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13話 予期せぬ収穫

 魔道具を作った翌日。

 ドラゴン姿のカナメに乗って移動し、起動前の魔道具を縄張りの周囲に設置していたところ。


「ルドー! この辺りは特に結界を強めたいんだけど、構わないかしら?」


 ふとそう言ってきたカナメに、俺は頷いた。


「それはいいけど、何かあるのか?」


「ふっふっふー、それはすぐに分かるわ!」


 意味深げに笑うカナメは、地上に降り立った。

 それからとある方向を見て、俺に言った。


「ルドー、あそこを見てみて」


 カナメに言われた方にあったのは、小さな藪だった。

 そこをじぃっと見ていると、そこから小さな魔物が飛び出した。


「あれ、アルミーラビットか?」


「そうよ。ルドーも知っていたようね」


 アルミーラビットとは、一角の生えた銀色の兎だ。

 しかし単なる兎ではなく、超希少種と呼ばれる獣である。


 さらにその身は滋養強壮に非常に良いとされ、肉や毛皮はもちろんのこと、何よりその一角はあらゆる傷や病を癒す万能薬になるとされている。

 ともかく、出会えれば幸運で捕獲できれば超幸運とされるのがアルミーラビットだ。


「カナメ、もしかしてここを守りたいのってアルミーラビットの住処だから?」


「ええ、ここには多くのアルミーラビットが住んでいるわ。それにアルミーラビットはドラゴンにとっての大好物でもあるから、他のドラゴンに横取りされたくないの」


 カナメは人間の姿に変身してから「あ、でも」と付け足した。


「ルドーやオラリスならいいわよ? 一緒に暮らしている仲だし、ちょっとなら分けてあげる」


「それは助かる。アルミーラビットの角は骨折も深い裂傷も瞬時に治せる薬になるから、いざって時に重宝するんだ」


 とは言え、俺が欲しいのはアルミーラビットの角だけだ。

 そうであれば殺す必要はないなと、俺はアルミーラビットへと狙いを定めて神代の言語を口にした。


「『あの者を捕獲せよ』!」


 巨大な網をイメージして詠唱すると、アルミーラビットの頭上から網が現れその体をすっぽりと覆った。


「よし、捕獲成功だ」


 俺は網の中のアルミーラビットへ近寄って、角に触れた。

 そして角の魔術的構造などを調べ、再び神代の言語を唱えた。


「『かの銀兎の一角をここに』」


 すると手の中に魔法陣が展開され、そこからアルミーラビットの角が三つほど作成された。

 こうすればアルミーラビットを殺すことも、角を折って傷つけることもない。


「その魔法、アルミーラビットの角まで創造できるの……!? 一応は万能薬でしょ?」


 ぽかんとしているカナメに、俺は笑いかけた。


「魔力の消費は少し多かったけど、魔術的な構造や特性さえ分かればどうにか。これでこの先、怪我をしたり病気にかかった時でも大丈夫だな」


 結界を張る魔道具を設置しに来たつもりが、予期せぬ収穫があった。

 俺はアルミーラビットに「ありがとうな」と感謝を伝え、網から逃がしてやった。

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