終章。 悪役令嬢はこれからも歩き続ける。{前編}
昼時、草原地帯の何時もの遊び場、怪我を完治した私は1人、遊び場を見つめながらエレイナお姉ちゃんとの戦いごっこを思い出していた。
セリスティア「此処で、お姉ちゃんと毎日近く戦いごっこで遊んだりしたっけ。」
私は眼を瞑ると、私がセリスティアに転生したばかりの年か、レイラとノービス、エリシアに見守られながら、互いに戦いごっこの最中の私とお姉ちゃんを応援する光景が浮かび出す。だけど、もう。
セリスティア「………今日で、終わり何だよね。」
涙を流しながら、楽しい日々は終わりを迎える。何故なら私の周りにはもうレイラ以外、誰も居なくなるんだから…。
何故、こんな事になったのだろうかと言えば、事の始まりは3日前から遡る。
*
3日前。
ディオス村の中央広場にて、私達は村での滞在期間を終えた『炎の騎士団』の方々は本国、セトランド王国への帰還の為、私達はクラリスロード家、ルークディオス家、そしてシルフィード家の3家総員で騎士団の皆様を見送ろうとしていた。
クリムゾン「本当に世話になったな、ルーファス、レリウス。」
ルーファス「出来れば、もう少し村に滞在すれば良かった物を。」
クリムゾン「生憎とこれ以上、城を留守にしたら陛下に叱られてしまうからな。」
ルーファス「それもそうだな。」
男3人は互いに笑い合う。やっぱり昔の学友同士なのだろうか、私達4人にも負けられない程の強い友情を感じた。するとレリウスは深刻そうな表情をしながら、クリムゾン団長の名前を呼んだ。
レリウス「クリムゾン…。」
クリムゾン「ああ、近い内に会おう。」
近い内に?クリムゾン団長は一体どう言う意味で言ったのだろうか?けど、問題はクリムゾン団長の方じゃない、私の目線は暗い雰囲気を出し、悲しげな顔をしていたカレンの方へと眼を向ける。
そう、本国へ帰還するのはクリムゾン団長だけでなく、カレンも滞在期間が解けて本国へ帰るからだ。突然の別れで私達4人は悲しげか顔をしながらカレンに帰るのかと聞き出していた。
エレイナ「本当に、国に帰るのですか!?」
カレン「………。」
エリシア「カレン様っ!」
カレン「……済まない、私も一応、この騎士団に属する1人の騎士何だ。何時までも村に滞在させ続ける訳には参らないんだ。」
するとカレンの目線は私に気付いたのか、直ぐ様に私に謝罪した。
カレン「セリスも済まない、本当は君ももっと私に色々と学びたい事も有るだろうに…。」
セリスティア「ううん、謝らないでカレン、カレンも国を護る騎士の1人だから、本来のお仕事に戻る過ぎない、私だって本当はカレンにもっと色々と教わりたかった!でも、団長の命令なら仕方無いでしょ、だから私、カレンの分まで強くなるから!」
カレン「セリスティア…。」
クリムゾン「………そろそろ行くとしよう、此処に居たら騎士としの本分が忘れそうになるからな。」
ルーファス「クリムゾン、今度来る時は休暇を取って遊びに来てくれ、何時でも歓迎する。」
クリムゾン「有難う我が友よ、落ち着き次第にまたこの村を訪ねよう。」
お父様とクリムゾン団長が互いに握手する。互いに微笑み合い、心の中ではこう伝えられた『また会おう』と。
そして。『炎の騎士団』の皆様が本国へと向かって村を立つのを私達は見送る最中、騎士の皆様は元気良く手を振るも、唯一、カレンは最後まで私達の方を振り向かなかった。振り向いたら帰りたくないと無意識に芽生えるのだろうか?また。師匠である自分が泣いてる顔を見せたくないと言う考えなのだろうか、それはカレン本人しか分からなかった。
セリスティア「………すいません、お父様、お母様、セリスティアは先に屋敷に戻らせて頂きます。」
レイラ「お、お嬢様!?」
セリスティアはレイラと共に先に屋敷にへと戻りに皆と別れた。その去り際の後ろ姿を見つめたルーファスは直ぐにセリスティアを引き止めようとするが、リリアナに肩を掴まれ引き止められる。
ルーファス「リリアナ…。」
リリアナ「今はレイラだけに任せておきましょう、貴方。突然のカレンとのお別れであの娘に何を伝えても落ち込む流れよ、だから今は。」
ルーファス「…そうだな、今私達が何を言っても致し方無いかもしれん、そっとして置くのが1番だろう。」
その去るセリスティアの後ろ姿を両親だけでなく、エレイナとエリシアもただ見る事しか出来なかった。
エレイナ「セリスティア…。」
エリシア「セリスお姉様…。」
子供達は表情が暗くなる最中、其々の父親は互いに顔を縦に頷いてから、子供達に大切な話を伝える
アルフォンズ「……エレイナ、この様な場で済まないが、大切な話が有るんだ。」
レリウス「エリシアもだ。良いか?」
エリシア「お父様?」
エレイナ「一体、どんな大切な話なのですか?」
2人の父親は真剣な表情をしながら、其々の娘達にある事を伝えると、エレイナとエリシアは驚愕するも、何も言わずに返事をする。
*
1人屋敷へと向かって帰ろうとしている私、そんな中、私の後をレイラが追い掛けながら言い放つ。
レイラ「宜しかったのですかお嬢様!?カレン様に見送るだけで…。」
セリスティア「レイラ、私はもう決めたの、クリムゾン様とのあの約束を受けた以上、もっと自分を磨かなければならないから。」
私はあの大型魔獣との戦いを思い出す、あの時、もしもあの魔獣の状態が全快だった場合、私達は今頃殺され、私も聖女には覚醒しなかっただろう、しかし、紛れとは言え魔獣を倒した事には変わりは無い。
だから炎の騎士団が村を立つ前日、私はクリムゾン様と出会った日に伝えられた自分の本国出立の件の答えを伝えた。
クリムゾン:回想『はあっ!?い、今、何て言ったんだ!?』
セリスティア:回想『はい、ですから、本国には行かずにこのまま村に残ろうかと思います。』
クリムゾン:回想『何故何だ?何故、私の誘いを断ろうと…。もしや、カレン達の事を気にしてるのか!?大型魔獣で怪我を負った3人の件は君の責任ではない、あれは寧ろ、我々騎士団の合流が遅れた事が…。』
セリスティア:回想『違うんです!……そうじゃないんです、確かにクリムゾン様の仰る通り、今の私の強さでは国は疎か、誰1人も守れません。だから私はこの村に残ってまた最初から鍛え直さなきゃならないのです。』
クリムゾン:回想『ううむ、それでもだ。本国に来れれば、ディオス村には無い物が沢山の技術が学べられるのだぞ?いや、ついでに騎士団の客人団員扱いとして、特別に訓練に参加させる事も認めさせる、これでも駄目なのか!?』
セリスティア:回想『はい、これは私の我儘なのは分かっています、ですが、あの大型魔獣と戦い分かったんです、今の自分では誰も守れないと。あの時は頼れる仲間達が居てくれて、聖女に選ばれて聖剣の力を得たのも紛れなのかもしれません、確かにクリムゾン様の言う通りに私が本国に向かい、多くの術を学び、騎士団の訓練に私が参加すれば強くはなれます、しかしそれでも、力が足りません、なので、私は此処でもっと訓練を積んでから本国へ参ろうかと思います。』
クリムゾン:回想『何と…。』
真剣な眼差しのセリスティアの固められた決意にクリムゾンは驚きを隠さない、この様子だと覚悟は決まったと察したクリムゾンは頭を抱えながらルーファスに言った。
クリムゾン:回想『はぁ、ルーファス、お前の娘は飛んでもない頑固者になったな。』
ルーファス:回想『あの娘は一度決めた事は最後まで曲げずに貫くんでな、流石の俺でもあの覚悟の籠もった眼を見たらやむを得ん、そう言う娘何だ。』
クリムゾン:回想『……これ以上、何を伝えてもこの村に残るとなると致し方無いな。』
セリスティア:回想『本当ですか!』
クリムゾン:回想『ああ、ただし、1年だ。今から1年以内に己自身を磨く事、過ぎれば直ぐに本国に来て貰うぞ。良いな。』
こうして私はクリムゾン団長と約束し、1年と言う期間内で強くなる事を決めたのだった。
*
現在へと戻る。
私は今、屋敷の自分の部屋のベッドの上で大の字に寝ながら上の空になっていた。理由は簡単だ。いきなりの戦いの師匠であるカレンがクリムゾン団長共々、セトランド王国に帰還してしまったとなると今後の訓練は私1人だけの自主形式になるのだけれど。
現状、今の私は魔獣の攻撃を受けて肋骨を数本だけ折ってしまったけど、要約、骨がくっついた処、とは言え訓練が出来る状況ではないのだ。理由はと言うと…。
レイラ:回想『旦那様と奥様の御命令です、お嬢様のお身体が完治しても数日は訓練は禁止させ、安静重視にさせて頂きます。確りと見張ってますので。』
と、レイラに微笑みながら言われて訓練用の木剣を没収されてしまう始末、一度魔法の訓練をしようか考えたけど『魔力感知』で勘付かれたら直ぐに駆け付けて来そうだから止めた。となると…。
セリスティア「………書物室に行こう。」
ベッドから起き上がった私は書物で独学しようと書物室に行こうと部屋の扉を開けた瞬間、レイラといきなりノーカウントで遭遇する。
セリスティア「どわあああああっ!!?」
突然のレイラの出現で私は直ぐに驚いて尻餅を付いてしまう。
レイラ「大丈夫ですかお嬢様!?」
セリスティア「お、驚かさないでよレイラ!!」
レイラ「申し訳有りません、私はてっきりお嬢様がまた無断で訓練でもするかと思いましてつい条件反射で。」
セリスティア「しないわよ!失礼しちゃう!……それで、何か用なのレイラ?」
レイラ「はい、お客様がお見えです。」
そう言うとレイラは右手を廊下の方へと差し向ける、もう直ぐ夜更けになるのに私にお客様?誰だろうとレイラの右手を差し向けた方向に目線を向けると、清楚な服を着たエリシアとエレイナお姉ちゃんがやって来た。
エレイナ「…やっほー。セリスティア、お昼振り。」
エリシア「こ、今晩は、セリスお姉様…。」
セリスティア「…エレイナお姉ちゃん?エリシア?」
突然の2人の来訪、しかも清楚な服を着ながらも、私は格好の事など気にせずに致し方無く2人を私の部屋に招待する。
セリスティア「め、珍しいわね、2人がそんな清楚な服装で屋敷に訪ねて来る何てさ、誰かの誕生日でもあった?」
エリシア「い、いえ…。有りません。」
エレイナ「………。」
何だろう、様子が可笑しい。エリシアなら兎も角、お姉ちゃんまで黙り込む程に雰囲気が暗い何て何かあったのかしら?
セリスティア「レ、レイラ!こ、紅茶を用意出来ないかしら!?」
レイラ「畏まりました。」
レイラは紅茶の準備をしに向かおうと私の部屋を出ようとした途端、2人は直ぐ様にレイラを引き止める。
エレイナ「ま、待って!話が済んだら直ぐに帰る予定だから!!」
エリシア「そ、その、紅茶は結構ですので!!」
レイラ「そ、そうですか…。」
意外にもエレイナお姉ちゃんとエリシアが紅茶を断った事に私は兎も角、レイラはポカンと驚いた。やっぱり、2人は何かあって私に会いに来たのよね…。
セリスティア「ねぇ、2人共、一体どうしたのよ?さっきから何時も見たいに元気が無いしさ。」
エリシア「そ、それは、その…。」
エレイナ「待ってエリシア、こっからは私が代わりにセリスティアに話すわ、あの事を。」
これから言う事はとても重要な事だろうと私は察すると、お姉ちゃんは私に伝えた。
エレイナ「実はね、セリスティア、私とエリシア…。村を出なくちゃならなくなったのよ。」
セリスティア「………えっ?」
今、エレイナお姉ちゃんは何て言ったの?村を出る?お姉ちゃんとエリシアが?突然の言葉に私は戸惑う最中、お姉ちゃんは話を続けた。
エレイナ「お前なら理由は分かるでしょ、この前の森での魔獣との遭遇と、私達の現状を、あんな事があった以上、このまま村に居続ける訳には行かないってお父様とレリウス様に言われたわ。」
エリシア「………。」
アルフォンズ様だけでなく、レリウス様までそんな事を、さっきから暗い表情しながら黙り込むエリシア、今にでも悲しそうな表情するエレイナお姉ちゃん。
セリスティア「………そ、それって、何時なの?村を出るのは。」
エレイナ「明日よ、ノービスとお母様と一緒に本国のお爺様とお婆様の屋敷に住まう予定、お父様は…。このディオス村の領主として残るらしいから。」
エリシア「私も、同じくです…。お父様の此処でのお仕事は無くなってお屋敷に帰らなければならないんです。本国のお屋敷には、残ったクロノお兄様の事も心配ですので…。」
身を震えさせながら、エリシアは自分の兄であるクロノの心配事を私に伝える。それもそうだ。エリシアだって何時までもこの村に滞在してる訳では無い、父親であるレリウス様の1年間滞在の期間が魔獣の襲来で無くなってしまったからだ。
エレイナ「そっか、エリシアにはお兄様がいたんだっけ?流石にこれ以上留守にしたら心配になるわよね…。」
エリシア「はい…。ですので、エレイナ様とノービス様と同じ日に村を立つ予定です。」
セリスティア「じゃあ2人は本国、ううん、セトランド王国に向かうんだね…。明日。」
私はそう言うとと、2人は何も言わずに縦に頷く。
セリスティア「………明日、お別れ何だね。」
エレイナ「……そうだよ、だから同じ事、言わせないでよ。」
エリシア「………っ!!」
その時、エリシアは突然と私をぎゅっと抱き締めて来た。
セリスティア「エ、エリシア!?」
エリシア「本当は…本当は…。我慢してたんですけど、やっぱり、無理です…。だからエリシアは、セリスティアお姉様に本音をぶつけますっ…。」
するとエリシアは、私を抱き締める強さが少し増すと共に身を震えさせながら、私に向かって本音を叫んだ。
エリシア「嫌ですっ…嫌です!やっぱり嫌ですっ!!大好きなセリスお姉様と離れ離れになる何て絶対に嫌ですぅ!!」
セリスティア「エリシア、私だって本当はエリシアと離れたくないのは分かるわ、でも、仕方無いの、大人達の都合だから…。」
エリシア「それでも嫌です!嫌……嫌……もう嫌ぁ……。」
私を抱き締めながらその場で泣き崩れるエリシア、まだ幼いながらか、私は手を差し出そうとするけど留める、それでも駄目だ。甘えては…。
エリシア「……うっ……うっ……うあぁぁぁぁぁっ!」
エレイナ「……私も、エリシアと同様に本音を言うわ、セリスティア。」
セリスティア「お姉ちゃん?」
ポロポロと涙を零し、私を強く抱き締めながら。自分の本音を私に伝えた。
エレイナ「私だって!!セリスティアと、大切な妹と離れ離れになるのは嫌なのよぉ!!」
そう言いエレイナお姉ちゃんは泣き始めた。自分がお姉ちゃんと言う立場だったなのか、ずっと、ずっと我慢し続けてたのか、エレイナお姉ちゃんは自ら我慢の枷を外れたかの様に泣き続ける。
エリシア「いやっ……ひぐっ……いやぁ……セリス、お姉様と……一緒に……いたいよぉ……………。」
エレイナ「うわああああっ!!」
2人の泣く姿を見て、私は未だに掛ける声を見つけられないでいた。私だって、私だって本当は2人と離れたくないよ…。
泣くお姉ちゃんとエリシアの姿を見て、私達はてっきり、ずっと一緒に要られるのかと思った。運命と言うのは本当に残酷だ。けど、何時までも泣いたままでいる訳には行かないと私は決意した。
セリスティア「……お姉ちゃん、エリシア、聞いて、私の話を。」
エレイナ「ひぐっ…何よ?」
エリシア「っ……お姉様?」
セリスティア「私も、2人と同じく、私だってずっと一緒に居たいよ、けどね、仕方無いの、もし、魔獣との遭遇が今度は森ではなく、この村に現れたとしたらどうするの?」
エレイナ「そ、それは…。」
それ以上は何も言えなくなるお姉ちゃん、エリシアも泣きながら縦に頷き理解する。それもそうだ。魔獣の襲撃が今度は森ではなくディオス村に現れたらどうなるかも分からないから。
セリスティア「だからさ、2人共、明日は笑顔で別れましょう。」
エリシア「そんなの、嫌です!セリスお姉様とは離れたくないですよぉ!!」
セリスティア「聞いてエリシア、お姉ちゃんも、確かに私達は大人の都合で離れ離れにならなきゃならないわ、けど、永遠の別れ何かじゃない、自分達でまた会えれば良いの。再会の地、あの学園でまた。」
エレイナ「あの学園って、もしかして!」
そして私は2人に宣言した。
セリスティア「だから宣言するね、セリスティア・K・クラリスロードは1年後、2人と同じくディオス村を出立し、セトランド王国に、そしてエンディミオン魔法学校に入学を果たし、2人と再会する事を此処に誓うわ!」
眼を大きく見開きながら、お姉ちゃんとエリシア、レイラまでもが、無反応で私を見つめていた。も、もしかして私、とんでもない程に発言の仕方とか間違えたのかな!?は、恥ずかしい…。ふ、2人が帰ったら直ぐにでも顔を枕で塞ぎながら大きな声で叫びたい…。
そんな事を思ってると2人は私に飛び付き、私に再び抱き着いて来る、2人の身体から感じ通る匂いが、温かい温もりが私に伝わって来る。
セリスティア「ど、どうしたの2人共!?も、もしかして泣かせちゃう程の酷い発言をしちゃった!?」
エレイナ「ううん、違う、違うわよ…。寧ろ嬉しいの…。こんな事をセリスティアが言って来る何て驚いちゃって…。」
エリシア「私もですっ…。嬉しくて、魔法学校でお姉様とまた会えるなら私、我慢します……。」
2人は私を抱き着く腕を自ら離し、数歩だけ後退してから涙を拭き、決意したお姉ちゃんとエリシアは私に向かって宣言を誓った。
エリシア「私、エリシア・S・シルフィードは、尊敬せしセリスティアお姉様と一時のお別れをし、1年後の来たるエンディミオン魔法学校の地にてお姉様との再会をこの場に誓います。」
エレイナ「私も、私、エレイナ・G・ルークディオスは、愛しの妹であるセリスティア・K・クラリスロードと一時の別れを行い、今から来たる1年後、エンディミオン魔法学校の地にてセリスティアとの再会をこの場に誓います。」
セリスティア「それじゃあ、改めて…。私、セリスティア・K・クラリスロードは愛する姉であるエレイナ・G・ルークディオスと愛しの妹であるエリシア・S・シルフィードと別れ、このディオス村に残り、1年後の来たるエンディミオン魔法学校の地にて、2人と再会と再会する事を共に誓います。」
そして…。屋敷を去ろうとする時間が訪れようとしていた。
エレイナ「それじゃあセリスティア、私達、そろそろ御暇するね。」
エリシア「…では、失礼します。」
2人は悲しげな顔で私の部屋を出て行こうとする、本当にこのまま見送って良いのか?まだやり残した事がある筈だ。
セリスティア「待って!2人共!」
引き止めると2人は足を止め、私の方を振り返る。
エレイナ「…どうしたのさ?」
セリスティア「明日お別れするならさ、1杯だけ、レイラが淹れた紅茶を飲まない?次に何時会えるかどうか分からないからさ…。レ、レイラ、紅茶の用意を…。」
レイラ「既に、御用意致しました。」
エレイナ「レイラお前、何時の間に…。」
何て用意周到の早さなのだろうか、主人と侍女の深い絆による以心伝心なのだろうか、流石と言った方が良いのだろう。
エレイナ「…ま、まあ、1杯くらいは飲んでも構わないわよ、つ、次に何時、レイラの淹れた美味しい紅茶が飲めるかどうか分からないしさ。」
セリスティア「それじゃあ!」
エリシア「はい、私も頂きます。」
ほんの少しの一時の安らぎの時間、私達3人はレイラが淹れてくれた美味しい紅茶をゆっくりと味わった。途中、私の分の紅茶だけ何故か塩っぱい味がした。
*
そして時は現在へと戻り、この草原地帯を遠くから見つめながら、エレイナお姉ちゃんとエリシア、ノービスとの思い出に私は無言に泣いていた。
レイラ「お嬢様。」
後ろから聴こえる足音と共に、レイラが1人やって来て私を迎えに来た事に気付き、私は急ぎ涙を拭き、何時も通りに微笑みながら対応した。
セリスティア「………レイラが来たって事は、もう馬車が出る時間なのね。」
レイラ「ええ、既に馬車は村の中央広場にて待機させています、余りゆっくりと移動する時間は有りませんので、お急ぎ下さい。」
セリスティア「分かったわ、直ぐに行くね。」
そう言い私は急ぎ、村へと向かって駆け出した。何故なら今日はエレイナお姉ちゃんとノービス、エリシアが村を出て、本国、セトランド王国へと旅立つ日だからだ。
広場にて2台の馬車と護衛らしき馬乗りの騎士達が数人、そしてお姉ちゃんとノービス、マリアンヌ様を見送るアルフォンズ様の姿と、エリシアとレリウス様を見送る私の両親の姿があった。
レリウス「本当に世話になったな、ルーファス。」
ルーファス「出来れば、もう少し長く居て欲しかったぞ、レリウス。」
レリウス「前にも言ったが、流石にこれ以上は王陛下に騙されてしまうからな、それに、クロノの事も心配だからな…。」
ルーファス「クロノか、確か今年で23になるのだったな、今年度から何でも、エンディミオンで教鞭を取ると前に聞いたが。」
ルーファスの言う通り、攻略キャラの1人にしてエリシアの兄であるクロノは4人の内、唯一の最年長で後の主人公と私のクラス担任である、そのクロノは前に何でも未来の宰相となる為にお祖父様の所で英才教育を受けていると。エリシアから聞いた事がある。
レリウス「ああ、教鞭と言ってもその補佐を勤める予定だ。学園長である私としては、いきなり教鞭を取らせる訳には行かないからな。」
ルーファス「そうか、セリスティアも来年度からエンディミオンに入学する予定だ。その時は、友人の娘とか特別扱いせずに厳しくら宜しく頼む。」
レリウス「ああ、言わずともその積りだ。」
実の娘を特別扱いせずにちゃんと一生徒として意識させると誓うレリウス、一方のアルフォンズ様達ルークディオス家の方はと言うと。
アルフォンズ「ではマリアンヌ、私の代わりに子供達の事を頼んだぞ。」
マリアンヌ「ええ、貴方もどうかお身体にはお気を付けて下さい。」
自分の愛する妻を抱き締めてからアルフォンズ様は、自分の子供達に此方でもちゃんと言う事を聞くようにと伝える。
アルフォンズ「エレイナ、ノービス、お母様やお爺様、お婆様の言う事をちゃんと聞き、学校でも礼儀正しくするんだぞ。」
エレイナ「はい、お父様。」
ノービス「………はい。あっ!姉様!」
ノービスが慌てて駆け付けて来た私に気付き、指を指すと皆の目線が私の方へと向ける。
セリスティア「はぁ……はぁ……。な、何とか間に合った見たいだね……。」
ルーファス「遅いぞセリス、一体何をしていたんだ?」
セリスティア「申し訳有りませんお父様…。少し、昔を振り返りながら、黄昏れていました。」
ルーファス「昔を…。だと?」
お父様は怒ろうとするも、何処かで自分の娘が友人達との楽しい思い出の記憶を思い出していたのだろうと理解したのか、私を叱らずに優しく接した。
ルーファス「……そうか、なら構わない。それよりもセリスティア、友達とお別れの言葉を言いなさい。」
セリスティア「……はい、お父様。」
私は、お父様の言われた通りに、エレイナお姉ちゃん、ノービス、そしてエリシアに、1人1人別れの言葉を告げる。
セリスティア「……とうとう、行ってしまうんだね。3人共。」
エリシア「はい、お姉様…。今まで1年間、本当に仲良くしてくれて、有難う御座いました。」
エレイナ「私もよ、絶対にエンディミオンに来なさいよね。先に待ってるから。」
ノービス「………。」
さっきから、ノービスはオドオドしながら私を見つめてる。
エレイナ「ほらノービス!お前も何か別れの言葉を言いなさい!」
ノービス「え、えっと…。」
ノービスの身体を支え持ってる木製の松葉杖と身体中の一部一部の包帯を眼にした私は彼に怪我の状態を聞き出した。
セリスティア「ノービス、怪我の方は大丈夫かしら?」
ノービス「は、はい、お医者様の話ではもう暫く掛かると…。」
セリスティア「そう、それは良かった。……ノービス、お姉ちゃん見たいに強く逞しくなりなさい。良いわね。」
私からの激励の言葉を送ると、ノービスは気弱さから脱したか、元気一杯に私に礼を言った。
ノービス「は、はいっ!有難う御座います!!」
エレイナ「有難うセリスティア、弟を励ましてくれて。」
セリスティア「本当にお別れだね、今度こそ…。」
エレイナ「お前が言ったんでしょ?私達はまた会えるって。正直、色々楽しい思い出も出来た。命懸けな事もあった。だけど…セリスティア、お前がいてくれたから私達は苦しみから乗り越えられた…。」
セリスティア「お姉ちゃん…。」
辛そうに言いながら、エレイナお姉ちゃんは最後まで私に微笑んだ。
エリシア「お姉様、私、決めました。私、もう泣きません…。今日で泣き虫は卒業し、強くなります…。」
もう泣かない、そして自分が泣き虫を今日で卒業すると私の前で誓ったエリシアは笑顔でそう言った。
マリアンヌ「エレイナちゃん、そろそろ時間よ…。」
エレイナ「はい、お母様…。」
子供達は其々の親に連れられ馬車に乗ろうとした途端、2人は足を止め、直ぐ様に私の元へと飛び付くかの様に抱き締めた。
エレイナ「それじゃあね!私が愛した最愛の妹!私は先に行くから、後で絶対にエンディミオンに入学しなさいよね!」
エリシア「私もです!愛していますお姉様。必ずまたお会い致しましょうね!」
セリスティア「ええ、必ずまた!最後まで強気で誇らしかったお姉様!そして天使の様に可愛くて愛しい妹!絶対に、絶対にまた会いましょう!!」
互いの再会を誓い合い、私達3人は其々の道へと別れ歩いた。2人は馬車に乗って本国に、そして唯一故郷に1人残った後に悪役令嬢と呼ばれる少女は強くなる事を誓う。
其々の馬車の中にて親に慰められながら、2人の少女は別れの涙を流し、そして少年は怪我を完治したら彼女の様に強くなる事を心から誓った。
そして私は、2人との再会の約束を果たす為に今日も強くなると。