悪役令嬢は友人達とキャンプをしたい。
この世界に生を受けて早くも10年、そほ世界に転生して3年が経ち、新たな1年が訪れた。
特に今年は別れの季節だ。何しろ、エレイナお姉ちゃんは今年の初春からゲームの物語の舞台であるエンディミオン魔法学校に入学し、弟のノービスは本国の兵学校へと入学する、そして、1年間のレリウス学園長の仕事を終えたエリシアは父娘共々、故郷であるセトランド王国へと帰国する。
そして私はと言うと、ある決意を決めて皆の前に宣言した。
セリスティア「皆!キャンプをするわよ!!」
レイラ&友人達『………はい?』
クラリスロード邸の中庭のテラスにて、突然の私の一言にレイラや友人達は眼を大きく開きながら全員驚く。
エレイナ「い、いきなり過ぎて何なのさ?そもそも何でキャンプなの?」
セリスティア「キャンプ、それはつまり、思い出作りよ!!」
エリシア「思い出作り…。」
エレイナ「けどさセリスティア、どうしていきなりキャンプをする何て言うのさ?何か訳でもあるの?」
私は悲しげな顔をして皆に言った。
セリスティア「だってさ、もう直ぐ皆と離れ離れになるじゃないの。」
レイラ「お嬢様…。」
レイラは心配そうに私の方を見る最中、お姉ちゃんもエリシアも私と同じく悲しげな顔をするとお姉ちゃんは自分が魔法学校に入学してディオス村から旅立つ事を。
エレイナ「そっか、セリスティアは気付いてたんだね。私が魔法学校に入学を気にこの村から出る事を…。」
セリスティア「うん、この前、アルフォンズ様が家に訪ねて来て伝えられたの。今年の春にお姉ちゃんはノービスと一緒にこのディオス村を出て魔法学校と兵学校に通う事を。」
レイラ「そうなのですか?エレイナ様。」
エレイナ「……ええそうよ、私は魔法学校へ、ノービスはセトランド本国王城近くの兵学校に其々入学する予定よ。いいや、もしかしたら準備が早く終えて今年の初冬内にはこの村を立つかもしれないわ。」
エリシア「そんな、エレイナ様とノービス様がこの村を…。」
エレイナ「それに問題はノービスの方よ、彼奴さ、最近私達と一緒に遊んでいないでしょ?実はお父様がルークディオス家の次期当主としての貴族学を学ばれてるの、あの臆病ノービスが?それは流石に無理でしょ、あの性格だから、それでお父様が根性叩き直すと言うか性格去勢だっけ?お父様の知人が学校長として働いてる兵学校に入学させる予定なのよ。」
うわあ、ノービスったらまだ10歳なのにいきなりスパルタ指導を受けまくる何て…。まあ、臆病な幼いノービスが兵学校で鍛えてゲーム本編のノービスになるんだから、まあ、其処は置いといて問題は…。
セリスティア「そう言えばお姉ちゃん、その、ルークディオス家の事で何か変わった事無い?例えば、お姉ちゃんとノービスのどっちかが婚約者を立てる予定とかそんなのは?」
エレイナ「はあ!?婚約者って、何言ってるのさお前は、そもそも私はまだ12歳よ!」
セリスティア「そ、そうだよね、ご、御免なさいお姉ちゃん。」
エレイナお姉ちゃんのこの様子だとまだ知らされていない、いいや、ルークディオス家は私=セリスティアとノービスとの婚約はまだ正式には行われていない様ね。
無論、まだ私の婚約者にもなってない当の本人であるノービスさえも知らないだろう。
エリシア「婚約、ですか…。」
婚約と言う言葉に反応したか顔を赤くしながら少し蹲るエリシア。そんな様子を見兼ねたエレイナはエリシアをからかい出す。
エレイナ「おやおや〜?まだ年端も行かないお子様なエリシアちゃんは恋焦がれてるのかな〜?」
エリシア「ち、違います!ただ。その…。」
エリシアは想像する、花嫁姿の自分が同じく花嫁姿のセリスティアにお姫様抱っこされながら愛の口づけをする光景を、キスしそうになった瞬間、我を取り戻したエリシアは顔を赤くしながら頭を左右に振る。
エリシア{わ、わわわ私が!セリスお姉様と!?}
セリスティア「ちょっ、エ、エリシア!?と、突然と顔赤くしてるけれど大丈夫なの!!?」
エリシア「え?い、いいいい、いえ!そ、その、大丈夫ですお姉様!?そ、それよりもお姉様、キャンプの事ですけど…その、私も参加して、宜しいでしょうか?」
エリシアは自分もキャンプに行きたいと私にお願いするとレイラが思惑な表情をしながら私達の会話に入って来た。
レイラ「しかし、宜しいのですかエリシア様?お嬢様からの許可は得られたのなら兎も角、先ずは先にお父様にも了承が必要では?」
エリシア「あっ…。」
うん、レイラの言う通りそれもそうだ。問題はエリシアのお父様であるレリウス様にも許可を取らなければならない。何せ、村から離れて近くの森でキャンプするからね。
でも、最近じゃあ別の領地では魔獣の被害案件が色々と起き続けてるけれど、発生した処は王国周辺の領地だから。私達の住んでる村の方は王国から結構遠いから大丈夫だと思うけれど…。
だとしたら、大人の同行が必要よね…。レイラは私のお付きメイドだけど一応はまだ子供出し。となると…。
カレン「おや?今日も相変わらず友人達と遊び合いの話でもしているのかい?」
カレンが何冊かの本を持ってテラスにやって来た。
エリシア「あ、御機嫌ようです、カレン様。」
エレイナ「御機嫌ようカレン様!って、あれ?今日のカレン様、珍しく鎧は着込んで無いのですね。」
確かにお姉ちゃんの言う通り、今日のカレンは何時もの鎧姿ではなく、大人びた私服を着ている、服越しながらも大きな胸は目立ってるが。
カレン「何時も鎧姿だと身体が凝るからな。武器防具はルーファス様、セリスのお父君が経営してる武具工房で調整と強化を施していて今日1日はこの姿でね。たまには息抜きをと読書でもしようかと思ってね。」
そう言いながらカレンは私達の近くにある椅子に座り読書を始める。
セリスティア「ねえカレン、実はちょっとお願いが有るのだけれど良いかな?」
カレン「私にお願い?」
私は近くの森で友人達とキャンプをしたい事をカレンに説明すると、カレンは読んでる本をテーブルに置いてから思惑な表情をしながら私に言った。
カレン「ううむ、セリスの言う通り、確かに子供だけでキャンプさせる訳には行かないからな、森の中だと魔物も出るし、それに最近では魔獣に関する被害が各領地にて起き続けている。私も流石に賛成する訳には…。」
セリスティア「でも、頼れるのはカレンしか居なくて、それに春を迎えたらエレイナとノービスの2人は其々学校へ入学する為にこの村を出るし。」
エレイナお姉ちゃんは悲しげな顔をする。
セリスティア「エリシアだって、レリウス様のお仕事が予定の1年より終わって王国に帰るのかもしれないのよ!」
エリシア「お願いしますカレン様、頼れるのはカレン様しか居なくて…。」
エレイナ「私からもお願い!カレン様!!」
3人の少女の必死のお願いにより、カレンは一度考え悩むも、致し方無いと悟ったのか賛同してくれた。
カレン「そんなにお願いされては致し方無いが、分かった。キャンプの付き添いをしようじゃないか。」
レイラ「宜しいのですか?」
カレン「友人と過ごせる思い出は1つでも多く作らなければならないからな。レイラもそうだろう。」
レイラ「……はい、人の思い出は大事ですからね。」
セリスティア「良ーし!早速だけど、レリウス様とアルフォンズ様の所へ行くわよ!お姉ちゃん!エリシア!!」
私は椅子から立ち上がり、2人の其々の父親の了承を得る為に2人の家へと出掛ける事を決意するのだった。