悪役令嬢、楽しいキャンプの最中に魔獣と遭遇する。{襲来編}
セリスティアとカレンが川場で2人きりで話し合ってる頃、レイラ、エレイナ、エリシア、ノービスの4人は就寝していた。
唯一、寝ながら3人を見守り続けているセリスティアの世話係兼お付きメイドであるレイラは
レイラ{お嬢様とカレン様が川場へ向かってかは早くも数十分近くが経過致しましたが中々戻って来ませんが…。何かあったのでしょうか?本当に心配です。}
未だに帰ってセリスティアとカレンの2人が帰って来ない事に心配するレイラ、その時、ガサガサと茂みを揺らす音が川場の方へと響き、2人分の足音が此方へとゆっくり向かって来る。
レイラ{足音?お嬢様とカレン様が戻って来た見たいですね。}
レイラは枝を束に集め、火打ち石で焚き火を作り、バスケットの中からティーポットと水の入った水筒そして茶葉を取り出し2人分の紅茶の準備をしようとする。
しかし、レイラが2人分のティーカップをバスケットから取り出そうとした途端、右方向から別の2人分の足音が聞こえ、カップ取り出す手を止める。
レイラ{何故、川場とは別の方向から足音が!?間違い有りません、これはお嬢様とカレン様じゃない!!もしやお嬢様達2人の身に何かがあった!?いや、それは有りませんが…。}
レイラは紅茶の準備を止めて荷物を全てバスケットの中へと仕舞いながら、周りから迫り来る足音を警戒しながら数を確認する。
レイラ{しかも同時に、推定からして2?いや違う、4…!}
左方向とは逆方向からも同じく2人分の足音が聞こえる、平然と茂みの中を突き進み、枝を踏み折り、途中、ヴゥ〜と唸り声が響かす。
レイラ{合計6!?不味い、幾らメイド長から戦いでの術を得てはいる物の単体で複数の敵を相手にするのは不利に過ぎません!此処はメイドとして、彼女達を逃さないと!!}
1人のメイドとして主の友人達を守る為に魔物達から現れる前にエレイナ、ノービスそしてエリシアの3人を起こそうとする。
レイラ「皆様!生憎の就寝中に申し訳有りませんが直ぐに起きて下さいませ!緊急事態が起きました!!」
エレイナ「ふぁぁ、何よレイラ…。突然起こして、一体どうしたのよ?」
ノービス「いきなり何ですかぁ…。」
レイラ「直ぐに逃げる準備をして下さい!魔物が私達の居るこの場に迫って来ます!」
この時のエレイナは驚いていた。あの冷静沈着な何時も犬猿な仲であるレイラが焦り、動揺している何て、念の為にエレイナはレイラが冗談を言ってるのかどうか聞き出した。
エレイナ「レ、レイラ、お前が冗談、何て言わないよね?それって本気?」
レイラ「大本気です!こんな状況の中で冗談何か言える質ですか貴女様は!?」
エレイナ「っ!?」
この様子を見て冗談ではないと判断したエレイナ、同時に魔物が此方に来る事に理解したのか自分の眠気が吹っ飛んで行く。
レイラ「兎に角、お嬢様とカレン様は後から参られる可能性が有りますので、最小限の荷物を持って私達も直ぐにこの場から…。」
ノービス「あ、ああ……。」
すると、ノービスが大きく口を開きながら驚いた顔をする。
レイラ「ノ、ノービス様?」
エレイナ「生憎と残念だけれどレイラ、どうやら手遅れ見たいだよ。」
レイラ「えっ…!?」
其々の茂みの中からガルフが1匹1匹姿を現す、2匹1組のガルフのペアが3組、合計6匹のガルフが牙を出しながら唸らせながら4人を睨み見つめる。まるでエレイナ達4人を獲物と認識し逃さない様に見つめているからだ。
レイラ{くっ!まさか私の予想よりも早く現れる何て思いもよりませんでした。この森に入った途端、どうも森の様子が可笑しい事とも関係性はある事は夕食の最中にお嬢様とエリシア様からの報告で伝えられてましたが…。}
レイラは後ろ腰に隠し備えたナイフを抜く構えに入ると、自分の背後に居るエレイナ達3人をどうにかしないとならない状況でいた。
レイラ{お嬢様を守る為にメイド長の手解きで戦闘術を心得ているとはいえ…。魔物1匹ならばまだしも、一度に複数、しかもエレイナ様達を守りながらは極端に不利。この絶体絶命の状況を何とかしなければ……。}
ノービス「っ………!」
ガルフ達の群れを見て怯えるノービスは目前にある焚き火に気付く、火はまだパチパチと燃え続けている。
ノービス「う、うわああああっ!!」
エレイナ「ノ、ノービス!?」
ノービスは叫びながら焚き火の太い枝を素早く掴み取り、ガルフ達に向けながら燃える枝を思いっきり左右に振り回しながら追い払おうとする。
これは動物と遭遇した際の対策の1つで獣を追い払う術だ。ノービスは勇気を振り絞り、怯えながらも必死に燃える太枝を振り回しながら姉であるエレイナに逃げる為の時間稼ぎを伝える。
ノービス「ね、姉様!僕が時間を稼ぎますので!!」
エレイナ「レイラ!早くエリシアを起こして!」
レイラ「分かってます!エリシア様!起きて下さい!緊急事態です!!」
命懸けでレイラはエリシアを起こそうとエリシアの身体を思いっ切り揺らして意識を起こそうとする。
エリシア「えっ、ど、どうかしたので、すか?」
魔物が現れた状況の中でもエリシアは寝ぼけながら瞼を開けて意識をゆっくりと覚醒させながら何事かとレイラに聞く。
レイラ「魔物が現れました!直ぐに逃げる支度を!!」
エリシア「えっ?ま、もの…?」
ゆっくり、視界をガルフ達に移した途端、エリシアは意識を瞬時に覚醒させ、額を青ざめ、身を震え出す。
エリシア「………ひいっ!!?ち、違います…。」
魔物達の姿を見て、エリシアは怯え震えながら言う。違う、と。
エレイナ「えっ?な、何を言ってるの?」
レイラ「エリシア様、違うとは一体?」
エリシア「あれは……ま、魔物じゃ、ありません…。」
魔物じゃないとエリシアは答えた。エレイナとレイラはエリシアの発言に思惑するもエレイナは先程の発言の内容を聞き出す。
エレイナ「ま、魔物じゃないって、どう言う事なの?あれはどう見ても…。」
エレイナは6匹のガルフ達を良く見る、闇の様な暗い漆黒色の毛、血の様に輝く真紅の眼。普段のガルフの眼と毛の色が違う事に気付き、後退りながら自分の寝床に置かれた鋼の槍を取りに近付こうと、ガルフ達を追い払おうと必死に燃える太枝を振り続けるノービスに向かってガルフ達に近付こうとする、エレイナは額を青ざめながら伝える。
エレイナ「ノ、ノービス、駄目よ、あのガルフ達に近付いちゃ…。」
ノービス「な、何を言ってるんですか姉上!この隙に早く逃げて下さいっ!!」
しかしノービスは気付いていない、あのガルフ達の容姿が通常のとは違う事に。
エレイナ「馬鹿っ!!違うのよ!あれは普通の魔物何かじゃない!!闇の魔力を持った魔王の眷属。『魔獣』よ!!逃げてっ!ノービスッ!!」
ノービス「えっ?」
あれが魔獣と知ったノービスが燃える枝を振るう手を止めて呆けた瞬間、1匹の魔獣ガルフが油断したノービスに向かって突進する。
ノービス「がはっ!!」
魔獣ガルフの突進を食らったノービスは思いっ切り吹っ飛ばされて後ろの木に背中を強く打たれる。
ノービス「かはっ、けほっ…。」
突然の魔獣の突進と木に強く打たれた事でノービスは吐血する、その弟の姿を見た姉は叫んだ。
レイラ「なっ…。」
エリシア「あ、ああっ……。」
エレイナ「ノービスゥゥゥゥゥ!!」
エリシア「キャアアアアア!!!」
エリシアの悲鳴と共にノービスに突進した魔獣ガルフはノービスにトドメを刺そうと駆け出す。このままではノービスは食い殺されてしまう、その時だった。
エレイナ「『槍術・薙ぎ払い』ぃぃぃ!!」
瞬間、エレイナの鋼の槍での薙ぎ払いが突進仕掛けた魔獣ガルフの胴体に直撃して吹っ飛ばす。
レイラ「エレイナ様!」
自分の弟を酷い目に合わせた魔獣達に向け、怒れるエレイナは槍を構えながら叫んだ。
エレイナ「お前等、良くも私の弟を!来い!!全員纏めて私が相手になってやる!!」
レイラ「い、いけませんエレイナ様!複数の魔獣相手では幾らエレイナ様の強さでも!!」
エレイナ「五月蝿いっ!!レイラ、アンタはエリシアとノービスを連れて逃げて。それに、後からセリスティアとカレンも駆け付けてこの状況を打破出来るかもしれないしさ…。」
エリシア「エレイナ様…。」
先程、薙ぎ払いを諸に受けた筈の魔獣ガルフは何も無かったかの様にゆっくりと立ち上がる。
エレイナ「うぇ…嘘でしょ、どんだけ頑丈なのよ魔獣って……。」
左側の2匹の魔獣ガルフがエレイナに向かって飛び掛ろうと駆け出する、足音のみで察知したエレイナは『強化』の技術を発動させて攻撃力を上昇させ、自分に飛び掛かる2匹の魔獣ガルフに向かって槍術の体勢に入る。
エレイナ「技術発動!『強化』&『槍術・乱れ突き』ぃ!!」
空中で飛び掛かった2匹の魔獣ガルフはエレイナの乱れ突きの的と化して槍刃で魔獣ガルフの全身を斬り付けつけていく。
しかし、前方の魔獣に意識し過ぎたか、別方向から数匹の魔獣ガルフがノービスを抱えたエリシアに向かって襲い掛かる。
エレイナ「しまっ…エリシア!ノービス!」
このままではノービスとエリシアが食い殺されてしまうと駆け付けようとしたいが、突進して来た1匹の魔獣ガルフを槍で受け防いでいて動けない状況でいた。
間に合わないと思ったその時、黄緑色の魔力の風の刃が2人を襲おうとした魔獣ガルフの1体の首を的確に両断して切り落とした。
エレイナ「今のは、風の攻撃魔法!?もしかしてエリシア!?」
レイラ「残念ながら、今の攻撃魔法はエリシア様では有りませんよ。」
風攻撃魔法を放ったレイラがエレイナの元へと向かいながら、エリシアとノービスの2人を守る為に魔獣ガルフ達の前に立ち塞がる。
エレイナ「レイラ!?お前どうして…。」
レイラ「やはりこの状況を打破するには少しでもお嬢様達の重荷を軽くさせなければなりませんからね。」
エレイナ「確かにそうね、お陰様で私1人だと不利だったし、と言うかレイラ、お前、メイドの癖に何時の間にあんな攻撃魔法を覚えてたのさ。」
レイラ「ええ、元冒険者で短剣使いだったメイド長から少々手解きを、この様に…。」
視界外あら1匹の魔獣ガルフがレイラに向かって突進を仕掛ける最中、彼女は素早く右片手で短剣を抜剣する体勢に切り替えて行く。
レイラ「技術発動。『短剣術・居合一文字』!」
メイド服の腰に収めた短剣のケース型の鞘から、短剣を抜剣すると精密な斬撃がレイラを襲う魔獣ガルフの首元を斬り付け、少量の血飛沫が噴き出すもダメージは浅く、またもやゆっくりと立ち上がる。まるで先程のレイラの短剣での攻撃が何事も無かったかの様にだ。
レイラ「何て平然としてるのでしょうか?歯応えはあったのは間違い無いのですが…。」
エレイナ「と言うか、どれだけタフで頑丈なのよ魔獣って!?」
するとノービスを守りながらエリシアは2人に魔獣への正しい攻撃方法を伝えた。
エリシア「気を付けて下さい!魔獣は通常の攻撃を受けても必ず再生致します!」
エリシアの言った通りに先程、エレイナの乱れ突きで斬り付けた2匹の魔獣ガルフ、ノービスを突進仕掛けた1匹の魔獣ガルフの身体の怪我や傷が少しずつながら塞がっていく。
これは魔獣固有の技術の1つである『自動回復・体』の習性だ。
エレイナ「そんな…。それじゃあさっきの私の乱れ突きも無意味じゃないの!?」
レイラ「いいえ、そうとも限りません。あちらの魔獣の御遺体を見て下さい。」
エレイナは先程、エリシアを襲い掛かった魔獣ガルフの遺体を見て察する、そう、この魔獣はレイラの攻撃魔法によって首と身体が両断されて絶命しているからだ。
エレイナ「もしかして、レイラの攻撃魔法で…。」
エリシア「は、はいっ!魔獣は魔力の込めた攻撃と攻撃魔法と言う2つの対処方法のみとなっています!」
エレイナ「要は魔力を使って倒せって事よね?」
レイラ「おや?もしやエレイナ様は武器への属性付与をお使う事が出来ないのですか?」
こんな不味い状況の最中にレイラはエレイナを馬鹿にするかの様にニヤリと微笑みながら属性付与は出来ないのかと告げる。
エレイナ「出来る訳が無いでしょうがまだ!?それにね、属性付与は出来ないけれど此方なら出来るわよ!『魔装』!!」
左手を天に挙げると共に無属性練成魔法『魔装』を発動させるエレイナ、周りに散らばった石が大きさ問わずにエレイナの左手にくっつくかの様に張り付き、篭手の形へと変貌する、筈だった。
エレイナ「な、何よこれぇ!?」
集った石はエレイナの左手に張り付くも、少数のせいか、形は石篭手ではなく石の手袋へと変貌したのだった。
エリシア「お、恐らくですがその…。此処は川場見たいに石が多くある場所でないとなりません…。」
エレイナ「嘘でしょ…。」
まさかの魔法失敗で苛立つエレイナ、そんな最中に2匹の魔獣ガルフがエレイナに向かって襲い掛かる。
エレイナ「ああもう!!『魔石拳』ォ!!」
石手袋を纏った左拳を強く握り締めながら、エレイナは自分に向けて攻撃仕掛けて飛び掛ろうとする1匹の魔獣ガルフに向かって駆け出しながら、石手袋を着けたまま左ストレートを魔獣ガルフの顔面に強く打ち込む。
エレイナ「からのっ。『薙ぎ払い』っ!!」
それと同時にエレイナは隣接していたもう1匹の魔獣ガルフを右手に槍を持ったまま『薙ぎ払い』の技術で吹っ飛ばす。此方は魔力を付与された攻撃ではないが距離を離す事は出来た!
一方、エレイナの魔力の籠もった左石手袋での鉄拳を食らった魔獣ガルフの額の打撃跡の部分に、エレイナの魔力らしき橙色のオーラが引っ付いてる事にエリシアは素早く気付いた。
エリシア「はっ!今ですエレイナ様!拳を受けさせたあの魔獣に通常の攻撃をお願いします!」
エレイナ「何だか分からないけれど。『一点突き』ぃ!!」
エリシアの発言に何か察したのかエレイナは言われた通りにあの魔獣ガルフに向かって槍で魔獣ガルフの額に一点集中による鋭い槍突きが魔獣ガルフの額を脳部に深く届くかの様に突き刺さり、そのまま地に伏せ倒れて絶命する。
一体何故倒せたのかとエレイナは驚く最中、エリシアは自分の考え通りの展開になったのか縦に頷く。
エリシア{やはり、先程のエレイナ様の『魔装』での攻撃を受けさせた影響で、あの魔獣の額に一時的ですが魔力が付与され通常の攻撃が通じました。}
先程、薙ぎ払いを食らった魔獣ガルフは今度はレイラを狙おうと攻撃仕掛ける。しかし、魔獣への迫り来る殺気を感じだったのか、直ぐ様に攻撃魔法を繰り出し放つ!
レイラ「『風刃』!!」
レイラの両掌から掌サイズの緑色の魔法陣が現れると共に魔力の風の刃が2発飛び出し、レイラに攻撃を仕掛けようと駆け出す魔獣ガルフに向かって、全身を切り付けてダメージを負わせるも、痛みが感じないのか致命傷を負った状態のまま魔獣ガルフはレイラに向かって突進攻撃を仕掛ける。
レイラ「くっ…。」
レイラは再び風刃の体勢に入ろうとするが魔法発動には間に合わない、このまま突進を食らってしまうと思ったその時、レイラの背後から魔力の纏った1発の矢が飛び放たれ、突進する魔獣ガルフの脳天に突き刺さり絶命する。
エレイナとレイラは後ろを振り向くと、エリシアがノービスを守りながら矢を引き構えた体勢をしていた。
エリシア「レイラさん、大丈夫ですか!?」
レイラ「先程の矢はエリシア様です、僭越ながら、御支援有難う御座います。」
エリシア「いえ、そんな…。」
残り半数となったのか、3匹の魔獣ガルフは唸らせながらエレイナ達3人を警戒する。
レイラ「半数になって私達を警戒していますね…。」
エレイナ「そう、だったら今から仕掛ける他無いわね!!」
そう言うとエレイナは速攻で仕掛ける。2人は引き止めようとするが既に遅し、
エレイナ「こんな状態で使いたく無かったけれど…。『石弾』ォ!!」
石手袋から魔力を纏った1発の石が撃ち放たれ、真ん中の魔獣ガルフの額に着弾すると同時に命中痕からエレイナの魔力らしき粒サイズの光が少しながら残っている、これをエレイナは逃さずに追撃仕掛ける!!
エレイナ「うおおおおおっ!!!」
叫びながらエレイナは魔獣ガルフの脳天目掛けて力一杯に槍で突き刺し、中央の魔獣ガルフはそのまま絶命、エレイナは素早く槍を抜き、追撃として左右に居る2匹の魔獣ガルフ目掛けて、槍で大きく振るい回し、槍の全回転から生み出された風圧のみで2匹の魔獣ガルフを吹っ飛ばし距離を離して行く。
エレイナ「今よ2人共!!」
レイラ「風攻撃魔法『風刃』!」
エリシア「魔法弓術『風魔の矢』!」
距離を離したと同時にレイラは風刃、エリシアは風魔の矢を左右の魔獣ガルフに目掛けて放ち同時に命中させ、更に距離を離れさせる。
エリシア「や、やりました。」
エレイナ「ええ!後少し、このまま私達が押し切れば何とか…。」
これなら魔獣相手でも勝てるとエレイナは思った。その時だった。
ズシン!!
エレイナ「!?」
ズシン!!と、再度、地鳴らしがこの森全体に響かす。更に再び響かす、一体この現状は何なのかと3人は思惑な表情をしながら辺りを見渡し探る。
エレイナ「………ね、ねぇ、一応聞くけれどさ、何なの今のは?」
レイラ「分かりません、ただ…。嫌な予感、それ以外しか考えられませんが…。」
2匹の魔獣ガルフはエレイナ達3人への警戒心を解き、先程の地鳴らしの影響なのか大人しくなる。
エレイナ「………えっ?な、何よ、突然と嫌な予感的な発言して。」
レイラ「油断為さらないで下さい、あの様子、まるで何かを仕出かそうな雰囲気です。」
エレイナ「雰囲気ねぇ、だったらそれを仕出かす前に私が片付けてあげるわ!!」
エレイナは右側の魔獣ガルフに向けて石弾を撃ち構える体勢へと入った。
エレイナ「食らいなさい!ストーン…_」
石弾を放とうとした途端、2匹の魔獣ガルフは目線を夜空へと向けて大きな雄叫びを放った。突然の魔獣の咆哮に3人は直ぐ様に耳を手で塞ぐ。
レイラ「っうう!!?」
エレイナ「あああっ!!な、何よ、この五月蝿い鳴き声はぁ!?」
エリシア「くうっ…。」
暫くして、魔獣は遠吠えを止めると再び地鳴らしが大きく響かして行く。
バキバキィ!!メシメシィ!!
それだけではない、何かが木を枝の様に簡単に圧し折りながら、この場所へと近付いて来る、3人は内心息が合うかの様に察した。嫌な予感しかしないと。
そしてその嫌な予感は直ぐ様に的中した。3人の前方向の森の中から巨大は獣の影らしき物体が地鳴らしらしき大きな足音と共に姿を現し、3人は絶句した。
エレイナ「………な、何よ、この大きいの?ま、魔獣、なの?」
レイラ「……わ、分かりません、あ、あんな系統のは、見た事が……。」
エリシア「ま、まさか、そ、そんな筈が…。」
2人はエリシアが何か知ってる様子だと気付き、エレイナはエリシアにあの魔獣の正体が何なのか聞き出した。
エレイナ「何か知ってるの!?エリシア!」
エリシア「あ、あの系統は、図鑑で見て間違い有りませんっ!ボ、ボアの大型系統種…。ジャイアント、ボアですっ!」
全身を震えながらエリシアはあの大型魔獣の正体がジャイアントボアだと伝えるとエレイナとレイラは魔獣ジャイアントボアを良く見る。
ボアの特徴である角、針の様な大きな毛と分厚い皮膚、しかさその右角だけは何かの切り込みによって失くし、前身のみ火傷を負っていた。
そう、あの大型魔獣はアルバ村自警団のリーダーであるオリバーを深手に負わせるも、駆け付けた炎の騎士団達の連携によって大きなダメージを負わせるも突然と撤退して姿を消したあの魔獣ジャイアントボアなのだ。
その事を未だ知らない3人は震える最中、エレイナは槍を両手で握り締めると共に突き構えながら、勇気を振り絞って2人の前に立つ。
エレイナ「そ、それがどうしたのよ!ず、図体が大きいからって元々、所詮はボアはボア!私が一気に」
エリシア「駄目ですエレイナ様!迂闊に仕掛けては!!」
しかし、エリシアの引き止める声は聞こえずにエレイナは魔獣ジャイアントボアに向かって、速攻で仕掛ける最中。エレイナは『強化』の技術を発動させて一時的に自身の攻撃力を上昇させる。
エレイナ「食らいなさい!!技術発動!『槍術・一点突き』!!」
全ての力を込めた一点突きが魔獣ジャイアントボアの額に突き刺す、しかし…。
エレイナ「っ!!?」
槍が魔獣の額に突き刺さったと同時にエレイナの全身が痺れだす、まるで魔獣の身体の硬さが固くて分厚い壁の様に硬質でビクともしない、それ処か…。
エレイナ「何この硬さっ、しかも、浅いっ…。」
レイラ「避けて下さいエレイナ様!!攻撃がっ!!」
エレイナ「しまっ!?」
油断した。エレイナは直ぐに避けようと突き刺した槍を抜いて横へ飛ぼうとした最中、至近距離での大型魔獣の反撃の突進をエレイナは諸に食らい、エレイナ思いっ切り吹っ飛ばされ、その先の木に向かっ衝突する。
ズズズ、と地面へと背中から落ちてエレイナは倒れ伏せる。
エレイナ「かはっ…。」
更にエレイナの口から吐血を吐き出す。全身を受けた影響だ。
レイラ「エレイナ様、大丈夫で…なっ!?」
レイラは直ぐに駆け付けた最中、彼女は驚愕する、それは後から駆け付けて来たエリシアも同様に。
エレイナ「ど、どうしたのよ…2人共、そんな顔をしてさ……。」
エリシア「え、エレイナ様…。お、お腹に、血が……。」
エレイナ「えっ?」
恐る恐ると左手で右脇腹を触れて確認する、生まれてから感じた事も無い熱さ、額から冷や汗が流れる、エレイナは脇腹に触れた左手を離して自分の眼で確かめる。
左掌は血に濡れていた。そう、先程の大型魔獣の突進と共に左角でエレイナの右脇腹を突き斬ったのだ。服越しながら増々と血で汚れて行く。
エレイナ「えっ……な、何?これ?血……。」
再度、エレイナは口から血を吐き、槍を落とし、両膝を地面に付かせてから倒れて動けなくなると共に手で押さえながら脇腹の激痛が感じ叫んだ。
エレイナ「がああああああっ!!!」
エレイナの予期せぬ負傷にレイラとエリシアの2人は絶体絶命の窮地に追いやられてしまう。このままでは不味いと悟ったレイラは直ぐ様に倒れたエレイナを担いで逃げようと歩き出そうとした最中、エレイナは意識を保ちながら自分を担いでるレイラに話し掛けた。
エレイナ「な、何やってんのよ…お前。」
レイラ「何って、決まっているでは有りませんか?貴女様を助ける為に逃げるのですよ…。」
エレイナ「ば、馬鹿言ってんじゃないわよ!!わ、私は、まだ戦える!!」
レイラはエレイナの服の胸倉を掴み、近くの木に叩き付けてからエレイナに怒鳴り出した。
レイラ「良い加減にして下さいっ!!貴女の我儘で死なれてしまったら、私は領主様に顔向け出来ません!!」
エレイナ「………。」
エリシア「レイラ、さん…。」
あの冷静沈着でセリスティアのお付きメイドであるあのレイラが怒鳴った。肝心のエレイナは何も言えず、エリシアは驚いていた。そしてレイラは今にでも泣きそうな程、悲しげな表情しながらエレイナに伝えた。
レイラ「それにです、もし、エレイナ様が死なれてしまったらお嬢様も悲しみます…。どうかお願いです、少しは私の言う事を聞いて下さい……。」
エレイナ「レイラ、お前……。」
レイラ「………。」
レイラの言う通り、エレイナはこの戦況を見て勝てないと判断する、それもそうだ。子供3人相手とは言え数体の魔獣は倒せても、あの様な大型魔獣に勝てる訳が無いと。
貴族は本来、逃げれば敗北や一族の恥と言われ周りから責められるが、今は違う、この様な命のやり取りの場合、互いの立場や身分がどうあろうが関係無く、誰かを助け合わなければならない状況の中に、新たな友情が生まれるからだ。
エレイナ「そうね、逃げるしか…。無いわよね、けど、彼奴等が逃がしてくれるかどうかは、話は別だけれど……。」
そう、魔獣達はエレイナ達を逃さない、魔獣ジャイアントボアはこの戦況を見て勝利したと判断したのか自ら手を出さずに数歩後退し、同時に2匹の魔獣ガルフがエレイナ達4人を殺そうとゆっくり近付いて来る。
エリシア「………い、いやっ!こ、来ないでっ!」
今にでも泣き出しそうな表情するエリシアは弓を引き、近付いて来る魔獣ガルフに向けて矢を放つも、不安定な状態なせいなのか矢が次々と当たらずに地面に突き刺さる。
そして、2匹の魔獣ガルフは左右同時にエレイナ達4人に向かって駆け出す。
エリシア「来ないで!来ないで下さいっ!!」
左側の魔獣ガルフがジャンプしながらエリシアに向かって、何者の肉をも切り裂く鋭い獣の爪を生やした右前足を大きく振るい出す。
条件反射ちしてエリシアは弓を地面に捨て、身を低くしゃがませ眼を瞑りなから彼女の名前を叫んだ。
エリシア「助けて下さいっ!!セリスお姉様ぁ!!!」
セリスティアの声『魔法剣!!』
その時、炎を纏いし斬撃がエリシアを襲った魔獣ガルフを真っ二つに両断する。
カレンの声『力の盾!!』
それと同時にエレイナとレイラを襲い掛かろうとした残り1匹の魔獣ガルフは突然現れた大型盾に防がれると同時に身を吹っ飛ばされ反射、その好機を逃さない力の斬撃が放たれる。
カレンの声『剛破斬!!』
地面を崩す程の力一杯の斬撃が残り1匹の魔獣ガルフの上下半身を両断し絶命させる。
絶体絶命のこの窮地に要約、駆け付けて来た2人の後ろ姿を見て、3人はホッとする。
レイラ「………どうやら、間に合った見たいですね。」
エレイナ「はは、全くよ…。どれだけ長話してたのよ馬鹿っ。」
エリシア「ああ……。」
エリシアはゆっくりと眼を開けると、自分達の眼の前に、愛しの彼女の後ろ姿と女騎士の後ろ姿があった。そしてエリシアは泣きながら2人の名前を呼び叫んだ。
エレイナ「お姉様!!カレン様!!」
駆け付けた悪役令嬢とその師匠である女騎士の姿の登場により、窮地は脱した事を3人は喜んだ。
セリスティア「待たせたわね、皆!!」
セリスティアの現在の総合値。
Lv:16
HP:513/513
MP:426/436
攻撃力:68+86
魔法力:131+93
器用力:72+102
防御力:60+74
機動力:75+88
増加システム・OFF。
*
所有技術
『炎耐性{弱}3』『炎魔法{下}10{最大}』『属性付与2』
『火球5』
『炎鞭1』
『爆炎1』
『読書10{最大}』『鑑定8』
『下級剣士{弱}1』『回避動作{中}2』
『反応速度{中}2』『魔法剣5』
『魔法動作{弱}10{最大}』
『魔力操作{中}4』『投擲{弱}2』
『釣り5』『立体機動7』『加速8』『強化6』
『硬化5』『突撃7』『受け身8』『跳躍7』
『再撃{弱}1』
『剣速{弱}10{最大}』
『剣術・受け流し8』
『剣術・居合斬り7』『剣術・全力斬り7』
『集中8』『瞑想8』『自然回復・魔4』。
『不屈EX』『盾破壊1』
『自然回復・体3』『呼吸法1』『交渉術1』
『■■の■■』。