最初の影の花畑
気が付くと、辺りは暗くなっており、吹き荒れる風はその花びらを宙に浮かせた。
辺り一面は見たこともない暗い花が月明かりに照らされている。
見たこともない景色に、なんの言葉も出なかった。
気が付くと、目の前に白黒の仮面被った何者かが立っていた。
その者は少年に語りかける。
「君に力の半分を与えよう」そう言うと、より一層風が激しくなり、舞った花びらが仮面の者の姿を隠した。
風がおさまると、いつの間にか仮面の者は目の前に姿を現した。
すると、仮面の者は少年の胸に手を突き刺した。
当然のように少年は痛みにもがき苦しんだ。
「君に力の半分の影を与えた」
少年は苦しみながらも仮面の者の方に視線を向けると、仮面の色に黒が無くなっているのに気付く。
「これで陰の君と、陽の僕が生まれた」
少年の胸の痛みは徐々に消え、突き刺された胸からは黒い血が、流れ出てきた。
「光はもたらし、影は消し去る」
仮面の者は少年から離れてこう言った。
「私は光。私が君に力をもたらそう。さぁ、立て!私が君に力を与えよう!」
少年は訳がわからないまま体を持ち上げた。
「君が影の力を解放するまで、私は君を殴り続ける。」と言って、光の者は少年に向かった。