12話 竜避けの書
書庫で必要な魔導書を回収し、その中身を読んでいく。
すると『竜避けの書』というそれらしい魔導書に、オラリスの言っていた結界に関する詳細な記述があった。
「結界って、魔石を使って作るのか……」
魔石とは文字通り、魔力を含んだ鉱物だ。
各国から様々な種類のものが産出されるが、魔導書に記されていた魔石はどれも見覚えがあるものだった。
「それに主要素材はシルリル鉱石にアーライ鉱石か」
「主さま、知っているのですか?」
「どれも覚えがある。旅をしていた時、俺はパーティーの補給係でもあったから。旅で使う道具に必要だったりして、何度も触ったり加工した経験があるんだ」
まさかあの旅の経験がこんなところで活かされるとはと思いつつ、創造魔法を起動。
シルリル鉱石の魔術的特性や構造情報を思い浮かべながら、魔法陣を展開する。
すると俺の魔力と引き換えに、目の前にシルリル鉱石がどさっと現れた。
「よし、こんなもんだな」
「へぇ、こんな鉱物まで作れるの。神代の魔法って本当に便利ね」
「それについては同感だよ。さて、次にアーライ鉱石も作ろう」
俺はそれから魔導書の記述にあった鉱石を作り、それらを魔術で繋ぎ合わせて魔道具にしていった。
どうも魔導書によれば、竜避けの結界はこれらの魔石を繋ぎ合わせて作るものらしい。
それとパーティーのサポート役だった頃は魔術師として薬品や物資を調合した経験もあるので、レシピさえあれば創造魔法を使わなくとも目的の魔道具は十分作れた。
そうやって魔石を魔術で繋いで魔道具にしていると、オラリスが関心したような声を出した。
「主さまは器用ですね。これはお料理の腕もよいかもしれません」
「それなら今度オラリスに教えてもらおうかな。時間はたっぷりあるし」
「はい、お任せあれです!」
そんなふうに雑談をしているうちに、いつの間にか竜避けの結界を張る魔道具がいくつも完成していた。
後はこの魔道具に魔力を流して起動すればいいと、魔導書にはあったが……。
「ひゃうっ!? な、何よこれ!? 肌がぞわぞわするぅ……!?」
カナメが変な声を出したので、俺は魔道具の機能をすぐに停止させた。
「悪かった、そんなに嫌な感じだったか?」
「体中ぞわぞわしたわよ!? でも、縄張りの周囲にこれで結界を張れば確かに他の竜は寄ってこなさそうね……」
となれば、カナメに影響がない距離を取って縄張りの周囲を結界で囲めばいいと。
それをカナメに説明すると、カナメも「それなら構わないわ」と言ってくれた。
ただし「絶対に近くで使わないで、使ったら修行に倍付き合ってもらうからっ」と涙目で念押しされた。
その後、俺はカナメから縄張りの広さを聞きながら結界を張る魔道具を作り続けた。
そうして俺の魔力が空になる頃、ようやく魔道具が必要な数完成した。
「でも一個で数キロはカバーできそうな魔道具が五十個以上って……」
この魔道具でカナメの縄張りを囲って結界を張るとは言え、カナメの縄張りはどれほど広大なのか。
流石はドラゴン、他の魔物とは縄張りの範囲も桁違いらしかった。




