表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/17

6話 新しい家

「ねえルドー。あんたこれから何する気?」


 神殿近くの平原を眺めていると、濡れた体を炎で乾かしながらカナメがそう聞いてきた。


「今から家を建てようかと」


「家……? あんたたち、あのでっかい建物に住んでいるんじゃないの?」


 カナメは神殿を指していた。


「あそこは経年劣化でボロボロだし、中の書庫やオラリスの部屋でずっと生活する訳にもいかない。だからまずは家を建てたいんだ」


 とは言え、創造魔法で作る物体の質量は俺の魔力と等価交換。

 俺も魔王討伐の旅で魔力容量が増えているとは言え、そこまで大掛かりな建物は作れない。

 せいぜい小屋がいいところか、と悩んでいると。


「ん、だったら手伝ってあげる」


 カナメは俺の手を握ると、こちらに魔力を流し込んできた。


「さっきの水を作った魔法であんたも消耗しちゃったでしょ? 押しかけて来たあたしも悪かったし、少しくらいなら魔力をあげる」


 そう言いつつカナメが流し込んできた魔力は、少しどころではなかった。

 あの勇者にも劣らないほどの大魔力、流石はドラゴンだ。


「これだけあれば! 『建築』!」


 家の外観をイメージしながら神代の言語を唱える。

 すると地面に魔法陣が浮かび上がり、光の粒子が想像した通りの家を作り上げた。


「流石はご主人さま。もうここまで創造魔法を使いこなすとは!」


「使いこなしているというか、使いやすすぎるというか」


 何せ神代の言語を口に出し想像さえすれば、後は魔力次第で何でも可能だ。

 神さまたちもこんなノリで世界を作ったんだろうかと、何となく思った。


「ちなみにこの家、何かモデルはあるのですか?」


「遠い故郷にある俺の実家だよ。一番想像しやすかったから」


 父が役人だったので、実家の広さにはそれなりに恵まれていた方だと思う。

 部屋数も少なくないし、複数人で暮らしても困らないだろう。


「へぇ、これが人間の家なんだ。あたし一番乗り〜!」


 鼻歌を歌いながら、カナメが家に入った。

 俺も中に入ると、家具なども想像通りに再現されていた。


「これがソファーってやつかぁ、ふっかふかね!」


 カナメは居間のソファーに寝転び、言った。


「決めた! ここ、あたしの定位置ね!」


「あ、ずるいですカナメさんっ! 私もそのもふもふしたソファーがいいです!」


「えへへ、早いもの勝ちよ!」


 オラリスとカナメがあれこれ話し出した。

 どうやら定位置やら部屋割りの話らしい……って。


「カナメもここに住むのかな?」


 いつの間にかそんな雰囲気だが、よく考えればここはカナメの縄張りの中だし、ここ一帯はどこでもカナメの住処みたいな節もある。

 それにカナメも明るい性格のようだし、生活が賑やかになっていいかもしれない。

 俺はこの家でのこれからの生活に思いを馳せていった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ