17話 新たな居候
カナメの元従者だと言うドラゴンを倒して、さてこれからどうしようかと思ったところ。
「えいっ」
カナメが何かの魔術を使ったのか、ドラゴンを炎で包んだ。
それからドラゴンは炎が消えると、カナメ同様の人間の姿に変化していた。
「おぉ、女の人になった」
カナメと同じフレイムドラゴンだからか、顔立ちがよく似ていた。
「それじゃあルドー。ここで寝かせておいたら通りすがりの冒険者にでも討伐されかねないし、この子を連れて戻るわよ?」
「戻るって、連れて行っても大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。一回コテンパンにされたんだもの、ドラゴンは勝てない相手に挑むほどバカじゃないもの」
カナメがそう言うならと、俺は元従者らしいドラゴンを連れ帰ることにした。
ちなみに彼女の名前はヨシノと言うのだと、帰路でカナメから聞いた。
……それから半日後の夕暮れ時、我が家で目を覚ましたヨシノと言えば。
「き、貴様! 姫さまをたぶらかした人間か!? こ、ここはどこだ!? に、に、に、人間の姿にして、抵抗できない私に何をする気だ!?」
妙に焦っているヨシノは部屋の隅に行って、俺をめちゃめちゃ警戒していた。
……ついでに。
「に、にゃあああああああ!? 起きた!? あの暴走ドラゴンが起きたにゃああああああ!?」
ロリンも半泣きで大慌てしていた。
混迷を極めそうな雰囲気の中、ぴしゃりとオラリスが言った
「主さまの家で騒がしいですよ。二人とも、静かにしないと主さまの魔法が炸裂するやもしれません」
するとヨシノとロリンが恐々とした表情でこちらを見つめてきた。
いや、別に何もしないが。
「ヨシノ、恥晒しもいい加減にしなさいな。真正面から負けた以上、潔く勝者に従うのもドラゴンの矜持よ」
「姫さま……」
ため息交じりのカナメに、ヨシノはぴしっと正座になった。
それから、顔を赤くして。
「い、いいでしょう。姫さまがそう仰るならば……さあ人間! この身を好きなようにするがいい! 挑みかかって敗れた身として、どんな辱めも受け入れる覚悟だっ!」
「いや、だから何もしないって」
ついでに顔をそんなに赤くして震えないでくれ、俺が悪いことをした気分になる。
いくら人間の姿だからって、カナメの知り合いにおかしな真似はしないから。
「……で、カナメ。連れ帰ってきたこの子、どうする気だ?」
聞くと、カナメはあっけらかんと答えた。
「そんなの決まっているじゃない。また暴れないようにしばらく監視よ。それにあたしたちのこと、故郷に帰って話されても困るもの。……構わないわね、ヨシノ?」
「え、ええ。私も姫さまのお側にいられるなら、ひとまずは受け入れましょう。一応はお目付役も仰せつかった身ですから」
ヨシノもこれ以上暴れるのも野暮だと思ったのか、渋々といった雰囲気でカナメに従った。
こうしてこの日から、ヨシノが我が家の居候のような身として滞在することとなった。




