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アリスプロジェクト:RE  作者: 黒衣エネ
第一章:起動/黎明/標
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EX:アルティメット・ワンⅢ

自分達が何を生み出したのか理解しているのだろうか。それが齎すモノが何なのか、どれ程のモノなのか、想像したのだろうか。それは次の世界を創造する事も可能ならば、人類史を終わらせる終末装置でもあるというのに。


最強の兵器『白き究極の闇』よ、そして『究極アルティメットなるワン』よ


『ソレ』を手放してはならない、その時が終わりの始まりになるであろう。

鉄錆のような匂いとチラチラと燃える炎が私の白い肌を照らす。


この程度か、この程度でこの私に相対したのか。その程度で『この私を捕獲しようとした』のか。

何とも浅ましく、身の程を知らない強欲さと傲慢さだろうか。



所属は…この国(日本)の特殊部隊に米国軍所属の特殊部隊の混成。総勢248人に装甲車12台、その他車両が6台。

それが人の気も無い夜の海辺、砂浜で散歩していた私に差し向けられた『軍隊』。そう言うのを動かしづらいこの国で、よくこの数を集めたと言いたい所だけれど、それでこの私に相対するくらいなら何もしない方が良かったでしょうに。


装甲車は全てが大破しながら炎上し、月浮かぶ海を背に立つ私の目の前には折り重なり倒れた、人間だったものが無数に転がる。一部は欠損しているものも、原型を留めていないものも、焼け焦げて炭化したものもあった。


生体反応は、ゼロ。


当然ね、そういう結果になるようにしたのは私自身。誰一人見逃さずに皆殺しにした。

例え私にとって取るに足らない存在達であっても、私にそう言うつもりで攻撃を仕掛けたのなら、その報いは受けてもらう。『兵器を攻撃』する事がどのような結果を齎すのか。これで知らしめた事でしょう。




「戦力は分散させずに投入すべきだったわね。」


砂浜に次の一団が姿を現す。


白くのっぺりとした装甲に覆われた人型が30機。


アンドロイド兵器『US-06』ね。



***********



アンドロイドが生まれた。


人と同じ外見と人より遥かに優れた膂力、しかし不完全だった。


それは命じられたことしか出来ない、プログラムされた事しか解さない、何より膂力しかない。



***********



私にとっては不完全なものだった。それは私に『面倒』以上の感覚を感じさせることは無い。



「いいでしょう、どうせアンドロイドを通して何処からかモニタリングしている人間が居るでしょうし、それを逆探知するような野暮なことはしないわ。そんなことは私にとっては『どうでもいい』の。私の関心は『妹達』とその『乗り手』だけ。」


そう、その気になれば目の前のアンドロイドを介して私を監視しているモノを直ぐに特定出来る。

だけどそんな『取るに足らない者』など、どうでもいい。私の前に立たない限り、手を下す価値も無い。



「まぁ見てるなら折角だし見せてあげましょう、私が『最強の兵器』たる所以を。」


これすらも深い意味は無い、単なる『暇つぶし』以上の意図は無い。




「『超変化トランスエヴォルヴ融合熱砲ディザストロンブラスター』」


私の力『変化トランス』が私の疑似細胞を自己複製し、自在に自己変異する。それによって私はあらゆるものになれる。

更に疑似細胞は二次元と三次元の壁を越え、時間と場所さえも超えてネットの中へさえ侵入できる。


私が最強であるのはこの力を持つからに他ならない。



その力が、私の右腕を私の『この姿』の身長の数倍の大きさを持つ白い砲身へと変化させる。


私の行動に反応し『US-06』が手にしたライフルで私を撃つけど、そんなモノに意味は無い。私の疑似細胞は、霧のように変化しその弾丸を透過する。




「では見ていなさい、これが私の力の片鱗よ。」


夜の海岸を暁に照らす烈光、空気を震わす暴風、周囲の草木が燃え、砂浜と海が衝撃で捩れる。爆音が夜の静寂を裂き、赤く白い光が私の正面を覆い尽くしながら放たれる。





約10秒の後、光が収まり煙を上げる砲身の先には『何も無い』。


そこにはアンドロイドが居たという痕跡も、装甲車や人の残骸も、流れ着いていた流木もその直線状の砂すらも地面が剥き出しになって『何も無い』。


高出力のエネルギーの塊だ、私がエネルギーの運動方向ベクトルや熱伝導を制御して指定範囲に絞っていなければ、ここを中心に半径1㎞のものが有象無象に消し飛んでいたのだから。

それをこの範囲に集中させたのだから、何か残る筈が無い。


本質的には核攻撃に近い、衝撃と熱エネルギーが存在の欠片すら残さず、対象を消し飛ばす戦略兵器級の変化トランス



それだけ制御しても余波で周囲の草木が燃え、海辺を仄朱く染めている。


遠くからは警察車両のサイレンの音が聞こえ、人間達の騒ぎ声が聞こえてきた。



さて、もういいでしょう。散歩を邪魔されたのは不快だけど、これ以上は力を振るう気は今は無いわ。

背に翼を形成し、私は夜空へと飛び上がる。



この不満足は、あの子たちを愛でることで相殺としましょうか。


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