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自称最強の双子が異世界を支配します  作者: 機巧アカツキ
第2章『先魁の世界』
21/43

謎の恩恵/異世界人 vs 異世界人/浮遊する大国

同じく主にホムラ視点です



「第1作戦成功なのです! 流石、ズル賢さを棚にあげると隣に立つ者はいないですね?」

「ズルくないですよね?! え、ズルいの?! だって、ゲート無防備じゃん……守るよ? 普通は守るよね、馬鹿なの?」



 フィナーレ____________王宮。


 アドラメルクとノアをゲートの守備へと指示を出した、アヤトはフィーネと共に巨大な魔方陣に映る大画面ビジョンを見ていた。そこには、アドラメルクと凄まじい一戦を繰り広げた後のホムラ……ラメイソン軍が。


 無事、アドラメルク達は撤退できたようでアヤトは内心、ホッとしていた。



「さて、前衛部隊はフィラに任せてるけど……あー、やっぱ交戦中みたいだな」



 ホムラ達を映していた画面は、ラメイソン防衛軍とフィラ率いるエルフ軍が交戦している映像に切り換わる。空からの映像を少し切り換えると、そこにはラメイソン軍の支離滅裂している様子が伺われた。どうやら、フィラル達の戦況は優先を維持しているようだ。



「……あの異世界人みたいな、化け物はいないみたいだな。アイツ1人なのか?」

「そう、みたいですね。あの……アヤトさん、あの件について……は」

「勝つためだ、ここで披露する。あの化け物と対抗できるのは、恐らくお前だけだしな」

「……確かに、打ち明けたのは私ですが、アヤトさんは疑わないのですか?」



 右手を胸に置いて、フィーネが目線を落としながら問う。


 打ち明けた____________それは恐らく、フィーネの中に眠る覚醒された力の事だろう。戦旗インドラという戦神の力を有し、天変地異にも匹敵する馬鹿げた力のこと。





 そう……あれは、アヤトやミコトがこの世界に来て、エルフルクス戦の前だった____________王宮地下。アヤトとミコトは、フィーネに呼び出され、そんな場所に訪れていた。



「本当の力……?」



 アヤトは首を傾げる。


 当たり前だ。ここ、異世界に来てからまだ一週間……そんな短期間に魔法やエルフ。更には自分まで能力が使えるということを知ったのだ。フィーネだって、能力が使えるのは別に驚くことではない。



「……私の能力は『跳躍移動』、これは以前お話ししました。ですが、それとは違うのです」

「違うって、能力は1人1つって言ってなかったか? それに能力だって、多種多様な使い方で性質は変化させられるみたいだぞ」

「……そう、ですね。見てもらった方が早いかもしれません____________戦旗の恩恵を」



 アヤト達から少し離れた場所に跳躍移動したフィーネが何らかの光に包まれ、手の甲に紋章が宿ると……既にフィーネの手には、蒼と金色こんじきの鑓が握られていた。


 その瞬間、全てが吹き飛ぶかのような風圧が地下空間全てを崩落させるかのような威圧が、フィーネより溢れる。バチバチ……と蒼と金色の雷が鎗と身体を包み込み、その威圧と風圧に立っているだけで意識を失いそうになる。



「戦旗インドラ様の恩恵……と、私は呼んでいます」

「インドラ……俺らの世界でも名の高い存在だな。戦の神様、か。此方でも同じなのは驚いたが……これ、真面目にヤバくないですかね?」

「兄様、兄様、フィーネはその力で少しは刃向かえたんじゃないでしょうか?____________とは、聞きません。ミコトの直感ですが、その力はごく僅かな時間です」

「要するに聞きたいことは、《その力でエルフは倒せるのか?》って、事だな? どうだ?」



 そんなミコトの問いを正したアヤトに、フィーネは「余裕ですね」と、一言。ミコトの僅かな時間という点に触れなかった所をみると、やはり短時間のようだ。



「わかった……今回、その力は使わなくていい。使うとしても隠密にいこう。切り札は隠してこそ切り札だ」

「……わかりました」



 用件が済んだのか、フィーネが一礼してインドラの鎗を解除する。アヤトは隣のミコトに目を通し、頷く妹に心の中で「りょーかい」と返答するのだった。







 使いどころは任せた……ミコトは、アヤトを信頼してフィーネの力を託した。と、解釈すればいいのだが、今思えばそれは違った。



「疑ってるよ。俺が信頼しているのはマイシスターとルウシェだけだ。だから裏切るな。裏切らなければ、お前にどんな事が起ころうと助けてやる」

「……どんな事?」

「何れわかるよ。覚えていてくれ? 俺はお前を信用していないけど、お前は俺を信用していい。身勝手なんて承知の上だ」



 この戦争でフィーネに、何かが起こる。

 フィーネはそう実感し、アヤトの言葉を胸に刻みつつ「はいなのですっ!」と、元気よく頷いた。


 さて……最悪はこっからだ。



「無駄に悩みの種が多いな……クソアンバランスめ」



 悩む。恨む。目を閉じて____________また、アヤトは笑っていた。









 ***










「ふぅ……やっとついた。国があるのはゲート付近じゃねぇのかよ……兵士全部置いてきて正解だったわ」



 フィナーレ____________正門前。


 エルフルクスから約20分。何度かフィナーレからの足止めがあったが、当然ホムラは無傷。余裕綽々の笑顔で正門に仁王立ちしていた。そして、隣にはローブの少女も。



「俺っちは来てるけどな~。でも、勝てるのか? ホムラっちよぉ、あの悪魔以上の強さの奴はいねぇと思うが」

「防衛は女王様がいるから心配ねぇよ」

「そっちの心配は皆無。女王様に勝てるやつなんざ、ノーネームかパラディン、後はヤエガスミくらいだしな」



 あ、俺の心配か。

 んー、まぁいけんじゃねぇかな? 確信はねぇけど、あの悪魔なら恐らくいける。デウス・マキナじゃ、相手にならねぇし……ま、あの人なら。



「積もる話もアリですが、取り合えず城内へご案内なのですっ!」

「「____________っ!?」」



 不意に聞こえた突然の声の直後、目の前に現れた緋色髪の美女に掴まれるやいなや、景色がまるで切り替わるように彩りを変化させる。


 見渡す限りの建築物。パッと見れば理解できる……ここは、街____________フィナーレの城内だ。



「ようこそ! 我らが国、フィナーレへ!」



 あぁ、この人だよ。



「歓迎するぞ? ラメイソンの召喚者にして、俺と同じく異世界人さん」



 何度も何度も俺の邪魔をして、幾度となく俺の作戦を越えて、完璧に完全に……最後は失敗に終わる。



初めまして(・・・・・)、アヤトさん」



 だから、今回は絶対に。

 ラストチャンス……この最終回は絶対に。



「最高に楽しみながらクリアしてやんよ」



 目の前に歩いてきたアヤトに、ホムラは血相を変えて歓喜の表情を作りながら大地を蹴りあげる。アドラメルクを越える速度は一瞬にして、アヤトの目の前にまで到達し、ホムラの拳は____________炎の壁によって防がれた。



「____________っ! やっぱ折り込み済みかっ!?」

「俺はお前ほど強くないんでね。貧弱は貧弱なりの戦い方があるってもんだ」



 弾かれた拳の反動は地面を削りながらも力を逃がし、即座にルトルスが隣に並ぶ。アヤトの周りには、あの悪魔とデウス・マキナ、そしてもう1人のフィナーレ人が。


 緋色髪からして、あの瞬間移動の人物で間違いはない……さて、願い通りフィナーレ城内へ侵入……いや、招待か? ま、入れなかった時もあるからな。ラストはこういう展開で助かったぜ。



「ホムラっち……」

「……俺についてこい。ルトは絶対に守るからよ」

「あいよ。任せるぜ、王子様っ!」



 ホムラとルトルスが動く。アヤト達の周囲を囲むように走り出し、先制はホムラが大地を蹴って、一気にアヤトへ……が、その一撃は民家3つを貫くだけで、アヤトにはヒットしなかった。



「……っち、アヤトさんか?」

「彼奴はアドラメルクとフィーネに任せた! ノア! 俺らは、あのローブだっ!」



 アヤトの指示で謹厚が動く。アドラメルクとフィーネは一撃で街を崩壊させたホムラの背後に向かって飛び、ノアはアヤトよりも先にルトルスへ迫る。


 ほぅ、やっぱりルトは俺より弱いって断言しやがるか。ま、実際、俺よりは弱いんだけど……うん、アヤトさんのその作戦は経験済みなんだよなぁ____________結果は、



「……なっ、風? いや、ノア!今すぐはな……」

「おっせぇぜ、あんちゃんっ!」



 今更止まることの出来ないアヤトとノアに、ルトルスが両手をパンッ! と鳴らした刹那……既に吹き荒れていた魔力の風に何らかの力が宿り、一瞬にしてアヤトを空高く放り上げる。ノアは大地へ這いつくばるように叩きつけられる。



「アヤトさんっ?!」

「主様だけでなく、未来まで読めるデウス・マキナまでもが不意を突かれるだと?!」

「余所見かい? いい度胸だっ!」



 アヤト達に気をとられていたアドラメルクがホムラの一撃を腹部に入れられ、続けての回し蹴りがフィーネを宙へと蹴りあげる。しかし、吹き飛んだアドラメルクが、即座に地面に一撃を入れて失速、反撃の炎を操りホムラの周囲を囲む。



「あぁん? これは」



 当ててこない? 効かねぇのを学習してか? いや、まてよ____________あぁ、なるほど。



「お返しなのですっ!」

「やっぱりかっ! あめぇよ、メイドさんっ!」

「呼んだかのぉ?」



 瞬間移動のような能力で目の前にフィーネが現れるのを読んでいたホムラが、フィーネに向かって蹴りを入れようとするが……背後の炎が弾け、外部より悪魔が此方を睨み付ける。


 もう既に足は上げている……このまま跳躍するのはアリだが、恐らく感づかれるよな……ここは、ガードだ。



「待っていたぞ、その思考! フィーネッ!」

「了解しました! 顕現せよ、戦旗の鑓____________ハァァァァアアアッ!!!」

「____________ガァ……ァ」



 無理矢理でも足の角度を変えて、アドラメルクの攻撃を防ごうとする無抵抗となったフィーネの鑓がホムラの右肩を雷の一撃が貫く。更にはその鑓を掴み、ニヤリと笑う悪魔が目の前に。



「妾の恩恵ではないので、本来以下の力じゃが……貴様を葬る一撃くらいは放てるぞ? 散れ、強き小僧っ!」

「クソ、やるじゃねぇか。面白くなってきツァッ!」

「____________っ?!」



 凪ぎ払うモーションを取ったアドラメルクが放つ前に、ホムラの魔力が爆発するような風圧がアドラメルクやフィーネを吹き飛ばす。だが、その風圧に負けじと、アドラメルクが鑓をホムラの脳天目掛けて投げつける……が、



「ハッ! シャラクセェなぁっ!!!」



 インドラの鑓を意図ともせず、左腕で叩き潰し……一気に大地を蹴りあげて、アドラメルクに迫る。振りかぶろうとする右腕だったが、痛みにより顔がひきつる。


 っち、右腕が動かねぇ……だが、今の体制を崩した奴なら仕留められる。



「くたばれ、悪……って、何処行きやがったっ?!」

「……! 流石は主様じゃ」



 戦況を区切ろうと、アドラメルクが風の魔法を発動させ、自分自身を強制的に空高く吹き飛ばす。魔力を察知したホムラがアドラメルクに向けて跳躍しようとするが、それはフィーネが放つ鑓によって止められる。



「……つえぇな、あんた」

「アドラメルクさんが空に飛んだということは、貴方は私に任せた……という指示です。フィナーレ国元女王として、全力でお相手しますよ」



 フィーネがまたもや蒼雷を放つ鑓を顕現させ、その矛先をホムラに向ける。あの瞬間移動のような能力でさえ厄介だというのに、この実力。恐らく、あの悪魔よりも強い……かも。


 ……こんな人がフィナーレにいたのかよ。ラストチャンスに、こんなボス級と御対面なんて勘弁してくれよ……楽しくなるじゃねぇか。全く、クソワールドめっ!









 ***









 その頃、ラメイソンの防衛戦では……。



「……女王様! ご指示を! 女王様!」

「……にゃ?」

「「「女王様ァァアアッ!!!???」」」



 信頼とは裏腹に、レスティア女王はダメダメであった。

 ベッドの枕に顔を埋め込み、足をバタバタさせながらラメイソンの兵士達に駄々を捏ねる。というのも、この戦争はレスティアにとって初陣なのだ。今までは、ホムラの指示で全てが動いていたのだが、今回はホムラは前衛軍の1人だ。防衛は全てレスティアが操作しなければならない。


 だが、現状____________攻め込まれている。



「うぅ、まさかここまで戦下手だったとは……ホムラに会わせる顔がなーいー」

「報告します! フィナーレのエルフ軍が真下まで迫っております! いかがなされますか?!」

「それなら問題ない。近づけないから」







 ラメイソン____________国外《真下》。



「……まさか、あれがラメイソンなのですか?」



 フィラルは唖然としていた。

 なんせ、ラメイソンは……天高く浮いてるのだから。

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