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エピローグ・フラグメンツ Ⅷ 『理純智良・河瀬マノン』

 智良の目覚めは、たいていルームメイトである麻幌の一声で始まるのだが、平日でないときはそのルームメイトにも見放され、起き上がるまで秋晴れの暖気にくるまりながら、ひたすら惰眠をむさぼっていた。掛け毛布をきゅっと抱きしめ、薄い褐色のツインテールを今は背中まで流していた。大腿部がほとんど丸見えになってしまう寝間着用ミニワンピは、愉快な夢を見ていたのだろう、イチゴちゃんのおぱんつを隠すことを放棄してしまっている。おぱんつ丸出し娘として評判の彼女だが、寝顔自体は意外と可愛らしいものだ。


 もっとも、目覚めたばかりの顔はヒドいものだ。眠りの浅い瞬間につけ込んだかのように携帯端末の着信音が鳴り響き、眠たげに顔をしかめながら通知画面をのぞきこむ。


『おはよ、智良ちゃん。おぱんつ何色?』

「……………………」


 まるで変態ストーカーさんからの挨拶に、智良はコイツをフレンズにしたのはマズかったか……と本気で感じていた。基本、家族や友達との通話にしか使っていなかったが、マノンのススメによってコミュニケーションアプリに参加してみた。まだ使い慣れない状況であるが、灰色髪の友人によるからかいによって早くもウンザリしていたところだった。


 マノンから、続けてメッセージが送信される。


『まだ寝とるん? それとも怒ったん? ごめん。智良ちゃんのお楽しみをこうしてすげすげ聞いちゃアカンかったわな』


 そういう問題じゃない! と、智良が反射的に返信すると、すぐさま『おっ』と返事がきた。マノンのはじける笑顔が目に浮かぶようだ。


『智良ちゃん、朝ごはん食べた後にちょっと菊花の裏に寄ってくれへん? 大事な話があるんや』


 話があるならここですればいいじゃんか。ため息とともにそう返信すると、今度は画像が送られてきた。灰色髪で青い瞳のちんまい美少女の写真。メッセージの送信者の姿だ。


 画像にいる河瀬マノン嬢は和室を背景にし、表情をイーッとさせながら両手で大きな枕を持っていた。なぜかカバーに『NO』と刺繍されており、それが新しく就任した茶道部副部長の私物であることを智良は聞いたことがあった。用途はまったく見当がつかないが。


 親友に提案を無下に却下された智良は、やれやれという感じで『何時?』と送信した。その後、身なりを整え、髪を結わえていたため返信を確認するのが少し遅れたが、彼女はふてくされたようすはないようだった。少なくとも画面上では。


『うーん。姫ちゃんと清ちゃんの都合もあるからなぁ。とにかく、食べたあとにすぐ来たほうがとりあえず無難とちゃう?』


 寮の裏で密談をするにはなかなか豪華なメンバーである。それで本当に会話の内容を守られるかあやしいところではあるが、その点をいちいち突っ込んでもしょうがない。承諾の内容を送りつけると、今度は『YES』と縫い取られた枕を掲げた画像が返ってきた。カメラ写りのいいマノンの笑顔に、思わず微苦笑がこぼれそうになった智良であるが、その表情も、続けて送られてきた文面によってたちまち総崩れ状態になってしまった。


『せっかくだから、来るときは黒のきわどいおぱんてぃーでも付けといてや。楽しみに待っとるで~♪』


 やなこった! と実際に叫びながら高速で文字を送信すると、さらに早い勢いで『NO』の画像の返事がきた。三回連続で。しかも、すべてポーズが微妙に違っている。


 愛情あふれた先輩のメッセージに、ラッキースケベの少女はさっさと対話を打ち切って、食堂で朝食を済ませて、もう一つの寮へと向かうことにした。


 十月もほとんど終盤で、秋風がミニスカートとニーソックスの間の地肌に染みわたるようだ。ハロウィンを控えた週ということもあって、どの店もそのイベントにちなんだ商品を販売しており、学食でも、ちょうどカボチャのシチューが出たばかりである。


 マノンの親友である五行姫奏は、大企業の社長さんである父とともに毎年ハロウィンパーティを主宰しているそうである。それを教えてくれた御津清歌が「理純さんも一緒にどう?」と控えめに誘ってきたが、客としてではなく来賓の子供たちを喜ばせる運営側ということだから、どうにもめんどくささが先立って智良は辞退した。だが、こうして姫奏さまが直々に訪ねてくるということは、引き込むのをまだ諦めていないと、そういうわけだろう。懐かれる身もなかなかに大変だと、智良は内心肩を落とした。


 寮の裏側は誰かに見せるという類のものではないから、手入れも表側に比べておざなりだ。枯れ草が好き放題に伸びており、荒涼とした大地にひときわ眩しい存在がうごめいていた。


 先月、めでたく智良と親友関係に進展した河瀬マノン先輩であるが、ツインテールを揺らして現れた少女が彼女の姿に気づいた瞬間、わわ、とうろたえて、二、三歩ほどニーソックスに包まれた脚をよろめかせた。


 灰色髪の少女は後輩のように二本の足で立ってはいなかった。地面に膝と肘をつけ、携帯端末の写真機能か動画機能を使ってひたすら草の根に対してレンズを向けている。行動の奇っ怪さを智良は追及することはできなかった。マノンは伸びをする猫のように背筋をしならせ、小尻を浮き上がらせていて、しかもこのとき、彼女は裾に黒いレースのつけたモノトーンチェックのミニスカートを穿いていた。秋風も呆れ果てるほどのまくれっぷりで仏蘭西少女はスカートの中にある可憐なヒップをラッキースケベの後輩にしめした。


「ちょ、ちょっ、マノン、いったい何してんだよ……っ!」


 そのマノンは珍しくタイツを白から黒に変えており、小尻に包まれたちょっぴりオトナな純白のおぱんつを艶麗に透かしている。智良が赤面しながら視線を泳がせたのは、いま現在、目の前に飛び込んできた婀娜っぽい光景に平常心をやられただけではない。後夜祭、二人きりで明かりのついていないトイレの個室にいたときの出来事が尾を引いていたのである。


 智良の精神が出来損ないのタップダンスを踊っていると、マノンが背後を振り返った。ラッキースケベの少女に同じもので報復した先輩はなぜか不機嫌そうである。


「……遅かったやないの智良ちゃん。このまま待ちぼうけ食らわされたら、うち、カワイイお尻から風邪引くところやったんやで」

「じゃあ最初っからするなよ!」


 悲鳴のようにわめくと、顔だけこちらを向けたマノンは頬をピンクにさせながらも、からかうように笑っている。


「だって、うちのカワイイ親友がおぱんつさらしてコーフンしとるもんだから、どんな感じかうちもチョイ試してみたかってん。……正直なところ、うち智良ちゃんのこと見直したで。ド素人がこんなことをするもんなら、お尻から高熱を出してたちまう死んじまうところや」


 言葉は恥じらいを示しているものの、お尻と同様に美しいかたちをした太ももは、智良に対して誘うようなしなった動きをみせている。


「智良ちゃんの反応を見る限り、うちもなかなかに素質アリってとこかな。……ところで、智良ちゃん。ちょっとうちの前に来ーひん? さっきから草ばっかり見てて退屈なんや。ちょーっとくらいおめめを潤わせてくれたって別に構へんやろ?」

「大いに構うっての!」


 智良は自分のミニスカートを押さえた。普段はその中身を見せつけている側なのだが、こういうときにはへたれてしまうのが彼女に乙女心がわずかに残されていたという証左であろうか。


 マノンは平べったい姿勢のまま、まだ何かブツブツと言っている。


「なんやもう、せっかくうちが下から目線でお願いしてるってのに。智良ちゃんにめいっぱいサービスしようと思って、わざわざ黒タイ買って準備してたんやで~?」


 サービスを押し売りしてやがる。そう思った智良の視線に冷ややかに光るレンズがあった。マノンがいかにも意味ありげに携帯端末をチラチラさせたからであり、こいつは下から目線のレンズで何をする気だと身体を強張らずにはいられなかった。


 どうもここ最近、というより星花祭が終わってから智良に対するマノンの態度は見違えたようであった。一見、何か変わったようには見えないが、智良と二人きりになると、ずいぶんとボディタッチが増えたように思われる。


 たとえば、マノンが自身のUSBを取り戻したときである。文芸部の部員からその所在を聞きだしたマノンは、架葉あたる元部長の住まうアパートを訪れたのだが、まさか教えてくれた部員も未来の官能小説家候補の少女も、くだんのUSBがラッキースケベの少女の手に落ちたとは思いもよらなかったろう。


 アパートから戻ってきた足でマノンは智良の寮部屋へと押しかけたのであった。


「ちーらーちゃーん~。うちの大切なもん、さっさと返してぇな!」


 USBの持ち主を知らない智良にしては何のことやらサッパリの話である。だが、それを問いただす前にマノンは追及に動き出していた。


「ふみゃうッ!?」


 尻尾を踏まれた猫のような悲鳴を上げながら、智良はミニスカートのポッケに手を突っ込まれる。ポケットの中身をまさぐられるだけでなく、突っ込まれたポケットの布越しから太ももの付け根やおぱんつに隠された鼠径部までさすられてしまう。


「なっ、ふぇっ、変なところ触ってくるなあっ」


 言いがかりをつけて、ただ単にセクシャルハラスメントをしたいだけじゃないか。強い疑念と憤りにかられる智良に、マノンはようやく架葉先輩から渡ったUSBの持ち主が自分であることを告げたのだった。智良は驚いたが、それよりも最初からそう言えという気持ちが遙かに大きい。


 そのマノンが枯れ草のじゅうたんから立ち上がり、智良はラッキースケベの呪縛から解放された。マノンは両手で黒タイツに包まれた脚や純白のフリルブラウスのよごれを払っている。可愛らしい格好だが、ちんまいマノンが着るとさらに年齢がちんまく見えてしまう。智良と年齢が二つ差もあるとは思えなかった。

 ほっとすると同時に、智良は額を押さえたものだ。


「まったく、あたしだからまだよかったけど、清歌や他の連中が見にきてたらどうすんだよ。卒業前の思い出造りじゃ済まないぞ」

「思い出の数なら智良ちゃんにさすがに勝てへんよ。ふだん誰も来ん場所だし、姫ちゃんと清ちゃんには待ち合わせ時間をズラしておいたからへーきへーき」


 そう言えば、初めてこの関西弁娘と会った際も、彼女は清歌に華道部の来訪をズラさせたのであった。そのことを思い出した智良は奇妙な運命と、あるいはマノンがその運命をはかったのではないかという疑念を同時に考えた。


 聞けば、二人がここに訪れるまで最低五分はかかるという。手持ち無沙汰を思って智良がげんなりしていると、何事もなく下ろしていた腕に、マノンの腕が絡みつかれた。


「んふふ、たとえたったの五分でも智良ちゃんに退屈なんかさせへんで~」


 智良は神経にこしょばゆさをおぼえた。ラッキースケベとは別種の緊張であり、何もあらわにしていないというのに、慣れるのにかなりの時間を有しそうである。


「ほれほれ、棒立ちになってないで、智良ちゃんもうちの愛に応えてや。そうじゃないと、うち寂しくて死んじまうで」


 寂しさも死相もまったくうかがえそうにないマノンの態度だが、彼女の母親はすでに関西にある生家を売り払い、仏蘭西にいる旦那のもとへ帰ってしまっている。マノンの居場所はここしかないのである。そう考えると、マノンのからかいも真実を織り込んだものであるように思われ、智良としても彼女の腕を振りほどく気にはとてもなれなかった。


 何かしろとせかされた智良は迷ったすえ、思い切った行動に移った。費やされた度胸は、慣れないラッキースケベをおこなったマノンに匹敵する。腕を巻き付けたまま、音もなくスッと美しいかんばせに近づけて……。


「…………んっ!」


 マノンは思わず目を閉じ、智良の唇をストレートに受け入れた。応酬する暇もなかった。思考が戻ったときには、智良の唇はすでに離れていたが、余韻はいつまでも唇の上から離れないかのようだった。


「智良ちゃん……」

「な、なんだよっ」


 寂寞とした空間に、ふたりの少女の顔だけが鮮やかな熱帯の花のようだった。強い熱と色彩を放つ顔を、キスをした側が、された側のほうから背けるかたちになっている。むずがゆそうにしている彼女の表情を、青い視線がまっすぐとらえ、それからいたずらっぽく微笑んだ。


「へえ……智良ちゃんもなかなかやるもんやな。三回の口づけのうちで、これが一番さわやかな青春って感じがしたわ」


 一回目の口づけはりんりん学校の肝試し(悲鳴と嬌声の夜)で、半ば強引に行われたもので、二回目は、後夜祭の喧噪から遠く離れたトイレの密室でのこと。智良としては大切な思い出であるとはいえ、正直なところ、積極的に思い出したいとは言いがたいものであった。


 それを踏まえれば、確かに今回のキスは、今までの中では比較的積極的に振り返られそうなもののような気がした。それでも小っ恥ずかしさは禁じ得ないので『たまに』で留めたほうがよさそうである。


 後輩に見えない刻印を受けた先輩は、感極まって絡めた腕に力を込めた。体重をかけすぎたせいで、あわや二人揃って草の上、という惨事であったが、恥じらいを受けるのはもうたくさんだ! と言わんばかりに踏みとどまった智良は腕をきゅっと締めつけながらマノンに毒づいた。


「力入れるなよ。あぶないだろうがっ」

「うっふっふ。うちはこのまま智良ちゃんに押し倒されても構わへんかったけどな。まあ、こんなことせんでも大好きな智良ちゃんとずっと一緒にいれば、毎日が刺激的なもんになりそうやし♪」


 先輩とも思えぬはしゃぎように、ラッキースケベの名をほしいままにした少女はあらぬ方向を眺めやりながら、好きに甘えさせることにした。


 ……と、ここで智良は建物の陰で何かがうごめいているのに気づいた。控えめにサイドテールを出した少女が、ツーサイドアップの美少女にうながされて慌てて頭を引っ込める。待ち人が何をしているんだと智良は呆れ果てたものの、このことをそばにいる親友に告げるべきか、しばらく考えることにしたのだった。


河瀬かわせマノン

キャラクター考案:月庭一花様(なろう退会済み)


 マノンちゃんとのペアが決まったとき、一番最初に思ったのは『設定は多いけど、智良との接点はあるのだろうか……』と原稿世界の試される大地に立たされたものでした。ハイすみません、ちょっと盛りました。


 実は一花様の設定では生徒会の一員というもので、もともと副会長ではなかったのですね。勢いで生徒会副会長の設定をつけてもいいと頼み込みましたが、結果としてストレートにカリスマ性のある姫奏さまと、ちんまいながらもクセモノな策謀家のマノンちゃんとの対比が素敵な感じになったような気がします。タイプは違えど、どちらも素敵な美少女ですしね。


 物語として盛り上がらせるために、マノンちゃんをフランスに帰すという結末は最初からありました。皆さんの愛によって何とか空の宮にとどまることができましたが。これもみなさまのおかげです。みんな応援ありがとーっ♪(ちらまのアイドル風に)


 後腐れなくフランスに帰れるようにさまざまな策謀をめぐらせていたマノンちゃんですが、すべては周りのことを思ってのことで、トータルの印象は『ちんまくて純情な陰謀家』というぐあいでしょうか。からかい上手の河瀬さんですけど、根っこがいい子だから周りから愛されているのであることを皆にも伝われえーわいのわいの。


 書いているうちに愛着が湧いてきまして、ふんわり灰色髪をしょっちゅうアレンジさせたり、カワイイ格好をさせたり、ふいに標準語になったてみたり、彼女の特長を最大限に生かせたと思います。かわいい。


 一花様、素敵なキャラをありがとうございます♪



理純智良りずみちら

キャラクター考案:斉藤なめたけ(https://mypage.syosetu.com/483210/)


 まさか、おぱんつ丸出し娘と一年四ヶ月も付き合うとは思いませんでしたが、何とか一区切りを迎えることができたようです。よかったーしみじみ。


 おぱんつとらっきーすけべとちらりずむの代名詞のような彼女ですが、もともとこんな変態娘にする予定はなかったのです(いいわけ)。


 まず普通の女の子にありそうでない名前から『ちら』が出てきて → そこからチラリズムの単語を派生させて『りずみちら』が生まれ → じゃあ『チラリズムで女の子を恥ずかしがらせて喜ぶ娘にしたろ!』 → 以上が理純智良クッキングでした。まるだしですが!


 なんとかこういうエンディングにこぎつけられましたが、実は結構いろいろな結末を考えたのですよね。一番最初に思いついたのは『まのーんがフランスに帰ったのを期に、智良はラッキースケベを卒業して真人間になり、フランスの大学を目指して本気で勉強する』というものでした。誰やねんコイツ。


 智良のスペックについていろいろ。実はなろう活動期全体を通じてツインテールの少女のキャラを登場させたのは初めてでした。なぜでしょう。ツインテールに萌えてなかったからかな。おこさま体型もたぶん初挑戦でしたが、慣れるとちんまいお身体の女の子も悪くないものですねえ!(もんだいはつげん)


 ともあれ、星花女子プロジェクトを通じて、私にとってかけがえのない子が誕生し、一つの物語の終着点に導かせることができたのは、作家冥利に尽きる喜びというものです。



【終わりに……星花女子プロジェクト全体を振り返って】


 二〇一七年三月二四日から書き始め、三五の話(いただきもの含む)を通じて思ったことは『行き当たりばったりに書き進めても意外と何とかなる』ということでしょうか。なろうで一番最初に上げた【ライラック色の少女たち】はキャラ愛が重すぎる割に設定が混迷しすぎてプロットのぐらつきが多かったのですが、純チラは一度方向性が決まれば一気にかき上げられたような気がします(それでも描写や語彙においてけつまずくことは多かったですが)。


 なんといいますか、ライラックは礼服を着てホテルのパーティに臨むような堅苦しさがあって、純チラの小説は軽装をまとって仲の良い知り合いとワイワイするようなイメージです。どちらのスタイルが正しいということはないでしょうが、純チラの書き方のほうが自然体の私らしいなあ、というのはありますね。


 大まかな世界観が用意されていて、他の方のキャラがいる空間で自分のキャラを動かすことは、非常に楽しいものでした。というより、圧倒的に楽でした。完全な設定を目指そうと、いちいち齟齬に思い悩むこともなく、キャラも大まかな設定ができあがっているわけですので、その制限内でうまーく役をはまらせるのが『ああ創作しているんだなあ』という気分になります。いいことです。


 いざ設定を作るぞーとなって、何にもない空間を目の前にして途方に暮れることも多かったので、星花スタイルもなかなかおいしいかなーと。むろん、一から何かを生み出す喜びもまた、なにものにも代えがたい気はしますが、産みの苦しみも負けず劣らずという感じですので(笑)。


 あと、他のキャラが自分の物語を進めることによって、私の物語の中でもさまざまなシナプスが生まれてくるのですね。自分の世界だけでは予想外の刺激はなかなか生まれないものですので、それをどう活かすかを考えるのも楽しいし、いろいろと勉強になりました。


【純情チラリズム】としての物語はここで終わりですが、それが智良やマノンちゃんの物語の終わりを意味するわけではありません。思いついたらいろいろと外伝的な作品を書いていきたいですし、他の方たちが私のキャラを活かしてくれることでしょう。人の手しだいで生まれたキャラクターは永遠に生き続けることができるわけです。


 長々と書き綴りましたが、ここまでお付き合いしてくれた皆さまには本当に感謝ですし、かわいい河瀬マノン先輩を生み出してくださった月庭一花様、そして何より、このような企画を主宰してくださった登美司(楠富)つかさ様に心からお礼を申し上げたい気持ちでいっぱいです。本当に、ありがとうございます。


 それでは、第三期の【はこにわプリンセス】も引き続きお楽しみいただけたら幸いです。



                     二〇一八年七月八日 斉藤なめたけ


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