10話 ドラゴン対策
「他のドラゴンが現れたのですか。うーん、それは困りましたね……」
先ほどの顛末をオラリスに話したところ。
オラリスはフライパンで肉を焼きつつ、困り顔でそう言った。
ジュウジュウと脂の弾ける音がして、香ばしい匂いがする。
「ああ。奴がまた飛んできたらどうしようかって感じなんだが……」
「ううん、あいつもしばらく来ないんじゃないかしら」
あっけらかんと言い放ったカナメに、俺は「どうして分かるんだ?」と聞いた。
「ドラゴンは基本プライドが高いから。リベンジしようにも、次は確実に勝てるように鍛えてくるはずよ。あたしみたいに修行を頼んだりする方が例外ね」
なるほど、それならしばらくは問題なしと。
「でもいずれまた来るなら対策は必要だよな。それをどうするかについては……」
腕を組んで唸っていると、オラリスが閃いたようにポンと両手を叩いた。
「だったら、カナメさんの縄張り周辺に結界を張ってしまうのはいかがでしょうか?」
「結界?」
聞き返すと、オラリスは肉を皿に盛りつけながら答えた。
「はい。神代の時代、神々の敵は強い力を持つドラゴンくらいでしたし。だから神々も外からドラゴンが入れないようにするドラゴン避けの結界を開発していたのです。恐らく、その方法も詳細に魔導書に書かれているかと」
「だったらそれを見返しに、昼食を食べたらまた書庫に行こうか。俺も魔導書は一度ざっと読んだくらいだし、抜けがあったらまずいから。それに創造魔法の使い方も、改めて何か発見があるかもしれない」
それにこの辺境をより住みやすくするなら、こうやって侵入者対策ももっと考えておくべきだろう。
各地に勢力を広げつつある魔王軍の魔の手も、いつ伸びてくるか分かったものじゃないし。
それから俺たちは一旦話を切り上げ、昼食にした。
よく下処理された獣は臭みがなく、それどころか相当な旨味があった。
調味料を組み合わせたタレの味付けも、甘味や塩加減がほどよく、いくらでも食べられそうだった。
久しぶりの美味い肉料理を食べ、俺たちは大満足だった。




