第05話 学園警備部☆捜査開始
学園警備部の4人は、市立図書館で過去の新聞をチェックしていた。
被害者の同級生二人が参加していたのは、ここ霞ヶ丘市内にある『霞が丘猟友会』。その霞ヶ丘猟友会が半年前、霞山の山林でライオンのこどもを保護したことが記事になっている。
一度は霞ヶ丘動物園が引き取り、ケニアの野生動物保護区に放されることが決まったものの、子ライオンは輸送途中に命を落としたそうだ。
「この霞ヶ丘猟友会って、怪しいわよね。なぜ霞山にライオンの子がいるの?」
ヨナがそう言うと、六条が反応した。ここ数日、彼はインターネットで調べている。目の下にはっきりと隈が出来ていた。
「部長。さすがです。霞ヶ丘猟友会には以前から悪い噂があります。輸入禁止生物の密輸疑惑です。年に数回、アフリカに研修に行っているようですね」
六条も独自の捜査ノートをつけているらしい。のぞき見すると、かなりのページ数だ。
「年に数回って、ずいぶんと羽振りいいですね。ますます怪しいです」
來田さんが言った。
「もう確定じゃない?」
と、ヨナ。
「ライオンのこども保護に至った経緯ですが、猟友会側から市役所に通報したとかじゃないみたいです」
「というと?」
「半年前、霞山のふもとの家が荒らされて、老夫婦が子ライオンを目撃したそうです。村は騒然となって市役所に通報がいった。それで市役所が霞ヶ丘猟友会に協力を依頼したそうです」
「じゃあ、自分達が密輸した子に逃げられて、それを回収しただけっていう見方もできるわけか」
「僕はそう考えています。ライオン男は、密輸でさらわれた子ライオンを探しているのかもしれませんね」
「でも、死んじゃったんでしょ・・・。その子・・・」
來田さんは悲しそうな声で言った。いつの間にか目が真っ赤になっている。
「二匹以上いるのかもしれないし、死んだことを知らないかもしれない」
六条は自分の推理に自信満々だ。
証拠はひとつも無い。噂が嘘だった場合、良心で子ライオンを保護した霞ヶ丘猟友会に対して申し訳けないが、決めつけで動くのが学園警備部の捜査方針だ。
「裏を取りましょう。霞ヶ丘猟友会が密輸に関わっていることを明らかにするのよ」
僕たちは霞ヶ丘猟友会の会長宅を探すことにした。
会長宅は霞ヶ丘市内の静かな住宅街にあった。古いが立派なお屋敷だ。猟友会のメンバーが次々に殺害されているため、会長宅の周辺は、たくさんの警察官が警備をしていた。
「これじゃあ、話を聞くのは無理ね」
「そうですね、どうしましょうか部長」
そう言うと來田さんはハッとした顔をして六条を見た。
「六条君、パパに頼めないの?」
どうやら六条のパパは大物らしい。
「いいですよ。相談してみます。それじゃあ、明日またこの場所で集合しましょう」
突然、ヨナが六条のおでこをひっぱたいた。
パシン!
「痛い!」
六条は目をつぶって大袈裟にうなっている。
「六条! あんたが仕切るな。まったく、最近の若い者は」
自分も大して変わらないくせに、1年先輩のヨナはふんぞり返って言った。
「すみません、部長! 気をつけます」
六条・・・。大物の息子、イケメン、頭もいいのに情けないなあ。と、心の中で爆笑しながら、僕はポンポンと肩をたたいてやった。まあ、嫌な奴じゃないし。
「じゃあ。六条はお父様に相談してくれる? で、明日10時にここ集合。いい、みんな?」
「了解しました!!!」
初めて三人の声がそろった。僕には子分Cの役割がふられたのだ。そう思った瞬間だった。
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