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オープニング

(画面には、宇宙空間に浮かぶ歯車や設計図、パルテノン神殿、イングランド議会議事堂、激しい戦闘シーンなどが次々と映し出され、やがて「歴史バトルロワイヤル」のロゴが浮かび上がる。荘厳かつリズミカルなテーマ曲が流れる)


あすか:(柔らかな微笑みを浮かべ、カメラに向かって)「皆さん、こんばんは。そして、ようこそお越しくださいました。私は『物語の声を聞く案内人』、あすかです。」(クロノスをそっと胸の前に掲げる)「この『クロノス』と共に、今宵は皆様を、歴史の叡智が交差する特別な場所へとご案内いたします。」


あすか:「ここは、時空を超えた議論の場、『歴史知のコロッセオ』。今宵お集まりいただいたのは、それぞれの時代で国家のあり方を深く問い、その『ルール』を描こうとした、方々です。」(対談者たちが座るテーブルに視線を送る)


あすか:「テーマは『理想の政治体制』。人類永遠の課題とも言えるこの問いに、彼らはどのような答えを示すのでしょうか…?さあ、ご紹介いたしましょう。」


(あすかがクロノスを操作すると、テーブルの一角に座るペリクレスに柔らかなスポットライトが当たる。クロノスには古代アテネの風景とペリクレスの肖像が映し出される)


あすか:「まずは、遠く紀元前の世よりお越しいただきました。古代アテネの黄金時代を築き上げ、市民による直接民主制を導いた偉大なる指導者…ペリクレス様です!」


ペリクレス:(威厳のある落ち着いた声で、軽く会釈し)「招きにあずかり光栄だ、案内人のあすか殿。そして、異なる時代の指導者、思想家の諸君。アテネ市民の名において、この場に臨むことを誇りに思う。」(他の対談者に視線を送る)「諸君の時代の統治についても、学ぶところが多いと期待している。」


あすか:「ペリクレス様、ありがとうございます。その雄弁、今宵も楽しみにしております。…続きましては、近代の扉を開いた17世紀イングランドよりお越しのお二人です。」


(スポットライトがジョン・ロックに移動。クロノスにはイングランドの風景とロックの肖像、著作『統治二論』のイメージが表示される)


あすか:「社会契約論、自然権、そして抵抗権…その思想は後の世に計り知れない影響を与えました。近代自由主義の父、哲学者ジョン・ロック様!」


ジョン・ロック:(穏やかな表情で、丁寧に頭を下げる)「ご紹介痛み入ります、あすか殿。ジョン・ロックです。このような錚々たる方々と席を共にできるとは、望外の喜びです。」(特にホッブズに軽く視線を送り)「…特に、すぐ近くの時代を生きたホッブズ殿の著作は拝読しております。直接お話を伺えるのは、実に興味深い。」


あすか:「ロック様、ありがとうございます。理知的な議論、期待しております。…そして、ロック様と同じく、激動の17世紀イングランドを生きた、もう一方の巨人です。」


(スポットライトがオリバー・クロムウェルに移動。クロノスには清教徒革命の戦闘シーン、議会の様子、クロムウェルの肖像が表示される)


あすか:「王政を打ち破り、共和制を樹立。しかし、その道のりは平坦ではありませんでした。イングランド革命を駆け抜け、護国卿として国家の秩序を模索した指導者、オリバー・クロムウェル様!」


オリバー・クロムウェル:(鋭い眼光で、短く、力強く頷く)「オリバー・クロムウェルだ。…理想と現実は異なる。この身が経験した嵐のような時代が、諸君の議論の、何かの役に立てば良いが。」(ペリクレスにやや挑戦的な視線を送る)「…古代の民主制とやらが、いかなるものか、興味がなくはない。」


あすか:「クロムウェル様、その重いお言葉、心に刻みます。ありがとうございます。…さて、最後にご紹介する方も、同じく17世紀イングランドに生きた思想家です。」


(スポットライトがトマス・ホッブズに移動。クロノスにはリヴァイアサンの挿絵、戦乱のイメージ、ホッブズの肖像が表示される)


あすか:「『万人の万人に対する闘争』…その衝撃的な人間観から、絶対的な主権による秩序の必要性を説いた、『リヴァイアサン』の著者、哲学者トマス・ホッブズ様!」


トマス・ホッブズ:(冷めた表情で、簡潔に)「トマス・ホッブズ。…無用な美辞麗句は好まぬ。人間とは何か、国家とは何か、その冷厳な現実を語りに来たまでだ。」(ロックを一瞥し、ふんと鼻を鳴らす)「…自然権だの抵抗権だの、甘美な言葉に惑わされては、結局、悲劇を繰り返すことになる。」


あすか:(一瞬、ホッブズの言葉に空気が引き締まるのを感じつつ、微笑みを崩さずに)「ホッブズ様、ありがとうございます。その揺るぎない視点、議論を深めてくださることでしょう。」


あすか:「皆様、改めてご紹介します。ペリクレス様、ロック様、クロムウェル様、ホッブズ様。今宵、この4名が、国家の設計図を巡り、その信念と哲学をぶつけ合います!」(スタジオ全体を見渡す)


あすか:「それでは、早速始めましょう。最初の問いかけです。【ラウンド1:我々はなぜ国家を必要とするのか?人間の本性とは】…皆さんは、国家なき状態、いわゆる『自然状態』を、どのように想像されますか?そして、そこに生きる人間とは、本来、どのような存在だとお考えでしょうか?」


あすか:「まずは…そうですね、この問いに対して、最も明確なヴィジョンをお持ちであろう、ホッブズ様、いかがでしょうか?」


(ホッブズが冷徹な目で、ゆっくりと口を開くのを、他の3名がそれぞれの表情で注視する。スタジオに緊張と期待が入り混じった空気が満ちる)

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