始まりの日
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2058年、世界はある技術により大きく進歩した。その名もVRP
深い意味は知らないが仮想現実歩行者と言う意味らしい。
元々は医療や教育などのために生み出されたらしいのだが、その技術を見て見ぬふりをするゲーム会社など存在しないだろう。
VRPが開発されてから僅か3年で大社会現象と呼ばれるゲーム第1作目、different worldが発売した。
大社会現象と呼ばれるだけあり、人気は5年経った今でも続いている。
どうして人気が衰えないのだろうか?不思議で仕方がない。と言っても俺もディファレントワールドに夢中なゲーム廃人なんだがな…
俺は機械に腰を掛けヘッドギアを装着する。生命活動に必要な電気信号とそうでない信号を判断し切断していく。
切断された信号は体を動かすために使う新号である。首から下は心臓にしか電気信号が行かないと言うんだから驚きだ。
元々医療に使われていたということもあり、後遺症の心配も一切ない。
トイレはどうするんだろうか?と疑問に思う人も少なくなかったようだが、その点に関しても問題ないらしい。
脳に一定の信号を送ることによって、一種の走馬灯のような状態にする。それによってVRP内と現実の時間の流れる速さは、300倍も違ってくるという。
要するにトイレを先に行っていれば大丈夫って事だ。尿意やら、触れた触れられたの感覚はあるらしいので、心配はないみたいだが。
《ディファレントワールドへログインを行います》
機械的な声が聞こえたかと思うと次の瞬間、真っ暗だった世界がメインメニューに切り替わった。
このゲームのコンセプトはディファレントワールド、つまり異世界だ。
自分自身が異世界の住人になり、モンスター等の敵を倒してレベルを上げていくありがちなロールプレイングゲーム。
しかし、それだけだったなら大社会現象など起きなかったであろう。
何故そこまで人気が出たかというと、このゲームは現実とほとんど変わらない自由性があったのだ。
鍛冶や商売はもちろんの事、料理や農業等の趣味も多数存在しており、そのどれもが現実なのかと疑うほどにリアルなのだ。
鍛冶の場合熱する温度やタイミング一つで耐久等に影響が出る。料理は味付けや焼き加減一つで全く違った物になる。
武器1つ何千万〜何億という値で取り引きされる鍛冶師プレイヤーや、通常の数倍もの効果を発揮するポーションを作り出す者も居たようだ。
《プレイヤー情報を読み込み中です。しばらくお待ちください》
《プレイヤー名シルフィ》
何故女みたいな名前なのかって?ほっとけ、ネカマだからだよ。
《信号を取得……ディファレントワールドへようこそ》
「さてと、今日もストーリーをクリアしていくかな」
ストーリーとマルチプレイに別れているのだが、経験値やプレイヤー情報等がどちらも変わらないため、殆どのプレイヤーはマルチプレイにのめり込んでいる。
俺はかなりの物好きなだけだからな?コミュ障な訳じゃないんだからな?
サービスがスタートしてから一年間が経過したが、ストーリーをクリアしているプレイヤーが一人もいなかった。
濃厚なストーリー、高難易度のため、半端な気持ちじゃクリア出来ない。
そして今日遂に! 一人のストーリークリア者が現れた。そのプレイヤーの名はシルフィ! 、そうだよこの俺だよ!
誰一人としてクリアしていなかったから興味を持った?違うんだな~それが。最初からストーリークリアを狙ってゲームを行っていたのだよ。
テイ○ズシリーズみたいに、強くてニューゲームが出来るのではないかと踏んでストーリーを行ったのだよ。
結果は予想通り特典を貰うことが出来た。
《クリアおめでとうございます。初回クリア特典……獲得しました》
初回クリア特典との事だから、俺だけが、俺TUEEEEが出来ちゃうって事だな !
クリアした際にどれだけお金があったのか、モンスターを倒したか等、その他項目でポイントが溜まっていき、そのポイントで何の特典を手に入れるかが決まっていくらしい。
マップの隅々まで全て調査し見つけた敵は片っ端から倒していったためポイントは100をオーバーしていた。
色々な項目がある中俺が選んだのはこんな感じだ。
・取得経験値3倍 25P
・アイテム&装備引き継ぎ 20P
・ギル引き継ぎ 20P
・獲得ギル3倍 25P
・称号引き継ぎ 20P
・言語取得 5P
・記憶引き継ぎ 1P
経験値3倍は言うまでもないだろう。
ギル引き継ぎとは、この世界の通貨であるギルを引き継ぐ事が出来ると言うことだ。
簡単に言うと最初からお金持ちになれるわけだ。
称号引き継ぎは、ステータスを向上させてくれる称号という物を引き継いでくれるとのこと。
記憶引き継ぎに関してはポイントが余っていたし取るか程度の考えでしかなかった。
《こちらの特典で異世界へ転送します。宜しいでしょうか?》
なんか喋り方が流暢だったような気がしたが……まぁ良っか、YESだ。
その瞬間目の前が真っ暗になった。
ゲームの演出なので気にする事はないのだが。
少しずつ感覚が戻ってくると同時に自分が仰向けになっている事に気づいた。しかし、それはおかしな事だった。
ゲームが始まる際には、始まりの街の前にある原っぱで直立しているのだから。
(目が見えない……つか眩しすぎる! ゲームの照明設定どうなってんだ! ……ん?)
耳を澄ますと何やら周りが騒がしい事に気がついた。
眩しいのを我慢し、目を開くとそこにはブロンズ髪の外国人男性と、白衣を着た金髪の女性が立っていた。
「良くやった……それから、遅くなってすまなかったな」
男はそう言うと俺の後ろに手を出した。
「うぎゃぁぁぁぁあ! ぎゃぁぁ! あうぅぅ! 」
(ひゃあぁぁぁぁ! 来ないで! 俺を誘拐する気なのか !?)
叫ぼうとしたはずなのだか聞こえてくるのはギャン泣きした子供の声だけだった。
(え……まさか俺……異世界転生しちゃった感じ……?)
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