表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/53

悪役令嬢は…。

………あれ?何で私、倒れてるんだっけ?


そうだ。思い出した。

私は確か、エレイナお姉ちゃんを助ける為にお姉ちゃんを庇って魔獣の攻撃を受けてそして…。


もしかして、私、死んじゃったの?

いや、でもまだ私の身体が残っているけれど…。しかもこの今の私の格好、白いワンピース1枚だけ。


と言うか、この場所って確か…。前に私が魔力酸欠で意識を失った頃に来た事がある教会の中だよね?思惑な表情をしながら私は教会の周りを見渡す、でも、何で私はこんな所に居るの?


分かった。そう言う事ね、私はやっぱり本当は死んでいて、その私の魂はこの教会らしき死後の世界に飛ばされたとか…。


女の声『___いいえ、貴女はまだ死んではいません。』


セリスティア「!」


その時、何処からか聞き覚えのある女の人の声が聴こえた。そうだ。この女の人の声に惹かれて私はこの教会の中へ入れたんだ。しかし、声の主らしき人の姿は見当たら無い、幻聴?いいや違う、間違い無く聴こえた筈。私は居る筈の無いその女の人の声に問い掛けた。


セリスティア「この声、聞き覚えがある、貴女は一体誰なの?『試練』って何?『大いなる脅威』って何なの!?」


女の声『大いなる脅威は既に迎えています、貴女は仲間達と共に愛する故郷を守る為に、命懸けで守り続けました。貴女が意識を失くすまでは。』


ディオスの森での魔獣の襲来も、あの大型魔獣が現れた事も、全て『大いなる脅威』にして『試練』だと、もしかして、この声の主は私をセリスティアに転生させた元凶の可能性があっても可笑しくは無い!だとしたら聞き出す他無い!!


セリスティア「貴女は誰なの?どうして森に魔獣が起きた事を貴女は知っているの!?もしかして、私をセリスティアに転生させたのは貴女の仕業!?」


女の声『………もし、そうだとしたら、貴女はどうしますか?セリスティア。』


セリスティア「どうしますって、そんなの決まっているわ!破滅√と言う名前の運命を自分自身の力で打ち破る!!大いなる脅威?見定められし試練?そんなの関係無い!!良く聞きなさい!私の前に立ち塞がる相手が例え神様であろうと、私の運命は、ううん、私の未来は私自身で決める!!これが悪役令嬢。セリスティア・K・クラリスロードよ!!」


女の声『………それが、貴女の答えなのですね。』


セリスティア「当然よ!それより、何時までも隠れていないで出て来なさい!!」


女の声『良いでしょう、私も何時までも隠れ潜み続ける訳には参りません、ですが、後悔しなさい、私の姿を見られた以上、後戻りは無いと思いなさい!!』


奥の祭壇の1番上にある飛翔する白い飛龍のステンドグラスが光り輝き出し、私の視界を眩していく。


眩い光が消えると、その声の主を見た私は驚愕しながら後退りしていく。


セリスティア「う、嘘でしょ、こんな事って……。」


その眼に写る、その巨体差は魔獣ジャイアントボアを遥かに凌ぐ程大きく、あらゆる攻撃や魔法をも跳ね返す銀色の鱗、白く眩い大きな翼と尾、そして煌めかせる金色の眼。


銀色の飛竜。


この世界の伝説的存在にして歴代の『聖女』を守り支えし聖剣の守護神。


銀竜『この私の姿を見せた以上、最早、互いに語り合う必要は無いでしょう。』


セリスティア「っ……。」


銀竜の眼から宿る強い威圧が私の全身を震え出す。銀竜は私を見下ろし見つめながら、両翼を大きく羽撃かせながら


銀竜『さぁ、次なる試練です、貴女の腕を試させて貰います!!』


私の右手から鋼鉄の剣が出現する。これも銀竜による何かの力なのだろうか?銀竜はどんな攻撃を仕掛けて来るのか、私が考えてる最中、銀竜は口を開きながら私に言った。


銀竜『………一度だけ、私は何もしないで起きましょう。』


セリスティア「何ですって?」


銀竜『その間だけ、私は攻撃を始め、魔法も、防御も、避ける事も一切せずに貴女の攻撃を受けてあげましょう。』


一度だけ何も行動もせずに私の攻撃を受けるですって?私への挑発?もしくは逆に罠?けど、奴の眼を見て嘘と付いているとは思えない…。だとしたら選択肢は1つ。


此奴の挑発に乗る事にした。剣を握り締め、私は銀竜目掛けて突っ込む。


セリスティア「うあああああああっ!!!」


胴体を斬ろうと剣を振り下ろした矢先、私は何か違和感を感じた。この展開、何故か前に何処かで見た様な気がする。本当に斬っても良いのだろうか?


そうだ。思い出した。

竜の言われたこの試練の内容が何なのかを、私は直ぐ様に、銀竜を当たらないように振り下ろされた剣を教会の床に突き刺し止める。


銀竜『!?』


私の予期せぬ行動を見た銀竜は驚くも、そんな事は気にしない、そう、これで良い、この選択肢で良いんだ。


セリスティア「………。」


銀竜『……自ら振り下ろされた剣を、床に突き刺して止めた。貴女は()()()、私への攻撃を放棄した。何故、この様な無意味な行為を?』


銀竜の問いに、私は迷いなく答えた。


セリスティア「……確かに普通の立場からしたら、この行為は紛れも無く無意味な行為です、ですが、貴女の言葉に幾つか引っ掛かりがあったのです。貴女は私の腕を試させると言いました。けど、こういう展開での貴女なら私にこう言います。『殺しに来なさい。』か『私を倒しなさい』と。だから敢えて言うわ、これ。『聖女の試練』よね?」


銀竜『っ!』


聖女の試練。

『CRYSTAL SYMPHONIA』最大のメインイベントが1つ、主人公アリサが夢の中でたった1人、この教会内で銀竜との特殊イベントによるボス戦が行われる。毎ターン毎に銀竜はアリサに問題を用意する、現れた選択肢次第でゲームでのイベントが改変する仕組み。


そして、最後の問題を答え終えると、アリサは特級技術エクストラスキル『聖女の加護』と得る同時に、伝説の聖剣を継承される。


セリスティア「もし、これが聖女の試練なら、私は断然、お断りよ!!」


銀竜『………それはつまり、セリスティア、貴女は聖女になる事を放棄する、訳ですね?』


セリスティア「当たり前でしょうが!?そもそも私は悪役令嬢なのよ!悪役令嬢が聖女何てなったらこの世界の歴史が丸々変わってしまうじゃないの!!良い?良く聞きなさい!!こう言う重い役目はね、私じゃなくて主人公にやらせなさいよ!!この唐変木!!」


やってしまった。伝説の銀竜を相手に悪口を言い放ってしまったよ私、怒鳴ったとは言えつい言い過ぎてしまったよ、こ、これは流石に怒らないわよね?


銀竜『………竜であるこの私を相手に、悪口を放つとは、些か調子に乗り過ぎた見たいですね。』


あ、これはどう見ても不味いパターンだ。


銀竜『貴女が聖女の役目を放棄する以上、セリスティア、最早、無価値である貴女に用は有りません!!この場に塵となって消えなさい!!!』


そう言うと銀竜は口を開きと共に私に向ける、息吹ブレスを私に向けようとする、上等よ!この攻撃を耐え切ったら直ぐに反撃に掛かってあげるんだから!!


銀竜『受けなさい。裁きの白を!『白の息吹(ホワイト・ブレス)』!!』


食らえば最後、何者をも無にへと還す、純白の息吹ブレスが口から放たれると私はその息吹を両断しようと剣を振り下ろす。


だが、幾ら剣でも竜の息吹を受け耐える事は出来ずに粉々になり、私は何も出来ないまま、息吹に飲み込まれていく。ああ、これは今度こそ死んだな…。


………。


………………。


あれ?私まだ生きてる?どうなって…。


銀竜は私を見下ろしながら笑っていた。何?何が可笑しくて笑っているの!?すると銀竜は私に言った。


銀竜『合格です、良く私の試練を乗り越えて頂けましたわね。』


セリスティア「えっ…。どう言う事なの?」


銀竜『先程の攻撃は貴女がどの様に行動するのか、試させて貰いました。結果は、まさか逆に挑むとは思いも致しませんでした。』


セリスティア「じゃあ、貴女は元から私を殺す気等は…。」


そう言うと竜は頭を左右に頷き、ニッコリと微笑みながら答えた。


銀竜『いいえ、殺す気で攻撃をしました。』


結局はさらっと私を殺す気で攻撃を仕掛けて来た積りだったのね!?


銀竜『貴女は私の攻撃を受ける瞬間、貴女の眼には途轍も無い覚悟を秘めていました。これは、()()を始め。()()の聖女にも持ってはいない闘争心と少女とは思えない強い精神力、そして何者にも負けない尽きぬ勇気。セリスティア、やはり貴女こそ…。』


セリスティア「其処から先は言わないで。……言ったでしょ、私は悪役令嬢、聖女にはなる積りは更々無いわよ。それにね、さっさとこんな所からおさらばして直ぐにお姉ちゃん達を助けに行きたいの。これ以上、意識失い続ける訳にはいかないから。」


銀竜『………そうですか、なら、私が引き止める理由はもう有りませんね。』


すると銀竜は眼を光らせると、唯一の出入口である教会の両大扉を開錠する。


銀竜『此処を出れば直ぐに意識が覚醒されます、しかし、貴女をこのまま行かせる訳には参りません。』


セリスティア「えっ?」


銀竜『受け取りなさい。』


真上から1本の光り輝く剣が出現し、私の手元にゆっくりと手渡される。私はこの剣が何なのかを知っている、けど、どうして銀竜はこれを私にと疑問を抱く最中、彼女は言った。


銀竜『不服そうな顔をしていますが、これだけは伝えます、今の貴女の力ではあの魔獣を討つ事は出来ません、ですので、この『剣』は私からへの贈り物です。どうか受け取って下さい。』


セリスティア「銀竜様、貴女は……。」


銀竜『さぁ、行きなさい、そしてどうかこの剣で、魔獣を支配されし魔王の闇を断ち切らせるのです!』


セリスティア「………はいっ!では、失礼します!」


剣を託された私は銀竜様に頭を下げて挨拶してから、出入口へと向かって駆け出しながら意識の中から飛び出した。


セリスティアを見送るのを見届けた銀竜は


銀竜『セリスティア、これだけは忘れないで。魔獣の根源。『魔王』の復活の時は近付いてます。魔王を倒すには『槍』『双剣』『大盾』『弓』の4種の聖具の他にセリスティア、貴女の正しき誠の心が必要です、その正しき誠の心をどうか忘れないでいて下さい。』


そして銀竜は教会内の天井を見上げながら、天に住まう女神に祈った。


銀竜『我が主にして創世の女神アテナス様、どうか新たな聖女。いいえ、聖剣の継承者をお見守り下さいませ。』





ディオスの森にて、時間はセリスティアが攻撃を受けて倒れたばかりの頃、エレイナは泣きながら倒れたセリスティアの意識を覚醒させようと


エレイナ「セリスティア!確りしてよ!ねえったら!!」


カレン「もう止めるんだエレイナ!……セリスの意識は失っている、体力も魔力も底に近付いてしまった以上、もう戦う事は出来ない。」


レイラ「エレイナ様!」


復活した大型魔獣は身体から数十本の黒触手を変幻自在に操作しながら、唸りらせていた。悲しんでいたエレイナは右手に持った折れた槍を血が滲み出る程に強く握り締め、魔獣に向け刺し構えながら叫んだ。


エレイナ「よくも、よくも私の妹を!!許さない、お前だけは私の手で殺してやる!!」


大切な妹分を傷付けられた事で、魔獣への殺意を覚えたエレイナは涙を流しながら、魔獣に敵意を向ける。そのエレイナの姿を見兼ねたカレンとレイラは放っておけないのか、エレイナに加勢する。


レイラ「私も最後までお供します、主を守る為ならば、この命は捨てる覚悟ですから!」


カレン「2人共、同時に仕掛けるぞ!」


カレンは倒れてるセリスティアを見つめながら、捨て身覚悟でセリスティアを守る為に目前の魔獣と対峙しながら体術モーションへと入る。


カレン{例え剣を失っても、まだこの拳が残っている!セリスティアを、いや、未来の()()を生かせる為に全身全命を賭けてでも守る切って見せる!!}


カレン「行くぞぉ!!」


カレンを先頭にエレイナ、レイラも続けて大型魔獣に向かって捨て身覚悟で特攻を仕掛ける、同時に大型魔獣も全ての黒触手を振るい放ちながら3人に向かって突進する。


勝気無きこの戦いで負けても、3人は自分達の命を賭けてセリスティアを守る思いを秘めさせながら駆け出す。


その時だった。


3人に向かって突進をする大型魔獣は突然と足を止める、3人は魔獣が突然と攻撃を止めた事に驚き自分達も足を止める。


エレイナ「魔獣の攻撃が止まった!?一体何が……!」


レイラ「………何でしょうか?森の空気が、突然と暖かく感じて来ました。」


カレン「ああ、私の身体からも感じている…。ハッ!ま、まさか!!」


何か察したカレンは直ぐ様に後ろを振り向くと、意識を失い倒れた筈のセリスティアが何時の間にか立ち上がっていた。


セリスティア「………。」


カレン「………セリス?」


エレイナ「嘘?本当なのカレン様!?」


レイラ「お嬢様が…。」


エレイナとレイラも後ろを振り向くと本当にセリスティアが立ち上がってる事に驚く。しかし、肝心のセリスティアは何も言わずに立っているだけ、何か様子が可笑しい事に3人は気付いた。


レイラ「お、お嬢様?」


エレイナ「ちょ、ちょっと、どうしたのよセリスティア?さっきから黙りのまま…。」


カレン{何だ?さっきから立ったまま黙り込んでて、まさか、まだ意識が!?}


突然と雄叫びを上げた魔獣は3人に向かって再び突進を仕掛けて来る、不意の突進に気付いたカレンは直ぐ様に2人に回避行動を伝えた。


カレン「2人共!避けるんだ!!」


カレンは右側へと避け、レイラはエレイナを抱き抱えながら飛び出すかの様に左側へと避ける。だが、これはカレンにとって痛恨の選択の失敗だった。何故なら、魔獣の突進する先には立ったままのセリスティアがいたからだ。


セリスティア「………。」


カレン「しまった!セリス、避けるんだ!!」


エレイナ「セリスティア!!」


レイラ「お嬢様!!」


3人の呼び掛けにセリスティアは反応せず、防御は疎か、回避する動きも無く立ったまま動かない、もし、このままセリスティアは再び魔獣の攻撃を受ければ即死は免れ無い!!


セリスティアは動かずに魔獣の突進を受けてしまっては、いなかった。突然とセリスティアの身を包んだ光の柱が瞬時に現れ、大型魔獣の突進を完全に防ぐと共に魔獣は思いっきり吹っ飛ばされる。


エレイナ「い、一体、何が起きたの!?」


カレン「………光の柱が、セリスティアを包んで魔獣の攻撃を完全に跳ね返した?」


彼女の身を守る光の柱は森を突き抜け、天まで長く届くかの様に、目立ち輝かせた。





その光の柱は、目的地であるディオスの森まで後もう少しと炎の騎士団一行は馬を引き止め、驚愕な表情をし、遠くから見つめていた。


炎の騎士団員A「だ、団長、あ、あれは一体!?」


クリムゾン「………まさか、あれは。直ぐに森へ向かうぞ!!」


騎士団員達『ハッ!!』


騎士達はクリムゾンの指示の元、騎士団は一斉にディオスの森へと向かって馬で駆け出す。


クリムゾン{あの光の柱が、もし、もしも本当に事実だとしたら間違いは無い!聖女の目覚め、ディオスの森で一体何が起きてるんだ!?だが、今は子供達を助蹴る事を最優先にしなけらばならない!!そしてカレン、どうか無事でいてくれ!!}


カレンと子供達を助ける事を最優先に考えるクリムゾン、1人の騎士として、叔父として、騎士団を率いて颯爽に馬を駆け続けたのだった。





同時刻。

本国、セトランド王国中央都市部にあるアルカディアス大聖堂、教会内部の祭壇奥に突き刺し置かれた古びた剣が光り輝いていた。


アルカディアス大聖堂の責任者であるセドリック老教皇は輝く剣を黙りと見上げ見つめていた。暫くして、補佐である筆頭修道女のエルザが焦りながら老教皇の元へと駆け付ける。


エルザ「教皇様!!」


セドリック「……エルザ、神聖なるこの大聖堂内で走る事はならんぞ。」


エルザ「も、申し訳有りません!し、しかし、教皇様、突然と大聖堂から光の柱が現れる等と一体何が起きたのですか!?」


老教皇は光り輝く剣を見上げ見つめながらエルザに伝えた。


セドリック「……あれを見なさい。」


エルザは目線を剣の方を見上げ見つめると、驚愕した。自分は何度も読み繰り返していた物語の小説通りの伝説が目の前に実在に起きた事に。


エルザ「まさか、聖女様が目覚めたのですか!?」


セドリック「分からぬ、だが、もう長年目覚めなかった聖剣が光り輝くのは何かの吉兆かもしれぬ。」


エルザ「でしたら、私達は一体どうすれば?」


すると、老教皇は膝を床に付かせて、天から世を見守りし主への祈り始めた。


セドリック「………今はまだその時では無い、主よ、どうかまだ見ぬ聖女様に御加護を。」


エルザ「はいっ……。」


エルザも、老教皇と同様に膝を付かせながら主に祈った。まだ見ぬ聖女に存在に心からと。





時を同じく。

セトランド王城最上階にある王室のテラスにて、セトランド王国の王であるローランド・R・リア・セトランド13世は護衛の兵達と共に遠くから大聖堂に出現した光の柱を見て驚きを隠さずにいた。


王国兵「へ、陛下、あ、あれは一体…。」


1人の護衛の兵士があの光の柱が何なのかをローランド王に問い出す。


ローランド王「……ああ、間違いない、光の柱、あれぞ正にこの世を魔から救いし聖女の目覚めの証。」


護衛の兵士達は聖女の目覚めだと知ると驚きを隠さずに騒めかし始める。するとテラスから黄色のドレスを着込んだ王妃らしき金髪の女性と、彼女と同じ黄色のドレスを着た


彼女達はセトランド王国を支えし王妃にしてローランド王の妻であるシルヴァ・R・リア・セトランドとその2人を両親に持つ現在11歳にして、唯一の第1王女であるクリスティア・R・リア・セトランドであった。


クリスティア「お父様。」


ローランド王「ああ、クリスティア、シルヴァも済まないな、この様な夜更けにまで起こしてしまって。」


大好きな父の元へと駆け寄るクリスティアを、ローランド王は優しく抱き締めながら妻であるシルヴァに夜更けに起こした事を謝罪した。


シルヴァ「いいえ陛下、お気になさらず、今晩はどうも眠れず仕舞いでして、それより貴女、あれは…。」


クリスティア「お父様、大聖堂から光ってるあれは一体何なんですか?」


娘の問いにローランド王は真剣な顔をしながら、あの光の柱が聖女の目覚めの目印だと言う事を共に光の柱を見せながら伝えた。


ローランド王「見なさいクリスティア、あの光の柱はな、聖女の目覚めなのだよ、あの柱が現れたと言う事はだな、新しい聖女様が目覚めたのだよ。」


クリスティア「本当なのですか!?お父様!!」


ローランド王「うむ。」


クリスティア「新しい聖女様、一体どんな方がなられたのでしょうか?」


まだ見た事も、会った事も無い新たな聖女の姿を眼に浮かばせながらクリスティアは眼をキラキラと輝かせると共に大聖堂からの光の柱を見続けた。両親である国王と王妃と共に。





ディオス村でも本国と同じく、村人達はセリスティアを包ませる光の柱を見上げながら驚きを隠さずにいた。無論、村人と共に領主であるアルフォンズとセリスティアの両親も同じく。


アルフォンズ「森から、突然と光の柱が…。」


リリアナ「貴方、あれはもしかして…。」


ルーファス「間違い無い、聖女様の目覚めだ。だが、一体誰が聖女に……っ!!」


瞬間、ルーファスは聖女の特徴を思い出した。そう、聖女は魔獣と対峙する際は聖剣を使用する。唯一の引率であるカレンを除き、子供達の中で剣を扱えるのは唯一人。


ルーファス「……まさか、セリスティアが。」


レリウス「そのまさかだ。」


レリウスが3人の元へと駆け付ける。


アルフォンズ「レリウス殿、貴方もこの場に来られたとなりますと、貴方も光の柱を?」


レリウス「光の柱は聖女の目覚めの証だ。ルーファス、リリアナ、どうやら君達の娘はとんでもない才能の持ち主かもしれないぞ。」


ルーファス「だとしたら、本当にセリスティアは…。」


リリアナ「貴方…。」


ルーファス「大丈夫だ。子供達は無事だ。エリシアだって怪我したノービスを連れて戻って来た際に無事だと言われたんだ。今は祈ろう。」


リリアナは悲しげな顔しながら、ルーファスの所へ向かう、愛する娘を心配しながらセリスティア達4人の無事を祈った。無論、領主にしてエレイナの父親であるアルフォンズもエレイナの無事を願い続けていた。


アルフォンズ「エレイナ……。」


ガイアー「領主様!」


すると4人の元にガイアー達ディオス村の自警団の面々が武器防具を装備した状態で駆け付けて来た。


ガイアー「俺達ディオス村自警団、エレイナ様達子供達の救出へ直ぐに向かいます!」


アルフォンズ「ああ、子供達の事を頼む、ガイアー。」


レリウス「念の為だ。新たな魔獣の被害が起きない様に私も行こう、何が起きても可笑しくは無いからな。」


ガイアー「そんな!まさか王国の宰相様であるレリウス様にまで…。」


レリウス「私もルーファス達同様に子供達が心配だからね、それに今は王国の宰相ではなく、一時的とは言え、この村の住民として自警団に手を貸そう。」


ルーファス「レリウス。」


レリウス「子供達の方は私に任せてくれ、ルーファス、リリアナ、それとアルフォンズ殿は村に居てくれ、すれ違いざまに子供達が戻って来る可能性があるからな。」


ガイアー「レリウス様!」


レリウス「では、行って来る。」


レリウスはガイアー達ディオス村自警団と共に村を出て、森へと向かって駆け出して行った。彼等を見送るルーファス達はレリウスと自警団の皆を見送るのだった。


ルーファス「……頼んだぞ、レリウス、自警団の諸君。」





その頃、診療所の病室では治療を終えてベッドに眠っている魔獣の攻撃を受けてを負った包帯まみれのノービスを、彼の母で領主夫人のマリアンヌが看護していた。


するとエリシアが変えのタオルの山を持って病室にやって来た。


エリシア「マリアンヌ様、その、新しい変えのタオルを持って参りました。」


マリアンヌ「有難う、エリシアちゃん。」


無理した笑顔でエリシアに礼を言うとマリアンヌは新しいタオルを水の入った桶で濡らしてノービスの身体を拭き始める。


エリシア「マリアンヌ様、ノービス様の容体は…。」


マリアンヌ「何とか一命は取り留めたわ。けど、意識を取り戻しても当面は身体を動かす事は禁止だと先生に言われたわ。」


エリシア「そうですか…。」


マリアンヌ「………エリシアちゃん、ノービスを森から運び出したのよね。有難う。エリシアちゃんが助けてくれなかったら、この子は今頃、魔獣に殺されていた処だったわ…。」


エリシアに子供を助けた事に御礼を言う最中、後ろ姿で表情が見えないものの、マリアンヌは震えながらポタポタと涙を零してる事にエリシアは気付き、悲しげな表情をするもエレイナとセリスティア達は無事だと言う事を必死に伝えた。


エリシア「マリアンヌ様、エレイナ様達はきっと無事です。何故ならセリスティアお姉様とカレン様が御一緒なのですっ!」


マリアンヌ「エリシアちゃん…」


マリアンヌは振り向き、必死な表情で伝えるエリシアを見つめる、まだ幼い少女は両拳を震わせながら、自分に伝えたんだと、こんな幼気な少女が心配しながら自分を励ます何て、何やってるのやらとマリアンヌは我を取り戻し溢れる涙を腕で拭き、エリシアに御礼を言った。


マリアンヌ「そうね、エレイナもきっと無事でいるわ、何たってあの娘もノービス同様に強い娘何だから。………有難う、エリシアちゃん、心配してくれて。」


エリシア「いいえ、それより、他に何かお手伝い致しますが…。」


マリアンヌ「もう大丈夫よ、エリシアちゃんもゆっくり部屋で休んで頂戴。」


後のノービスの看病の事はマリアンヌ自身に任せ、エリシアはマリアンヌに挨拶してからノービスの病室を出て、仮眠室に向かって廊下を歩いてると窓の外からディオスの森上に突き抜ける光の柱に気付き、足を止めて眼にする。


エリシア「何でしょうか?あの、光の柱は……!!」


エリシアは光の柱を見た途端、暖かさを感じると、何故か愛しの彼女の名前を呟いた。


エリシア「セリスお姉様…。あれ?あれを見て、どうして私、お姉様の事を?」


しかし、この光の柱に悪影響は無い、幼いエリシアでも分かってるだろう、そして少女は天に向けてセリスティア達4人の無事を願った。


エリシア「………天に住まいし女神様、どうかセリスお姉様達を助けて下さい。」





……何だろう、この光は?

身体から溢れ通る、感じた事も無い暖かさがポカポカと気持ち良い。


それだけじゃない、何処からともなく声が聴こえて来る、私達の無事を願い祈る声が、これは、お父様、お母様、エリシア、ディオス村の皆、そして聞いた事も、会った事も無い数多くの人達の声が私の事を聖女と呼び慕う呼び声かま耳に聴こえて来る。


ああ、銀竜様ったら、そう言う事ね。この()を私に継承させたのは貴女はやっぱり、諦めの悪い竜だわ。


仕方が無いよね、良いわ、貴女の望み通りに引き受けてあげる!


セリスティアを包む光の柱が縮小しながら消滅すると共に白銀色に光輝くセリスティアが姿を現す、その光るセリスティアの姿を3人は驚きながら見つめていた。


エレイナ「な、何、せ、セリスティアが、銀色に光って…。」


カレン「………聖女の、目覚め。」


エレイナ&レイラ『えっ!?』


聖女の目覚めというカレンの一言に反応した2人は驚くも、光るセリスティアをじっと見つめる。


レイラ「お嬢様…。」


瞬間、開眼をすると共に瞳は水色へと変わると、右腕を天に挙げて唱えた。


セリスティア「………聖剣、召喚!」


セリスティアの右手の甲に金色の剣の形をした痣が出現すると共に右手から聖なる銀色の刃をした金色の剣が召喚されると、セリスティアは無言ながら3人を素通りし、大型魔獣へと近付き歩く。


大型魔獣は自分に近付いて来ようとする、光るセリスティアを見つめながら後退して行く、まるでその光に触れたら不味いと悟ったのか、大型魔獣は吠えながら全ての黒触手を放つと共に、生み出した闇球を近付いて来るセリスティアに向けて一斉に放つ。


レイラ「お嬢様!!」


セリスティア「………。」


セリスティアは大型魔獣に向かって高く跳躍しながら、右手に持った金色の剣で襲い来る全ての黒触手を斬り込んで行く、すると斬り込んだ黒触手は全て、光の粒となって再生する事は無く消滅する。


エレイナ「凄い、セリスティアの何処からあんな力が、あれは一体何なの!?」


カレン「………間違い無い、あれこそ正に、物語に伝わりし聖女の唯一の武器。」


襲い放たれる闇球を斬り込んで、消滅させながらセリスティアは大型魔獣へと向かって突き進む、魔獣は最後の悪足掻きなのか『咆哮』をセリスティアに向けて放つと共に突進攻撃を仕掛ける。しかし、セリスティアは回避せずに咆哮を受けて怯む筈が逆に眼にも見えぬ速さで大型魔獣を一太刀決めると共に正面突破する。


セリスティア「………。」


カレン「『聖剣』だ。」


聖剣の効果で、大型魔獣の身体に宿る闇の魔力が体内から放出されると共に昇華されていく、闇の魔力を失った大型魔獣は最早立つ事も出来ずに肉体が溶ける様に身を崩れ倒れ伏せる。


魔獣を倒した事で聖剣は役目を終えたのか光輝いて消え去りセリスティアの右手甲の剣の痣に宿り移る。


レイラ「……こ、今度こそ、倒したのでしょうか?」


カレン「……ああ、魔獣の体内に秘めた闇の魔力が放出しながら消滅した。だから、もう大丈夫だ。」


エレイナ「そっか、本当に良かっ…た……。」


突然とエレイナは地面に倒れる。


レイラ「エレイナ様!?何故倒れて…!!」


戦闘による動き過ぎの影響なのか、エレイナの右脇腹の傷から再出血していた事に2人は気付く。


レイラ「こ、この出血は一体!?」


カレン「戦闘での動き過ぎの影響だろう、無理のし過ぎだエレイナ!どうしてこんな事を…。」


今にでも意識を失いそうになりながら、エレイナは答えた。


エレイナ「し、仕方が、無いです、だって私…。セリスティアの、お姉ちゃんだから、でも、本当に生きてて、良かった……。」


そう言うとエレイナはパタリと意識を失う。


レイラ「エレイナ様!気を確かに持って下さい!カレン様、回復薬ポーションは?」


カレンは眼を瞑り悲しげな顔をしながら頭を左右に振り、答えた。


カレン「………残念だが、所持していない、単なるキャンプだと思ってたから、まさかこんな事になる何て、私とした事が本当に済まない。」


レイラ「そんな……。」


もうどうする事も出来ない、このままエレイナは死んでしまうのかと2人は絶望してしまう最中、聖剣を使い終えてもまだ光輝き続けていたセリスティアが3人の元へと歩き寄る。


セリスティア「………。」


カレン「………セリス?」


レイラ「お、お嬢様?」


セリスティア「………大丈夫、まだ間に合う。」


そう言うとセリスティアは身をしゃがむと共にエレイナの出血してる右脇腹に両手で手に触れると…。


セリスティア「『回復(ヒール)』。」


刹那、予期せぬ突然の回復魔法がエレイナの全身の傷を回復していく。


カレン「こ、これは、回復魔法!?エレイナの身体の傷が治っていく…。」


レイラ「しかし、出血の方がまだ!」


セリスティア「大丈夫、心配しないで。『治療(キュア)』。」


無意識による魔法発動なのだろうか、セリスティアは新たな回復魔法を使ってエレイナの右脇腹の出血を止血すると苦しんでるエレイナの表情は和らげになりながら眠っている。


回復魔法を使い終えたセリスティアの身体を包んだ銀色の光は消えると我を取り戻す。


セリスティア「………あ、あれ?わ、私は一体なに、を。」


そう言うと私は力を全て使い果たしたのか、糸が切れた凧の様に意識を失い倒れる。


レイラ「お、お嬢様!!」


カレン「セリス!セリスティア!確りするんだ!!」


楽しい森でのキャンプが、魔獣の襲来で台無しとなる最中、お姉ちゃんやレイラ、カレンのお陰で私達4人は無事に生き残る事が出来た。


私とお姉ちゃんが意識を失ってる最中、レリウス様と村の自警団の人達が駆け付けて怪我した私達を救出し、このまま担がれながら村へ戻り、結果、酷い怪我を負った私達4人は診療所へと入院する事となったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『推しの乙女ゲームの悪役令嬢に転生するも攻略キャラが全員ヒロインなのが間違っている!?』小説家になろう及びカクヨムにて兼任連載中! 感想も宜しくお願いします!m(_ _)m
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ