11話 新たな書庫
再び神殿へやってきた俺たちは、オラリスに連れられ書庫の中へ入って行った。
それからずらりと並んだ本棚を見て、カナメは目を丸くしていた。
「へえ。案外綺麗に魔導書が収まっているのね。神殿の見た目から、もっとぼろっちい場所だと思っていたわ」
「むぅ、失礼な方ですね。私を創造した神々の書庫であり、今は主さまの書庫です。整理整頓やお掃除くらい、きっちりこなしていますとも」
むくれたオラリスに、カナメは苦笑していた。
「そう怒らないでよ。それでルドー、お目当ての本はあった?」
「いや、今探しているところだ」
本棚にある魔導書の背表紙を見つつ、前に見た時に結界に関して記されていた魔導書をかき集めていく。
書庫を回って四冊ほど手に取ったところで、オラリスが首を傾げた。
「あらっ。結界について、もっと詳細に載っていたものが他にあったような……?」
「ん、そうなのか?」
先日魔導書を一通り見た限りだと、結界についてならこの辺りが妥当に思えたが。
「はい。私は管理者として、この書庫内の魔導書について一通り頭に入っている身ですから。数千年の眠りで多少忘却していたとしても、すっかり頭から抜けると言うことはありません。となれば……」
オラリスは書庫の一角、本棚のない壁際に歩いていった。
それから壁に触れ、小声で何か喋り出した。
「ルドー、オラリスはなんて言っているのかしら? よく聞き取れないけど、いつも話している言葉じゃないわよね?」
「俺の【読解術】スキルが発動しているし、多分神代の言語だと思う」
ちなみに普段話している言葉とは、この辺境があるデルシア王国の王国語である。
俺もオラリスもこの辺り出身のカナメに合わせ、普段は王国語を話している。
それから、オラリスが何かを呟いて少し。
「……ん?」
書庫の壁がガコン! と音を立てて左右に開いた。
その先に、地下へと続く階段が現れた。
「隠し通路、こんなものまであったのか」
「この先が次の書庫になります。実はこういった魔導書の収められている部屋はいくつもあり、必要に応じて私が開くよう神々から仰せつかっているのです」
つまり俺が最初に開いたこの書庫は、全体の一角に過ぎなかったと。
それから俺たちはカナメの灯した炎で明かりを確保しながら、階段を下っていった。
そして次の書庫へ足を踏み入れると……
「凄い、地下にこんなに広い空間が……!」
カナメの言ったように、地下の書庫は元いた場所以上に広々としていた。
その上、本棚の数も桁違いだ。
全部読むのに一体何日かかるのか、そんな風に思えるほどだった。
「しかも灯りがある、あれも魔道具か」
流石に神代の魔道具なだけあって、部屋は地上のように明るかった。
「では主さま、結界に関する魔導書を探しましょう。恐らくはより詳細に記載されたものが、ここにあったはずです」
「ああ。こんなに魔導書があれば、状況に応じたものが手に入るだろうな」
俺は本好きなのもあって、すぐに新たな書庫の中を回り出した。
そうしていくつかそれらしき本を見つけ、手に取っていった。




