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自称最強の双子が異世界を支配します  作者: 機巧アカツキ
第1章『支配する世界』
6/43

次なる支配へ/機巧神人~デウス・マキナ~/敗北宣言

 ____________『妖精エルフ』。

 ____________『獣悪魔ビーストレス』。

 ____________『聖騎士パラディン』。

 ____________『機巧神人デウス・マキナ』。

 ____________『炎終帝マグナロク』。

 ____________『魔法書霊ラメイソン』。

 ____________『幻光闇ホロウ』。

 ____________『堕天使ルシフェル』。

 ____________『無名ノーネーム』。


 そして、『フィナーレ』。




 これが、今この世界に顕現する10の国の種族である。長方形に連ねられた世界の最下位には【フィナーレ】が。その1つ上に【エルフルクス】。アドラメルクが所属する【ビーストレス】は上から4つ目の場所に当たる。


 この世界では、国全ての種族である生命の形が『人』より生まれる前提を基づける歴史にあることより、最下位のルーツは【終焉フィナーレ】と名付けられたという。原形にして進化することのない種族……そうとも捉えられるだろう。


 他の種族が『人』の進化であるように、アドラメルクもフィラルも大きくみれば納得できる。種族もよく見れば『パラディン』や『デウス・マキナ』など、人の慣例が強い種族もみられる。機巧神人……まぁ、大きく纏めれば機械人間だろう。



「それで、次のターゲットは____________『機巧神人きこうしんと』……【デウス・マキナ】か。案外【パラディン】は上位なんだな」

「国の順位は強さだけじゃないからのぉ、国民の指揮を高め、維持し続ける信頼も等しく。その点においては聖騎士共の方が向いておるのじゃろ」



 王の間____________個室。

 早朝よりフィーネに聞かされた10の国について、アドラメルクよりレクチャーされるアヤトの姿がそこにはあった。


 紅茶を啜りながらクッキーをかじるアドラメルク。それを物珍しそうに……否、器用だなと感じ眺めるアヤト。読んでいた本を閉じ、んぅ~、と背伸びする。



「契約から既に5日、攻めてくる気配はなし。偵察にフィーネを出してるけど、これといった情報は得られてない……か。そういや、アドラメルク」

「うん? なんじゃ、主様」

「地図……いや、フィラの魔法で上空から見れる地図を見て思ったんだが、国々のスペースって均等じゃないよな? これはどういうことだ?」



 あの野菜パープル事件の後、フィラルにはもう1つ仕事をしてもらっていた。言わば世界の見取り図だ。上空に形成された魔方陣で太陽の光を反射し、発動できる魔法らしい。勿論、雨の日や曇が過る時などは使用不可になる。


 アヤトが言っているのは、エルフルクスとフィナーレのスペースに比べて、ビーストレスとマグナロクのスペースが大きすぎるという点だ。



「主様なら、もう気づいとるじゃろ?」



 クックック……と、笑いを拗らせてアヤトを見つめるアドラメルク。つまり、こう言いたいのだろう____________スペース=存在した国……と。戦争により崩壊し、記録より抹消された忘却の地だということ。


 しかし、フィナーレが1番最後の国か。

 兵士達も能力ウハウハな設定ある上でも敵わない……うむ、エルフに勝てたのは本当にアドラメルクのおかげってやつだな、感謝だ、悪魔メイドよ!



「今、妾がいなければ勝てんかったとでも思ったかの?」

「戯けよ、お前は既に俺らに支配された存在だぞ? 戦果だって、全て俺らのもんだ」

「ふむ……傲慢な主様じゃの。いや、強情かの? 『俺』と言わんだけ、腐ってはおらぬの」

「そこは強欲じゃね? まぁ、いいや。と、そろそろマイシスターが動き出す時間だな、上手くやってるかな?」



 ……とまぁ、別に365日、24時間、一緒にいないと拒絶反応を起こす! なんて、設定などないわけだ。勿論『さぁ、ゲームを始めよう』なんて、格好いい台詞もはかないよ? 俺らが目指すのは1つだもんな? マイシスター____________。








 ***








 ____________世界を支配する。



 国名【コッペリア】


 ____________ 機巧神人デウス・マキナ

 コッペリアに生息する種族。姿はフィナーレの人間と同じような体型であるが、全ての国民が小さき体型……つまり、幼児幼女というマニアックにとっては天国エデンのような国だ。


 そして、もう1つの特徴がある。

 それは同じく全ての国民が機械仕掛け……簡単に言えば《アンドロイド》であった。ある者は、右腕が全て機械である。ある者は、左目が鉱石により造られた機械である。そして、ある者は____________背中に浮遊する兵器を有した機巧神人である。



「……ん。私が、この国の王……『ノア』」



【コッペリア】王宮____________『ノア・アーク』。

 魚のいない水槽がガラス張りに透き通る背景の中、フィナーレより訪れた女王『ミコト』に、コッペリアの女王『ノア』が一礼する。


 凛凛しい白髪の長い髪。全てを見通すかのような黄金の眼。

 幼い幼女体型だが、瞳と視線から語る物は相当な斡旋感を感じさせられる。そして、何より背中に浮遊するアレだ。


 翼?のような機械仕掛けの片翼が右側に浮遊し、ノアの左右やや斜めの位置には赤と青の宝玉が機械仕掛けにより浮遊している。他にも武装のような装備は着けているが、他の国民と違って体に同化しているというのは見当たらない。



「……ん。どうか、した? フィナーレの女王」

「____________申し訳ありません、ノア様。少々、考え事です。それより、このような場を儲けていただき、感謝です」

「……ん。ノア、でいい。ノアも貴女と話、したかった、よ? フィナーレの女王____________ミコト」



 兄の前でも見せない丁寧な言葉で会話するミコト。


 決して、互いに向かい合っていた訳ではない。

 ノアが玉座に座る形でミコトが見上げていたのだが、ノアは突然浮遊し、ミコトの目の前に着地した。


(やはり、情報は流れてますね。フィーネが伝えるでしょうから、ミコトは兄様への土産話でも……)



「……ん。土産話、はやめよ?」

(____________っ?!)



 唖然とした。

 偶然か、必然か____________いや、ミコトはそんな表情を一切していない。兄以外の前で感情的になることすらないミコトだ。それは完璧にない。


(勘……ですか)



「……ん。勘、じゃないよ。ノア、は……対面する相手の思考、が、読める……の。デウス・マキナ、は、それぞれ……違う機能、を持っている……から」



 ぎこちない言葉でとんでもないことを言うノア。


 魔法、能力……そして、新たに『機能』。

 いや、これに関しては魔法や能力……客観的に能力と同じだとも推定できるのだが、態々言葉を濁す以上、そうだとは判断しにくい。



「……ん。未来が、読める者もいる……貴方が来る、ことは、わかって……たよ」

「そう、ですか。それでは……」



 ゴクリ……と喉を鳴らして言葉を待つミコト。

 未来が読めるというチート機能を相手に隠し事など意味がない。なら、最後の一手は、それが確実なのかという検証だ。少しでもアヤトに情報を伝えなければ。流石にこれは……。



「……ん。戦争、だよね? うん、受けてたつよ……いい、土産話になった、かな? アヤトって人にも、よろしく、ね」



 ミコトは素直に感じた。いや、感じせざるを負えなかった。



 ____________ミコトでは勝てない、と。









 ***










「アヤト様、アドラメルク様、ただいま帰りました」



 王宮____________書庫深部。

 王の間から場所を移したアヤトとアドラメルクに、アヤトの指示によりある場所に出向いていたフィラルが結晶の欠片が集結するエフェクトにより、目の前に現れる。その風圧で本が大気を漂い、1冊だけピンポイントにアヤトの額を吸いつけられる。



「つぅ……。もう少しましな登場はないのか? エルフ様」

「申し訳ありません。それより、朗報……良い報告と悪い報告がありますが、どちらがいいですか?」



 いつものフィラルと違うな……ミコトに危険でもあったか?

 いや、落ち着いたトーンからそれはないな。だとすればなんだ? デウス・マキナの先手か?


 考えても仕方のない結論から、「前者を」と答えて良い報告の方を先に問う。すると、フィラルはそれに答えるように少し笑みを浮かべながら述べた。



「ミコト様よりの報告です。『兄様、兄様、私は捕まっちゃいました。テヘペロです』」



 ・・・・うん? うん?!……おぉうっ!?



「ちょ、それって良い報告じゃなくないか?! 確かにミコトには女王への干渉を頼んだんだが、先手より先に主役が動くかよ、普通……で、どういうことだ?」

「続きがあります。『テヘペロです』」

「うん、大事な事だな? でも、空気読もうな? マイシスター」

「『兄様、兄様、次の戦争は勝てません。ミコトでは、このデウス・マキナを相手にすることは不可能です。ターゲットを変更してください』とのことです」

「マイシスターが簡単に敗北宣言……状況は理解した。後1つ、悪い報告ってのは?」



 良い報告____________つまり、フィラルの主観なら《ミコトは捕まったが、その身は無事で相手の情報を得ている》ということなのだろう。情報を得ているということは、ミコトを連れ戻すしか得られる方法はないということだ。


 アヤトはその救出方法を練りながら、フィラルの悪い報告に耳を傾ける。こほん……と、一齣置いたフィラルが口を開く。



「____________『エルフルクスに内通者がいます』」

「あー、それわかってるよ。最初の報告で確信になったし……まぁ、それが誰かってのはまだなんだが」

「はい。ですので、全てのエルフ国民に『言霊』の魔法をかけました。これで、内通者の動きは把握できると思いますが……」



 ふむ、その言霊の魔法さえも気づかれている……と。


 実際、エルフルクスとフィナーレが戦争をしていた日にちや、その戦争時間など、フィーネの情報によれば上部に筒抜けていたらしい。その時点で疑い、更には最初の報告『ミコトの行動』がバレている事で確信に変わったのだ。



「のぉ、主。今、魔法は使えんと見たがどうじゃ?」

「その通りです。国民全てに加護魔法の1種をかけていることになりますので……そして、内通者の存在となると……」



 ミコトが『勝てない』とまで宣言した理由が見えた。

 自分が捕まったという点も勿論あるだろうが、それよりも大きな穴が有りすぎるという結論からの報告だったのだろう。



 この戦争で____________エルフは使えない。


 この戦争で、新しく手に入れた駒は動けない……いや、動けなくされた。エルフルクスの内通者を炙り出すのが事態終息への早道だが、それは容易ではない。初手から崩れたダメダメの先手である____________が、デウス・マキナはまだ知らない。



「予想通りだ」



 まだ彼の手の平の上だということを。






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