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共和国の対策会議(前半)

「以上が、『水生帝国(ヤイシュ・マ・ルマギ)』潜入中のサドからの報告になります。」


高めの声が、少し誇らしげに報告を終えた。

目の前のアマツバメ族であるリシャットが、サドの友人であることを、

アラザフィラは、ワジャから聞いて知っている。

何でもサドとは幼鳥院の同期で、

その飛行速度を競ったという迅速(じんそく)果敢(かかん)な者らしい。

ワジャに向けられた報告を、少し下がった所から聞いていたアラザフィラは、

リシャットの、友人の手柄を喜ぶ姿勢を好ましく思った。




アラザフィラを始めとするワジャ派は、共和国内ではまだまだ少数派である。

そのため、多数派であるタカ族やワシ族といった“大羽の種族”が、

統領の座を奪い返す機会を耽々(たんたん)と狙っているにも(かかわ)らず、

対抗するための頭数が少ない。

ワジャ派の大きな弱点である。

しかし、少数であるからこそ結束は強い。

特に、“大羽の種族”から政権を奪い取る前からアラザフィラに付いて来てくれた者たちは、今も数の力と戦いながら職責を全うしてくれている。

そしてワジャには、統領になると同時にアラザフィラから引き継いだ者もいるが、

彼自身を(した)って支えてきた者もいる。

数ある部隊の中で、烈風部隊に所属するサド・アビドもその一匹だ。


数年前まで、チュウヒ族の武勇はワジャという個体でしか語れないと、

(あざけ)られていた。

その評価を翻し、(そし)りを見事に払いのけてみせたのが、彼女だ。

チュウヒ族だけで編成した部隊は逆風を切って進み、

共和国軍内におけるチュウヒ族の立場を押し上げた。

彼女の率いる部隊は、チュウヒ隊と呼ばれ、今や若鳥の憧れとなっている。

サドのおかげで、小柄な“風切り羽の種族”の入隊数が上がったと言っても過言ではない。




「・・・帝国は、本気で獣勇国を支援しているのか?

材木と果実の輸出を強化することは理解できるが・・・、肥料とは。」

「その内容によるでしょう。リシャット、詳しい内容は分かりますか?」

「はい、粉末と固形物です。原料は廃棄物だと耳にしました。

試料はすでに技術研究院に送ってあります。」

「隠語という訳ではない、か。」

「ただ、処理施設からは灰恵国に向かう荷物も確認しています。

あの国も獣勇国と関わりが深いので、討伐の宣言以降、物資の輸送が増加しています。灰恵国を経由して、帝国から獣勇国に送られている可能性もあると思われますが、調査を続行しますか?」

「軍を預かっている以上、そういう類の情報は集めておくべきだろうな。」

「共和国にとっても、他国との共同作戦は初めてです。獣勇国内部の事情が掴みにくい現状では、討伐中に、作戦にない行動を取られることも考慮しておくべきでしょう。」

「首脳陣には伏せられていた、という可能性か。リシャット、目は足りるか?」

「問題ありません。獣勇国内の砂鳴川の沿岸では、今のところ大きな動きはありませんので、彼には灰恵国に重心を置くよう伝えます。」

「分かった。伝令には部下を使うように。お前の出番は、獣勇国の会議で作戦を聞いた後になるだろうからな。2日間くらい、ゆっくり休んでいいぞ。」

「了解しました。ありがとうございます。」




クスリと悪戯っ子のように笑ったリシャットを見送りながら、

アラザフィラは技術研究院を訪れる予定を立てていた。


(・・・あそこは、居心地は良いんだが、あまり行きたくない所ではあるな。)


しかし、訪ねなければ聞けるものも聞けない。

いつも含みのある笑みでアラザフィラを迎える研究員の顔が浮かぶ。



「兄ぃ。技研に行くならついでに・・・」

「お前も来い。ルフと話すのは俺がしてやるから、シュークを呼べ。

アレがいないと話が進まんぞ。」

「・・・だよなぁ。」



試料が渡っているなら、ルフは嬉々としてその分析を進めていることだろう。


送り出している研究員から日々、届けられる情報の内、

山脈の王(マレク・ジバル)』による精神汚染についてと、

所々で耳にする獣勇国の新兵器とやらについての見解も、彼らに求めたい。


専門的視点を取り入れるための諮問(しもん)部、国家間交渉を担う外務部、

軍の伝令を担っている颯声(さっせい)隊、

兵站(へいたん)を担い、神殿と物資の運搬について調整中の追風(おいかぜ)隊、

と、同席させることが出来そうな面々も挙げていく。



「65日には主要国会議がある。それまでに整理するぞ。」

「出来る範囲で予測も立てないと、だもんな。」



ワジャが秘書を呼んで、何回目かの『山脈の王(マレク・ジバル)』討伐対策会議の調整を行った。









「機構学は専門じゃないので、裏で聞いてほしいですね。」



裏手の研究所にいる者に話を聞けという意味だ。

ルフに、新兵器への興味はないらしい。

微笑みの仮面の向こうから、早く研究に戻らせろという言外の圧力を感じる。



「先輩の専門分野の話もあるそうですし、付き合って下さいよ。

ね、お願いします。」



ワジャの同期であるシュークが言葉を重ねてルフを(なだ)める。

これが出来るのは、ルフを大先輩と(あが)めている彼だけだ。


ルフは、アラザフィラにとっても先輩に当たる世代のトラフズク族で、

共和国と都市国家群との間に太い繋がりを作るという、

現ワジャ派にとって大きな功績を残した研究員だ。

技術研究院の理事の席にいるが、生物学の特定の分野の研究に没頭しがちで、

実験室の使用を優先してもらえるからという理由だけでその席にいることは、

有名な話である。


コミミズク族のシュークもシュークで、奇異な一面を持っている。

彼の専攻は植物学で、種子の専門家もとい愛好家だ。

そのコレクションには、共和国軍の者まで巻き込んでいるらしい。

類を(もっ)て集まるとはこのことだろう。



「で、あと何匹来るんですか?」



機嫌を取るために用意した爪の先に着ける筆記具を試しながら、ルフが聞いてきた。

その流し目の先でワジャがたじろぐ。

一国の頭が(おび)えるな、と普段なら叱る所だが、これは相手が悪すぎる。

他の者がいれば取り(つくろ)うことも出来ているので今は甘えさせてやろう、

と考えるくらい、ルフが過去に行った所業には目を覆うものが多かった。


アラザフィラは頭の中で参加者を数える。

現在部屋にいるのは、統領府のワジャと自分、秘書が少し。

そして、教育技術庁の技術研究院に所属しているルフとシュークだ。


これから来る者は、同じく技研所属で機構学専攻のラリア。

彼女からは、獣勇国の新兵器とやらについての知見を求めようと思っている。


外務庁国家交渉部のジャワ、貿易交渉部のハフナ。

彼らには、各国の動きについての情報をすり合わせて、

共和国内部で共通認識を持って動くための報告を任せたい。


共和国軍の司令部代表として暁風部隊隊長アジュニ、

伝令部隊である颯声隊の隊長ラスミン、兵站部隊である追風隊の隊長カディア。

軍部は、今回の作戦で前線に立ってもらうことになる。

細かい情報が生死を分ける材料であるため、状況をその耳で聞いて判断して欲しい。



この10名による会議である。

討伐対策会議に名を連ねている者の内、今回の話に深く関わる者のみを選んだ。

ハフナとアジュニの名前を聞いて、ルフがうんざりとした目を向けてきた。


「どうして彼らを入れたんですか、面倒臭い。」

「仲が悪かろうが言い合いになろうが、入れておかないと不味いからだ。」

「・・・長引くようでしたら、出て行きますからね。」

「分かっている。」


研究狂いはさっさと解放すべきだ。

ルフの意見が必要な議題を初めに出して、勝手に出て行く前に終わらせてしまおうと、アラザフィラは決めた。





翌日。

風の王(マレク・リヤフ)』の背鰭(せびれ)を覆うように設けられた数多の研究院の一室で、

会議が始まろうとしていた。


出席者が到着した順に、統領付きの秘書に案内されている。

統領ワジャと宰相アラザフィラを中心に、コの字型に配置された席は、

右列に軍の関係者、左列に行政の関係者の並びになっている。

続々と顔が揃う中、先に来ていたアジュニと、入って来たハフナの間に、

一瞬、火花が散る。が、慣れた秘書が身体を張って視線を(さえぎ)ることに成功した。

ちなみに、議論が白熱しがちな2匹の席は、

少しでも距離を取らせるために対角に置いている。





「・・・揃ったな。では、始めよう。」



統領ワジャが宣言し、会議が始まる。



「まずは、獣勇国と各国が行っている物資の往来についてだ。」



進行もワジャだ。

秘書や他の参加者では、議論という名の喧嘩を止められない場面が出ることを想定しているためである。


参加者の前に、他国に派遣している颯声(さつせい)隊などから報告された目録が並べられる。



「なるほど。そういうことですか。」



口火を切ったのはルフだ。

やはり、自分に関係する項目のみを探していたのだろう。



「帝国から獣勇国に渡っている肥料と、灰恵国を経由しているであろう廃棄物。

私を呼んだ理由は、これらの使い道について聞きたかったからですね。」



アラザフィラは頷いて話を促した。

水を向ける前に気付いてくれて何よりだ。



「以前、私が提供した研究は、排泄物を魚類の飼料に加工するというものでしたが、これも恐らく何かに加工するための物でしょう。

ここで、灰恵国で行っている加工というところに着目した場合、

何故、灰恵国でなければならないのかを考える必要があります。

帝国が国内で行えないために、灰恵国に持って行っているのでしょう。

帝国では効率が悪く、彼の国では容易い加工といえば、・・・加熱処理でしょうね。

金属加工や焼き物の工房が揃っているのですから、

そのための施設も作りやすいでしょう。きっと。

獣勇国に直送されている物と灰恵国を経由している物の内容は、

まだ調査中とのことですが、帝国の産業から考えると絞り込めるでしょう。

工業製品においては、薬品と染色以外の分野で、赤河沿いの地帯に置いて行かれていますし、大量に生産している物は材木か、木に()る物ばかりです。

まあ、帝国でしか産出できないとも言えますが。

そこからよく出る廃棄物を挙げるなら、

草木に、鱗に骨、骨と皮と甲羅、骨と羽と卵殻、骨と爪と牙と毛。

・・・まず思い付く生物関係の物はこれくらいですか。」


「ほ、骨ばっかりですね。でも、分かる気がします。」



兵站部隊には、食料の保管と共に、食べた後の廃棄物の処理業務も入っている。

体感したことがあるのだろう追風隊のカディアが頷いた。

ペリカン族特有の喉袋が、頭と共に揺れる。



「今は、骨はどうでもいいです。

取引に使う物は、分別のしやすさが重要なのです。」

「そ、そうですか。すみません・・・。」



ピシャっとあしらわれてしまった姿が何だか哀れだが、ルフの講義は続く。



「この中で帝国が最も売りに出せるのは木でしょう。

しかし、『(マレク)』に使うという新兵器とやらが大型の物なら、

材木として出した方が、価値が高いと思われます。

乾燥は輸送中もしくは獣勇国内で行うでしょうし、

そうなれば、木屑の発生も少ないと考えられます。

そして、扱いやすさも含めて選択するなら、消去法的に卵殻ですね。

高温で加熱する環境が得られるなら、アレは・・・灰にできます。」

「ハイ?」

「灰です。」

「灰なんぞ、どこででも取れるではないか。」

「高温下でなければ取り出せない物があるのですよ。」

「何だそれは?」

「灰にも色々と種類があるのです。

その中の一つで、様々な用途に使われる代物ですよ。

勿論(もちろん)、薬品の精製にも関係しています。

薬の研究は帝国が頭一つ抜けていますからね。

獣勇国から要望を受けて、生産を強化したのでしょう。きっと。」

「・・・作られる物として、何が考えられる?」



アラザフィラの質問に、ルフは再び目を目録に落とした。



「一目瞭然ですよ。王国から流れている物があるでしょう?」

「ん~、貝と海藻?食材かと思ったのだけれど?」



トントンと爪で示すルフの足元を見て、ハフナが言う。

首の傾きに合わせて目元の羽毛がフワリと揺れた。

何かを訴えたいときの彼女の癖だ。

今回は交渉の場ではないので、恐らくアジュニに対する牽制(けんせい)だろう。

面倒なことだ、とアラザフィラは思った。



「これも灰にする、と?」

「そうです。

それらと水で、急激に熱を発生させることが出来ますし、

徐々にではありますが、生体へ痛手を与えることも出来ます。

薬師(くすし)の派遣は獣王国で最終的な調合を行うため、とも考えられますね。」

「なるほど、理解しましたわ。面白いですわね。

その、熱を発生させるという手法なら動力にも応用が出来そうだわ。」



冗談で言ったのであろう「灰にする」という言葉を肯定されて、

国家交渉部のトビ族のジャワが瞬膜をパチリと(またた)かせた。

逆に、自分の専門分野の話が出て来たからだろう、

カラス族のラリアが前のめりに参加してきた。



「今のところ、共和国(うち)の動力は風力だけという現状、

自分で動力を作れるようになるなら、これほど画期的なことはないわ。」

「しかし私としては、颯声隊から提供を受けた肥料(・・)の方が興味深い。

それぞれの種族が暮らしやすい場所に住居を構えているなら、

場所ごとに採取できる排泄物が違ってくるはずです。

性質で分けるなら大きく2つですね。

帝国の構成から考えて、最も多いのが鳥類と爬虫類の物。

次に、両生類と哺乳類の物でしょうが、回収する効率は圧倒的にこちらが良いので、量的には後者が多くなるでしょうね。」


「その熱を発生させる薬品について、教えてもらっていいかしら?

地理的に川も風も火山もある神殿には、この面で先を行かれているし、

悔しいけれど、私の開発する機構だけじゃ安定供給が出来ないのよね。」

「植物の栽培における肥料の効果は、特別あるという報告はありませんし、

使い方は別にあると考えるべきですね。家畜の飼料としての価値はあるでしょうが、今の獣勇国は『(マレク)』方面に力を注ぎたいはずです。

ならば、これも何らかの化合物に使用するのでしょう。」



お互いに話したい気持ちが止められないようで、噛み合っていない。



「待て待て。2匹同時に話されては、理解が追い付かん。

つまり、帝国から流れている肥料も、王国が出している海産物も、

(マレク)』に対する兵器の材料として加工している可能性が高いんだな?

ならば、他に兵器に転用できそうな物も挙げてくれ。」



ワジャが早速、軌道修正を求めた。



「・・・灰恵国なら、木を炭にも出来よう。

さすれば、神殿から出よる硫黄と、都市国家の硝石にも意味がある。火薬だな。」



重々しい口調で口を開いたのはアジュニだ。

軍の最高指揮者は統領のワジャだが、

現地で実質的に指揮を取るのは、このイヌワシ族になる。

彼は“大羽の種族”に属しているが、今のところ、ワジャ政権を否定する言動はない。

しかし、有事の際に、どのような態度に出るかは判らない。

アラザフィラが警戒している者の1匹だ。



「あら、都市国家の品目を見たのなら、薬草にも着目すべきではなくて?」



再び、ハフナの羽毛が揺れる。



「・・・薬草という(くく)りでは、兵器と断ずることは出来ん。」

「偵察は颯声(さつせい)隊の役割だと思うのですけれど。

この品目の内訳はどこまで把握していらっしゃるのかしら?」

「確か、エルソム殿は都市国家へ(おもむ)いておられましたね。

外務庁を通して動いておられるのなら、その支援は貴女(あなた)方の役目では?」



始まりかけた応酬(おうしゅう)に参加したのは、ツバメ族のラスミンだ。

長を務める颯声隊の名を挙げられては、黙っている訳にはいかなかったのだろう。

それに、アジュニとラスミンは幼鳥院の同期でもある。

“大羽の種族”を支持する者は、“大羽の種族”だけではないのだ。



(とが)った物言いは止めろ。ここは、そういう情報をすり合わせるための場だ。」



大きく溜め息を吐いてワジャが(あいだ)に入る。

良い間合いだった、と内心で褒めておく。

争いの芽は早めに摘んでおくに限る。

チラリとルフを(うかが)えば、まだ大人しく資料に目を落としてくれていた。



「えー、では、私からもよろしいでしょうか?」



勇気ある一声を出してくれたのは、指名され返された外務庁のジャワだ。

エルソムに陶冶(とうや)されたトビ族で、

師の無茶振りに泣かされていた場面を何度か目にしている。

そのせいか、アラザフィラは未だにエルソムを見ると構えてしまうのだ。



「これまで無名に近かった『知と雨の民(アムタ・マーリファ)』という者達が、

獣勇国と本格的に取引を始めたようです。

滄海の王国アルバハル・アズラク・アルバラドゥ』と果ての山脈の間にある森の中に住む民だそうです。

取引内容が果実なのですが、内容がヤシの実であることが判明しました。

家畜の飼料として仕入れているとは思うのですが、他の使い道があるならば、

是非ともお伺いしたく。」

「えーっと、どうしてそれが気になったのでしょうか?」

「取引量よ。餌にするには少ないのですけれど、都市で消費するにしては多いのですわ。中に水が溜まっていて、持ち運びに重宝するらしいのですけれど、

水袋として出回っている訳ではなさそうなのです。

行軍用に貯蔵していることも考えられるのですけれど、

嵩張(かさば)るようなので、その可能性は低いとみておりますわ。」

「・・・中身を食べる種族がいない訳ではありませんが、

勇士(マハリブ・シュジョア)』の中では少数派でしょうね。ですが、思い当たることがあります。

ラリア博士、帝国から流れている物の中に遺物があったのですが、

物を潰して液体を絞り出すようなことが出来る道具は、存在しますか?」


「・・・あるわ!」



シュークの問いかけに対して、顔を輝かせて答えた機構学の専門家に、

視線が注がれる。



「果汁を絞るための物なら、遺物から再現されて出回っているわね。

けれど、細かくて硬い物は小さな器具でしか絞れないと思うわ。

ねえ、ヤシの実って小さいの?」

「いえ、大きいですよ。さて、食べる食べないはともかく、

そのヤシの実がアブラヤシだった場合、果肉からは油が取れます。

博士が通われている作業場にも、ある物ですよ。」

「油・・・。」



アラザフィラも工業に油を使う場面を見たことがある。

物と物の間に(そそ)ぐと滑りが良くなり、動力を無駄なく使えるのだと、

数年前に見学した先で説明を受けた記憶が(よみがえ)った。



「なるほど。これも新兵器に関係しているのかもしれん、か。」



何が何に使われるのか、予想もしなかった回答が得られた。

やはり、職種を越えて話し合うことは重要だ。



「さて、ルフ。先程の肥料の件だが、熱や生体への直接的な痛手以外に、

考え()る使い道はあるか?」



制止してから止まっていたルフの意見を、再び求めるワジャ。

話が横道に逸れないように、なるべく早くルフの出番が終わるように、

調整に苦心しているのが分かる。



「ああ、そうでしたね。帝国が廃棄物の分別をキッチリ出来るようなら、金属の錆止めや、さっきアジュニ殿が仰った火薬の材料が作れなくもありません。生成するのに時間がかかるので、今から取り組むのは現実的ではないでしょうが。」

「ここでも火薬か。」

「まあ、一番破壊力があって、手っ取り早い攻撃手段ですからね。

あればあるほど良いんじゃないですか?」

「獣勇国は、灰恵国と並んで金属加工に長けた国です。

(マレク)』との戦いは長期間に及ぶでしょうし、位置も果ての山脈の真ん中。

運び易くて威力のある攻撃手段として、生産は優先しているでしょうね。」



硝石の産出は少なく、生産できる火薬の量も硝石の量に影響される。

話の焦点は、その融通について移った。


技術研究院 “雲を棚引く” ルフッファル・サンビ(トラフズク族)

      “風への憧れ” シューク・レリーヒ(コミミズク族)

      “仕組みの解明” タウディーフ・ラリア(カラス族)

暁風部隊長 “帆翔する翼” アジュニハット・カビラト・リリハリ(イヌワシ族)

颯声隊長  “礼装” フスタン・ラスミン(ツバメ族)

追風隊長  “舵を取る足” カディア・マダファ(ペリカン族)

外務庁国家交渉部 “滞空” マハムル・ジャワ(トビ族)

   貿易交渉部 “房飾り” ザフラファト・ハフナ(アネハヅル族)


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