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アリスプロジェクト:RE  作者: 黒衣エネ
第二章:拡散/白昼/自我
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噂話

誰か が 言った そんな 噂話


何時 何時 出会う ?


ほら あなた の 後ろ から


「電子生命体、か。にわかには信じがたいな。君よりもっと理解し難い。だが、君の顔を見ればわかる。君がそんな顔して私の所に来ているんだ。嘘でも冗談でも無いのは分かるとも。」


「そんな酷い顔してたか。」


「取り繕っちゃいるがね。一応君の知り合いだ、変化には気付くよ。」


高橋教授は事も無げに言った。これでも、普段通りにしようと努力してたのだがな。



あれから2日後、俺は高橋教授にアポを取って会いに来ている。教授も忙しく都合が良かったのは、ヴァイスに出会ってから2日後の今日となってしまった。

ちなみに真は用事で今は居ない。肝心な時に役に立たんな。



「だが、確かに彼女は居た。ヴァイス、俺の『姉』を名乗る存在だ。」


加えてあの時見た少女の正体も、知ることが出来た。『アリス』と言う名前とサイボーグであると言う情報だけだが。



「君の話を聞く限り、精神性は人間のそれとはかけ離れていると言える。だが、君はそんな彼女の中に人間性を感じた、そうだね?」


「ああ、真っ当とは言えないが、単純悪だとは思えない。」


「言い切るね、君がストレートに言う時は確信している時だ。となると話はもっと複雑になる。これに関しては最終的に君自身が決めるしかない問題になりそうだね。」



教授の言う通りだ。


これは俺とその周辺の問題だ。ヴァイスが何を考えているにしろ、最終的には俺自身がそれと向き合わなきゃならんだろう。


他のサイボーグについてもだ。俺はその彼や彼女等と邂逅した時、俺は一体どうすればいいのか。それは俺自身にしか決められないし、そこまで教授や真を深入りさせる訳にもいかない。



教授には昨日のアンドロイドによる襲撃も話したし、真にも連絡を入れている。


遂に明確な脅威に遭った以上、それが及ぶ危険性は2人にもある。


2人はそれでも協力してくれると言ったが、それで2人に危険が及ぶのは本意じゃない。



「とは言え、独りで出来ることなんて限られている。無理は禁物だ。何かあれば言ってくれたまえよ。」


「悪いな、教授。」



教授は一旦話を切り、コーヒーを啜る。


あれは教授のクセだ。『何か重大なことを話す前には、必ず長めの空白を作る』。




「ツー、君はテレビでニュースを見ているかね?」


「まぁ多少は、色々な情報が足りない俺にとっては重要な情報源だ。」


そう切り出したが、何か引っかかることでもあったのだろうか。



「今朝のニュースで殺人事件の報道があったのは見たかね?」


「ああ、俺は政治には詳しくないが、確か安田某とか言う大臣が何者かに殺害された、だったな。」


今朝見たニュース番組で確かそんな速報が流れていた筈だ。


だが『事件』と言うものは毎日のように起こる、たまたま国の重役が標的になったから速報になっただけで、幾ら治安が良いこの国でも殺人事件はまぁ起こる事は珍しく無かろう。好ましくない事だがな。



では何故、高橋教授はそれに眼を留めた?

教授がそう話を切り出して、無駄な事を言う訳が無い。



「では、1週間前のニュースでも遺体の発見、その状態から殺人事件と見られている報道が有ったのは覚えているかね?」


それも覚えている、こっちは渡辺なんとかって名前の企業グループの重役だったか?


話の流れ的に、教授はそれらが同一犯とでも言いたいのだろうか?



だがそれにしては繋がりが見えてこない。


俺が記憶している限り、この二件の事案はまず犯行現場が離れ過ぎだ、報道された死亡推定時刻も全く違う。しかも両者に面識は無い、大企業重役と政治家だからお互いに名前くらいは知っていただろうが、政治家の後援をしていただとか、会社のお得意様だったとか、そういった関係は無い。


それこそ、その辺りは既にマスコミが調査して報道してる。



「そう、共通点は無い…たった1つを除いてだ。」


「なんだと?」


「彼らは『人から恨みを買っていた』と言う噂が有ってだな、私もこういう立場上、情報が入って来るものでね。」


恨みか、それで恨みを持った人間による犯行だと言いたいのか。


確かに、報道でも『良くない噂を聞く』とか言われてたか。死人に口無しとはよく言ったもので、番組コメンテーターもあまり同情するような事は言わなかったし、街頭インタビューでも『こうなるだろうと思っていた』なんて発言も出て来る始末だ。


あまり好ましい人間ではなかったのだろう。



「だが、彼らに恨みを持っていた人々は全く異なる。つまり『両方共に恨みを持った人間』は居ない。」


ますます話が見えて来ないな。


そもそも被害者二人も嫌われている自覚があるならそれなりの対策くらいはしていただろうし、なにより恨みがあるからと言って、警察が機能してるこの国でそう簡単に一般人が人を殺せるものか。



「そう、2人は直接復讐されたんじゃあない、別の誰かが代行したのさ。」


「殺し屋か何かを雇ったとでも?」


俺の言葉に首を横に振る、そして教授は囁くように言葉を続ける。



「2人の遺体は非常に損壊の激しい状態だった、胴体を強引に引き裂かれ、とても『人間ワザではなかった』殺害方法だってな。それで私はピンと来た訳だ…君を知ってるからな。」


成程、人を超える膂力を持つ『サイボーグ』の仕業か。




「既にネット上では都市伝説になっているね。悪党を殺害して人の恨みを晴らす怪人が居る、その名を『復讐者アヴェンジャー』と。真偽は不明だが、報道されてないだけで、どうやら他にも似たような殺人事件があったそうな。事件が全部テレビに出る訳ではないからね。」



正体不明の連続殺人鬼『復讐者アヴェンジャー』か。



「調べてみる価値はありそうだな、その存在もサイボーグだとしたら。」



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