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【祝合計PV3万突破!】推しの乙女ゲームの悪役令嬢に転生するも攻略キャラが全員ヒロインなのが間違っている!?  作者: 二代目菊池寛
2章。悪役令嬢、冒険期編。

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悪役令嬢、誰かの為に初めて怒る。

実力を認められ、自ら敗北を宣言したバークマン様と握手しようとした矢先に、間から火球が放たれて妨害される、放たれた位置は正門の方角、突然の攻撃魔法に放たれた私達は目線を向けると、其処にはニヤけた笑みを浮かばせた騎士団員達と彼等を率いる私と同年代に近い赤髪の少年騎士が先頭に立ちながら、バークマン様に再度同じ台詞を言い放って来た。


赤髪の少年騎士「もう一度言うぞ、何時から俺達『炎の騎士団』は、女の為に用意した青春活劇の舞台になったんだ?バークマン。」


そう言いながら彼等は、私達の所へと近付いて来る、先頭を歩きながらニヤリと笑う少年騎士はバークマン様に話し掛ける。


赤髪の少年騎士「まさかあの堅物のお前が、こんな小娘の遊び相手とは、本当に地に落ちたな、バークマン。」


彼は笑いながらそう言うと、少年騎士の取り巻きらしき騎士団員達も共に笑い出す。


何なの此奴?さっきから実力のある騎士隊長のバークマン様に向かってあの偉そうな態度は?それにしても、何処かで見た様な気がするのは気の所為?それだけじゃない、さっきからカレンもあの騎士の顔を見た途端、何時もとは違う睨み眼であの少年騎士を見つめている。もしかして知り合いなの?


バークマン「……帰還予定は2日後の筈だぞ、東側の迷宮ダンジョン攻略と村の防衛任務はどうしたんだ?フレイジェル。」


セリスティア「!!」


嘘!?バークマン様はあの少年騎士の名前を言った。フレイジェルってまさか…。


『CRYSTAL SYMPHONIA』の攻略キャラの1人である、あの炎の様に心熱い性格ながら、暑苦しい性格をしたあのフレイジェル・F・フレイローズなの!?


嘘でしょ、ゲーム本編でのフレイジェルは身長180センチ超えの大柄で筋肉のある大男の筈、なのに目前にいるフレイジェルは男子中学生位の平均な背丈と膨らみのある筋肉をしている。けど、ゲームとは違って熱血らしさは全く見えない…。


ああ、そうだ。思い出した。確かフレイジェルって元々は貴族意識の高い性格は父親であるクリムゾン団長の逆鱗で団長自らの指導による厳しい個人訓練と言う名の去勢的指導をさせられて熱血的な性格になったんだっけ!?


フレイジェル「ふん。予定より早く迷宮攻略が終わったから、今さっき帰還したばかりだ。」


バークマン「そうか、ならさっさと任務完了の報告に戻れ、こんな所で道草等とお父君に知れば、お叱りだけでは済まさないぞ?」


フレイジェル「っ…何だとぉ!?」


バークマン様の挑発的な一言で逆上したフレイジェルは直ぐ様に剣を抜き、バークマン様に向かって斬り掛かろうと駆け出す!!


不味い、バークマン様は先程の私との決闘で大剣を武器破壊してしまったから、武器で防ぐ事は出来ない、しかも防御魔法を使用する処か避ける気配が全く無くそのまま立っている、だとしたら、私が代わりに受け止めるしか無い!


フレイジェル「死ねぇ!バークマン!!」


私は直ぐ様に『居合斬り』の準備をしようとした瞬間、誰かが飛び出し、フレイジェルの一振りの斬撃を剣で受け防ぎ止める。


フレイジェル「なっ!?」


カレン「相も変わらず、怒りやすい性格は変わらないみたいだなフレイジェル。」


フレイジェルの斬撃を受け防いだのはカレンだった。カレンはフレイジェルの斬撃を剣で受け防いだまま、力一杯押し出すと、力量で押し出されたフレイジェルは地面に尻餅を付かせる、彼はゆっくりと立ち上がりカレンを睨み付けながら、自分の従姉であるカレンと対応する。


フレイジェル「これはこれは、誰かと思えば、姉上じゃありませんか?バークマンの次は、貴女が立ち塞がるとはな…。」


カレン「剣を納めろ、フレイジェル、お前もこの騎士団の騎士団員、副団長補佐としての立場を団員達の目の前で恥ずかしがらめたいのか?」


フレイジェル「黙れ!!女の分際でこの俺に指図とは、随分と偉そうな立場になったなあ?姉上、父上から聞いたぞ、其処の貴族の令嬢を弟子にさせたそうだな!ハッ!お前の真似っ子好きがいた何て思わなかったぜ!!」


……は?此奴は今、私に向かって何て言ったのかしら?真似っ子?私が?カレンの?


レイム「フレイジェル殿!これ以上の下劣な発言はお控え下さい!この様な事が団長のお耳に入れば…_」


フレイジェル「黙れぇ!!そもそもだ。此奴はな、女の分際で貴族の立場を捨てて騎士の道へと勝手に進んだ我がフレイローズ家の端何だ!!生まれながらに魔法は疎か、魔力も無い、フレイローズの飾り名しか持たない、才能も何も無い落ち零れ何だよ!!」


貴族騎士A「そうだそうだ!!」


貴族騎士B「フレイジェル様の言う通りだ!!女は女らしくしていろ!!」


フレイジェルだけでなく取り巻きの騎士団員達もカレンに向けて一斉に罵詈雑言と言う名のブーイングを怒鳴り散らし放つ、これが本来の貴族、実在した男尊女卑の社会の立場なの?


何だろう…。此奴を、フレイジェルを見ていたら段々と…。腹が立って来た。気付くと私は無意識にフレイジェルの所へと足を運ぶ。


コンロッド「セ、セリスティア?」


フレイジェル達の罵詈雑言を言い放たれるも、対してカレンは何も言い返さずに、黙りとフレイジェルを睨み付ける、フレイジェルはカレンの眼を見て、怯む。


フレイジェル「な、何だその眼は?俺に逆らう積りか!?」


カレン「………。」


フレイジェル「ぐうっ!!落ち零れの癖に俺をそんな眼で見るんじゃねえええ!!!」


再び逆上したフレイジェルはカレンに殴り掛かろうとする。その時だった。奴の視界外から何者かがフレイジェルの目前に飛び出すと同時に全力を込めた拳をフレイジェルの顔面目掛けて左拳で殴り放とうとする!!


しかし、その時だった!


フレイジェル「ぶべらぁっ!!?」


突然の予想外の誰かの右拳に殴られたフレイジェルはそのまま吹っ飛ばされ、地面に大の字になって倒れる。


取り巻き達『フ、フレイジェル様ぁ!!?』


取り巻きの騎士達は一体何が起きたのか分からず、直ぐ様に何人かが、倒れたフレイジェルの元へと駆け出して助ける。


カレン「……セリス。」


セリスティア「………。」


フレイジェルを殴り飛ばしたのは誰なのか?その答えは勿論、この私です。


レイム「な、何て事を…。」


コンロッド「嘘だろ!?セリスティアの奴、あのフレイジェルを容赦無く殴りやがったぁ!!」


私の突然の行動を見て驚いたのか、周りの騎士団員達は騒付き動揺する、ああしまった!!私とした事が、幾ら何でも殴っしまったとは言え、相手はクリムゾン団長の息子、不味い、この状況からして、立場が上の人間であるフレイジェルに反逆したって事はつまり…。


『断罪』か『国外追放』は避けられない!!と悟った私は覚悟を決めながら、カレンに謝罪した。


セリスティア「カ、カレン、ご、御免なさい、私のせいでその、とんでもない事を…。」


カレン「……セリス。」


しかし、カレンは私の事を怒る処か、頭をポンと優しく触れ撫でながら、笑顔で答えた。


カレン「有り難う、私の為に彼を殴ってくれて、でも、もうこんな事をするのは駄目だからな。」


セリスティア「カレン!」


貴族騎士A「フ、フレイジェル様!大丈夫ですか!?」


フレイジェルは殴られた頬を左手で抑えながら、足元に落ちた自分の剣を右手で拾い取ると、怒りの目線はカレンから私にへと切り替えて怒鳴り散らした。


フレイジェル「き、貴様ぁ!小娘の分際でこの俺が誰だと思ってる!!『炎の騎士団』団長であるクリムゾン・F・フレイローズが子息にして副団長補佐、そして1番隊隊長である、この俺に向かって殴る等!万死に値するぞ!!」


セリスティア「……カレン、悪いけど此処から先は歯向かう覚悟であの方に言い放ちます。」


カレン「セリス!君は…。」


私はカレンを守るかの様に彼女の前に立ち、フレイジェルに向けて、私は怒りながら、謝罪を求めた。


セリスティア「…フレイジェル様、今直ぐにカレンとバークマン様に謝罪をして下さい。」


フレイジェル「な、何だと!?バークマンは兎も角、落ち零れの姉上にまで謝罪しろだと!!副団長補佐であるこの俺が、こんな、魔力を持たない奴に謝るなど冗談じゃない!!」


セリスティア「謝って下さい。」


フレイジェル「なっ!?」


今にでも私には分かる、自分自身を見下され馬鹿にされた誰かの為に怒る何て、セリスティアに転生してから、一度もそんな事は無かった。あんな私より2つ上の奴何かに私の大切な人を侮辱や差別発言は許さない。


フレイジェル「だ、黙れ!!」


セリスティア「黙りません!!謝って下さい!!でないと私、貴方相手にどうなるか分かりませんよ?」


フレイジェル「き、貴様ぁ!!」


するとフレイジェルと同年代に近い2人の少年貴族騎士がフレイジェルを守ろうと、私の前に立ち塞がる。


貴族騎士A「落ち着いて下さいフレイジェル様!こ、こんな小娘如きに従う必要は有りません!」


貴族騎士B「大方、何処ぞの田舎貴族の令嬢辺りですよ!あんな女の弟子とは名ばかりで雑魚に過ぎません!私達で対処しますよ。」


フレイジェル「……ハハ、そうだな、ディオガ!ラーガン!少しくらい痛め付けても構わない、あの小娘に現実を叩き付けてやれ!!」


ディオガ「畏まりました!」


ラーガン「フレイジェル様に歯向かった罪!皆の場で思い知らせてくれる!」


2人の取り巻きの貴族騎士が私に向かって斬り掛かる、大柄の貴族騎士の方は剣に『属性付与』をしながら、もう1人の細身の貴族騎士は『槍術・一点突き』の構えを。


けど、この2人の戦い方は大した事は無い。何故ならね。


セリスティア「カレンやバークマン様の方が!騎士らしくて、とても強かったからよ!!」


怒るセリスティアはラーガンの繰り出された『一点突き』を剣で横へと受け流してから、身を回転させての回し蹴りをラーガンの腹に深く打ち込むと同時に『居合斬り』で飛び掛かった剣を振るい放つディオガに繰り出し、そのまま吹っ飛ばす。倒された2人は白目を向いて意識を失い気絶する。


一瞬の速さで、2人の貴族騎士が令嬢相手に倒された事をフレイジェルを含めた貴族騎士達は驚きを隠さずに私を見て唖然とする。


コンロッド「……本気マジかよ。」


レイム{信じられん、貴族騎士で構成された1番隊の中でもフレイジェル殿に次ぐ実力を持つ、ディオガとラーガンを、2人相手に一瞬で倒すなど…。}


バークマン{俺との戦いの後とは言え、激しい疲れがあってもその状態のまま、全力を継続するとは…。何て不屈の精神力何だ!!}


呆気無く一瞬で終わってしまった。と言っても、先に仕掛けて来たあの2人の騎士を『超鑑定』で瞬時に調べたけどLv差は私の方が少し上だったからね。


フレイジェル「な、何だと…。」


セリスティア「これでもまだ。貴方はカレンに謝罪はしないのですか?」


フレイジェル「ぐっ!良い気になるなよ、小娘がぁ!!」


怒号を叫びながらフレイジェルは駆け出し、剣を上に挙げてから私に向かって斬り掛かろうとするが、私は瞬時に白銀の剣の刃でフレイジェルの斬撃を受け防ぐ。


フレイジェル「っ!?」


セリスティア「はあっ!!」


相殺する金属音と弾け、火花が散ると共に私は自分の剣術でフレイジェルを押し出して行く。


フレイジェル「ぬううっ!!小娘が、調子に乗るなぁ!!」


自分がその小娘相手に押し出される最中、怒れるフレイジェルは次に押し出された瞬間、右横からの大振りでの斬撃が私に向けて放たれる。


しかし、私は斬撃を剣で防ぐと同時に『剣術・受け流し』の技術で流してから身を右回転させ、カウンターの『全力斬り』を繰り出し放つ。


セリスティア「『全力斬り』!!」


フレイジェル「があああああっ!!?」


私の『全力斬り』を諸に食らったフレイジェルは倒れずとも一気に押し出され、私との距離は数十m差となる。


フレイジェル「こんな、こんな、姉上は兎も角、こんな身分も格下の下級貴族如きにこの俺が押されるなど!認めてたまるかぁ!!『爆炎ブラスト・ファイア』!!」


フレイジェルは私目掛けて遠距離から『爆炎』を放つ。


セリスティア「『爆炎』!!」


放たれたフレイジェルの『爆炎』目掛けて、私も同じく『爆炎』を放ち、フレイジェルのと相殺させ大きな爆煙と砂煙を生み出し、全体の視界を塞がれてしまう。


コンロッド「おいおい、攻撃魔法も互角かよ!?糞っ!視界が煙だらけで良く見えねえ!?」


レイム「同じ攻撃魔法とは言え、何たる威力の差だ…。バークマン隊長との戦いの後とは言え、何と言う力を残していたんだ!?」


カレン「…いえ、違います。」


レイム「何が違うんだ?カレン。」


カレン「セリスは…セリスティアは、私の為にフレイジェルに怒り、その怒りを力に変えてフレイジェルに全てぶつけているのです。」


土煙の中で眼を瞑りながら『魔力反応』でフレイジェルの魔力の流れを感知し、私は身を低くしながら、流れの方角に向かって『瞬速』を発動すると共に煙の中を突き抜き、そのままフレイジェルの居る方向へと飛び出しながら、剣で斬り込む。


手応えがあった!いや、違う、斬撃には当たったのに歯応えが感じない。煙が晴れ、全体の視界が見えるようになった瞬間、フレイジェルを守る魔力の炎で創られた壁が私の決め手の斬撃を完全に防いだ。


あれは確か、炎属性中級防御魔法の…。


セリスティア「…『炎壁ファイヤー・ウォール』。」


フレイジェル「俺とした事がまさか、こんな小娘相手に防御魔法を使うとは何たる屈辱だ。だが、これ以上好き勝手させると思うな!!」


セリスティア「……。」


私はフレイジェルの分厚い炎壁を剣で力一杯、押し斬り込もうとする。


フレイジェル「ハハハハハ!!無駄だ無駄だ!!この『炎壁』は『炎盾』と違って分厚く高い防御力を持っているんだ!!そんな攻撃で俺の防御魔法が打ち破れると__」


セリスティア「……。」


私は剣を握り直し、フレイジェルの嘲笑を無視して、静かに息を整える。


もし聖女の力が扱えて、ここで『聖剣解放』何て派手なことをしたら、バークマン様との決闘の後でさえ疲弊していない私の本当の力が、余計に目立って後々が面倒なことになる。それに……今の私には、そんなものに頼らなくてもいい。


私の胸の奥で、静かに、しかし確実に燃え上がっているものがある。


それは怒り。


カレンを『落ちこぼれ』と呼び、女だからと見下し、騎士の道を歩むことを嘲笑う、この男に対する、純粋な怒り。


……カレンを、侮辱したこと。絶対に許さない。


私は剣の柄を握る手に、意識的に炎の魔力を集中させる。ゲーム知識では知っている。フレイジェルは攻略キャラの中でも炎属性の適性が高い。だからこそ、私も同じ炎で、真正面からぶつかってやる。


セリスティア「……『属性付与エンチャント』&『魔法剣』。」


『属性付与』によって剣の刃全体が淡く赤く染まり始める。赤い刃に炎の魔力を纏わせると共に、フレイジェルの分厚い『炎壁』を押し込んで斬り進む。


フレイジェル「は? 何だそれは?そんな攻撃で俺の『炎壁』を斬るつもりか?笑わせるな!!」


私はさらに魔力を注ぎ込み、剣を押し込む。

『炎壁』の魔力の炎が、フレイジェルの魔力構造を直接干渉し、共鳴を乱す。これはゲーム知識ではなく、転生してから積み重ねた鍛錬と、カレンとの訓練で磨いた感覚で――


私は相手の魔力の『流れ』その物を断ち切る場所を正確に見極めていた。


ゴオオオオッ!

押し進むと共に、金属が焼けるような、肉が焦げるような音が響く。だけど、それは私の剣が焼けている音何かじゃない。


フレイジェルの分厚い『炎壁』が――

私の剣先が触れた一点のみだけ、まるでガラスがひび割れるように、細かな亀裂が走り始めた。


セリスティア「――確かにそうね、けど、同じ魔力の炎なら、温度も密度も、そして制御も、アンタより私の方が上よ!!」


『炎壁』が一点から粉々に砕け散り、熱風が爆ぜる。フレイジェルは目を見開き、後退る。


フレイジェル「馬鹿な……! 俺の防御魔法が!?」


その隙に、私はもう一歩踏み込み、剣先をフレイジェルの首元に向けてから、カレンへの謝罪を求めた。


セリスティア「謝罪しなさい。カレンに。――今すぐ。」


謝罪を求める、その私の言葉を耳にしたフレイジェルは真剣な表情で静かに怒るカレンを見つめながら、自身の苛立ちを怒りへと変え、その


フレイジェル「謝罪だと…。この俺が、あんな、あんな魔力の無い落ち零れ相手に、謝罪しろだと!?巫山戯るな!!俺は炎の騎士団の団長であるクリムゾンの息子で次期騎士団長候補だ!!フレイローズの家名を汚した奴が騎士何か勤まると思ったら大間違いだ!!騎士団員達よ!未来ある団長候補であるこの俺を守れぇ!!」


貴族騎士C「はっ!総員!次期騎士団長候補であるフレイジェル殿を守れぇ!!」


貴族騎士達『おうっ!!』


号令と共に貴族騎士達はフレイジェルを守ると共に一斉に私に向けて武器を構え、戦闘態勢に入る。此奴等、多勢に無勢は疎か、集団で1人を相手にする何て騎士道精神とか誇りとか無いの!?


セリスティア「………一応聞きますけど、あんなに取り巻きばかり守らせて、騎士として誇りとかそう言うのは無いのですか?」


フレイジェル「黙れ!!そもそもお前見たいな名も知らない何処ぞの令嬢相手に決闘などするか!勝てば官軍負ければ賊軍、数で勝とうが同じ戦いで勝てば皆同じだ!!」


コンロッド「巫山戯るな!!団長の息子だからってやって良い事と悪い事の区別は有るだろうが!!騎士なら騎士らしく堂々と1人で誇り持って1人でセリスティアに挑んで来やがれってんだ!!」


貴族騎士D「黙れコンロッド!!下級貴族の出の分際でフレイジェル殿に向かってその様な発言は万死に値するぞ!!」


コンロッド「上等だ!今日という今日こそはその貴族意識の高いその鼻っ柱を圧し折ってやる!!」


コンロッド様に続き、1人、また1人と、次々と他の騎士団員らは、フレイジェルら貴族騎士達と対峙する。レイム様は小声で『またか…。』と呟き、バークマン様は呆れ顔で溜息を吐く。


もしかしてこれって、騎士団内部の派閥争い?こんなのゲーム本編には無かった筈…。そうか、カレンが私の師匠兼護衛と言う立場だから、重要人物扱いになってるんだ。


セリスティア「カレン、一体これは何が起きてるの?」


カレン「セリスにはまだ説明していなかったな。この炎の騎士団には2つの派閥が存在している。貴族血統主義の『絶血派』と実力至上主義の『実剣派』。私やバークマン殿と言った貴族意識の無い者達で構成されてるのが『実剣派』に属している。」


なる程、つまり、フレイジェルらは絶対的貴族血筋者のみ『絶血派』で構成されてるのね、とは言え、この空気と多数の殺気の込めた視線は非常に不味い、今にでも死人が出ても可笑しくは無い状況だ。


空気が張り詰め、剣を抜いた騎士たちの金属音がカチャカチャと不穏に響く。フレイジェルを中心に『絶血派』の貴族騎士たちが円陣を組み、私を囲むように陣形を整えていく。一方、バークマン様やコンロッド様、レイム様、そして他の『実剣派』の面々が、私とカレンの背後に自然と集まってくる。


まるで2つの軍勢が睨み合う戦場みたい……。


ゲーム本編ではこんな内紛なんて描かれなかったのに。もしかして私の存在が、歴史を狂わせてる?


フレイジェルが剣を構え直し、頬の腫れを気にしながらもニヤリと笑う。


フレイジェル「ハッ……いいだろう。どうせお前みたいな落ち零れは、数で潰すのが一番手っ取り早い。騎士団の誇り? そんな物は血統ある俺達にしか関係ねぇよ。小娘、お前がどれだけ剣を振るえるか何て知ったことか。総員、かかれ!」


貴族騎士達『はっ!』


一斉に殺気が動き出す。だけど、その瞬間――


クリムゾンの声『其処までだ!!』


全員『!!?』


騎士団屯所方面から両派閥の激突を怒号のみで制止され、全員の目線は屯所出入口方面へと向けると其処にはクリムゾン団長の姿があった。


レイム「団長…。」


カレン「叔父上。」


クリムゾン団長の声が響いた瞬間、この場の空気が凍りついた。


武器を構えていた騎士達の手が一瞬止まり、殺気がわずかに緩む。屯所の出入口に立つのは、まさに炎の騎士団の頂点に立つ男――クリムゾン・F・フレイローズ。


ディオス村での一件以来ながら、2年経ったとはいえ容姿は変わってはいない。


ただ……今は笑っていない。むしろ、眉間に深い皺を寄せ、眼光鋭くこちらを見据えている。


フレイジェル「父上……!」


フレイジェルが慌てて剣を下げ、取り巻き達も同じく慌てて武器を収めようとする。だが、クリムゾンの視線はまず私達――カレンと私、そしてバークマン隊長の方へ向かった。


クリムゾン「これは一体何の騒ぎだ。屯所の前で剣を抜き、魔法まで撃ち合っているとは……騎士の名が泣くぞ。」


声は低く、抑揚がない。それだけで周囲の空気がさらに重くなる。『絶血派』の騎士たちは顔を見合わせ、肩をすくめる者もいた。一方、『実剣派』の面々――バークマン隊長、コンロッド様、レイム様らは静かに団長の前に膝をつく。私も慌ててカレンの隣で膝をついた。


カレン「叔父上。お騒がせして申し訳ありません。……一部の騎士団員が、セリスティアと私に対して侮辱的な言動を繰り返し、事態がエスカレートしてしまいました。」


クリムゾン「……ほう。侮辱、か。」


視線がフレイジェルに移る。息子であるはずの少年は、頬を押さえながらも強がるように胸を張った。


フレイジェル「ち、父上!これは……この小娘が先に俺に手を上げたんです! 姉上を庇うなどと生意気な態度で! しかもバークマンとも決闘などと……!」


クリムゾン「黙れ、フレイジェル。」


一言で遮られる。フレイジェルの顔が青ざめた。


クリムゾン「俺はお前が東の迷宮を予定より早く攻略したと聞き、褒めてやろうと思っていた。だが……帰還早々、こんな醜態を晒すとはな。」


フレイジェル「で、ですが父上! 姉上は――」


クリムゾン「カレンが騎士の道を選んだのは、俺の許可を得てのことだ。お前がどれだけ血統を鼻にかけようと、騎士団の規律は実力と誇りで成り立っている。女だから、魔力がないから……そんな言い訳で侮辱を繰り返すような輩は、俺の息子であろうと許さん。」


その言葉に、『絶血派』の騎士たちからどよめきが上がる。フレイジェルは唇を噛み、拳を震わせた。


クリムゾン「バークマン。」


バークマン「はっ。」


クリムゾン「報告を聞かせろ。お前がセリスティアと決闘したのは本当か?」


バークマン「はい。……セリスティア嬢の実力を試したかった為に。そして、俺は負けを認めました。彼女の剣は本物です。」


周囲がざわつく。クリムゾンの眼がわずかに細くなる。


クリムゾン「……そうか。ならば、なおさらだな。ライズ。」


ライズ「此処に。」


フレイジェル「!!?」


クリムゾン団長の左隣に、軽鎧を着込んだ老騎士が瞬時に現れる。恐らくこの方が私を騎士団の訓練に参加許可を下さったお方だろう。


クリムゾン「1番隊の面々らを全員、地下牢に連行を頼む。」


ライズ「畏まりました。」


手の空いてる騎士団員達はフレイジェルら1番隊の貴族騎士達を取り押さえて連行する、何人かジタバタと抵抗する人達もいるけれど、騎士団員達の実力の差があってなのか、ビクともしない。


そりゃそうだ。今さっき『超鑑定』の技術を使って1番隊の貴族騎士達の総合値を見たけれど、Lvは20後半も行かなかった。特にフレイジェルのLvは25な為か、私やカレン、バークマン様より滅茶苦茶弱い、あんなんで良く偉そうにしてるわよね…。


そう考えてると、連行されるフレイジェルが私とカレンに向かって怒鳴り叫んだ。言い残しがてら一応聞いておこう。


フレイジェル「小娘、その顔、覚えたぞ、殺してやる、必ずこの手で殺してやる!!」


その言葉は、まるで呪いのように重く、周囲の騎士たちにまで伝播する。『絶血派』の面々は連行されながらも、どこか満足げに私を睨みつけ、『実剣派』の面々は眉をひそめて舌打ちを漏らす。


私はただ、静かに息を吐いた。


セリスティア「……ふう。」


まだ胸の奥でくすぶる怒りが、完全に消えたわけじゃない。でも、もうこれ以上ここで暴れる必要はない。クリムゾン団長が現れた時点で、この場は終わったのだから。


カレンが私の肩にそっと手を置く。


カレン「セリス……よく耐えたな。」


セリスティア「カレンこそ……ごめんね。勝手に暴走しちゃって。」


カレン「謝るな。お前が私を庇ってくれたんだ。……嬉しかった。有難う。」


その言葉に、ようやく少しだけ力が抜けた。カレンの手が温かくて、なんだか泣きそうになる。でも、ここで泣くわけにはいかない。まだ終わっていない。


クリムゾン団長がゆっくりと歩み寄ってくる。重厚な鎧の音が、まるで心臓の鼓動のように響く。


クリムゾン「セリスティア・K・クラリスロード。」


名前を呼ばれて、私は慌てて姿勢を正す。


セリスティア「は、はいっ!」


クリムゾン「……バークマンに勝ったそうだな。」


バークマンが横から小さく無言で頷く。


クリムゾン「……しかもその直後に、息子の不始末を叩きのめし、1番隊の精鋭二人を瞬殺。最後にはフレイジェルの『炎壁』を正面から砕いた、と。」


周囲がざわつく。さっきの戦いを遠巻きに見ていた騎士たちも、改めて私をまじまじと見つめてくる。


クリムゾン「とは言え、折角の学友の娘との2年振りの再会がこの様な事になるとは思いもしなかったが、取り敢えず、話の場を変えよう、カレンもだ。」


セリスティア「はいっ!」


私とカレン、そしてバークマン様の3人はクリムゾン団長の後を追う様に、騎士団屯所内へと向かったのだった。

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