悪役令嬢、楽しいキャンプの最中に魔獣と遭遇する。{難攻編}
予期せぬ風魔法により、大竜巻の物理結界で我が身を守る大型魔獣。
最初は何とか押し通せたけれど、まさか防御結界を張る何て、私とカレンも予想はしなかった。それにしてもあの魔獣の身体に生えてる?いや、植え付けてる腕見たいなのは一体何だろう、取り敢えず『鑑定』で調べて見よう。
セリスティア「技術発動。『鑑定』!」
魔獣ジャイアントボアとは別の魔物らしき基本情報と総合値が2つ出現する。
基本情報
個体名:マジックハンド・トロンペ
種族:植物種
性別:無し
年齢:4
属性:風
*
総合値
Lv:23
HP:399/413
MP:969/999
攻撃力:6
魔法力:258
器用力:0
防御力:50
機動力:0
*
所有技術
『高速詠唱6』『風耐性{中}3』
『風魔法{中}4』『風刃8』
『竜巻斬壁4』『連射8』『魔法動作{中}4』
『魔力操作{中}3』『自然回復・体7』
『吸引10{最大}』
基本情報
個体名:マジックハンド・トロンペ
種族:植物種
性別:無し
年齢:3
属性:地
*
総合値
Lv:23
HP:416/416
MP:969/999
攻撃力:8
魔法力:277
器用力:0
防御力:69
機動力:0
*
所有技術
『高速詠唱5』『地耐性{中}4』
『地魔法{中}3』
『大地防壁3』『欠岩の槍2』
『魔法動作{中}6』『連射6』
『魔力操作{中}2』『自然回復・体5』
『吸引10{最大}』
そっか、成る程、そう言う事ね、カレンの言った通りにあの魔獣ジャイアントボアは魔法は使える、けど、正確にはそうじゃない、大型魔獣の身体に別の魔物を植え付けた事で魔法が使用出来る仕組みになってるんだ。
セリスティア「カレンの言った通りになったね…。魔法を使う魔獣、どうするカレン?取り敢えずあの竜巻を斬ってみる?」
カレン「いや、無闇に近付かない方が正解かもしれないぞセリス。」
セリスティア「どう言う事なの?」
カレン「こう言う事さ。」
カレンは足元に落ちてた石を拾うと、大型魔獣の身を守る大竜巻目掛けて投げると、石は粉々に削られ塵と化してしまう。
セリスティア「嘘でしょ…。」
カレン「『竜巻斬壁』。あの竜巻に触れた物は何で有ろうと削り斬る事が出来る風の上級防壁魔法だ。」
上級魔法!?あれが…。確かにアレに触れられたら私の剣は疎か、カレンの盾さえも削られそうだ。いいや、最悪私達の身体が触れられたら散り散りの挽き肉にされてしまうかもしれない。
それに恐らくだけれど。火球の様な初級攻撃魔法はあの竜巻には通じないと考える、つまり、物理攻撃も、通常の防御も、攻撃魔法さえも通じない言わば…。
セリスティア「『無敵状態』……。」
カレン「無敵か、確かに言われて見ればそうだな…。」
ギラリと赤い眼を照らしながら魔獣は雄叫びをすると共に竜巻斬壁を身に纏ったまま私達2人に向かって突進する!!ちょっ、嘘でしょ!?あんな状態でも動けて攻撃出来るの!!?
カレン「左右に!!」
セリスティア「『跳躍』!!」
竜巻纏いし魔獣の突進を、私は左側へと跳躍回避し、カレンは右側へと同時に避ける、魔獣が突進する先はこのキャンプ地点内の中でも1番大きい木にこのまま衝突すると共に後ろ草木をも大木が圧し折られる、このまま自滅してくれれば良いけれど。
セリスティア「だよね……。」
しかし大型魔獣は平然としたまま姿を現す、しかも無敵状態のままで、そして魔獣の目線は私へと向ける、技術か何かで察したのか?はたまた獣として私を危険視したのか?何方としても…。
セリスティア「嫌な予感しかしないわよね!!」
私が逃げ走ると共に、大型魔獣は危険視をした私を追撃仕掛ける。
カレン「セリス!!」
大丈夫、機動力なら私の方が上、魔獣の突進の速度は鈍足で互いの距離の差が伸びて行く。
セリスティア「ほらほらどうしたどうしたぁ!?そんな鈍足じゃあ私に追い付かないわよぉ!!」
私が挑発仕掛けた途端、突進中の大型魔獣の大竜巻から魔力の風の刃が私に向かって撃ち放たれる。
セリスティア「風魔法!?」
魔獣は雄叫びを上げながら風魔法の初級攻撃魔法『風刃』をミサイルの様に逃げる私目掛けて撃ち続けて行く!!
だけど…。
セリスティア「『跳躍』っ!!」
私は当たる寸前に『跳躍』で真横へと大型魔獣とは逆方向へ行くかの様に右横側へとかっ飛ばす、着地と同時に反撃の攻撃魔法を私は繰り出し放たれる。
セリスティア「爆炎!!」
両掌から強い爆ぜる炎の球が放たれて、魔獣の纏いし大竜巻に着弾すると竜巻は少しながら穴が開いた。しかし喜びの束の間、爆炎で開けた竜巻の穴は数秒も経たずに塞がれてかしまう。
セリスティア「………やっぱり駄目だったか。」
カレン「いや、そうでは無いぞセリス。」
セリスティア「どう言う事?」
カレンは無敵状態の大型魔獣を見つめながら私に説明した。
カレン「先程のセリスの攻撃魔法を見て気付いた。あの竜巻は中級の攻撃魔法には弱いが直ぐに防がれる、もう分かってるだろう?」
セリスティア「………あっ!」
あの魔獣の纏った防御魔法、良く見たら積乱雲が無い。そうか、あれは本物の竜巻とは実際違う、属性魔法で起きた物は全て気象現象とは別物。発動者の生まれついた属性魔力で魔法が放たれるから。
つまり…。
セリスティア「………そう言う事ね、あの無敵の竜巻には『弱点』があるんでしょ?」
カレン「ああ、そうだ。」
セリスティア「そうだよね、不死身の生物は疎か、無敵の魔法は存在しない!!」
大型魔獣は雄叫びと共に無敵の大竜巻の風を全て刃へと変えて私とカレンに降り注ぎ放たれて行く。
セリスティア「『魔法剣』!!」
カレン「『超防御』!!」
カレンは風刃の雨を盾で防ぎ切り、私は魔法剣の一閃で私を襲い放たれる風刃の雨を全て相殺すると、無敵状態の大竜巻は全て風刃へと変えた為、大型魔獣の隙がガラ空きとなる。
カレン「セリス!」
セリスティア「ええ!『爆炎』!!」
今回2発目の爆炎をガラ空きの大型魔獣目掛けて撃ち放つ、これでダメージが与えられる、と思いきや、大型魔獣は天に向けて雄叫びを挙げながら足元に橙色の地属性の魔法陣が出現すると、魔獣の目前の地面が一気に盛り上がり分厚い土の壁が出来上がって私の攻撃魔法を防ぎ切る。
セリスティア「防御魔法!?」
今のは『大地防壁』。分厚い大地を壁代わりにして敵の攻撃を防ぐ上級防御魔法。そうだった。あの大型魔獣の身体にトロンペが2体、風属性とは別に地属性のも植え付けられたんだっけ、忘れてたよ。
そう思ってると大型魔獣は雄叫びを挙げながら上半身を挙げると共に両前足を力一杯目前の大地の壁を踏み付けて破壊する!!
セリスティア「自ら防いだ防御魔法を破壊した!?」
カレン「いや違う!良く見るんだ!!」
砕いた大地の壁の破片の束が宙に浮かびながら1つ1つの物体もとい、スピアの形へと変えていく、これってまさか…。
しかし気付いても時既に遅し、大型魔獣は雄叫びを挙げながら、魔獣は地属性攻撃魔法『岩欠の槍』を私達に目掛けて放たれる。不味い、魔法速度が風刃より上、避けるタイミングが…。
カレン「セリス、私の後ろに!!」
私は直ぐ様にカレンの後ろに周り込むと、カレンは大型盾を両手で持ち構えながら全力の防御で魔獣の攻撃魔法を防いでいく。
カレン「ぐうううううっ!!!」
上級の地属性攻撃魔法ながら何て強力なの!?カレンの防御を少しだけど押し出して行くと同時にカレンの着ている鎧を少しながら傷つけさせて行く。
セリスティア「大丈夫なの、カレン。」
カレン「ああ、大丈夫だ。鎧が傷付けただけで怪我は無い…。しかし。」
再び大型魔獣は雄叫びを上げると風魔法の竜巻斬壁を発動させて再び無敵状態と化する。
カレン「また振り出しに戻った見たいだな…。」
セリスティア「そうね、けど、幾らあの状態が続けても魔力が持つかどうかの話だけど、どうするカレン、このまま防御と回避を繰り返しながら魔力が底を付くまで反撃はしない方が良いかな?」
カレン「確かにだが、そう簡単には行かない見たいだな。」
竜巻の中から2体のトロンペが外から飛び出し手型の大枝が万歳の体勢に入ると。何かを吸い込む音が響かす、これは一体!?
カレン「恐らくあれは『吸引』の技術だ。あの植物型は恐らく魔力質量が一定まで減ると自動的に空気を吸収して減らした魔力の分だけ回復する。」
要は詰まり永久機関って事!?私は2体のトロンペのMPを鑑定すると元のMP999に全回復している。って事はつまり。
セリスティア「カレン、あの無敵状態を打ち破る策を思い付いたよ。」
カレン「何?」
セリスティア「あの植物魔物を倒す!あれは魔獣化してないし魔法以外は大した事は無いかも。」
カレン「なる程、魔獣の身体に植え付けられたあの植物魔物を倒せば魔法はもう使えないと言う事か!」
攻撃方法を見つけたセリスティアとカレンは再度、魔獣の無敵の大竜巻をじっと見つめる。
カレン「それで、どうやってあの無敵状態を攻略する。」
セリスティア「取り敢えずカレンは先に走りながら一定の距離に到達するまでは防御の体勢を保って頂戴。」
そう言いながら私は剣を一度鞘に収めると、カレンは大型盾を両手で持ちながら全力の防御体勢をしながら大型魔獣目掛けて全速前進する。そのカレンの後ろに私がカレンの後を駆ける。
大型魔獣は私達に近付いて来た事に警戒したのか大竜巻から風刃を生み出して近付く私達に向かって次々と撃ち放つ。
カレン「『超防御』!!」
カレンは『超防御』の技術で魔獣の放たれた風刃の雨を防ぎ続けながら前進して行く事に止まらない!そして私は眼に通す、カレンが魔獣との一定の距離に到達した事を、そして私は指示通りに伝えた。
セリスティア「今よカレン!盾を上に持ち上げて!!」
カレン「そう言う事か、分かった!!」
防御体勢を自ら解いたカレンは大型盾を両手で持ち上げて行くと私は全力でカレンに向かっ駆け出しながら、盾に向かってジャンプし力一杯、脚で踏み込みながら技術を発動する!
セリスティア「『跳躍』っ!!」
カレンの盾を踏み台代わりにして私は高く『跳躍』すると同時にカレンは魔獣から距離を取りながら後退して行く。だけど、大竜巻をまだ超えていない、私はゆっくり宙に落ちそうになりながら攻撃魔法を発動する。
狙いは魔獣?良いや違うね、私の狙いは…。
セリスティア「カレン!受け取って!!」
セリスティアは『爆炎』をカレンに向けて撃ち出す、味方狙いのフレンドリーファイア?違う、セリスティアは理由も無く自分に攻撃を放つ筈が無いと、そしてカレンは防御体勢を構えながら技術を発動させる。
カレン「『力の盾』!!」
大型盾から赤いオーラが纏い現れ『力の盾』が発動すると共にセリスティアの爆炎を防ぎ押し出されながら、セリスティアの考えを理解した!
カレン{そうか、そう言う事か!セリスは最初から私が『力の盾』を発動するのを、そしてこの技術の効果を利用する為にセリスは私に攻撃魔法を放った。なら、私が反射させる所は唯一つ。}
そうこうしてる内にセリスティアがゆっくりと地面に向かって落ちていく、考える時間が無いと察したカレンは反射方向を宙へ落ちるセリスティアへと向ける。
カレン「セリス!!受け取れぇ!!」
攻撃波動を纏った爆炎が私に向かって反射される、何も言わずにカレンは私の考え通りに行動してくれた!後は。
セリスティア「爆炎!!」
地面に落ちる最中に反射して来た爆炎目掛けて爆炎を撃ち放ち、相殺を起こして爆発を起こす!!
カレン「やったのか!?」
爆発に巻き込たれた私は無事、相殺した爆発を利用しての再跳躍、そのお陰で私は大型魔獣を守りし無敵の大竜巻より高く空へと浮いていた。これなら魔力の竜巻の全体面が見れる!そして…。
セリスティア「竜巻頭上に大きな穴がある、彼処に突っ込めば!!」
しかし、大型魔獣は自身の獣の直感で察知したのか、カレンと宙に浮き落ちてる私目掛けて同時に8発ずつの風刃が放たれ、私達其々に襲い掛かる。
カレン「セリスの策を無駄にはさせない!!『超防御』!!」
カレンの全力の防御で自分に襲い放たれた8発の風刃は全てカレンの大型盾に直撃し少しずつ切り付けて行く。
それと同時に、私にも襲い掛かる8発の風刃に対して私は剣を抜くと共に『属性付与』を発動し、8発の風刃に斬り掛かる、何だろう、今の私なら敵の魔法をも斬れるかもしれない!!
セリスティア「『属性付与』&『魔法破壊』!!」
浮遊落下状態のまま、私は属性付与された鋼鉄の剣で次々と魔獣が放たれた風の刃を真っ二つに両断し消滅させて行く、この戦いの最中に新たな技術を得られて喜びの束の間、ガラ空きだった大竜巻の頭上が周りの風を吸収して塞がり始めた。
もしこの好機を逃せば、恐らくだけれど2度目はもう無い!だったら…。
セリスティア「『炎鞭』!!」
私は左手に炎鞭を発動させて大竜巻の中の左側のトロンペを絡めさせ、そして、掃除機のコードを素早く引き戻す様に強く引っ張ってから一気に急降下しながら大竜巻の中へと入ると同時に頭上部分が塞がる、もう後が無い、この一撃で決める!!
セリスティア「『強化』&『魔法剣』!!」
左手の炎鞭を解き、両手で強く握り持った付与された剣の刃に炎を纏わせ、空中降下の威力に加えての炎の一振りをトロンペ目掛けて振り降ろされる。
セリスティア「『強火魔法剣・紅蓮一文字』ぃぃっ!!」
炎纏いし一振りの斬撃が、トロンペの核である緑色の球体ごとトロンペの全身を真っ二つに両断すると共に魔法剣の炎によって燃えていく、魔獣は身体の一部であるトロンペが倒された事に断末魔らしい咆哮を叫ぶと、魔獣を纏いし防御魔法『竜巻斬壁』が掻き消えて消滅する。
カレン「良しっ!これで奴の無敵状態はもう使えなくなった。セリス!!」
セリスティア「たあああああっ!!!」
私は魔獣の鼻元目掛けて右脚蹴りを繰り出すと共に再びジャンプし、浮遊状態のまま身を回転さてながら付与状態の剣で横から一気に魔獣を斬り込み放つ。
セリスティア「このままもう一度斬り込む!!」
魔獣を斬ろうとした矢先、魔獣は雄叫びを上げると足元に分厚い地面が盛り上がって私の横からの斬撃を防がれてしまう!!
セリスティア「しまっ!?」
しかも、防がれた反動により剣が弾き飛ばされ落ちる。不味いと私は急いで回避行動を取ろうとするが…。目前の大地の防壁が魔獣の足踏みによって破壊され『岩欠の槍』の発動体勢へと入る。
カレン「セリス!!」
カレンは急ぎ、私を助けようと駆け出すも間に合わない…。これは死んだと思ったその時だった。
エレイナの声『『石弾』ォ!!』
私の目線の左側から石らしき物体が幾つか放たれて大型魔獣の身体に全て着弾し、岩欠の槍の発動が失敗する、一体何が起きたのか!?いや、それよりも…。
セリスティア「今の攻撃魔法は、まさか!?」
私とカレンは直ぐ様に目線を左方向へと向けると、茂みの中から2人の人影がわたしたちの前に姿を現す、そんな、どうして2人が…。
レイラ「どうやら間に合った見たいですね。」
エレイナ「当たり前でしょうが!私の愛する妹がそう簡単に殺られると思ったら大間違いなのよ!」
セリスティア「………嘘、こんな事って。」
絶体絶命のピンチを救ったのは、先に逃がした筈のエレイナお姉ちゃんとレイラの姿だった。
エレイナ「待たせたわね、セリスティア!」