に行こうかな…



「じゃ、取りあえず甘いものでも食べに行きますか!」


「『フルーツドリーム』の『ラージストロベリーサンデー』が食べたい。」


「早いね!?」


即答だよ。



絵美は相当な甘党だ。あのおぞましい大きさのストロベリーサンデーを簡単に平らげるくらいには。


と言うか、どうしてあんな量の甘いものをあの間隔で食べて太らないで、全部栄養は胸に行くのよ!


悪く言えば少し野暮ったいあの服装で分かりづらいけど、あたしちゃんの見立てだとCからD程度はあるし!





***************




「マジで、えっちゃん何で太らないの?」


「消費するからじゃない?」


「インドア派なのに?」


「人は見た目だけで判断するものじゃないよ。家でも出来る運動ってあるし。」



フルーツドリームの『ラージストロベリーサンデー』。


甘味好きの女子でもおぞましい大きさの目玉メニュー。本当は1つを数人で食べるのが想定されたシロモノ、いや、二人だったらキツイ。間違っても一人で食べる物じゃない。




だけど、それは量を考えたらおっそろしい速度で消えて行った。


時間は20分ちょっとほど、何度見ても慣れない光景。


というか、最近は前よりも早いし、食べる頻度も増えているような。



「えっちゃん、実はバケモノ?」


「失礼だね、夏美は。」


だよねー。


なんか、こういう会話をしていると大分気分も晴れてきたかも。と言うより、あたしの気にし過ぎだったのかなぁ。



「まぁ、えっちゃんの胃袋は化け物ってことで。この後は服でも見に行く?」


「化け物扱いには異議を申し立てたいけど、買い物には賛成。」


「あい。」




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