プロローグ この世界は金が全て
俺はどうやら死ぬようだ。 高校2年の夏、バイト帰りのことだった。
俺、仙道竜也は、コンビニのバイトが終わり帰路についたその時、 足元へ500円玉が落ちているの見つけてしまった。ラッキーと思いそれを拾おうと立ち止まった拍子に、歩道に突っ込んできたトラックに轢かれたようだ。
これなら完全に運転手の過失だろう。 それならば多額の慰謝料がうちに支払われる。 これで 、妹の入学費用に苦しむ母を楽にしてやれる。
あのクソ親父の元へ二人を残していくのは心残りだが、この事故によって得られる利益を考えると笑いがこみ上げて来る。
頭を強く打ったからか気持ちが悪い、全身が熱い。運転手のおっさんが降りてゆすってくる。よく見たら人だかりができてるようだ。
遠くにサイレンの音が聞こえてくる。誰かが救急車を呼んだんだろう。救急隊員が俺をゆするおっさんに怒鳴っているがうまく聞き取れない。 不思議と痛みは感じていない。 ただ身体が重い。
どうやら出血が多いらしく担架に乗せられる前に止血をしようとしているようだ。
不意に死の実感が現れる。 俺は死ぬのか…嫌だ死にたくない。画家を気取って働きもしないクソ親父を金持ちになって見返したかった。
意識が霞んでいく。死ぬ前はなんとなくわかるものなんだな。 俺はもう助からないんだ。
意識が途絶え、視界が暗くなる。 周りの声が雑音のように聞こえていて、 やがて 消えた。