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【祝合計PV3万突破!】推しの乙女ゲームの悪役令嬢に転生するも攻略キャラが全員ヒロインなのが間違っている!?  作者: 二代目菊池寛
2章。悪役令嬢、冒険期編。

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悪役令嬢、冒険者の友達と共に盗賊退治を決行する。

サリーシャが去って暫くした後。

私は深呼吸して、ゆっくりと馬車の方へ戻った。心臓がどくどくと鳴っている。霧が少しずつ濃くなり、視界が狭まっていく。


馬車の近くでは、セラフィナさん達が干し肉を食べ終え、準備を始めていた。ガルバルは御者台でそわそわしながら、周囲を見回している。


セラフィナ「セレナちゃん、サリーシャは? ……まだ戻ってないの?」


私は少し息を切らしたフリをしながら、馬車の側に駆け寄った。


セレナ「セ、セラフィナさん!……サリーシャが……森の奥で迷子になったみたいで……!」


その言葉に、馬車の中が一瞬静まり返った。


シンシア「えっ!?迷子!?」


ロザリー「どうして……!?さっきまで一緒だったのに……。」


セラフィナさんは直ぐに立ち上がり、腰の細剣に手をやりながら私を見た。紫の三つ編みが、朝風に揺れる。


セラフィナ「……迷子?サリーシャが?あの子、そんなミスするタイプじゃないけど……。」


彼女の瞳が鋭く細められる。私は慌てて言葉を続けた。声が少し震えてしまう。


セレナ「それがその。……お花摘みに連れてかれた後、急に奥の方へ行っちゃって……。呼び掛けたら、姿が見えなくて……!」


すると、ガルバルが御者台から身を乗り出し、慌てたように言った。


ガルバル「お、おいおい!ちょっと待てよ!迷子ってマジかよ!?霧の谷の入り口だぞ、ここ! 魔物の気配も濃いってのに……!」


彼の声に、明らかに焦りが混じっている。額にまた汗が浮かんでいる。セラフィナさんはガルバルを一瞥し、すぐに私に向き直った。


セラフィナ「……分かった。皆、一旦馬車から降りて。これからサリーシャを探すわ。セレナちゃん、どの方向に行ったか分かる?」


セレナ「え、えっと、はい……あっちの方、木々が密集してる方です!」


私は指で、さっきサリーシャが消えた方向を指した。セラフィナさんは頷き、シンシアさんとロザリーさんに目配せした。


セラフィナ「シンシア、ロザリー、弓と槍を構えて。……ガルバル、あんたは馬車に残ってて。万が一の時の逃げ道を確保しといて。」


ガルバルは一瞬、顔を強張らせた。


ガルバル「……な、何言ってんだよ?お、俺も手伝うぜ?案内役なんだからよ。」


セラフィナ「いいえ。……あんたはここで待機。……何かあったら、一応馬車で逃げる準備だけしといて。安全とは言え、魔物が潜んでる可能性だってあるから。」


その言葉に、ガルバルの表情が一瞬歪んだ。でも、すぐにいつもの嘲るような笑みに戻る。


ガルバル「……わ、分かったよ。けど、女共だけで大丈夫か?」


セラフィナは冷たく一瞥し、私の手を取った。


セラフィナ「セレナちゃん、一緒に来て。……サリーシャの魔力とか、追える?」


セレナ「は、はい……!」


私たちは馬車を降り、霧の谷の奥へと進み始めた。セラフィナさんが先頭、シンシアさんとロザリーさんが両脇、私が3人の後ろからついていく。


ガルバルは御者台に座ったまま、じっと私たちの背中を見送っていた。左腕の赤い布が、朝の薄い光に不気味に揺れていた。





暫くして、1人馬車にて待機したガルバルは御者台の木枠を右拳で叩きつけ、歯を食いしばって低い声で唸った、叫んだ。朝食の次はお花摘みから起きたまさかの迷子、次から次へと予想外な事が起きて。


ガルバル「……糞っ、糞っ、糞ぉっ! 何だよこれ……!朝飯だの花摘みだの迷子だの……ふざけんなよ!」


馬車の周囲は霧がさらに濃くなり、視界が数メートル先までしか効かない。馬は不安げに鼻を鳴らし、蹄を地面に軽く叩いている。ガルバルは左腕の赤い布を無意識に握りしめ、額の汗を乱暴に拭った。


ガルバル{……予定が狂った。完全に狂っちまった。最初にセラフィナが『朝食』何て言い出した時点は兎も角、まさかこの場に留っちまう何て……。しかも今度はあの橙髪のガキが迷子だとぉ!?まさかセラフィナの奴、俺の顔色見てニヤついてたんじゃねぇだろうな……。}


不味いと思ったガルバルは御者台から降りて、急ぎ森の中へと入って行った。ガルバルはまるで道を知ってるかの様に移動する、セラフィナ達4人の方角では無く、谷壁の左の曲がり角の方角へと駆け出す。


ガルバルは焦りのせいか、気付いていないのか、彼の後ろの茂みからサリーシャがひょこっと現れ、ガルバルを尾行する。


サリーシャ{…さ〜て、どないな化けの皮が剥がれるか、見させて貰うで〜。}


谷の半分地点辺りの森林に、小さな小屋へと駆け出すガルバルは辺りを見渡しながらノックをすると、布のローブを纏った鎧を着た男達が現れる。


小屋から30m先の木の陰に隠れたサリーシャはひょこっと顔を出して覗き込みながら、会話を盗み聞きする。


ガルバルは小屋の扉を乱暴に叩き、息を切らしながら低い声で合言葉を吐き出した。


ガルバル「……く、黒蛸4足、闇夜の潮に深く沈む!!」


扉がゆっくりと開き、中から黒いローブを纏った3人の男が姿を現した。顔の下半分を布で覆い、目だけが冷たく光っている。1人は腰に短剣を差した細身の男、もう1人は肩に斧を担いだ大柄な男、最後の1人は手に細い鎖を巻いた瘦せた男だ。3人共、明らかに戦闘慣れした雰囲気だった。


大柄の男が低い声で唸るように言った。


大柄の男「……遅ぇぞガルバル!!予定よりも時間が遅れてるじゃねぇか!?どう責任取るんだ!!」


ガルバルは息を切らしながら、額の汗を乱暴に拭った。朝の霧が濃く立ち込める中、彼の声は低く、苛立ちを隠しきれていない。


ガルバル「…わ、悪ぃ、ちょっとしたトラブルだ。セラフィナが突然『朝飯だ』。餓鬼が『お花摘みだ』って言い出して……その上、花摘みに行った筈の餓鬼が迷子だとか何とかで女共が森に入っちまった。今、セラフィナ達が探しに行ってる最中だ。」


大柄の男――斧を肩に担いだローブの男――は鼻を鳴らし、ガルバルを睨みつけた。


大柄の盗賊「は?朝飯?花摘み?迷子だと?……お前、ふざけてんのか?そんな餓鬼みてぇな言い訳で遅れんじゃねぇぞ!もし予定通りなら、もうとっくに谷の奥で待ち伏せして、女共を袋の鼠にしてた筈だろが!」


細身の短剣使いが、冷たく笑いながら鎖を指で弄んだ。


盗賊{短剣}「そもそもガルバル、お前……本当に信用出来るのか?昨日ギルドで見た限りじゃ、セラフィナに完全に押されてたじゃねぇか。報酬の3分の1で手を打つなんて、情けねぇ交渉だぜ。」


ガルバルは歯を食いしばり、拳を握りしめた。


ガルバル「う、うるせぇ!彼奴等、予想外に警戒心が強ぇんだよ!特にセラフィナの野郎……『気配探知』の技術とか使って、周囲を常に監視してやがる。……それに、あの黒髪の新入り餓鬼……何だか分からねぇが、妙に落ち着いてて、眼付きが鋭ぇ。……何か、普通の白級冒険者じゃねぇ気がするんだよ。」


瘦せた鎖使いが、かすれた声で口を挟んだ。


盗賊{鎖}「……黒髪の小娘だと?……まさかと思うが、セトランドの城が送り込んだ直属の隠密か何かじゃねぇだろうな?」


大柄の盗賊が斧を地面に叩きつけ、地面が小さく震えた。


大柄の盗賊「隠密だぁ?笑わせんな!そもそも白級のガキがそんな大それた真似できるわけねぇだろ! ……どうせただの生意気な新入りだ。どうせ霧の谷に入ったら、泣き叫んで足手纏いになるだけさ。」


ガルバルは左腕の赤い布を無意識に握りしめながら、声を潜めた。


ガルバル「……ま、まぁ、そうだな。……兎に角、今はセラフィナ達が森に入っちまった。俺は急いで馬車に待機して、奴等が戻って来たら『見つからなかった』って言って、予定通り奥まで誘導する。……そこでお前らと奥に待機してるが奇襲をかける。それでいいだろ?」


大柄の盗賊はしばらくガルバルを睨みつけていたが、やがて肩をすくめて笑った。


大柄の男「……まぁ良い。どうせ女5人だ。餓鬼2匹もいるんだろ? 楽勝だ。……だが、ガルバル。お前がしくじったら、ただじゃ済まねぇからな。報酬の半分はお前のもんだが、逆に失敗したら……お前の首が飛ぶぞ。」


ガルバルは顔を強張らせながらも、すぐにいつもの嘲るような笑みを浮かべた。


ガルバル「へへっ、わ、分かってるよ。……し、心配すんな。俺がちゃんと誘導してやる、そして女共は袋の鼠だ。」


サリーシャは木々の陰からゆっくりと姿を現した。


橙色のミニポニーテールが朝の霧に濡れて少し重そうに揺れ、双剣の柄に置いた手は何時でも抜ける準備が出来ている、彼女は小屋の周囲を素早く見回し、馬の数を確認した。


――7頭。

馬車の馬が2頭、小屋の前に繋がれた荷馬車用の馬が3頭、そして裏手に隠された逃走用の馬が2頭。


つまり、人間は馬の数と同じく7人。

小屋の中にいる盗賊が3人、ガルバルを除いて合計7人、完全に一致する。


サリーシャ{……ふーん。7人か。馬の数も7頭。ぴったりやし。……ガルバルはん、ちゃんと報告しに来たんやな。}


彼女は息を殺し、霧の濃い木立の影に身を潜めたまま、小屋の会話をさらに盗み聞きする。

大柄の盗賊が斧を肩に担ぎ直し、ガルバルに吐き捨てるように言った。


大柄の盗賊「いいか、ガルバル。女共が戻ってきたら、直ぐに出発し、奥の谷のルートに誘導しろ、奥の別動隊と合流して直ぐ様に前後から挟み撃ちにする。……特にあの銀級の女剣士、セラフィナは厄介だ。最初に潰せ。」


盗賊{短剣}「へへ、餓鬼2匹は生け捕りにしようぜ。金になる。……特にあの黒髪は売れば値打ちは良いって言うからな。」


鎖使いが、かすれた声で付け加えた。


盗賊{鎖}「……仮にもし、万が一、抵抗されたら……餓鬼諸共殺しても構わん。だが、セラフィナだけは生け捕りにしろ。あの女は闇市場で高値がつく。『上』からのお達しだからな。」


ガルバルは額の汗を拭いながら、慌てて頷いた。


ガルバル「わ、分かってるよ……。セラフィナは生け捕り、餓鬼2匹は生け捕りか殺すか……。他の2人は……まぁ、抵抗しなけりゃ生かす。俺は馬車で待機して、奴等が戻って来たら奥に誘導する。それで良いんだよな?」


大柄の盗賊は鼻を鳴らし、斧の柄を地面に叩きつけた。


大柄の盗賊「そうだ。だから失敗すんなよ、ガルバル、もしこの仕事が失敗したらお前の首だけじゃねえ、俺達の首も飛ぶんだ。良いな、絶対に失敗すんじゃねえぞ。」


ガルバルは顔を強張らせながらも、直ぐに何時ものの嘲る笑みを浮かべながら、返事した。


ガルバル「へ、へへっ、分かってるさ、心配すんな。……たかが女5人だぜ?楽勝だよ。」


そう言うと彼は踵を返し、急ぎ足で馬車の方へと戻っていった。左腕の赤い布が、霧の中で不気味に揺れている。


サリーシャは木の陰で息を潜め、ガルバルの背中を見送った。彼女の橙色の瞳が、鋭く光る。


サリーシャ{……全部聞いたで。……生け捕り、闇市場、高値……。完全に奴隷商や盗賊同士との会話やな。『上からのお達し』って事は、奴等は誰かに雇われたっつー事かいな。…にしても。}


サリーシャは盗賊の1人が着込んでる鎧の胸元の左部分にある、王冠を被った四つ足の黒蛸の紋様を見つめる。


サリーシャ{『あの商会』…。まさか『アタシの故郷の街』だけでなくセトランドの方でも犯罪紛いな事をしとるとはな…。}


彼女は木の陰で息を潜め、ガルバルの背中が霧の中に完全に消えるのを確認した後、ゆっくりと立ち上がった。


橙色のミニポニーテールが朝の湿った風に揺れ、双剣の柄に置いた右手がわずかに震えている。

――これは怒りか、緊張か、それとも両方か。


短剣使い「…おい、俺達はどうする?まさかと思うが此処で待機とか言わないよな?」


大柄の盗賊「決まってるだろ?迷子の餓鬼を探してる女共を見つけて、捕らえに行くんだよ。何時までもこんな埃臭ぇ小屋の中に居たらたまらねぇからな!」


小屋から残りの盗賊達が出て来る、外見からして元は犯罪者として堕ちた冒険者崩ればかりだろう、このまま奴等を野放しにすればセラフィナ達4人が危険な目に会うと判断したのか、サリーシャは決意した。


サリーシャ{……しゃあないな、此処はアタシが一肌脱ぎますかいな。}


サリーシャは木々の影からゆっくりと姿を現した。


朝の霧が彼女の橙色のミニポニーテールを濡らし、双剣の鞘に付いた水滴がぽたりと落ちる。足音を立てず、しかし堂々と――まるで散歩に来た子供のように、盗賊たちの前に堂々と立った。


大柄の盗賊が最初に気づき、斧を肩から下ろして目を細めた。


大柄の盗賊「……あぁ?何だ、てめぇは?」


短剣使いが舌打ちし、腰の短剣に手をかけながら前に出た。


盗賊{短剣}「餓鬼じゃねぇか……。何で餓鬼がこんな森の中に居やが…ちょっと待て、まさかと思うが、さっきガルバルが言ってた迷子の餓鬼じゃないか!?」


鎖使いは鎖をカチャリと鳴らし、かすれた声で笑った。


盗賊{鎖}「……へぇ、此奴は驚いた。わざわざ俺達の前に出てくるとはな。運が悪いガキだ。」


サリーシャはにぱっと笑った。いつもの無邪気な笑顔。でも、その瞳は冷たく、鋭い。


サリーシャ「お早うさん、盗賊はん達。……実を言うとアタシ、迷子ちゃうで。わざわざ探しに来たんや。」


大柄の盗賊が鼻で笑った。


大柄の盗賊「は?探しに来ただと?餓鬼が何言ってんだ。……お前、ガルバルが用意した馬車に乗ってただろ?仲間がいる筈だ。お前の仲間は何処だ?」


サリーシャは肩をすくめ、双剣の柄に両手を置いた。


サリーシャ「あーー。セラフィナはん達は、まだ森の奥でアタシを探してるよ。……でも、アタシはもう見つかったから、ここに来たんや。……まあ、アタシはアンタ等に用があるからな。」


盗賊たちは一瞬、顔を見合わせた。短剣使いが嘲るように口を開く。


盗賊{短剣}「用だと?餓鬼が俺達に用だと?おいおい笑わせんなよ。……お前みたいな餓鬼、売ればそこそこ値が付くって話だったが……どうせ抵抗も出来なぇだろ?」


4人の盗賊らはサリーシャの左右を囲みながら、ニヤニヤと笑い出す。するとサリーシャはある事を大柄の盗賊に聞き出した。


サリーシャ「……あのさぁ、どう言う理屈でこんな仕事をしとるんかは知らへんが、直ぐに足を洗った方がええで。」


盗賊{短剣}「あ、足を洗えだと!?」


サリーシャ「せや、このまま進めばアンタ等全員底無し沼にハマってまう、それとも、もうハマってもうたんか?なぁ、大斧持ちの盗賊はん、いや、賞金首・金貨20枚の『兜割り』はん。」


大柄の盗賊――『兜割り』と呼ばれた男の顔が、一瞬で青ざめた。


兜割り「……!?て、てめぇ……どうして俺の呼び名を……!?」


彼の声は低く震え、肩に担いでいた巨大な斧がわずかに揺れた。朝の霧の中で、その斧の刃が鈍く光る。短剣使いと鎖使いも、明らかに動揺した様子でサリーシャを睨みつけるも、サリーシャは言い続けた。


サリーシャ「それだけやないで、そっちの短剣使いは金貨10枚、で、そっちの鎖使いは金貨12枚で合っとるよな?」


サリーシャの言葉が、霧の谷の静かな森に冷たく響いた。


兜割り{大柄の盗賊}の顔から血の気が引いた。巨大な斧を握る右手が、僅かに震える。短剣使いと鎖使いも、互いに顔を見合わせ、明らかに動揺を隠せない。


兜割り「……て、てめぇ……何者だ?どうして俺達の賞金額を知ってやがる!?」


彼の声は低く、怒りと警戒が混じり合っている。斧の柄を強く握り直し、ゆっくりとサリーシャに近付こうとするが、足が止まる。まるで、目の前の少女がただの餓鬼ではないことを、本能で感じ取ったかのように。


短剣使いが舌打ちし、腰の短剣を抜きかけた。


盗賊{短剣}「ふ、ふざけんなよ、餓鬼!賞金首の名前を知ってるってだけで、俺達を脅せると思ってんのか?お前見たいな小娘如きに、何が出来るってんだよ!」


鎖使いは鎖をカチャリと鳴らし、かすれた声で笑おうとしたが、笑いが途中で途切れた。


盗賊{鎖}「待て!……この餓鬼の目、普通じゃねぇ。……気配が違う。お前、一体何者だ!!」


サリーシャはにぱっと笑った。いつもの無邪気な笑顔。でも、その橙色の瞳は冷たく、底知れぬ深さを持っている。


サリーシャ「アタシ?ただの鉄級冒険者やで。……名前はサリーシャ・ウンディーネ。ピスケス村出身の、漁師の娘や。……でもな、アンタ等みたいな賞金首の顔と名前くらい、ギルドの掲示板見りゃ誰でも知っとるわ。兜割り、金貨20枚。短剣使い、金貨10枚。鎖使い、金貨12枚。後は小物の盗賊4人も合わせれば合計、金貨64枚ぐらいになるやろうな……あ、でも、殺さずに捕まえりゃ倍になるって手配書に書いてあったで?」


彼女の言葉に、7人の盗賊の顔がさらに青ざめた。


兜割り「……ギルドの……掲示板だと?そんな……最近の賞金首リストに俺たちの名前が載ってるなんて……!」


短剣使いが慌てて叫んだ。


盗賊{短剣}「う、嘘だろ!?俺達、最近は目立った仕事してねぇはずだぞ! どうして……!」


サリーシャは肩をすくめ、双剣の柄に両手を置いたまま、ゆっくりと首を振った。


サリーシャ「知らんわそんなん、過去の行いやろ?アタシはただ、ギルドの依頼掲示板見て、ついでに覚えとっただけや。……でもな、アンタ等が今、何しようとしてるか……全部聞いたで。」


彼女の声が、低く、冷たくなる。


サリーシャ「女5人を生け捕り。セラフィナはんは特に高値で売れるって。……餓鬼2匹は特別に金貨10枚ずつ。……『上』からのお達し、ってな。……闇商会のアンタ等、ほんまに足を洗わんかったら、アカンで。」


兜割りが斧を構え、吼えた。


兜割り「黙れぇ!餓鬼が……!お前1人で何ができる!?此方は7人、どの道知った処でお前は殺される運命だ!!」


盗賊達は武器を構えて戦闘態勢を取る。普通ならこの現状を見た人間は誰もが怯え恐怖する、しかし、サリーシャと言う少女は怯えず、恐れず、平然と笑顔で盗賊達と対峙しながら後ろ腰の双剣を抜き逆手持ちの体勢に入る。


サリーシャ「どないしても足洗うん気は無いんやったら、アタシが実力行使で倒したるわ。」


兜割り「…ハハ、もう止めだ。この餓鬼が、俺達の素性を知ったからには生かす訳にはいかねぇ!!おう、お前等!此奴に大人を舐めるとどうなるか、思い知らせてやれ!!」


サリーシャは双剣を逆手に構えたまま、ゆっくりと一歩踏み出した。橙色のミニポニーテールが朝の霧に濡れて重そうに揺れ、足元の落ち葉がカサリと音を立てる。彼女の表情は変わらず、にぱっとした笑顔のままだったが、その瞳だけは冷たく、底知れぬ深さを湛えていた。


サリーシャ「大人を舐めるとどうなるか、か……。ええ言葉やな。……じゃあ、アタシもアンタ等に教えてあげるわ。『子供を舐めるとどうなるか』ってなあ!!」


1人の少女は盗賊達に向かって特攻する。

此処に、新たな戦いの火蓋が切って落とされたのだった。

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