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プロローグ 悪を憎みながら悪を求める人々

 どうして物語には悪役が存在するんだろうか?


 小学生のころ、友達の家でRPGというジャンルのゲームがあるのを知った。

 俺は友達がそのゲームをプレイするのを横で見ていた。

 その物語には勇者がいて姫がいて魔王がいて、モンスターがいた。

 プレイヤーは勇者を操作して、悪である魔王を倒しに行くという物語らしい。

 だけど、俺には悪というものがなんなのかよくわからなかった。

 勝手に悪ということにされて、魔王がかわいそうだなとすら思った。


 俺はそんなことを思いながら、友達がプレイする様子をただ眺めていた。

 勇者とその仲間たちが草原を歩いているとモンスターと戦闘になった。

 そして、一体のモンスターを勇者たちが集団でぼこぼこにした。

 なんだか怖いゲームだなって思って、友達に訊いてみた。


「ねぇ、なんでモンスターを倒すの」

「悪いやつだからだよ」

「なんで悪いの?」

「はぁ? モンスターなんだから悪いに決まってるだろ」


 モンスターだから悪い。そうなのだろうか?

 でも、実際、このゲームではモンスターは悪ということになっていた。

 よくわからない。俺がおかしいのかな?

 その時はそのモンスターの名前がわからなかったが、あとでネットで調べてそのモンスターの名前がゴブリンだということを知った。


 それからも、俺はたくさんの物語に触れた。

 どの物語にもたいてい悪役というものが登場した。

 現実世界では、悪は罰される。悪いことはしちゃだめだよって先生に教えられる。

 悪いことをしたら叱られる。非難を浴びる。法律で罰される。

 人々は悪を嫌う。社会は悪を許さない。

 でも、ならなんで、人は悪役というものを作るのだろう?

 なんで物語にはこんなに悪が登場するのだろう?

 どうして人は、誰かを悪者にしたがるのだろう?


 みんな、本当は悪が好きなのではないだろうか?

 悪役がいてほしいと、心の底では思っているのではないだろうか?


 そんなことを思いながら退屈な日々を送って、中学生になった時、ゴブリンと呼ばれていじめられている女の子とクラスメイトになった。

 その子がいじめっ子たちにゴブリンゴブリンと言われていじめられているのを見て、俺は小学生のときに友達がプレイしていたRPGのことを思い出したのだ。

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