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自称最強の双子が異世界を支配します  作者: 機巧アカツキ
第1章『支配する世界』
7/43

ルウシェ/情報の一手【ヤエガスミ】/黒い獣

いつまにやら評価が!

ありがとうございます、これからも頑張ります!

文章力がない私ですが、宜しければコメントお願いします! 是非、何方でも!

 

「____________!!!!!!!!」



 聞こえぬ声を荒らげる怒号の中、駆け巡る木々を紙一重で回避し、足場の悪い獣道を走り抜ける青年。


 その背後には、幾つもの黒い影が束なり、平行線に無数の存在が此方に牙を向く。スピードは青年と同じ……という、速度に関しては問題ないのだが、1つその『黒い獣』には絶対に追い付かれてはいけない理由があった。



 それは簡単に____________【触れれば死ぬ】。



 規則性のあることではない。

 事もなく自然的に……あれに、いくら殺されただろう。無関係な人間が、エルフが、騎士が、悪魔が、神が、天使が、幻が。


 ____________妹が。



『____________消えろ』


 ふざけるな! 俺は消えねぇ……いくら、お前らに仲間を沈められようが、俺は、俺は!


『____________兄様』


 その呼び方はお前が使っていい物じゃねぇんだよ! その呼び方をしていいのは、マイシスター! ミコトだけだ! てめぇみたいな理不尽な存在だけには呼ばれたくねぇっ!!!


 その呼び方は、絶対____________。






『____________兄様、消えて』





 俺は、1度死んだ。














「……トくん……ヤト……ん……アヤト……くん…………アヤトくん! よかったのです……お気づかれになりましたね、アヤトくん……!」

「…………ルウシェ……? いっつぅ……!」

「駄目ですよ?! 安静です、アヤトくん」



 ここは、何処だろう。

 微かに塩の香りがする森。かなり、深い……だが、陽射しが射し込んでいる。山……とも捉えられるが、周りからしてそんな感じはしない。小鳥の囀ずりも聞こえるとなると、危険地帯という感じでも無さそうだ。


 起き上がろうとするアヤトが痛みを堪えるのを、心配そうに見つめる少女____________ルウシェ。透き通るような蒼いセミロングに紫の眼。短い白きローブのような物を着込み、一見、何らかの信教のイメージしたような格好だ。そう、教会で祈ってそうな。種族的には、人間フィナーレと思うが彼女は……。



「アルマテアンの地……じゃないよな? ここ」

「違います。ノー、ですね」

「……使い方はあってるんだが、微妙に場面違いかな? まぁ、教えたの俺なんだけどさ」

「ふぇ?! えぇと、イエス、が『はい』で、ノー、が『いいえ』……と、聞いたのですが……違いましたか? ルウシェを嫌いになったのですか? わたひぃは、どうすればぁ……」



 今にも泣き出しそうな彼女を「あー、悪い! 今の冗談だから!」と、赤面涙目美少女を堪能したアヤトが拝みながら謝罪する。


 そう、彼女はこういう性格だ。

 人に嫌われるのが嫌で、人と接するのが苦手な残念美少女なのだ。あることがあって、アヤトにはなついてるが、やはりまだまだ信頼度が足りないのだろうか……だが、今のアヤトにとって、ルウシェは必要な存在だ。




 ミコト助けるために……あの戦争に勝つために。









 ***








 ____________数十時間前。



「アドラメルク様は……?」

「お、来たか。アドラメルクは書庫で籠ってもらってる。それより、どうだ? そっちは」



 フィナーレ____________王の間。


 1人だけだったアヤトに、帰還したメイド……フィーネが大量の新聞?のような灰色の紙の束を抱えて、対峙する。


 ミコトには『デウス・マキナの女王と接触しかてくれ』と頼み、フィーネには『ある場所』への道中確認に行ってもらっていた。この前、この世界の種族を教えてもらった時、アヤトが目につけていた種族のだ。



「これが出回っていた【無名ノーネーム】に関する書類なのですよ……しかし、その全てが《間違っていました》」

「……そっか。まぁ、流石は無名って呼ばれるだけのことはあるわな」



 ____________ 無名ノーネーム

 種族不明。恩恵不明。そして、国の場所……不明。

 その名前から得られるだけでなく、全てのことにおいて不明。故に【ノーネーム】。一応は世界2番目の国らしいのだが、その国を他の種族さえ見たことがないという幻の国だ。



「ま、そっちは本命じゃないし。あと、これから【ノーネーム】について情報を流すのは、フィナーレでは禁止するって国民に伝えてくれるか?」

「……それは良いのですが、女王の言葉以外聞く耳を持つのか心配なのですよ……」

「……うん? お前まさか国民に伝えるのを演説か何かでやってたの? そんなの、貼り紙でいいじゃん?! 下記に『女王より』とでも、書いておけば、ね?!」



 え、何その『その考えがあったか!』みたいな顔……え、マジで演説してたの? 馬鹿なの? 死ぬの? 頭お花畑っていたんだね、うん、マイシスター! 後で、兄様が都市伝説を聞かせてやろう! タイトルは____________『お花畑は存在した!』で。フォルムチェンジとか、しないかな? ほら、空飛べたり。



「飛んでみる?」

「……っ!?」

「さてと、それじゃいきますか」

「やっとですか……それでは、私は手筈通りに行動でいいですよね?」

「あぁ、頼むぜ____________ジョーカー」




 戦争まで残り5日。








 ***








「____________何故、私なんだ」



 そういって、青髪の騎士エルフが疑問を口にする。

 表情はともかく、その言葉と同時に魔法弾を撃ってくるのはやめてほしいのだが……まぁ、アヤトの能力の前では無意味。魔法弾はアヤトの頬を擦って、真後ろの岩に直撃し、破裂する。



「女王様は魔力低下の為、行動禁止令。獣悪魔は書庫で情報集め。となると、動けるのはお前だけだろう? ラルハ」



 エルフルクス国より、北西の地。

 国から大きくずれた何もない砂漠と化した大地に、日よけのフードを被ったアヤトとエルフ騎士のラルハが訪れていた。



「……だが、エルフルクスには内通者がいるのだぞ?! それが私でないとは限らんだろうっ!」

「だな。そこは否定しないし、お前を信じてるとまでも言わないさ。でも、フィラル直々のご指名だぞ?」

「くっ……フィラル様も何故私を……」



 まぁ、そこまで信頼されてる騎士様ってことだろう。

 フィナーレを出る前に、フィラルに護衛のエルフを頼んだらラルハが来たのだ。魔法の能力値としては、エルフの中間ランクと言えるらしいのだが、魔法だけでは接近戦に欠ける……そこで、ラルハだ。騎士と言わんばかりの剣の腕前は女王のお墨付き、強さで言えば、エルフ5人の指折りだという。


 俺はそんなやつと戦っていたのかよ……。



「そういや、ラルハは誰に剣を教わったんだ? エルフの中じゃお前が1番剣を使えるらしいって、小耳に挟んだんだが」

「うむ? あ、あぁ。教えてもらったのは聖騎士パラディンだ。私の知り合いにして、師匠にパラディンがいてな」



 え、なんなの? この世界のパラディン信仰率高くないですかね? ほら、パラディンとかジョブチェンジでどうにかなる職業でしょ? 仁王立ちとかで皆を守る壁でしょ? エルフっていうジョブないよ? 敵か味方だけですよ?



「そのパラディンとは?」

「勿論、縁を切られたさ。『願える弟子は何れ殺す』だとさ」

「愛ゆえに……ってやつか。いや、違うか? 多分、恐らく、絶対、女騎士っぽいし……なぁ?」

「女ではあってるが、お前のその心境はどうなのだ?」



 1話でも訴えましたが、そっち系の性癖はございまぁせん!

 仲良くするに越したことはないけど、俺らの責任だよなその縁切り……パラディンって、デウス・マキナの上だよな……少し早めに支配してやりたい。うん、身勝手だな、知ってる。


 すると、納得したアヤトに、ラルハが真横に手を伸ばす。



「……っ! 止まれ、依頼者」

「アヤトでいいぜ。それより、どうした? こんな見晴らしのいい場所で襲撃って訳にもいかねぇだろうし____________とと」



 ラルハが止めた足を動かそうとしたアヤトを引っ張り、後方へ軽く投げ飛ばす。千鳥足にもなったアヤトだが、即座に体制を立て直した後、ラルハの行動には疑問をぶつけず目の前を凝視する。


 歪んでいるのだ。

 大地が、空気が、サボテンみたいな植物が、そして空が。

 その場所だけ隠されている……そんな感覚だった。



「……目的地でオーケー?」

「あぁ。これより【アルマテアン】へのゲートを解放する____________『大地を統べるマナの精霊よ、叡智を授け、我に解放の力を』____________ 《サモン》」



 詠唱のようなものを唱えたラルハの周囲に青く煌めく微生物、客観的に見ればホタルのような光が幾つも現れ、ラルハに対して語りかけるように宙を舞う。


 これが____________精霊。

 全ての魔法に該当するマナの塊だという。空気中のマナを精霊には吸収する性質があり、それをエルフ……または、魔法を使用する者はそのマナ……魔力を授かるらしい。フィナーレに魔法を使える者がいない理由としてはそれだ。人間は精霊と会話できず、干渉もできない。


 魔法と能力の違いか……これまたアンバランスな設定だな。

 お、見えてきたな。これが今まで隠蔽されてきた……つーより、敗北して滅んだ種族の1つ____________。



「【八重霞ヤエガスミ】」







 ____________『消えろ』



「____________避けろ、アヤトッ!!!」



 ドンッ!……と、ラルハに押し倒される。


 何が起こった? いや、何が起ころうとしている?!

 おい、まて……なんだお前……ラルハの後ろにいるてめぇだ……なんでそんな、恨みを集結した目になって……ヤバイ、ヤバイ、ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ________________________。





「____________ッ!!!!!!!!」

「ぐっ、おい、何してる……何してる、てめぇっ!?」



 倒された反動から立ち上がろうとするアヤト…………だが、情けないことに立てなかった。それだけではない。手も足も震える瞳も、呼吸さえも。全てが恐怖により硬直している。


 同じ動作を繰り返す瞳に写るのは、グチャグチャになった青髪のエルフ。グチャグチャとは比護であるが、表れているのは外見ではない……ラルハの叫び声は響かず、ラルハの苦しむ瞳は動かず、ラルハの「助け……て」という感情は喰われていく。


 悪魔なんて可愛い例えはできない____________最早、例えられるものなどない。ただの……黒い獣……。


 そうは見えない。

 決して黒い獣ではないと断言できるのに、それは黒い獣だと脳が認識してしまう。



「立ち上が……れよ、コノヤロウ……まがいなりにも仲間なんだ…動けよ、動け、動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動けッ!!!!!!!! うごけぇええええええええええええ____________ッ!!!!!!!!」



 血管が切れる。血が逆流する。赤き海に溺れる。


 あぁ、そうか、俺は死ぬのか。

 だからどうしたよ? それでもアイツは助けれたよな? ほら、目の前に解放された青髪エルフ様がいるじゃねぇか。あー、また口調変わったような気がするな……ハハッ、また気づいてくれっかな? なぁ____________ルウシェ。







 ルウシェ…………?









「……トくん……ヤト……ん……アヤト……くん…………アヤトくん! よかったのです……お気づかれになりましたね、アヤトくん……!」






何故かシリアスな展開に……。

ルウシェについては番外編を用意しております! 存在については追々ストーリー中で明らかにという形で。


至らぬ点があればご指摘願います!

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