陰りの花
影の王への挑戦者は、殺し合いの場所に向かった。
道中、同じ影の住民達は王の元へと向かう挑戦者を励ましの言葉などを掛けた。
挑戦者はそれに見向きしなかったが。
とうとう挑戦者は決戦の場に着いた。
前には、見たものを全て蹂躙させる影の王が立っている。
挑戦者は影の能力を使い、その身に影の衣を纏った。
そして、王に対して構えた。
最後に王は言った。
「お前は強いか?」と笑みを浮かべて。
挑戦者は、石を手に持ち、そして上に投げた。
投げた石は暗くて見えなくなった。
落ちてき瞬間が、戦いの火蓋が切って落とされる時。
………
………
………
………コンッ
両者共々相手の方に突っ込み、攻撃を仕掛けた。
朝目覚めると、毎回家で育てている花を何故か見てしまう。
特に理由は無いのに。
階段を下りて一階に行くと、母親と妹が食事を取っていた。
妹は随分と豪華な朝食を食べていた。
「僕のご飯は?」と聞くと
「あー、食パン一枚ね」と皿の上にものせずパンを僕の前に置いた。
学校に行くと毎回いじめを受けていた。
クラスの皆がすごく酷いいじめをしてきたんだ。
いろんな所を殴られたり、大事なものを捨てたりされた。
5年後
16歳になった。
今の俺も5年前と対して変わらなかった。
親からは見下され、学校ではいじめを受ける。
僕は自分がとても嫌いだ。
弱い自分がとっても。
誰かに強くなる方法を教えて欲しい。
そう思っても、誰かに聞く勇気すらなかった。
そう思いながら学校から帰って行くと、道中の路地裏がなぜか気になった。
そこは陽の光が当たらず影が出来ている。
不思議な景色だとおもむろに近づくと、水溜まりの中に、一本の花が咲いていた。
色は影のせいで見えなかった。
見えるところまで近づこうとする。
いくら近づいても、はっきりした色は見えない。
その花を手に持とうとした時、どこかしらから話しかけてくる声が聞こえてきた。
「おい、強くなりたいか?」少し笑い気味で。
「だ、誰?」と言っても
「強くなりたいか?」としか言って来なかった。
僕は覚悟を決めて、「強くなりたい!」と答えた。
その声は「花に触れ」とまた笑い気味で言ってきた。
僕はその花に、おそるおそる触れてみた。
………
………
何も起こらなかった。
もっと超能力的なものが手に入ると思ったが、何も起きなかった。
まぁ、そんなことはやはり存在しないのかとがっかりしていた。
僕は日陰になっている壁に持たれかけようとした瞬間。
そこには何もなかったかのように、体が倒れていく。
僕はこけただけだなと思って立とうとした瞬間、周りは見覚えの無い景色ですでに辺りは夜になっていた。
「え?何が起こった!?」と驚くとまたさっきの笑い気味の声が聞こえたが、この声ははっきりと笑っていた。
「ようこそ!影の世界へ!」