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おいでませ、人魚ちゃん  作者: 琥珀 みつ花


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第一章:学校生活残り一年(3)


「お前、は?人魚ってあの伝説の人魚のことか?上半身人間で下半身が魚の人魚のことか?」


人魚の存在は知っている。それは御伽噺にでてくる存在であって、友達の恋愛相談にでてくる存在ではない。ルイスが普通の女にここまでのめり込むことはないと思っていたが、まさかの人外である。


「そうだよ、物語にでてくる人魚のこと。綺麗な尾ひれが凄く幻想的だったなぁ」


意中のお嬢さんに思いをはせているのかウットリとした表情を浮かべるルイス。完璧だった友達が跡形もなく消え去ってしまったことが心苦しいのか眉間にしわを寄せて険しい顔をしているカーター。人魚が存在しており、その人魚を嫁(次期王妃)にしようとしていることにお手本のように驚いているライアン。リアクションの差で風邪をひきそうだ。


「意中のお嬢さんが人魚であることはわかったが、そのお嬢さんを嫁にするのは正直言っていばらの道だぞ。こんなことを言うのは心苦しいが正妃を国内の貴族にして側妃にした方が簡単なのはわかっているよな?」


国が絡む問題、しかもこのマーレリア帝国だけでなく、お相手である人魚のお嬢さんの国をも巻き込む事態になるのだ。

確かに幸せな夫婦生活を送るにはお嬢さんの気持ちの有無以前に国の整備からしなくてはならない。嫁として娶るまでにどのくらい時間が必要になるかもわからない上、下手をすれば失敗してルイスとお嬢さんの双方に危険が及ぶ可能性もあるのだ。


「僕が人魚を好きになったことは信じてくれるの……?」


重たくなった雰囲気の中、ルイスは少し震えた声で俺たちに問いかけてきた。揺れる視線、震える声、ルイスは恋をしたことで少し人間らしくなったようだ。今まで浮世離れしているせいで神聖視されてきたルイスのこの変化が何だか嬉しかった。


「お前がそんな噓をつくとは思っていない、お前らだってそうだろ?」


「まあな」


「人魚がいること、俺も信じるよ」


カーターとライアンに問いかければ、二人とも即答した。カーターはまだ険しい顔をしているが、それでも否定はしなかった。


「ありがとう。あの子と結婚することが難しいことは理解している。でも、あの子じゃないといやなんだ。初めてこんなに必死になっている。絶対に忘れられない、あの子じゃない女の子と結婚しても子供なんて作れない。こんなこと相談できるのは君たちしかいないんだ。頼む、協力してほしい」


あのルイスが俺たちに深々と頭を下げた。友達といえど頼み事をされたのは初めてのこと。だって、完璧で何でも一人でできてしまうし、この男は結局のところ王族だ、国の一番上に立つ人間だから頼み事ではなく相手の拒否なんて関係なく命令に近い形で依頼してくる。だから本気であることがわかった。どうか助けてほしいと必死に足掻いていた。

困難が待ち受けていることなんて想像たやすいのに、こんなの拒否する方が無理に決まっている。


「わかったよ、協力する」


「しゃーねーな、俺も協力する」


「俺も協力するよ」


力になるという言葉にルイスは子どものような無邪気でくしゃりとした笑みを浮かべた。今まで見たことがない笑顔に「愛」で人が変化しうるのだと関係ないことを思う。


「さて、腹を決めたからには全力で国を手中に収めますか」


やる気に満ち溢れているせいか体まで熱くなってきた。シャツを腕まくりしながら少し前のめりになって三人を見る。


「そうだな、やるからには最高の結果にしてやるよ」


いつものテンションにもどったカーターもどこか楽しげな様子で腕まくりをした。ニヒルな笑みがよく似合う。


「俺、人魚と一緒に海水浴したい」


ライアンはいつも通り大変自由な思考回路をしている。でもわかる、俺も海でどっちが早く泳げるか大会をしたい。


「恩に着るよ、まず必要なのは問題点の整理かな、計画を立てるためにも闇雲に動くのは駄目だから」


ルイスの言葉に俺たちは頷く、腕組をして首を傾げながら考えるがスケールが大きすぎてどこから手を付けようか状態だ。

ここには王族二名と騎士団長の息子、宰相の息子がいるが所詮は次世代の権力者、教育は受けているがこの規模の案件を最初から俺たちだけではハードルが高い。

しかも、実在すら公になっていない国との同盟をするとなると相手方の国の主要人物とのパイプが必要になる。鍵になるのはルイスの意中のお嬢さんしかいない。


「まずは海底の国のお嬢さんに協力してもらえるかで今後の計画が全部変わるだろ。国の方針に口を出せるお偉いさんを紹介してもらうことが可能かどうかでハードモードがベリーハードモードになる可能性がある」


もしお嬢さんが「はわわ、家族とも仲が悪いし、知り合いもいないの!」というタイプならスキューバダイビングをして海底の国にダイナミックお邪魔しますをしないといけなくなる。陸地でないことがこんなにも痛手になるとは。


「確かにな、今日の夜も会うんだろ?そこで人を紹介してもらえるか確認してくれ」


「くれぐれも絶対に決して嫁にすることは言わないでね!国益とか交友を広めるために海底の国と同盟になりたいでゴリ押ししてね!頼むから!」


カーターの言葉に補足をするライアンは必死だった。間違いない、出会って一日で名前も知らない野郎から「君を嫁にするために同盟を組むことを企んでいるんだ、偉い人を紹介してくれないか」と言われたら「にんげんこわい」になるだろう。

海底の国はきっと陸上はとんでもない生き物の住処と誤解をして人間と関わるのはやめようになる。ルイスの恋路はそこで終了だ。


「そうだね、まずは今夜あの子に人を紹介してもらえるか確認してみるよ。後、好きな女の子だよ?優しく丁寧に重くならないように接するに決まっているだろ。王太子とばらしても結婚するってなるくらい惚れさせるまで猫を被る。惚れさせてから徐々に本性をみせつつ、雁字搦めにして、絶対に逃がさない。駆け引きなんて生温い」


俺が知っている恋と違う。意気込み方が戦争へ出兵する兵士のようだ。え、俺も好きな女の子ができたらこうなってしまうのだろうか、それは嫌だ、絶対に反面教師にしてやる。


「その、洗脳とかは駄目だからな?」


「しないよ、あの子の意思で好きになってもらわないといけないし、洗脳はとける」


怖いよぉ。目がキまっているよぉ。会話がかみ合っているようでいないよぉ。昨日の一時間で何のお話をしたの?知りたいけど知りたくない。本当にこの恋路を応援していいのか考えさせるような言葉はやめてほしい。

カーターとライアンは震えながら抱きしめ合っていた。俺も混ぜてくれよ。隣にいる狂人とは触れ合いたくない。


「なら今日はここまでにして明日また話そう。一晩で各々問題点を考えることにするか」


こうして俺たちは「ルイスの嫁捕獲大作戦〜海の底だろうと絶対に逃がさないからな〜」をスタートさせた。倫理的にスタートしていいかは視線を逸らしておこう。



読んでいただきましてありがとうございます。


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