悪役令嬢、楽しいキャンプの最中に魔獣と遭遇する。{反撃編}
一体何が起こったのか、絶体絶命の最中、私は魔獣の上級攻撃魔法を食らう羽目になる筈が、別方向から見覚えのある攻撃魔法が放たれて、難を逃れた私は逃がした筈の2人の姿を見て驚愕した。
カレン「そんな、ど、どうして2人が此処に!?」
エレイナ「………。」
レイラ「………。」
セリスティア「な、何で、どうして此処に居るのよ?」
するとお姉ちゃんは怒りながら、私の元へ向かい直ぐ様に私の腹目掛けて右拳を振るい放った。
セリスティア「がはっ!?」
突然腹を殴られた最中、お姉ちゃんは私の服の胸倉を左手のみで掴みながら怒鳴り叫んだ。
エレイナ「どうしてじゃないでしょうが!!お前何勝手に私に黙って死のうとしてんのよ!!」
セリスティア「それはっ…。それよりもどうして此処に居るのよ!お姉ちゃんは兎も角、レイラまで…。どうして私の言う事を聞かなかったのよ!?」
レイラ「……お叱りは後で受ける覚悟です。ですが、主を置いて逃げる等、私には出来ません。今宵限りで構いません、どうか私を頼って下さいませ。」
エレイナ「さっきお前の言う事を聞かなかったって言ったわよね?良い?黙って最後まで聞きなさい!」
セリスティア「………。」
エレイナ「お姉ちゃんだからだよ!!愛する妹を置き去りにして、たった2人であんな化物と戦うお前を放っておけると思うの!?」
そう言いながらお姉ちゃんは私の胸に何度も、何度も右拳を殴り続けるも、徐々にお姉ちゃんの右拳の力が弱まると共に、お姉ちゃんは悲しい表情をして、ポタポタと涙を零しながら私に言った。
エレイナ「だからお願いよ…。死ぬ何てもう言わないで……。」
こんな弱音なお願いをしたら、流石の私も無駄死にせずに絶対に生き残らなきゃならなくなったじゃないの、それも束の間、大型魔獣は鋭い角を差し向けながら私とお姉ちゃんに向かって突進を仕掛ける。
カレン「『超防御』!!」
しかし、私とお姉ちゃんのカレンが素早く前に現れると共に素早く防御体勢を取りながら、魔獣の鋭い角で突かせた突進を大型盾で防ぎ切る。
カレン「2人共、呑気に大事な話をしている処で申し訳無いが、流石に命懸けの状況の中では勘弁して欲しいのだが!?」
セリスティア「ああ、御免ね、すっかりと。」
エレイナ「忘れてしまったわ!!」
私は右側へと回り込みと同時にお姉ちゃんは左側へと回り込みながら2人同時に技術で魔獣を攻撃を決める!!
セリスティア「『属性付与』&『剣術・居合斬り』ぃ!!」
エレイナ「『槍術・一文字斬り』ぃ!!」
両者の繰り出した攻撃によって大型魔獣は一気に押し出されて吹っ飛ばされるも、魔獣は後両足で地面を踏み込みブレーキングさせて受け身する。
エレイナ「ああ、やっぱり一気に押し込んじゃ駄目か。」
セリスティア「でも、案外悪く無いタイミングだったよ、お姉ちゃん。」
唸りながら私達4人を睨み見つめる大型魔獣、対して、その魔獣と対峙するのは2人の令嬢と女騎士、そしてメイド1人の計4人。私は決意した。この4人で大型魔獣を倒すと!!
セリスティア「行くわよ、3人共!」
*
エレイナお姉ちゃんとレイラを加えた4人の戦力、さて、どうやってあの大型魔獣を攻略するか?無敵の大竜巻はもう使えないが、もう一つ、地属性の防御魔法『大地防壁』と魔獣の足踏みで砕いて、発動するカウンターとしての攻撃魔法『欠岩の槍』。この2つの魔法をどうやって攻略するかが問題だ。
やっぱり、先程と同じ様にあの大型魔獣に植え付けられた。もう片方のトロンペを討伐するしか他無いわよね…。そう考えているとお姉ちゃんが私に話し掛けて来た。
エレイナ「ねぇ、セリスティア、もしかしてだけれどあの魔獣に植え付けられたアレ、魔物、トロンペだよね?」
セリスティア「えっ?良く分かったね、お姉ちゃん。」
エレイナ「あの魔物って確か、畑の作物と木の根の成分を吸い取るから、家の畑で良く出る事あってね、けど、あんな大きいの見るのは初めてよ。」
確かに、前にエリシアと一緒に屋敷の書物室で魔物に関する本で読んだ事がある、そもそもトロンペと言う植物種の魔物は元々、木を模してた魔物ではない球根をもした魔物なのだ。
エレイナ「だからさセリスティア、あのトロンペを倒す役目、私にやらせてくれないかしら?」
セリスティア「お姉ちゃんが?」
レイラ「出来るのですか?貴女に。」
エレイナ「当たり前でしょうが!こう見えて私、何度もトロンペ駆除に駆り出された経験があるんだから。」
そう言いながらエレイナお姉ちゃんは槍を構えると、大型魔獣は咆哮を放ちながら目前に『大地防壁』を発動する、しかも横一列で一度に5つもの盛り上がった地面の分厚い壁を出現させると共に大型魔獣は全ての防壁を砕く為に思いっ切り前足を上げていく。
カレン「来るぞ!!」
カレンの呼び掛けにより、私達3人は防御体勢状態のカレンの背後に付くと同時に大型魔獣は強力な足踏を繰り出し、前方の『大地防壁』を全て崩すと共に崩した土の欠片は数十本の『欠岩の槍』へと変え、私4人に向けて一斉に放つ。
カレン「『超防御』!!」
しかし、カレンの『超防御』で全ての『欠岩の槍』を防ぎ出すも、カレンの頑丈な大型盾に幾つかヒビが出来始めた事に私は気付く。
セリスティア「カレン!盾が!?」
カレン「これくらいはまだ大丈夫だ!それよりセリス、あれを!」
私はカレンの目線を追うと、トロンペが『吸引』の技術発動の体勢に入る、MPが一定値まで減ったから空気を吸収させてMPを全回復させる、そうか、そう言う事ね!
セリスティア「『火球』」
私はカレンの背後から飛び出し、直ぐ様に大型魔獣目掛けて攻撃魔法を放ち続けて行く!!
セリスティア「魔力を吸収する間だけ魔獣は何も出来ない、この隙にダメージを与え続けて行く!!」
エレイナ「そう言う事!だったら一気に攻めなくちゃね!!」
レイラ「私もお嬢様に続きます!!」
エレイナお姉ちゃんとレイラも、私に続けて攻撃魔法を大型魔獣目掛けて連射する。
エレイナ「『石弾』ォ!!」
レイラ「『風刃』!!」
私達3人の攻撃魔法の連射の雨霰が魔獣の全身目掛けて命中し続けると共に、魔獣は雄叫びを上げながらダメージを受け続けて行く。
ジャイアント・ボア【炎傷状態】
残りHP 2261
カレン「このまま一気に押し切る!!」
防御体勢を解いたカレンは自ら大型魔獣に向かって真っ向から駆け出しながら至近距離で斬り掛かる。
カレン「でやあああああっ!!!」
だが、斬撃が振り降ろされ当たる最中、魔獣の『動作反応』でカレンの力強い斬撃を左角で受け止める。
カレン「何て頑丈な角だ…。」
このままカレンはこの受け止めた状態のまま力で押し出そうとするが、大型魔獣との体重差のせいか動じずに逆に魔獣の突進を至近距離で食らうも、直ぐ様にカレンは大型盾で防ぐと共に素早く後退する。
カレン「だが、幾ら頑丈でも必ず隙は通る!」
セリスティア&エレイナ『『加速』っ!!』
私とエレイナお姉ちゃんは『加速』の技術を発動し、眼にも見えぬ速さでカレンの左右を通り越してから、素早く真っ向から駆け出し、同時に其々の武器で大型魔獣に同時攻撃を仕掛ける!!
だけど、大型魔獣は瞬時に雄叫びを上げながら『大地防壁』を発動し私とお姉ちゃんの同時攻撃を防ぐ、いや、まだだ!
セリスティア「そのまま右へ受け流して!!」
エレイナ「受け流す?分かったわ!!」
お姉ちゃんは私の言われた通りに防壁を押し切りながら右側へと受け流すと共にエレイナお姉ちゃんは大型魔獣の右側へと素早く位置に付く。
それと同時に私も剣で防壁に火花を散らしながら押し切りながら受け流すと共に私は大型魔獣の左側へ付く。長い付き合いの影響なのか、私とエレイナお姉ちゃんは左右からの同時攻撃を大型魔獣に仕掛ける!!
セリスティア「『属性付与』!!」
エレイナ「槍術ぅ!!」
私とお姉ちゃんは左右から飛び出し、魔獣の視界外から息合う同時攻撃を繰り出し放つ!!
セリスティア&エレイナ『『一文字斬り』ぃ!!』
息合う2人同時の『一文字斬り』が上手く決まり、大型魔獣は更なるダメージを負わせながら断末魔を吠えさせる。
ジャイアント・ボア【炎傷状態】
残りHP 2001。
攻撃を決めた私達は左右逆の位置に回り込む最中、お姉ちゃんは叫んだ。
エレイナ「もう一度決めるわよ!!」
セリスティア「ええ!!」
私とお姉ちゃんは其々の『一文字斬り』を再び大型魔獣に繰り出す。しかし、動作反応で感じたか、魔獣は2人の攻撃位置の前方に『大地防壁』が出現し、私とお姉ちゃんの攻撃を受け防ぎ止める、2度同じ手は通じない?だったら…。
セリスティア「右側へ!!」
エレイナ「分かったわ!!」
エレイナお姉ちゃんは再び防壁を槍で押し切ったまま右側へと受け流しながら回り込み、私もお姉ちゃんと同じく左側へと回り込む。
セリスティア「お姉ちゃん!!」
エレイナ「もう一度ぉ!!」
同時攻撃を再び大型魔獣に向けて決め込む、再攻撃を仕掛けるもまたもや防壁で塞がれながら其々左右へと受け流しながら、横へと移動して同時攻撃を繰り返して行く。
左右にただ回り込むだけでなく、時にはフェイントも繰り出し、私とお姉ちゃんとの連携で大型魔獣は徐々にHPを減らして行く。
レイラ「凄い、何と言う御二人の連携の強さでしょうか…。」
カレン「恐らく、その高い連携力は長年の付き合いの影響なのだろう。共に時を過ごし、共に鍛え、共に力をぶつかり合い、そして共に互いの背中を合わせながら一緒に戦う。」
私とお姉ちゃんの四方八方から繰り出す連携攻撃によって大型魔獣は視界を2人に向けようとするが、右往左往に混乱し、動作反応は追い付けなくなっていく。
セリスティア&エレイナ『うおおおおおっ!!!』
2人は一気に真っ向から攻撃を仕掛けるも、大型魔獣は天に向けて雄叫びを上げながら四方八方から8つの『大地防壁』を地面から盛り上がらせて攻撃を防がれる。四方八方、魔獣の周りを防壁で完全に私とお姉ちゃんとの連携攻撃をこれ以上させない為に防衛体勢に入ると、私とお姉ちゃんは直ぐ様に大型魔獣から距離を取ろうと後退する。
エレイナ「ちょっと!こんなやり方って有りなの!?」
セリスティア「魔獣なら何でも有りだと思うよお姉ちゃん…。けど、この防壁の陣形って……。」
私の嫌な予感は既に察したか、大型魔獣は思いっ切り両前足を上げて地面を足踏みすると地面諸共、四方八方に囲んだ8つの大地防壁を崩し、崩した土塊は数十本の岩の槍へとなっていく、攻撃魔法『欠岩の槍』の発動体勢だ。
カレン「3人共!私の後ろに!!」
カレンの言う通りにエレイナお姉ちゃんとレイラは直ぐ様に防御体勢中のカレンの背後に着かせる、しかし、私は違った。私はそのまま抜刀の構えをしたまま大型魔獣に向かって特攻する!
エレイナ「ちょっ!?あの馬鹿、何を!!?」
カレン「セリス!直ぐに戻るんだ!!」
だが、時既に遅し、岩の槍の雨は攻撃対象をカレン達から私へと向けて全て放たれる。私は跳躍しながら居合を放った。
セリスティア「『魔法剣・居合斬り』ぃ!!」
鞘から抜刀すると共に炎を纏いし刃が現れ、私に向けて降り注ぐ岩槍の雨を一振りで燃え斬らせる。しかし、まだ半分此方に降り注ぐ、私は宙に浮いたまま身を回転しながら再度、魔法剣で残りの降り注ぐ岩の槍を両断する。
そして、私の直感が正しかったのか、一定量まで消費した為、トロンペが『吸引』状態へと入ろうとする、そう、私はこれを待っていたのよ!
セリスティア「カレン!あれをお願い!」
カレン「セリス、分かった!!」
納得したカレンは魔獣に向かって少し前進しながら、大型盾を持ち上げて踏み台の体勢に入る。
セリスティア「お姉ちゃん!上へ飛んで!」
私はカレンの方に向けて必死に指を差し、エレイナお姉ちゃんはカレンが踏み台の体勢に入ってて巫山戯てるのかと思惑したが、瞬時にこのカレンの行動に理解し、カレンに向かって駆け出した。
エレイナはカレンの盾を踏み台にして高くジャンプする。
エレイナ「この高さなら、行けるっ!『槍術・槍投げ』ぇぇぇ!!!」
空中に飛んだエレイナお姉ちゃんは直ぐ様に吸引を始めようとするトロンペに向けて槍投げを放つ。放たれた鋼の槍はトロンペに向かって急降下する!!
セリスティア「お願い、届いて!!」
エレイナ「届けぇぇぇ!!」
しかし、大型魔獣は雄叫びを上げながら防御魔法を発動する、地面から通常よりも、より大きな『大地防壁』を地面から盛り上がらせ放たれた槍を突き刺し防ぐ。
セリスティア「そんな…。」
エレイナ「いやまだよ!『魔装』!!」
左石篭手に纏った石が全て、エレイナの左足へと移し纏わせながら、槍に向かって急降下の飛び蹴りを繰り出す。
エレイナ「貫けぇぇぇぇぇ!!!」
空中での急降下から繰り出したエレイナお姉ちゃんの飛び蹴りが槍を押し込んだ事により魔獣の『大地防壁』は砕かれ、そのまま槍はトロンペの橙色に輝かす球体型の核部を深く突き刺すと、トロンペは断末魔を叫ぶかの様に全身を灰と化して消滅する。
攻撃が決まったと同時にお姉ちゃんは地面に軽く着地し落とした槍を拾い取ると、直ぐ様に私達の元へと駆け付ける。
エレイナ「やった、のよね?」
カレン「ああ、2匹のトロンペを討ち倒した事で、あの魔獣が魔法を使う事はもう無い。」
レイラ「でしたらもう。」
セリスティア「一気に畳み掛けるわよ!!」
咆哮を放ちながら大型魔獣祖私達4人に向かって一気に突進を仕掛ける。
セリスティア「散って!!」
私達4人は1人1人東西南北に散らばり突進する大型を囲みだす。魔獣の背後に回り込んだレイラは直ぐ様に攻撃魔法を魔獣な向けて放った。
レイラ「『風刃』ァ!!」
レイラは直ぐ様に風刃を連射しながら、後ろ姿の大型魔獣の身体を魔力の風の刃で少しずつ切り込んで行く。しかし、突進仕掛ける先にはエレイナお姉ちゃんが槍を構えながら魔獣に向かって特攻を仕掛けて来た。
エレイナ「お前には乙女の綺麗な肌を傷付けた報い、100倍にして返してやるから!!『薙ぎ払い』っ!!」
真っ向から繰り出したお姉ちゃんの『薙ぎ払い』が突進中の大型魔獣の両前足目掛けて横に転倒しようとする、その最中、左からカレンが駆け付けながら大型魔獣目掛けて追撃を繰り出す。
カレン「『進軍の盾』ォ!!」
カレンの『進軍の盾』での突撃で大型魔獣は少しながら押し出されていく、その瞬間に私はカレンに続くかの様に数度、剣で斬り込んで行く。
カレン「セリス!同時に決めるぞ!」
セリスティア「連携攻撃ね、分かったわ!!」
私とカレンはそのまま押し出した大型魔獣に向かって同時に剣撃を繰り出し放つ!!
セリスティア「『属性付与』&『全力斬り』ぃ!!」
カレン「『強化』&『剛破斬』っ!!」
全力を注げた私とカレンの両者の強力な斬撃からなる会心の一撃が、大型魔獣を一気に大ダメージを負わせて行くと共に押し込んで行く!!
魔獣ジャイアント・ボア【炎傷状態】
残りHP 1099。
このまま一気に斬り込んで行く、斬り込む!斬り込む!斬り込み続ける!魔獣が私へ向けて片角を横から振りだして来るも、私は剣で受け防いで軽く吹っ飛ばされる最中、火球を数発だけ当てさせてから地面に着地して再び大型魔獣に斬り込んで行く。
カレン「私達もセリスに続くぞ!!」
カレンの一声により、私に加勢しながら大型魔獣に攻撃を仕掛ける、四者四様互いの力は違えど、少しずつ、少しずつ、少しずつだけれど魔獣のHPを徐々に削らせていく。
レイラ「『風刃』ァ!!」
エレイナ「『槍術・乱れ突き』ィィ!!」
レイラとエレイナお姉ちゃんの連携が決まる最中、魔獣はレイラに向かって突進するが、カレンが前へと入ってレイラを守る為に盾で魔獣の突進を力を込めて防いで行く。
カレン「『力の盾』ォォォ!!」
魔獣の突進を盾で押し出す最中、装甲に亀裂が出来る音がミシミシと響かす、カレンは既に察していた。自分の持ってるこの大型盾の耐久値が限界を迎えて来ている事を。
カレン「もう少しで良い、もう少しの間だけ耐えてくれぇぇぇ!!」
カレンの叫びが天に届いたのか、大型魔獣は『力の盾』により突進を反射され身は少しながらに宙を浮かばせる。この隙を私は逃さない!!
セリスティア「あああああっ!!」
『加速』の技術を発動すると共に高速の速さで付与状態の剣で大型魔獣を真っ向から斬り込んで行く。しかし大型魔獣は吹っ飛ばされながらも自身の『動作反応』の技術で身を攻撃仕掛ける私の方に向けて回転させて左角を振るい出し、私の斬撃を受け止める。
だけどね、そう来ると思ってたよ。
セリスティア「お前が『動作反応』で私の斬撃を角で防ぐ事は予想してたわ、でもね、もしこの『状態』で私が斬り込んで来たらどうなると思う?」
属性付与を込めた鋼鉄の剣の赤い刃から炎か纏われると共に押し込んで行く。幾ら魔獣の角が頑丈でも、この一撃で決める!!
セリスティア「『強火魔法剣』!!」
力一杯に角を押し込みながら、炎を纏いし刃で大型魔獣の頑丈な角を斬り込もうとする時、魔獣の角からミシミシと内側から亀裂が鳴り響く、そりゃそうだよね、何度も何度も私とカレンの剣や、お姉ちゃんの槍を防いだんだから。私達の武器同様に耐久性はあるんだから!!
セリスティア「『全力一文字』ぃぃぃ!!!」
全力を込めた私の剣術がピシピシと大型魔獣の左角にヒビが出来て、亀裂が走り出す。
セリスティア「うわあああああああっ!!!」
押し込んだ事で頑丈だった大型魔獣の左角は粉々に砕かれると共に私はそのまま真っ向から大型魔獣の左胴体を魔法剣で深く斬り込んで行く。燃える斬撃痕が現れると共に魔獣は悲鳴を上げると共に一気に後方へと押し出される。
カレン「4人同時で決めるぞ!!」
3人『おうっ!!』
私の爆炎、お姉ちゃんの石弾、レイラの風刃、そしてカレンの遠距離から放たれる剛破斬が其々繰り出す。3つの攻撃魔法と放たれた斬撃は1つとなり、より強力な攻撃。『四奏攻撃』へと変貌する。
これが決まれば、更なる大ダメージが大型魔獣に与えられる!!
だけど、その最中、魔獣の脳裏から男の声が聞こえ始めた。
男の声『何をしている!?殺せ!目前に立ち塞がる者は何者であろうと殺せ!!』
男の声に覚醒したのか大型魔獣は強力な『咆哮』の技術を放ち、私達の四奏攻撃を掻き消し、私達4人を怯ませて動けなくなってしまう。
エレイナ「な、何これ!?」
レイラ「か、身体が、動けないっ!?」
カレン「っ!!」
大型魔獣は天に向かって雄叫びを上げると、魔獣の身体からドス黒いオーラが纏い現れながら、私に向かって突進を仕掛ける。
不味い、先程の魔獣の『咆哮』のせいで、避ける処か、私達の身体が怯んで動けない。
カレン「セリスをやらせるか!!」
カレンは怯みながらも自身の意地を張らせて強引に身体を動かし、私の前に立ち盾による防御体勢を取り構える。
大型魔獣の額から異形な大角がパイルバンカーの様に飛び出し現れ、その大角はそのままカレンの大型盾に突っ込むと共に、カレンの大型盾の耐久性に限界を超えたのか遂に盾は耐えられずに貫き砕かれると共にカレンは後ろの木まで吹っ飛ばされる。
カレン「がはっ!!?」
魔獣の突進で吹っ飛ばされたカレンはそのまま地面に倒れ伏せて意識を失う。
セリスティア「カレンッ!!」
レイラ「そんな、カレン様の防御が耐えられなかった何て…。」
エレイナ「何ビビってるのよお前等!」
そう言いながら、怯み状態が解かれたお姉ちゃんは大型魔獣の右側へと周り込みながら、槍を構えて一気に突っ込む。
エレイナ「槍術・一点突……。」
その時だった。大型魔獣の身体の毛の中から隠れ潜んでいた黒くて長い物体が飛び出し、攻撃仕掛けたエレイナお姉ちゃんに振るい放つ。
エレイナ「がはっ!?」
予期せぬ反撃を食らったエレイナお姉ちゃんはそのまま茂みの中まで吹っ飛ばされ、地面に倒れ伏せる。
一体何が起きたのか、私とレイラは今の魔獣の姿を見て驚愕した。額に飛び出て現れた第3の大角だけでなく、胴体の左右から数十本のゼリー状の黒い触手らしき物が生え現れたのだ。
ああ、最後の最後まで良くある取っておきのパターンが来たのか、私も楽しみたい処なのだけれど、不味いなこりゃ、私のMP、魔力切れ寸前だ…。
そしてこの命懸けの戦いは決着の時へと迎え様としたのだった。