1卵.初めての相棒?相卵?
前話の前書き下の最初の線までになります。
ダンジョンの現れた世界
現れてから数年。ステータスや、レベル、スキルや魔法が唐突にもたらされ、それによる混乱は、割と早々に下火になった。ダンジョンのモンスターの脅威が原因だ。
各国の首都に現れたダンジョンの入り口が集まった建物。通称「バベルゲート」又は「バベル」の内側には日夜門が増え、その先にはダンジョンがあり、その入り口にあるゲージが真っ赤に染まった門は、「バベルゲート」から消え、近くの地上に現れ赤くなった門がモンスターを放つ通称「赤門」となり、その脅威を示したためであった。
その脅威を退ける為に、世界中の国は、ダンジョンの攻略を強いられることとなった。
主人公は、その世界で、初めて作られた魔物を討ち、ダンジョンを攻略する、探索するサブカルから名付けられた「冒険者」を育成する「冒険者学園」(正式名称)の二期生として世に出たのである。
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「今日も人がいっぱいだねぇ」
そう独り言を言う少年。
周囲には何千人と人がいる。それは、少年と同じ方向を目指す人、おそらくそこを離れる人、仲間を待ったり、求める人様々だ。
「やっぱり、『バベル』は人が多い。まるで同人のアレだよな…。今じゃ、そんな纏まったのやってないし、行ってみたかったな」
あまり動かない列を見て頭を振って、もう一度独り言を言って、それを見上げる。
『バベルゲート』又は、『バベル』と呼ばれるそれは、直径五百メートル、高さにして十キロの謎建物…、コレ、外からは一階以外は触れられない上に、写真にも、動画にも映らないホント謎建物。後、伸びるびっくり謎建物。下の入り口が午前六時~午後二時の間にランダムに六~十二時間開き入れるようになる。定刻式にならんかね?入ると明らかに外見より広い空間に幾つかの上に上がる階段があり、その途中に不均一に間隔が開き門が在る。門の上には、ギリシャ数字とアラビア数字、おまけに漢数字の混ざったナンバリングと色づいて光る丸いゲージが付いている。これが真っ赤になると外に赤門が現れる。
「とかなんとか考えてるうちに、門が開いたか…。午前十時半少し前、この人の量ならトイレも飯も待てるな。どうせファンタジーならそこらへんも適度にファンタジーしてほしいけど。」
そんなこんなで二時間程で、入場出来る所まで来た。
「今日もお疲れ様です。エリスさんこれはもう腐れ縁ですかね?」
そう言うと、受付の女性は少しばかり血管を浮かび上がらせ、眉をピクピクと痙攣させながら、額に手を当て答える。
「こんにちは、シンさん。それと私の受付に文句でもあるんですか?最近毎回それを言っていますよね?」
文句を言いながらもいつもの手続きをやってくれているあたり良い人なんだよな…。そうは言っても、
「ここに来てからこれまで八割以上はエリスさんに手続きをして頂いていますし、そろそろ五年近いですよ?人生の四分の一位はエリスさんと喋っている記憶が浮かびますから。ソロなもんで…。まあ、それに、俺の卒業と同時期に学生受付から一般に変わるのもアレですし…。そもそも、腐れ縁、否定して無いじゃないですか?多少は出すんでお祓いでも行ってきたらどうですか?」
そう言うと、今日の振り分けをコピーして此方に差し出しながら、
「あのですね?私達は基本的に中立なんです。分かりますか?ちゅうりつなんです‼確かに私はこの仕事に就いてから何故か!ずっとあなたの受付だけはしていますけど適切に距離を取ってください!!それと、お祓いはあなたの勧めで去年行きました。変わったのは肩こりと金縛りが無くなったくらいです…。」
「そ、そうですか。気を付けます。」
正直に言って、エリスさんの最後の方の元気が無さすぎるセリフに「はい」しか答えられないのは俺が駄目なんだろうなって「すいません、ホントすいません。」って小声で言って去ろうとする。クソヘタレのクズである。
「シンさん。」
「ひゃい!」
「お祓いの進めは感謝します。それと!!する気があるのなら謝罪はキチンとして下さい。ふざけなければやってられないのは分かりますが、内容はもう少し考えてください…。ここに勤める気になったら言って下さい。雑用や資材搬入等、力仕事の方なら紹介します。」
「…、ぁ、ありがとうございます。」
そう言うと、少年は頭を下げて入り口に向かった。
そして、少年が離れた後で、
「一応、お祓いして変わらないって事は、悪縁ではないと考えているのですけれど…、まあ、それにしてもあの態度は何とかしてほしいものです。」
そう言って次の人の受付に取り掛かった。
「次の方どうぞー。」
入り口に向かいながら渡された紙を確認する
「α225十五ゲートかぁ、にしても、やっちゃったなぁ。」
虚勢を張るのもバカバカしくなってきた。何故なら、
すると周囲から噂話の声がする
「おい、あれって…」
いや、陰口か
「ああ、アイアンエッグ…」
こんな不名誉な二つ名持ち
「割れない卵…」
もはやこの業界じゃ芽が出ない事の代名詞だ
「命知らずのバカ」
「いや、聞こえてるしお前のはストレートな罵倒だよね?」
そう言って振り向くと、さっき見た顔の面影があるフードを被った小柄な影
「うちのエリねぇ泣かせといて何言ってんの?バカシン。」
「いや、泣かせてないって。さっき泣いてなかったし。」
すると、「さっき?」と言いながらフードの下で眉の動く気配。
「また、エリねぇに何かしたのか!このバカ!あ~もう!!エリねぇに近づくなよ!!」
そう言いながら、襟元を掴んでガクガクと揺さぶられる。しかしそんな状態でまともな回答も出るはずもなく、答えたいところから先に言ってしまう。
「ちょ、ま、別に、狙っ、てるわ、け、じゃ」
「エリねぇがどんな気持ちで!!」
それだけ辛そうな顔で言って手を離して去っていく
「俺だって、最初っからこんなんじゃ…。なぁ。駄目なのかよ、相棒?」
そう言いながら、俺は、小脇に抱えた卵を見ながら、初日を思い出す。
約五年前
冒険者学園の入学式、夢や希望に満ち溢れたそれではなく、全国各地から集められた一種の徴兵制のようなモノ。みんなが生き残るための効率的な育成法の模索、必要とされる能力の蓄積の段階となる酷い言い方でモルモットの段階の二期生となった春。『バベル』の前を貸し切った入学式。並んでいるのは、この間まで、華々しい活躍をしていた手足の無くなった教員達、一つ上しかいない先輩方、ニュースなんかでしか見た事の無い様なお偉い方々。祝辞やなんかが終わって、次の段階に入る。
「何とも言えないな。」
その空気に飽き飽きしていると、隣から声が聞こえてきた。見るからにイケメン野郎。正直関わりたくない。コレ、漫画とかならライバルや親友とかと会うベタな下りじゃん。とか考えていたら、その反対側から
「なにがー?」
とか、答えてんの。知り合いなら言ってくれよ退けたのに!人を挟んで喋らんでよ。しかも、こっちはこっちですんごい美少女…。こっちも知らんふりだな。
「初めてあった割には軽すぎる奴だ。あぁ、誤解するなよ、貶す気は無い。それで質問の答えの前に、お前はこの式をどう考える?」
「そうだねー。きみのいけんはー」
何でこっち見てんのかね?こっち見んなですよー。有名なやつ。いや、美少女さんツンツンやめてくんない?辛いって。
「話振んなよ、見ず知らずの美男美女A、B。」
そう言って黙るが、
「良いから言ってみろ。」
「そ、そうだそうだ―」
え、この人たち何怖い初対面の人に対する押しつけが半端ない。あと、美女ちょっと照れないで、美男の方は面白そうにしないで
「喋りゃいいんだろ喋りゃあ。はぁ、目的意識をキチンとしとくって事なら意味はあるし、主要な人物の顔見せって考えても意味はある。だけど、双方向でやらないなら、資料なんかでも構わないし、ココを貸し切っただけの損失に見合うとは思わない。実際この時間の捻出のために、特別報酬を用意して中に籠ってる人たちも居るらしいし。正直、校長、いや、学園長か、あたりが言うこと言ったらさっさと卵を貰って、ダンジョン攻略なり、一般教育なり、ダンジョンの勉強なんかをしている方がいいと思うね。そもそも、俺らの役割はその学習内容を決める為の情報収集だしな、ついでに言えば、貸し切りも多くて半分位で良いと思う。後、式が長い。」
特に何も考えずに不満を言って終了。後は興味なくしてくれると助かるんだが…。
「ほう、七 真ずいぶんな口を利くじゃないか?」
すると、気が付かなかったが、後ろからおそらくは教員の誰かが近づいて来ていたようだ。
そこからの判断は速く、行動は迅速だった。即座に後ろを振り返り頭を下げながら謝罪を行った。
「すいませんでした!!両隣に強要された事とはいえ、絡まれない為に言い過ぎました。」
「ほう、このあたしに噓をつくとはいい度胸じゃないか?えぇ?後で職員室に来な!両隣も一緒にだ。」
「はい。」「わかりましたー」
「あんたもちゃんと来るんだよ?それとあたしの名前は亜音叉だ。」
そう言いながら、去っていった。ちなみにこれが後の姐さんとの出会いであった。
その後は「お前らのせいで散々だ」っと不満を内に秘めながら、何かニヤケた二人に挟まれて自分の番を待った。
暫くして。
「次の列手続きをしたら入って。」
そう言われて、少してんやわんやな女性の受付の人の所に回された。
「よ、よろしくお願いします。」
「あ、いや、それ、こっちが言うれりふりゃゃぁ?」
噛んだ
「ぷ、あ、そうですね。失礼しました。」
緊張って言うか、てんやわんやしてたのが治ってよかった。けど、何か釈然としない。これがエリスさんとのファーストコンタクト
そう言われて俺たちの列が塔の中に入る。
「では、授卵の儀を始める。」
『授卵の儀』ダンジョンで戦う力その中でも重要視されるものだ。
ステータスや、レベル、スキルや魔法が使える奴も居るが、全てはこの契約から始まる。
卵を授かりステータス画面みたいのが見えるようになり、モンスターを狩ってレベルが上がるようになって、スキルや魔法が使えるようになる。
しかし、卵から相棒となる存在が出てくるまでは蓄積期間、レベルアップはしない実質的な一般人だ。
「・・・・・それでは、次!七真」
そうして呼ばれた俺は、一歩前に出ると、卵のなった樹に見える通称『卵樹』になる卵の一つの下で手を広げるすると、その卵が二重になって、そのうち一つが落ちてくる。
「これが俺の相棒…。」
薄いはずが無いのにそんな印象を受ける紫色と、翠色のらせん状のカラーリングの卵。特徴的なのは、割れ目の様に|一周しているジグザグ模様…、コレ、割れてね?
「ふんっ!」
そう言いながら、上下に引っ張たが、割れない上に目の前の職員さんが慌てて止めた。
「こ、こら!やめなさい!確かに卵の時点では強制的に割れたという話を聞いた事はありませんが、無理をして良いという訳ではありません!そもそも、この時点でも割れるならあちらの様に割れますから。」
そう言って職員さんが差した先には既に卵の割れた美男美女って
「お前らかよ!?」
もうヤダ~。美男美女で卵の即割れ好相性とか、やってらんねぇ
「ん?シン!俺の相棒はこのグリフォンの様だ。ついでに言えば先程からバチバチしているから魔法は使えそうだな。」
「しんくんー!うちの子は凄いよ!最強プル可愛いスライムさんだよ!!しかも、増えるの!!最強が増えて無敵だね!!」
棒線の位置ぃー!?てか、美少女、君、漢字喋れたの?会話がこれまで文字に起こしたら絶対緩い感じっだったけども?
「しんくんのこは…?まっくろくろすけだねー」
は?
「ああ、確かに見事な黒鉄色だな」
冗談やめろよ
「そ、そうだな」
「どうした?何か様子が変だぞ?」
答えられるわけが無い。現状の世界には、これ以上のイレギュラーに対するキャパシティーなんぞ無い。素直になって、ロクな目に合わないのは経験済みだ。
「当たり前だろ?さっきまで絡んできてた奴らは即孵って俺だけ仲間外れだ。あんなやり取りすれば卵の事でショック位受けるさ」
「そうだよねーでも、だいじょうーぶだよー。あたしたちはしんゆうさー」
「えぇい、近づくな。」
ドキッとするぞ。後感謝もする。
「しかし、何だ。そのうち孵るさ。取り敢えず私達は行く所があるしな」
と、言いながら、歩き出す。
「だな」
「だねー」
と、答えながら俺達も歩き出す。
しかし、俺は、少し立ち止まって、
「お前が寝坊助なのか何なのかは知らん、けど、これからよろしくな?紫翠」
ーーーーー
何か今不満みたいの感じたぞ?
「お前やっぱ起きてんじゃねーか?ふん!」
すると、俺が来てないのに二人が気付き振り返る
「おい、シン止まってないでさっさと来い!」
「そーだよー?おこられてるのはしんくんだしー」
「いや、お前らのせいだからね?後、お前らの名前も教えろよ、不公平だ。俺は、漢数字の七に写真のしんで七真だ。」
そう言いながら、遠くなった二人の背を追いかけた。
そして今
あいつらは今も、ずっと先を進んで、若手のホープ。俺は、今も、浅層をちょっと過ぎるだけの日々
「差がついたってレベルじゃないか。他の奴も皆スゲーしなぁ。」
卵を少しばかり撫でる。
「寝坊助、いつまで寝てんだよ。」
そうして始まる。いつも通りのルーティンワーク。
今日も冒険は始まらない筈だった
後ろの方からガサガサと音が鳴る
「た…すけ、て」
エッグり情報コーナー
1.門の中は、常識で考えてはいけない。経験すら時に命取りになる。
作者「手短に」
辛抱「名前変えて!」
作者「No」
辛抱「そこをなんと「次回、2卵.相棒は巨大?チビ?ッ子」え!?」
作者/辛抱「次回もよろしくお願いします!!」