冒険者の友達、盗賊一味を相手に華麗に颯爽する。
side SALISHA。
その少女は小さく結んだ茶髪をし、このセトランドの地には似合わない小麦肌をしていた。
その少女の右手と左手には二対の剣を握り締めながら、目前には自身に向かって襲い掛かる7人の賊達を相手に、少女は華麗に舞い踊った。
盗賊A「ぐああっ!!」
眼にも見えぬ速さでアタシは右の剣で盗賊を下から上へと斬り込む、背後からもう1人、剣を持った盗賊がアタシに向かって斬り掛かる。
盗賊B「貰ったぁ!!」
背後からの不意討ちの斬撃がアタシに振り下ろされる最中、アタシは一回転だけ廻って背後からの盗賊の斬撃を避けると同時に左の剣で受け流しの体勢に入り込む。
サリーシャ「『戦舞術・荒魚の舞』!」
アタシは『戦舞術・荒魚の舞』で、後ろの盗賊の剣での斬撃を受け流すと共に体重を無視して、前方の盗賊目掛けて左の剣を器用に引っ掛けて投げ飛ばす。
この技術は相手の攻撃を受け流すと同時に体重を無視して投げ飛ばす事が出来るんや。
盗賊A&B『ぐはあっ!!?』
投げ飛ばされた盗賊はアタシがさっき斬り込んだ盗賊の方へと衝突し、そのまま白目剥いて気絶する。ああ、大丈夫、手加減しとるから失血の量な少なくしとるから。
兜割り{此奴っ!一瞬で2人も片付けやがった…鉄級の冒険者の速さとは思えねぇ!銅級…いや、銀級の上位各辺り、元冒険者の俺でも分かる、此奴は、此奴は!!}
盗賊{短剣}「素早しっこさが何だ!粋がりやがって!速さには速さ!俺に任せろ!!」
兜割り「なっ!おいっ!待て!!」
兜割りの呼び止める声を聞かずに、短剣使いは『加速』の技術を使って真っ向からサリーシャに斬り込もうと突っ込む、更に同時に左右から棍棒持ちと槍持ちが襲い掛かる。
盗賊{短剣}「幾ら脚が速くても、3人掛かりならぁ!!」
3人の盗賊は一斉に同時攻撃を繰り出す、しかし、其処にはアタシの姿は居ない。
盗賊{短剣}「き、消えただと!?」
兜割り「馬鹿野郎!下だ!!」
盗賊{短剣}「へ?」
短剣使いは下を見下ろすも、時既に遅し、突然と短剣使いは小屋の方へと吹っ飛ばされる。
盗賊{短剣}「げぼらぁっ!!?」
サリーシャ「これで3人っと、ほんじゃ次は…」
盗賊C「ひ、ひいいっ!!」
アタシは身を回転させながら、棍棒持ちの盗賊目掛けて、突っ込むと共に双剣での連続斬りを繰り出すも、棍棒持ちは棍棒を盾代わりに使って防御体勢に入りなから怯え出す。
盗賊D「こ、この餓鬼がぁ!!」
すると、アタシの背後から槍持ちが突っ込んで来るも。『反応速度』と『立体機動』の技術を重ね使った。回し蹴りを槍持ちの頭に繰り出す。
盗賊D「へぶっ!!?」
頭に大きなダメージ槍持ちを倒すと同時に、アタシは引き続き、防御中の棍棒持ちへの連撃を再び繰り出す、アタシの連撃に押し出されて行くと、棍棒が弾かれて防御が崩される。
盗賊C「なっ、ちょっと待__」
この機を逃さないアタシは『突撃』の技術を使った。追撃の蹴りを棍棒持ちの腹に深く放つ。
サリーシャ「そらあっ!!」
盗賊C「がはあっ!!」
モロに蹴りを腹に食らわせた棍棒持ちはそのまま後ろの木にまで吹っ飛ばされ、棍棒持ちはそのまま背中から強く打って気絶する。
サリーシャ「……ふぅ、これで5人っと!?」
その時、アタシの視界の外から鎖が飛び出し、アタシの右腕を何重かに巻き付き、絡ませる。
盗賊{鎖}「おいっ!絡ませたぞ!!」
兜割り「良くやった!そのまま力で抑えとけ!!幾ら素早くても身体の自由を奪えば此方の物だ!!」
彼の吼え声が森の中に響き渡るや否や、大柄な体が地を蹴った。斧を大きく振りかぶり、アタシの頭上から真っ直ぐに振り下ろす――
重い一撃が空気を切り裂き、風圧だけで周囲の木々がざわめく。
兜割り「食らえ!!『殴打術・兜割り』!!」
兜割りの巨大な斧が、地面を抉るように叩きつけられた。
ドゴォォン!!
土煙が爆発的に舞い上がり、霧の谷の朝の静けさを切り裂く。衝撃波が周囲の木々を震わせ、落ち葉が渦を巻いて飛び散った。斧の刃は深く地面に食い込み、地面が砕け散るほどの威力だった。
――だが、攻撃の歯応えは、確かにあった。
煙がゆっくりと晴れていく。
そこに立っていたのは、真っ二つに斬り裂かれたサリーシャの姿――だった。
しかし、その体は突然、泡と化し、水のようにドロリと崩れ落ち、地面に広がる水溜まりとなって消えた。残ったのは、わずかな水滴と、霧に混じるかすかな水の匂いだけ。
兜割り「……!?」
彼の目が見開かれる。斧を握る手が、わずかに震えた。
兜割り「な……何だ、今のは……!?」
サリーシャ「水防御魔法『泡分身』や。」
兜割り「っ!?」
その声が響いた瞬間――
サリーシャの本体が、兜割りの真横から現れた。鎖使いは鎖を引き戻しながら、かすれた声で唸る。
鎖使い「……『泡分身』。確か、中級の水防御魔法。実体を泡で作り、攻撃をすり抜ける……。くそっ、完全に騙された!!」
危なかった〜。あの時、あの鎖使いが鎖を投げ放とうとしとったから、巻き付く寸前に『泡分身』でアタシの分身を身代わりにして、兜割りの背後に周り込んで正解やったわ。
そして、アタシは既に双剣を逆手に構えながら、次の攻撃をアタシは仕掛けた。身を軽やかに揺らしながら、右の双剣で兜割りの脇腹を狙い斬る。
サリーシャ「隙だらけやで!」
シュッ!
刃が空気を切り裂き、兜割りの脇腹に浅く、しかし確実に傷を刻む。血が噴き出し、彼の体が大きくよろめいた。
そのままアタシは双剣を交差させ、兜割りの巨体に向かって一気に間合いを詰め、朝の冷たい空気を切り裂くように、アタシの体が加速させる。
サリーシャ「『双剣術・重十文字』ぃ!!」
右の剣が兜割りの右肩を狙い、左の剣が左脇腹を薙ぎ払う。十文字の軌跡が霧を裂き、鮮やかな血飛沫が朝の光に映える。
兜割り「ぐおおおおっ!!」
巨漢の体が大きく仰け反り、斧を握った右手が力なく地面に落ちる。深く抉られた傷口から血が噴き出し、彼は膝をついて崩れ落ちた。斧の柄が地面に転がり、鈍い音を立てるも、兜割りと鎖使いはゆらりと立ち上がる、どんだけタフやねんホンマに。
サリーシャ「何や何や?最近の盗賊と言うんは意外に諦め悪いんやな〜。」
挑発じみた発言を言いながら、アタシは攻撃魔法の発動体勢に入る。
兜割り「こんな事があってたまるかぁ!!」
盗賊{鎖}「こ、この餓鬼ぃ!!もう一度絡めてやらぁ!!」
鎖使いは再びアタシ目掛けて鎖を投げ放つ、今度はアタシの胴体を巻き付こうとしとるけど、遅すぎや。
サリーシャ「水属性攻撃魔法『水大砲』!!」
アタシは攻撃魔法『水大砲』で残り2人の盗賊目掛けて3発連続で撃ち出す。
――シュパァァン!!
高圧の水流が、まるで大砲の砲弾のように3連続で放たれた。
最初の1発は兜割りの胸板を直撃。巨漢の体が後ろへ吹き飛び、地面を抉りながら転がる。重い鎧が軋む音と、骨が軋む音が混じり合った。
兜割り「ぐおおおっ!!」
2発目は鎖使いの鎖を絡め取るように狙い、水流が鎖を巻き込みながら男の胴体を直撃。鎖が絡まったまま、鎖使いの体が宙を舞い、木の幹に激突して崩れ落ちた。
鎖使い「がはっ……!?」
放たれた3発目が兜割りに向かって来た瞬間、兜割りは意地を張ったか、斧を大振りして水の砲弾を縦に真っ二つに両断するも、両断した間の視界から、サリーシャが此方に突っ込んで来る事に気付いた兜割りは自ら、
兜割り「やらせるかぁ!!炎属性攻撃魔法『炎大砲』!!」
サリーシャ「!」
兜割り「このまま焼け死にやがれぇ!!」
兜割りの左掌から赤い魔法陣が出現すると同時に炎の砲弾がアタシ目掛けて放たれる、けど__
サリーシャ「『水大砲』!!」
アタシは『水大砲』を1発だけ放ち、相手が放たれた『炎大砲』と相殺させ、爆発と共に視界を塞ぐ程の蒸気の霧を生み出す。これなら流石の兜割りも動けは__
兜割り「うおおおおおおっ!!」
その時、蒸気の中から、兜割りが飛び出して既に向けて『技術』の発動体勢に入っていた。
兜割り「盗賊に堕ちたとは言え、俺は金級3位の実力持ちだ!!こんな格下の餓鬼如きに、この俺が殺られるかぁ!!『兜割り』ぃ!!」
サリーシャ「なら、アタシも此処で決めたるわ!!『属性付与』!!」
アタシは『属性付与』を発動させ、自身の双剣に水属性を付与させると共に技術発動の構えに入る。
兜割り「死ねぇぇぇ!!」
斧が振り下ろされる、この時を待ってたで!!
サリーシャ「『双剣術・逆波』ぃ!!」
アタシは『兜割り』が来る直前に『逆波』で防ぎ、右の剣で受け止めると同時に左横へと受けさせ相手の体勢を崩させる。
兜割り「しまっ…!!」
サリーシャ「お次は『瞬速』!反撃の『霞千閃』や!!」
眼にも見えぬ瞬速の速さでの『霞千閃』を繰り出す。
兜割り「ぬああああっ!!」
サリーシャ「そして最後の…『重十文字』やぁ!!」
サリーシャの双剣が、霧の中で水の残光を残しながら交差する。
右の剣が兜割りの右肩を深く抉り、左の剣が左脇腹を薙ぎ払う。十文字の軌跡が鮮やかな血飛沫を撒き散らし、兜割りの巨体が大きく仰け反った。
兜割り「ぐおおおおおっ!!」
重い鎧が軋む音が響き、巨大な斧が力なく地面に落ちる。兜割りの両腕がだらりと垂れ下がり、膝が折れた。血が地面に広がり、朝の霧に赤い染みが滲む。
兜割り「ううっ…。」
盗賊{鎖}「………。」
汗と霧で濡れて重そうに揺れる、少し。アタシの周囲には、すでに戦闘不能となった7人の盗賊が転がっていた。
アタシは双剣を後ろ腰の鞘に収め、倒れた盗賊達の鎧、左腕に結び巻かれた赤いバンダナを見下ろす。
王冠被りの4つ足蛸の黒蛸。
やっぱ、この盗賊達…。『オクロック商会』に雇われたようやな…。出立当日の日に起きたトリスティアでの事とも良ぇ、今回の事と良ぇ、一体、王都には何処まで奴等の蛸足が絡められとんねん。
サリーシャ「まあええ……。さて、さっさとセレナっち達の元へと戻りますかいな。」
サリーシャはセレナ達4人の元へと戻ろうと、この場を去ろうとする。
その最中、サリーシャは気付いていないのか、兜割りは全身に痛みを感じながらも、ゆっくりと立ち上がると共に目前に落ちていた自分の大斧を右手で掴み取りながら、サリーシャを見つめ激昂した。
兜割りは血を滴らせながら、ゆっくりと立ち上がった。
巨大な斧を右手で掴み直し、左腕をだらりと垂らしたまま、よろめく足で一歩、二歩と前へ進む。
鎧の隙間から血が流れ、地面に赤黒い染みを作っていく、それでも、彼の瞳は燃えていた。
怒りと、屈辱と、そして――まだ諦め切れない執念が。
兜割り「……ふざけ……んな……!」
声は掠れ、息も絶え絶えだった。
だが、その一言に込められた殺意は、霧の谷の冷たい空気を切り裂くほど鋭かった。
兜割り「この俺が……『兜割り』が……こんな餓鬼如きに……やられるわけが……ねぇ!!」
彼は最後の力を振り絞り、巨大な斧を高く振り上げた。既に自分はもう戦闘不能な状態なる程に傷ついているはずなのに、右腕だけはまだ動いた。
いや、動かさざるを得なかった。
もし此処で倒れれば、自分が築いてきた筈の『強者』の看板が、全て崩れ落ちるからだ。
兜割り「死ねぇぇぇぇ!!『投擲術・手斧投げ』ぇ!!」
大斧が手裏剣の様に縦に高速回転しながらサリーシャに向かって襲い掛かる。
迫り来る、投擲された大斧に気付いたアタシは直ぐに避けようした。しかし、右足が動けなかった。一体どないして…。
サリーシャ「なっ!?」
アタシの視界が一瞬、凍りついた。
右足に絡みついた鎖が、地面に深く食い込み、アタシの動きを完全に封じていた。
鎖使いは血まみれの顔で、歯を剥き出しにして笑っている。鎖の先端は、彼の右手でしっかりと握られていた。
鎖使い「へへへ……!甘いんだよ、餓鬼……!お前みたいな小娘に……俺がやられるわけねぇだろぉ!!」
鎖がガチャリと鳴り、さらに締め上げる。サリーシャの右足首が軋み、骨が悲鳴を上げるような痛みが走った。
サリーシャ「……っく……!」
彼女は歯を食いしばり、左足に力を込めて体を捻ろうとしたが、鎖はまるで生き物のように彼女の動きを封じ込める。
その隙に――投擲された大斧が、霧を切り裂いて迫っていた。
兜割り「終わりだぁぁぁ!!」
巨大な斧が縦回転しながら、凄まじい速度でアタシの頭部を狙う、朝の陽射しが刃に反射し、鋭い光の線を引く。
避けられない。
鎖に足を封じられた今、真正面から来る大斧を、完全に躱すことは不可能だった。
アタシは条件反射で眼を瞑ってしまう、アカン、もう駄目や…。バー姉、後の事は…__
ガキィィィン!!!
………。
………あ、あれ?
アタシ、斧に刺さられて死んでない?一体何が起きとるんや?
セレナの声『……何とか、間に合った見たいね、サリーシャ。』
サリーシャ「!」
この声を聴いて眼を開けると、其処には、魔力の炎の盾で防いでくれた。セレナっちの姿があった。
side out




