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自称最強の双子が異世界を支配します  作者: 機巧アカツキ
第1章『支配する世界』
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簡単な情報で休戦を/エルフの女王/それでは、3日後!

 


 この世界には10の国がある。

 その1つがここ【フィナーレ】であり、現在戦争中の相手……【エルフルクス】も、その1つだ。


 戦争が始まったのが4日前。

 丁度、双子が召喚される前日に行われている。戦争の発端は、元々10もある国____________世界経済が厳しいので、1つ潰してしまおう! そうだ! それなら、最下位の国にしよう!


 それを反発した国がここ、最下位【フィナーレ】だ。

 事実、この戦争は価値の無い戦争だと言える。




「だがしかーし!!! 世界を支配する俺らにとっては好都合ぅ、世界から隔離された国? いいねぇ、そそるねぇっ! 支配しようとした世界を支配する……なんて、ドリームゥ」

「兄様、兄様、兄様はただ女性が王という名目上、やる気を出していると兄様のマイシスターは思うのですが」

「……そ、そんなこと、そんなことあるわけなくもない!」

「兄様、兄様、最早、吹っ切れましたね」



 いーじゃん! どうせ、王様になれないんだよ? 夢くらい見たっていいじゃん?!ねぇ!。そもそも、王が女性限定ってなんだよ! 皆、うぶっ子だったら国の男女比率やべぇぞ? 壊滅するのか? 壊滅したいのか?


 王の間と聞こえのいいだけの個室で、現国王にしてマイシスターのミコトが残りの兵力を確認しながら兄の突っ込み役を果たす。取り合えず、あのキラキラしてる瞳のメイドをどうにかしないと、落ち着くこともできない。どうやら、異世界から召喚される者は特別な力を所持しているらしい____________何も感じないのだが? ホワイ?



「……まぁ、今やるべき事をやるとするか。麗しのマイシスター! 準備はいいか?」

「兄様、兄様、勿論ミコトは万端です。夜這いでも覚悟してます」

「ハッハー、もう少し言葉を選ぼうな? マイシスター。そんで、状況はどうなってる?」

「はい、兄様が注目したポイント4つの内、3つが潰れました。以下のことから、ポイントCが狙い目かと思われます」



 兵士より渡された情報を元にミコトが書類を読み上げる。

 ミコトが王になって、王の間に移動する間合い、アヤトは密かに使者を指定したポイントに偵察しに行くようミコトに指示をさせていた。ポイントは4つ____________1つ、戦争付近の森。2つ、戦争付近の湖。3つ、戦争付近の国。4つ、ここフィナーレから最も近い戦争付近の場所。


 狙いは単純に情報収集。

 ポイントC____________つまり、戦争付近の国。



「何をする気なのですか?貴殿方は……」

「は? こんな阿呆みたいな戦争続けてたら此方が負けるだろ? 普通に考えれば、まずすべき行動は? マイシスター!」

「兄様との夜ば____________戦争の中止です」



 うん、王様になってから妹は調子いいみたいだな。



(え、なにポカーンと口開いてんの? メイドさん。まさか、俺らが正々堂々戦うとでも?! 正々堂々戦って無様にゲームオーバーまっしぐらを貫けと?! 普通に国名からして、勝てるわけねぇだろ、阿呆メイドがっ)


 という、叫びたいことを心に刻み、アヤトはニヤニヤしながらミコトを出口までエスコートしようとする。



「あの……何処へ?」

「決まってるだろ、交渉だ。支配するためのな?」









 ***









 第8の国____________【エルフルクス】。

 森と一体化したこの国は、エルフと呼ばれる種族が生息し、その全てが女性だという。特徴的な耳と白い肌。稀に黒い肌の言わばダークエルフという種族もその一種らしく、この世界では全て纏めて『エルフ』という一族らしい。


 その本陣。

 巨大な大木の大樹、通称『スピリチュアル・フォレスト』と呼ばれている場所に、この国の女王は滞在している。



「女王様! 女王様!」



 礼儀知らずを覚悟!という表情をした、青髪エルフが王の間らしき場所の扉を勢いよく開く。そこには、王の間のベッドで寛ぐ……というより、先程まで眠っていたような女王エルフが背伸びをして、「むぅ~?」という声を漏らす。その先には、



「どうかしましたか? ラルハ」

「オッホォ! 美人エルフキツァアァ!!! 此方の青髪エルフも可愛かったが、目の前のはだけた姿のエルフ様の方がダントツで美人だな、マイシスター!」

「兄様、兄様、こればっかりは、ミコトも興奮しざるおえないです。グフフフ……です、グフフフ……なのです」



 興奮している見慣れない客2人がデュフデュフ興奮していた。










 気を取り直して、スピリチュアル・フォレスト____________【客間】。

 木々で囲まれた空間に、大木で作り上げられたロングテーブル。そんな如何にもエコ! という場所で対面するフィナーレ側。アヤト、ミコト、そして奴隷メイド。


 そして、美人女王エルフを所持していたケータイのカメラ機能で連写する自称最強の双子に微笑みサービスをする、エルフルクス側、女王エルフ、青髪エルフラルハ



「初めまして、ここ第8の国【エルフルクス】の女王をさせていただいております。『フィラル・シー・レッドアイズ』と申します。隣は、この国の騎士団長『ラルハ・レイズ・ヴェル』です」



 女王自らの紹介を得たラルハが一礼。

 フィラル・シー・レッドアイズ____________名前の通り、レッドアイズ……煌めくほどの美しい紅の目だ。カールのかかったしなやかな金髪ロングが恐ろしいほどマッチしている。整った顔立ちと美しい微笑み。エルフの女王というだけあり、双子のエルフという概念が少し革命に当たりそうな人物であった。



 さて、俺らに支配される1つ目の国だ。

 エルフといえば、エロフとも定義される種族…………あ、やべぇわ、異世界来て初の亜種族マジ興奮してきた。そんな目で睨むなよ、マイシスター。ほら、さっさとヤろうぜ。



「どうも、初めましてフィラル・シー・レッドアイ……覚えやすいけど、呼びづらいな。フィでいいか?」

「ちょ、短縮しすぎですよ?! アヤトさん!!」

「兄様、兄様、それなら、フィラと。響きが素晴らしいです」

「……おぉぅ。グッドアイディアマイシスター。よし、フィラ! いいよな?」



 双子の提案に、ラルハが「なんと無礼なっ!」と、片手をアヤトに向け、無数の魔方陣のようなものが腕に纏わりつく。それを即座に女王が笑顔で「構いませんよ」の一言で片付ける。


 ふむ……やはり、魔法は使えるのか。

 エルフ=魔法っつー、鉄則は何処でも同じってことかよ、チート使いが。どうせ、俺ら使えねぇんだろ?わかってる、わかってるよ。変な期待なんてしないんだから。



「よし、早速だが用件を済まそう。マイシスター」

「了解しました。フィラ様、取り引きをしませんか?」



 マイシスターの現国王が雲1つ無い表情で話を持ち出す。

「取り引き?」と、フィラルが首を傾げると同時、ラルハが即座に文字のような物を空中で書く……駄目だ、全く読めん。エルフ文字って奴か。



「単刀直入に言おう。第9国____________えっと【エミューリア】だっけか?」

「あってますよ、兄様」

「その【エミューリア】を敵に回したくなきゃ、戦争を中止しな」

「……さて、なんのことでしょう?」

「兄様、兄様、出ましたよ。なんのことでしょう?ルートです。これは確定ですね」

「だなぁ、マイシスター」



 何の事かわかっていない元国王、現メイドと惚けるフィラルに説明をし始めるアヤト。


 話は簡単な事だ。戦争中、アヤトがチェックしたポイントの1つ……戦争付近の国。つまり【エミューリア】という第7の国が、この戦争に巻き込まれているという事実を提示しただけに過ぎない。


【フィナーレ】と【エルフルクス】の道中には、巨大な川があり、飛行しない限り通ることは出来ない。勿論、エルフであれば飛行……というより、浮遊魔法があるかもだが魔法なら魔力は必須、戦争前に魔力を使うなんてあり得ない話だ。更には【フィナーレ】に、《滞空砲》らしき物が壁上に設置されていた。態々見える位置に置いてあるとはご丁寧な事で……と思うが、これはこれで飛行禁止として役割を果たしている。



「つまり? お前らが進軍するには遠回りする必要があるな? しかも、国を滅ぼすだけの戦力は残しておきたい……そりゃ、戦闘は極力下げるわな?」

「兄様、兄様、それなら【エミューリア】に報告すれば良いのでは?」

「わざとらしい質問サンキュウ、マイシスター。調べてみれば【エミューリア】は【フィナーレ】指定壊滅に反対だったらしいじゃん? そんな相手に『フィナーレを滅ぼしたいので通してください』なんて、言えねぇわなぁ?」



 やっと、メイドが「なるほど!」と両手を合わせる。


 いや、エミューリアの件を聞いたときに、わかれよ普通。

 ま、これでエルフルクスがフィナーレに来るには、戦力消費覚悟で川を渡るか、無断でエミューリアを通るか。勿論、後者だろな。前者で負ければ、次に狙われるのはエルフルクスだし。



「いやぁ、この大陸って長細くなってて助かったわぁ。地図さえあればわかるもんなぁ? 行動が。それに、フィナーレも苦し紛れの応戦。川通ってりゃ、負けてたかもな?エルフ様」



 ホント、びっくりだわ。

 こんな異世界だと、フィナーレみたいな人型の種族は最弱という設定なのに、やるなぁ、此方の人間! 見直したぜ。

 魔法弾く鎧とかあんのかなぁ? そういや、偵察も速かったな……忍者でもいるのか? この国は。



「…………わかりました、引きましょう」



 仕方ないですね……という、ため息と同時にフィラルが席を立ちあがり撤退の指示をラルハに伝える。



「うん? なにしてんの?」

「……撤退の指示ですが?」

「なんで?」

「なんでって……それが、要求ではないのですか?」



 あったりまえじゃん。エルフ前にして見逃すとか、そりゃないぜ。俺のハーレムワールドの住民にしてやるチャンスを逃せと? ハッハー、そんなヘタレ死ねばいいのねぇ? 俺は待たないよ?


 そう思いながら、口元を尖らして悪役らしく……。



「要求はここに! 否定はさせねぇし、勝手に撤退も駄目だぜ」



 バシンッ!と、アヤトの言葉と同時に、ミコトが用紙を叩きつける。恐る恐る、フィラルとラルハは用紙を覗き、フィラルは「本気……ですか?」と、真剣な眼差しを送る。



【ペナルティ項目】

 ・3日間の有余

 ・この戦争において、殺しは敗北とみなす

 ・攻撃するのは【エルフルクス】側とし、1日見事防衛出来れば【フィナーレ】側の勝利とする

 ・【フィナーレ】側の《滞空砲》禁止を代償に、【エルフルクス】側は、指定された川を通らなければならない



「兄様、兄様、今、ミコトは楽しんでいます」

「あぁ、俺もだぜ、マイシスター。さぁ、決めようぜ? 支配される側をっ!」



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