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アリスプロジェクト:RE  作者: 黒衣エネ
第二章:拡散/白昼/自我
29/41

日々

全てが予定通りに行くとは限らない。



「ふむ、タイミングが悪かったか。」


あの少女を見た次の日、俺は予定通り北上高校まで足を運んでいた。あくまで散歩しているのを装う感じでだ。

時刻は11時過ぎ、今日も快晴で気温は相変わらず高い。



だが、タイミングが悪かった。


俺は学校なんぞ行ってないし、学校に行ってた記憶も曖昧だから、今日学校は休みだったことは知らなかった。


外から校庭を見れば、部活動に励む生徒が見えるが、この学校の生徒ではない俺は中には入れない以上、これ以上は彼女を探しようがない。


散歩でもしながら、体育辺りの授業で外に出てきた生徒の中からや、下校時間まで粘って帰る生徒の中から彼女を探そうと思っていたのだがな。

ここまで人が少ないと、そこまでする程の成果は得られなさそうだ。


無理に今日探す必要はない、俺は学校には行ってないからな、時間には融通が利く。




「さて、どうしたものかな。」


溜息をつき、ペットボトルの水を一口飲む。


夏だけあって、今日も日差しが強い。


日差しが強くても俺は別に目を傷めたりしないが、眩しいと言う感覚はあるし、あまり知らん奴に表情を見られるのは好きじゃないから、今日は色が薄めのサングラスをかけている。


服装は昨日とほぼ同じ、ホットパンツにタンクトップ、そして野球帽だ。



どうしたものか、と言ったが俺の中では今日の調査を切り上げる方針を固めていた。実入りの無い調査を続けても仕方がない。



「散歩でもするかな。」


どうせ仕事にも学校にも行っていない俺は、こういった調べものでもしなければ、基本的には暇だ。


無職なのはどうかと思うが、まぁサイボーグの俺が不用意に就職したら色々問題が起きそうだし、何より俺は肉体年齢で換算したら14歳の未成年だ。

これで就職するのは厳しいだろう。


家に居るのも暇だしな。万が一にでも、こういう行動が記憶を修復する切っ掛けにもなるかもしれないし。



頭を切り替え、学校を後にする。


さて、どこに行くかな。


普段は列車も使って隣の県まで行ったり、数日を留守にすることもある。以前それを真に話したら『それは散歩じゃなくて旅行じゃないの?』って突っ込まれたな。まぁ言う通りだ。



そういう行動をする為の資金だが、こっちも暫くは問題は無いだろう。真曰、倒れていた俺は通帳とカードが入った小さなポーチを下げていたらしい。走り書きされた暗証番号のメモもな。



その中にはかなりの額の預金があった。誰が俺に持たせたのか、誰が用意したのかは知らんが、あるなら使わせて貰うだけだ。





駅に着いた俺は券売機で乗車券を買うと、プラットホームで列車を待つ。学校の近くの大型駅なだけあり、人数は多く、ベンチには座れそうもなかった。



柱を背にしながら、一息つく。


屋根付きのホームで日差しも届かなくなったから、サングラスも外してケースにしまってポーチに入れる。まぁ帽子があるから良いだろう。


腕を組み列車を待つ。時刻表を見れば、そんなに待つことも無さそうだ。



ホームには学生の他には、旅行鞄を持った人々も居る。普通に旅行か、或いは出張だろうか。そう言った中には学生だけの集団や家族のらしき一団も居る。



俺にも、ああいった家族や友人が居たのだろうか。



その時、アナウンスと共に列車がホームに入って来た。

乗っている客も多く、更にこの駅で乗る人数を考えれば、満員とはいかずとも、少し窮屈にはなるだろう。



そのまま人の流れに乗り、俺は列車に乗った。




**************




列車に乗ってから2駅程過ぎた時だった。



「(後ろか…やれやれ。)」


後ろから、尻を触られている。最初は列車の揺れに合わせて、偶然手が当たったように、しかし今は揉むように撫でられている。



ははぁ、これが所謂『痴漢』という奴か。まさか、自分自身が体験することになるとは。


相手も触ってる奴の尻がほぼ人工物で出来ているとは夢にも思うまい。残念だったな、お前が触ってるそれは本物じゃない。



「(って、おいおい。少しは周囲を気にしろよ。)」


別に気にする事でもないので無視していたら、俺が怖がって声を出せないと勘違いしたのか、今度は後ろからタンクトップの下に手を入れて胸を触ってきた。


付けるような大きさじゃないから、ブラジャー付けてないんだよな。ブラが無いのを確認して、相手が一瞬躊躇したのが少し面白い。


それでもしっかり揉んでるし、何なら先っちょも弄られてるが。まぁ別にそれでどうこうなる訳でも無いがな。



すると調子に乗ったのか、今度はホットパンツの中に手を突っ込んできた。


おいおいおい、流石に調子に乗りすぎだろう。



と言うか、そこは流石にマズイ。


教育上よろしくないからとか、恥ずかしいとかより、サイボーグだっていうのがバレる。

『そこ』あたりは見た目だけで、本来の機能はもう無い。



「そこは流石にやめとけ。」


その手を掴んで、小声で言う。


すると面白いくらい動揺した様子で、手を引っ込めた。そして、何食わぬ顔で吊革を掴み直した。


ああ、こりゃ常習犯かもな。取り繕うのが上手い。


まぁ、俺も騒ぎは起こしたくないし、別に警察とかは呼ばんがな。警察沙汰になったら色々バレかねない、つまり俺の方が都合が悪い。



そうしているうちに、列車が止まった。ここが下車駅だ。


降りると、後ろに痴漢した奴が居た。コイツもここだったのか。




「ああいうのは、もう止めとけよ。いつか捕まるぞ。」


振り返って小声で言う。眼鏡にスーツの、風体自体は何処にでも居そうな男だった。


そいつはビクッとして、そそくさと改札機へ行ってしまった。



やれやれ、相手が俺だから良かったものの。相手によってはトラウマになったり、騒ぎになれば完全に捕まるぞ。


あれで止めるかは本人次第だ。そこまでは俺は知らんが。





「んー」


身体を伸ばす。


車内は窮屈で、少し疲れた。サイボーグだから、身体は疲れていないのかもしれんが、気は疲れもする。



ここは隣町、といった所。

駅周辺は発展してるが、アーケード街を少し出ると、畑や田んぼが広がる、田舎と呼べる場所だ。



特に目的は無いが、そうさな…


「温泉、有名な場所があるらしいな。」


入っていくか。ついでに真と高橋教授に土産でも。



スマートフォンで調べると、ここから徒歩で15分か。


バスに乗っても良いが、別に急いでも無い。歩きで良いだろう。



サングラスをかけ直し、俺は歩き始めた。


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