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おいでませ、人魚ちゃん  作者: 琥珀 みつ花


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第二章:始めまして人魚ちゃん(7)


第一関門突破した記念でちょっとお高い(学生の金目線)ぶどうジュースで乾杯をした。お前たち王族と名家の息子だろという心の声はシャットダウンした。

多分第二関門である国王陛下・王弟殿下・宰相・騎士団長より第一関門の方がハードルは高かったはずだが、第一関門のハードルが高すぎるだけで第二関門も決して低くはない。

ぶっちゃけ本格的な弁論対決になった瞬間詰む。負ける可能性の方が高い。

いい感じのグラスに注がれたぶどうジュースをかっこつけながら飲むが、話している内容は「お父さんに負けないもん!」なのでクソダサい。


「いや、ガチでどうする?ぬるっとした話の切り出し方をすれば言いくるめられて負ける可能性がある」


できることなら戦いたくない相手なので中々いい解決策がでてこない。多分脳みそが拒否している。頑張ってくれよ。


「つまりファーストインパクトが必要ということか」


「あの四人が驚くファーストインパクトなんてあるかな」


ルイスもカーターも顎に手を当てて深く悩みだす。

重たい空気を切り裂くようにカーターがシュパッと手を挙げた


「閃いた」


その顔は危険なやつだと頭の中で警戒アラートが鳴り響く。恐らく最高の閃きであり、同時に自分たちにも刃が向けられる最悪のアイディアに違いない。


「お願い、閃かないで、頼むから……」


「お前ら耳かせ」


悲痛な願いは全員にスルーされた。

四人しかいないので小声になる必要がないのに野郎たちがゼロ距離になってひそひそ話をする地獄がここにあった。

作戦も地獄が濃縮されている中々に最悪な作戦であった。失うものが多い悪魔の閃き。

なのにライアンとルイスまでもが賛成した。本当にいいの?やめようよ!

俺の必死の抵抗など誰も聞いてくれない、やっぱり三対一になるじゃないか!少数派の意見も大切にしてください!どんなにごねても聞いちゃくれない。


ルイスが颯爽と部屋から出ていき、どうやら国王陛下の執務室に行ったらしく「明日の夕方、話聞いてくれるみたい!」と元気に帰ってきた。

行動が早い、全体的に生き急ぎすぎだ。

明日は頑張るぞー!と大会前の部活動のような掛け声をして本日は解散となった。




「あの、父上、一つ相談してもよろしいでしょうか」


仕事から帰ってきた父上と共に家族全員で夕食を食べた後、俺は話を切り出した。

父上は俺の顔をいい感じに渋くしたダンディなイケてるおじさんだ。将来はこんな顔になりたいと内心思っているが心の中で思うだけで絶対に口には出さない。というか遺伝的にそうなるはずだから願う必要もないのかもしれない。


余談であるが弟は母親似の綺麗系の女顔をしており、体の線も細い。従姉のドレスを借りて女装をして何人の男が舞踏会で吊り上げられるかを試したところ弟は逆ハーレム状態になっていた。なんで野郎が野郎にハニートラップもどきをかけられるのか。俺は引いたけど従姉は大爆笑していた。その後、我が家にいないはずの娘宛に求婚の手紙が山ほど届いて両親に絞められたのは辛い思い出。

噂では弟が妹ではないと知っても諦めないやつがいるらしい。「絶対に女にさせてやる!」と叫ばれたと深刻な顔をした弟に報告された。性転換の方なのか、メス堕ちの方なのか解釈は様々であるが、まぁ、その、なんだ、頑張ってほしい。


閑話休題。俺が深刻な顔をしているせいか、ワインを飲んでいい感じにほろ酔いの父は顔をしかめたが知ったことではない。宰相の仕事で疲れているのかもしれないが、今日心構えをした方が明日の息子たちの奇行に備えられるはずだ。


「なんだ、明日の話のことか」


国王陛下から既に話が伝わっているらしい。話題は明日のことであっているので自信なさげに頷いた。

珍しく俺の不安気な顔を見てか父上は鼻で笑い、「話してみろ」と素っ気なく言う。普段はスパルタな鬼の権化のような人だが、何だかんだ困った時には相談に乗ってくれるのだ。

ここで「野郎のツンデレは需要がないです」と言えば窓から放り投げられることはわかる。


「具体的な内容は明日お伝えしますが、その、カーターが無茶を言ってルイスとライアンが賛成して止められない状況です。どうすれば止められるでしょうか」


今から胃痛を感じている俺に父上は死んだ顔になった。どうやら身に覚えがある状況らしい。何だか俺が父上の年齢になっても死んだ顔をすることがあるよ、と言われているようで嫌だ。


「俺もそんな時があった、王族の人間は止めても腕を振り払って突き進む。何度も経験して操縦方法を覚えるしかない。操縦方法を覚えるまでは技量不足だと思って腹をくくり一緒に無茶をしろ。そして、権力には敵わないのだから諦めも肝心だ」


ありがたいお言葉をいただいた。どうやら父上は凄い境地にいるらしい。尊敬はするが、そうなりたくはない。

ただあの父上の淀んだ目に俺では考えられない経験をしたことが伺える。


「父上って凄いんですね……」


しみじみと呟く俺に余程のことかと労うように肩をポンと叩かれた。


「応援している」


そう言えば話は終わりだと私室へと向かわれた。応援されちまったぜ、なら全力でやるしかない。もし明日の夜に叱責を受けたら「ふぇーん、きのうおうえんされたもん!」と五歳になってやろう。

明日は全力で挑めるよういつもよりちょっと早く寝た。






さぁ、やってきました、王の間。俺たちの勝負所。きっと今日のことは語り継がれると思うと窓から飛び降りたくなるがここまで来たのだ、やるっきゃない。

どうして他の三人は「俺余裕だし?」みたいなカッコイイ面で歩けるのか。俺は死地にいく心持ちだ。


「さて、お前たち、話を聞こうじゃないか」


王座に座る国王陛下、その横には王弟殿下と騎士団長、そして父親である宰相がこちらを値踏みするように立っていた。

対して俺たちは四人横並びで立っており、国王陛下の言葉に反応するようにルイスが一歩前に踏み出した。


「海底にある人魚の国であるアトランタと同盟を組みたいです。そして、そのアトランタにいる人魚のお嬢さんと婚約したく本日は伺いました」


驚くというよりは険しい顔をする四人に俺はヘレナリアさんとの打合せ結果をまとめた資料を国王陛下から順に手渡していく。

パラパラと資料を確認しだす国王陛下たちにルイスは口ごもることなく話を進める。


「すでにアトランタの重鎮と母上と姉上には話をしており、姉上には賛成を、母親からは賛成も否定もしないと言われています」


険しい顔は相変わらず変わらない四人、王の間に広がる空気感はあまり良いものではない。

さぁ、ここで作戦決行だと俺たちは視線を合わせて頷いた。パッションの差を見せつけるんだ!全てパッションで解決してやる!


「父上たちが納得してくれるまで僕たちは止めませんから!」


ルイスが声高らかに宣言をした次の瞬間、俺たちは床に座り込み、フカフカの絨毯に寝転がって腹から声を出して叫んだ。心の底から叫んだ。声が枯れるなんて関係ないと叫んだ。


「や~だ~!絶対!人魚の!メディーナと!結婚する!い!や!だぁあああ!」


「いいって言ってくれないとやだぁぁぁ!」


「いいって言ってくれないと止めないからなぁぁぁ!」


「俺たちだってこんなことしたくないぃぃぃ!」


映像が乱れています。暫しお待ちください。



読んでいただきましてありがとうございます。


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