悪役令嬢の妹分は強くなりたい!
セリスお姉様とエレイナお姉様が戦い合った実戦訓練から2日後の朝。朝食を終えた私ことエリシア・S・シルフィードは直ぐに執務室にて仕事をしているレリウスお父様の所へと駆け付けると共にお父様にある事をお願いした。
エリシア「お父様!どうか私に魔法を教えて下さいっ!」
レリウス「………い、いきなり唐突だね、エリシア。」
仕事中の最中に突然、執務室に娘がやって来た事に驚くも、まさか自分の娘が魔法を教えて欲しいと求めた事でレリウスは更なる驚きを隠さずにいるも。自らの我を取り戻すと自分の娘に言った。
レリウス「い、良いかねエリシア、魔法と言うのはそう安々と教えられる物ではないんだ。」
エリシア「そんな…。」
レリウス「それにだ。お前はまだ幼いし、魔法を教えるのはまだ早過ぎる。もう少し大きくなったら教えてあげるから。」
エリシア「っ………失礼しました。」
まだ幼いエリシアは諦めたのか、大人しく執務室から出て行く。娘の後ろ姿を黙って見つめていたレリウスは悲しげな顔をしながら娘に謝罪する。
レリウス「………済まないエリシア、これも全ては我が一族の為。どうか君には平穏な日々を送って欲しいんだ。」
レリウスはエリシアに平穏な日常を送るように心から願った。その祈りにはエンディミオン魔法学校の学園長でもシルフィード家の現当主でもなくエリシアの父親としての祈りには数百年にも渡り続ける事情があった。
乙女ゲーム『CRYSTAL SYMPHONY』攻略キャラの1人であるクロノとその妹で主人公の同級生であるエリシアの家系、シルフィード家は代々王城に仕えし宰相から魔法学師の一族である。
特に、攻略キャラであるクロノは4人の中でも最年長にして主人公達のクラスを受け持つ担任教師でもある。
攻略するには優等生であるエリシアと仲良くする毎にクロノの好感度を上げなければならないのだ。
しかし、このまま簡単に攻略出来ると思ったら大間違い。中盤からが本来のクロノ√のスタートなのだ。
実はシルフィード家は数百年前に起きた世界の命運を賭けた『聖女』と『魔王』の戦いで活躍した聖女の仲間の1人にして親友。『風の女魔法弓士』を先祖に持つ。言わばレリウス学園長とシルフィード兄妹はその子孫に当たるのだ。
何故、中盤からのスタートだと言うと、数百年前の戦いの中で女魔法弓士は魔王の幹部の1人である『薔薇の魔女』との一騎打ちの最中に見事勝利をするも、魔女は己の命を媒介とした『子孫短命の呪術』である『黒薔薇の呪い』を彼女に掛けたからだ。この時、呪いを受けた彼女の年齢は『23歳』。聖女が魔王を倒した1年後に呪いで亡くなった。当時幼かった娘を残して。
それからはシルフィード家に女が産まれると23歳には誕生日を迎えると共に亡くなってしまう。しかも呪いは女の子孫が亡くなる度に弱まる処か、逆に呪力が強くなる仕組みになっている。
それから数百年後の現在まで、黒薔薇の呪いを解呪する方法は未だに見つかってはいない。
今の処はまだ…。尚、呪いの事を知っているのはシルフィード家の者達とその関係者、そして前世がこの乙女ゲームの推しゲーマーである私しか知らない。
*
お父様に断られてしまった以上、他の人に頼るしか無かった私はある場所へと向かった。その場所とはセリスお姉様の屋敷内にある中庭。其処では丁度、領地貴族の令嬢であられるエレイナ様と愛しのセリスお姉様がカレン様の指導を受けていた最中であった。
セリスティア「はあああああっ!!」
エレイナ「でやあああああっ!!」
セリスお姉様は木剣をエレイナ様は槍代わりの長棒を使いながら2人掛かりで指導担当であるカレン様と訓練をしていました。
カレン「どうした!そんな攻撃では大型魔物の1体も倒せないぞ!!」
セリス&エレイナ『はいっ!!』
お二人は元気な声で大きく返事をすると其々の武器を握りしめながらカレン様に攻撃を仕掛けて来ました。凄いですお二人共、現役の騎士であるカレン様をお相手にこんなに対応する何て…。私も、お姉様達と一緒に。
私は想像しました。セリスお姉様とエレイナ様が敵と戦い姿を、そしてその戦いの中で、お二人と共にまだ見た事も無い私の戦う姿を。
レイラ「エリシア様。」
すると、セリスお姉様のお付きメイドでいらっしゃいますレイラさんがやって来ました。
レイラ「いらっしゃいませ、お嬢様に何か御用事でしょうか?」
エリシア「え、えっと、それは…。」
セリスティア「あら、エリシアじゃないの?」
訓練が終わられたお姉様方とカレン様がやって来た。ど、どうしよう…。指をもじもじとする。
エレイナ「ねぇセリスティア。何か今日のエリシア、様子が変じゃない?」
セリスティア「そうよね、エリシア、何があったか話してくれないかしら?」
セリスお姉様にその様な事を言われると言い辛いですけど、最早、後戻りは出来ませんっ…。私は緊張しながらもカレン様にお願いした。
エリシア「あのっ、私、どうしてもカレン様に、お願いがありまして…。」
カレン「ん?私にか?」
カレンは身を少し低くし、優しい笑顔でエリシアに対応する。
エレイナ「ほらエリシア!カレン様に遠慮無く言って見なさいよ!」
エリシア「あ、あのっ!」
身体に緊張が走って言い辛い、けれど、私はどうしても強くなりたい!と思った私は勇気を振り絞ってカレン様にお願いした。
エリシア「お願いがありますっ!カレン様、どうか私を強くして下さいっ!!」
エリシアを除く者達『………えっ?』
セリス姉様とエレイナ様が自主訓練している最中、レイラさんとカレン様の2人は私がどうして強くなりたい理由を優しく教えると私は話した。
カレン「そうか、この前の川場での2人の実戦訓練で…。」
エリシア「はい、お姉様とエレイナ様の戦い振りを見て、私の心が熱くなりまして…。」
レイラ「さようですか、お嬢様の影響で…。エリシア様、申し訳有りません。」
レイラさんは私に謝罪する。
エリシア「そ、そんな…レイラさんが謝る必要は有りませんっ!」
セリスティア「そうよレイラ!エリシアは自分の希望で強くなりたいとお願いしに来たのよ!」
レイラ「申し訳御座いませんお嬢様、以後、お気を付け致します。」
セリスティア「そう言う訳でカレン!エリシアに訓練させてあげて。」
突然のセリスティアのお願いにカレンは思惑な表情しながら返答した。
カレン「そ、そうは言われてもなセリス……。」
カレンは目線をエリシアの方へと向けた瞬間、エリシアの眼に炎が宿ってるのか本気だと確信した。
エリシア「………。」
カレン「………分かった。ただしレリウス学園長の娘と言えど特別扱いする気は無いからな。」
エリシア「はいっ!宜しくお願いします!」
こうして私のお願いは無事にカレン様に届き、訓練を受ける事が出来ました。そしてセリスお姉様とエレイナ様の自主訓練が終わると共に私とカレン様の訓練が始まろうとしてます。
カレン「さぁエリシア、何処からでも構わないから攻撃をしたまえ!」
エリシア「は、はいっ!」
セリスティア「エリシアー!頑張ってー!!」
近くでお姉様が応援している、私は木剣を強く握り締めると共にカレン様は私がどう攻撃して来るのかと防御の体勢に入りました。
エリシア「参ります!えーーーいっ!!」
エリシアは木剣を振り回しながらカレンへと向かって真っ向から駆け出す。しかし…。
エリシア「きゃっ!?ぶべらっ!!?」
カレン「えっ!?」
足を引っ掛けてしまい頭から思いっきり転んでしまうエリシア。カレンはエリシアの元へと駆け寄り無事かどうか直接確かめる。
カレン「エ、エリシア?」
エリシア「………。」
ムクリと私は上半身を起こします、でも、頭から転んだので痛い、結構痛いです。涙が出てしまう程に、駄目です、エリシアは……エリシアはお姉様見たいな立派な令嬢に……。
エリシア「うわあああああん!!」
結局、痛みに耐えきれなかったのかエリシアは思いっきり泣き出してしまうのであった。
*
私が転んでしまったせいか服を汚してしまいましたが、お姉様のお屋敷のお風呂場にて私はお湯に身体を浸かりながら大好きなお姉様に頭を洗われてます。
セリスティア「怪我は大丈夫?エリシア。」
大好きなセリスお姉様と御一緒にお風呂に入れた事で転んだ痛みが無くなりました。けど…。
エリシア「はいっ、もう大丈夫ですよお姉様!」
セリスティア「それにしても驚いたわ、まさかエリシアが強くなりたい何て。」
エリシア「私もお姉様やエレイナ様見たいになりたくて。」
エレイナ「でも凄いよエリシア、あのカレン様を相手に怯まずに攻撃仕掛けて来る何て。」
脱衣所にて訓練で汗塗れのエレイナは着てるドレスワンピースを脱ぎ下着姿になる。
セリスティア「勇気があるのよ、エリシアは。」
エリシア「ですが、攻撃には届きませんでした…。」
しゅんと悲しむエリシア、脱衣所から裸になったエレイナが浴場に入って来る。
エレイナ「お邪魔するわよー!!」
セリスティア「お姉ちゃん、はしゃぎ過ぎ!?」
エレイナ「細かい事は良いじゃないの、一緒にあの川場で裸になった仲なんだしさ〜。」
そう言いながらエレイナ様は私の向かい側の方に湯に浸かると共にお湯が上がって来ました。
お姉様とエレイナ様のお身体はカレン様に鍛えられた影響なのか少し筋肉が付いてます、本当に凄いです。
エリシア「お姉様達の身体、傷は兎も角、凄い肉付きしてますね…。」
セリスティア「伊達にカレンに鍛えられていないからね。」
エレイナ「アタシは直接じゃないけど、魔物と戦ってたからね。」
エリシア「やっぱり私、お姉様達見たいに強くなりたいです……。」
本当にお二人が羨ましいです。
………。
セリスティア{とでも思ってんでしょうねエリシアは。元気も無いし、まあ、あんな風になっては落ち込むよね…。一応エリシアの総合値を『鑑定』で見ようかしら。}
私は『鑑定』の技術を使ってエリシアの総合値を覗き見る、御免なさいねエリシア!これも全てはエリシアの為なのよ、と、エリシアの総合値が出現する。
『基本情報
名前:エリシア・S・シルフィード
性別:女
年齢:7
属性:風
職業:貴族令嬢
*
総合値
Lv:1
HP:42/42
MP:208/208
攻撃力:5
魔法力:106
器用力:14
防御力:2
機動力:3
*
所有技術
『風耐性{弱}1』『風魔法{下}1』
『読書10{最大}』『集中9』『分析5』
『解析6』『探知6』
『黒薔薇の呪いー16』』
嘘でしょ、基本総合値のMPと魔法力が異常に高過ぎる。それに技術も、恐らくだけど本好きのエリシアが様々な本を読みながら自然と幾つもの技術を会得したんだね。
しかし、問題は……。
やっぱり魔女の短命の呪いは健在…。シルフィード家の女系が受けし『黒薔薇の呪い』。一応これはゲーム上、この呪いは技術として登録されている。しかし、通常の技術とは違いレベルが上がるのではなく、下がる仕組み、言わばカウント。
『ー16』と記されている事はエリシアは後16年は生き続けられると言う事になる。
呪いを解く方法は2つある。
1つは呪いを発動させた使用者の殺害、もう1つは『聖女』の聖剣による『昇華』の力。
だけど、その発動者の魔女は数百年前の戦いで死亡している為か殺害は不可能。だとしたらもう1つの方法、聖女の聖剣に頼らざるを得ない。それはつまり、本編の主人公であるアリサ・ホワイトの聖女としての力が必要となる。
しかし共通ルートの終盤であるアリサの『聖女の覚醒』イベントには私がエンディミオン魔法学園の高等部に在学もとい、私が16になるまでかなりの年月が掛かる事を意味する。
だとしたら別の方法を探すしか…。
エリシア「お、お姉様?先程からその、手をお休めになってますが、どうかしましたか?」
セリスティア「え?ううん、何でも無いよ、エリシアは可愛いなあって。」
エリシア「もうっ!お姉様、恥ずかしいですよ…。」
顔を赤くしながら恥ずかしがるエリシアも可愛い、そう思ってると私はある事を思い付いた。
セリスティア「ねぇエリシア、明日って予定空いてるかしら?貴女に見せたい物があるのだけれど。」
エリシア「私に見せたい物、ですか?」
セリスティア「ええ、もしかしたらエリシアなら興味あるかもしれないわよ!」
エレイナ「ふーーーん。」
お姉様が私に見せたい物って何でしょうか?明日の事が気になって眠れないです。
*
次の日、朝食を済ませ終えた私はレイラと共にエリシアとある場所へと向かっていた。筈だった。
エレイナ「それじゃあ出発するわよ!」
レイラ「どうしてエレイナ様が居られるのでしょうか?」
エレイナ「何?別に良いでしょう私も一緒に行くくらい。それにセリスティアがどうやってエリシアを強くさせるのかも、レイラだって気になるじゃないの!?」
レイラ「ま、まあ、それは確かに…。お嬢様、一体何方へ向かわれるのですか?」
セリスティア「此処よ。」
お姉様が足を止めるとどうやら目的地に到着したそうです。辿り着いた場所は古い建物が多くある土地区だっだ。レイラさんはこの場所が何処なのか知ってるのか驚いてました。
レイラ「此処は、クラリスロード武具工房所!?旦那様の仕事場では有りませんか、お嬢様、一体この場所に何用で……。」
セリスティア「確か、此処で待ち合わせの筈だけれどね。」
男の声『お嬢様ー!』
お姉様の事を呼びながら1人の男性の方が私達の元へと来ました。
セリスティア「マーカスさん。今日は突然お願いして申し訳有りません。」
マーカス「いえ、工房長の娘さんであるセリスお嬢様の頼みならば断る理由は有りませんよ。それで、此方の方々はお嬢様の御友人で?」
セリスティア「ええ、私の親しき御友人です。今日は例の件をお願いするついでに工房内の御見学をお願いに参りました。」
マーカスさんと名乗る男性の方に礼儀正しく挨拶する。それにしてもまさかお姉様がこの様な事をする何て驚きました。一体お姉様は何を私に見せてくれるのでしょうか?
セリスティア「それではマーカスさん、本日の御見学、宜しくお願い致します。私は先に例の準備へと向かいますので。」
マーカス「分かりました。既に第8工房所にて職員を配置してますので。」
セリスティア「有り難う、それでは皆、私とレイラは準備があるから先に行くわね。」
そう言いますとお姉様とレイラさんのお二人は私達と別れて先に工房内へと向かいました。一体、何の準備をするのでしょうか?
考えているとマーカスさんは笑顔で私達2人に対応して来ました。
マーカス「さて、お待たせしました。それでは工房内の御案内をしますので此方へ。」
私とエレイナ様のお二人はマーカス様の案内により、工房内へと足を出した。
工房所と呼ばれた建物から窓や煙突から煙が空へ昇ってる、更に建物内からカンカンカンと何かを叩く音が響かして来ます。
エレイナ「凄い五月蝿い音ですね、工房って何時もこうなのでしょうか?」
マーカス「そうですね。仕事は朝の9時から始まって、夕方の6時には終わる仕組みになってます。昼食は昼の12時から昼の1時までになってます。」
エリシア「工房では何を作るのですか?武具工房と名前が有りましたから、やはり武器を作るのですか?」
マーカス「いえ、武具工房と言うのはあくまで名前です。遠征班から入手した鉛を溶かして鉄や銅を生産して様々は武器と防具を開発します。他にも武器防具だけでなく料理具、作業具と言った日常内に使われる生活具の開発もします。」
工房の中を案内されると、職員達が熱い鉄を仕事用の大槌で叩いて、水で冷やしての繰り返しをしています。
マーカス「こうやって繰り返す毎で道具の威力と強度を上げるのです。」
エレイナ「へぇ〜。では私達が何時も使われてる物も此処で造られてるのですね。因みに完成された物はどうなされるのですか?」
マーカス「はい、完成した物は本国の王城やその都市の各店舗に納品されます。他にも、個人のお客様による配送注文もあったりします。」
エリシア「………あっ。」
エリシアは奥の大棚に置かれてる揃え並ばれた鉄の塊に気付き、興味を抱く。
エリシア「これは一体…。」
古株の鍛冶師「鋳塊じゃよ、お嬢ちゃん。」
すると、エリシアの元に歳老いた職員が現れると共にエリシアにこの棚に揃え置かれた鋳塊の事を教え始めた。
エリシア「鋳塊?」
古株の鍛冶師「鉛で溶かした金属を精錬させ、不純物を取り除き、鋳の形なる様に流し込んで固めた塊じゃよ。完成した奴はそのまま店に仕入れたり、装備品の素材として使われたりするのじゃ。」
エリシア「物はだけでなく、素材も造られてるのですね。」
素晴らしいです、人の手で物を造る、お姉様のお父様であるルーファス様はこの様な所で王国の為に勤められてるのですね、私のお父様見たいに。
マーカス「あ、これは頭、お疲れ様です。御休憩で?」
古株の鍛冶師「ああ、たった今な、それよりもだが、このお嬢ちゃん達はもしや工房長の?」
マーカス「はい、セリスティアお嬢様の御友人の方々です。」
エリシア「あ、私とした事が、申し遅れました。私、エリシア・S・シルフィードと申します。」
古株の鍛冶師「シルフィード、もしやと思うが、お前さんはもしかしてレリウス様の…。」
このお方、お父様のお知り合いの方?私の顔をじっと見つめる。
古株の鍛冶師「おお、顔付きは違うが、亡きレリウス様の奥様、シアン様に瓜二つで御座います。」
お父様だけでなく、お母様ともお知り合いとは、すると自分の自己紹介が忘れたのか名乗り出ました。
ガザム「申し遅れました。儂は、この工房にて鍛冶師達の頭を勤めまする、ガザムと申します。貴女のお父君と亡きお母君とはセトランド王国滞在の頃にお世話になりまして。」
エリシア「そうでしたか。」
ガザム「処で、エリシア様はこの工房の技術に御興味が?」
エレイナ「へぇ、意外ですね。エリシアが工房のお仕事に興味があるとは思いましたわ。」
工房内の皆様のお仕事に見惚れてしまったのでしょうか、私は心から感動したのか、つい、口を開いてしまいました。
エリシア「はい、此処の人達のお仕事はまるで魔法見たいで素晴らしいです。」
ガザム「………これは驚きやした。まさかお嬢様と同じ事を言うとは。」
お姉様も私の同じ事を!?
ガザム「初めてお嬢様が此処へ来た頃、眼を輝かせながら工房中を駆け回ったりしてましたよ。まるで親に玩具を買って喜んだ幼子の様に。」
エレイナ「あら、驚きましたわ、あのセリスティアが子供意識があるとは。」
エリシア「ですが、お姉様らしいですわ。」
それから私はエレイナ様のお二人と共にマーカスさんの案内により、他の工房内を見学と共にとても良い勉強になりました。
セリスティア「待ってたよエリシア!」
エリシア「お姉様!レイラさん!」
最後の工房に来ますとセリスお姉様とレイラさんが職員の皆さんと一緒に待ち構えていました。私は直ぐ様にお姉様の元へと駆け出しました。
セリスティア「エリシア、貴女の為の物をこの工房内に用意してるわ。」
エレイナ「へぇ、どんな物か楽しみですわ。」
レイラ「何故にエレイナ様が興味抱いてるのですか?」
エレイナ「良いじゃないの別に!」
エリシア「お姉様、用意された物って?」
セリスティア「中にあるわ、此方よ!」
私はお姉様に手を惹かれて工房の中へと入って行くと。テーブルに金属製の弓が幾つか置かれていました。
エリシア「お姉様、この弓はもしかして…。」
セリスティア「『炭素繊維の弓』よ。」
エリシア「カーボン?これは、金属の弓ですか?」
セリスティア「そうよ、私の思い付きと鍛冶師の皆さんの協力で開発した新しい金属製の弓。一見、金属系の武器を持っての移動は鈍くなるけどね、まあ説明するよりも実際に試しに持って見て!」
私はお姉様の言われた通りに金属の弓を持ちます。えっ!?
エリシア「嘘、この弓、素材は硬いですけど、軽いです!」
エレイナ「これは本当に金属なのですか!?」
エレイナ様も金属の弓を持って重さを知ったのか驚き出します。レイラさんも同じく同じ金属の弓を持ってますが表情は分かりませんが、弓を持った両腕を上下に動かしています。
レイラ「ああ……。」
ガザム「どうですかエレイナ様、儂等鍛冶師一同がセリスティア様の注文通りに新たに開発した弓の感触は?」
エレイナ「は、はいっ!本当に凄い軽いです!」
ガザム「良ければ、試しに撃っては見ませんか?近くに実験用の広場がありますんで。」
エリシア「ほ、本当ですか!?お姉様、私、使って見たいです!」
セリスティア「当たり前でしょ!エリシアの為に作ってくれたんだから。それじゃあ実験場へ行きましょう。」
私達は金属の弓を持ち出しながら工房を出て、そのまま実験場へと向かいます、途中、何人かの職員さんや鍛冶師の皆さんがぞろぞろと私達と同じ方向へと歩き出します。
エレイナ「凄い人集りですわね。」
マーカス「それもそうです、今日は本当に都合が良いですね。工房内の見学案内と共にこの弓の公開実験の日と重なるとは。」
目的地の実験場らしき広場が見えて来ると。其処には既に多くの職員の人達が注目しています。
セリスティア「驚いたわ、まさかこんな大人数に注目される何てね。」
レイラ「まあ、元はと言えばお嬢様があの様な新しい武器を思い付いたのがいけません、しかも旦那様の許可も取らずに…。」
セリスティア「そんな固い事を言わないでよレイラ、思い付いたアイデアが浮かんじゃったら勿体無いからね。」
呆れ顔のレイラさんは溜息してからある事をお姉様に話しました。
レイラ「…この間の弓と同じく炭素繊維製の軽装甲防具と作業道具の思い付きと良い。」
セリスティア「あの思い付きは王国の防衛力と各村の作業速度を強化する為に思い付いたんだけどね、一度だけお父様にこの件を伝えたけど予算と素材の問題で反対されたのよ。弓はエリシアの為に考えた単なる思い付き、私の我儘で浮かんだアイデアだから。」
驚愕です、お姉様は更なる事業をも思い付く何て。しかも王国だけでなくこの村の事まで。
ガザム「おーい!お前達、道を開けてくれ!セリスティアお嬢様の思い付きで新しく開発した金属の弓の実験を始めるぞー!!」
このガザムさんの一言で職員の皆さんは一気に歓喜しました。すると、お姉様はガザムさんの隣に移動して私達の方に振り向き、大きな声で金属の弓の事を伝えました。
セリスティア「皆、今日まで私の我儘に付き合ってくれて本当に有り難う!でもまだ完成じゃない、あの離れた的に矢を当てなければ成功にならないわ!エリシア、これから貴女の事を皆に紹介するから弓を持って此方に来て!」
エリシア「は、はいっ!」
私は言われた通りにマーカスさんから弓を受け取ってお姉様の元へと向かいます。
セリスティア「皆に紹介するわ、彼女はエリシア。幼い頃からお父君の御影響で本が大好きな心優しい私の友人よ!」
エリシア「よ、宜しくお願い致します!!」
セリスティア「これからこのエリシアが、私に代わって試作の弓を引くわ!それじゃあエリシア、出来るよね?」
エリシア「えっ!?で、ですがお姉様、私、弓何て弾いた事は…。」
それもそうです、そもそも私は弓を扱った事など…。いえ、そう言えば一度だけありました。お姉様と出会う前。
私は本来、この様な豊かなディオス村で暮らせる立場では無いのです。私は元々、セトランド王国の貴族街にて家族共に暮らしていました。私には、歳の離れたお兄様がおります、名前はクロノ・S・シルフィード。
お兄様は宰相であるお祖父様の跡を継ぐ為に立派な宰相になる為に勉学を勤めながら、エンディミオンと言う魔法学校にて確か、準教諭として働いています。
クロノお兄様は私と同じく生まれながらの風属性適性を持つ魔術師で尊敬しています。
対して私は王国に暮らしていた際は何度もベッドに寝伏せる程に身体が病弱でした。しかし、この村に暮らし始め、空気に触れた影響ですか、外へ走れる様になる程に元気になりました。そしてお姉様達と出会うまでは。
そんな中、一度だけクロノお兄様に弓の扱い方を直接教えてくれた事が有りました。どうして忘れてたのでしょうか。
セリスティア「………エリシア、どうかしたの?」
エリシア「えっ!?あ、な、何でも有りません!」
弓に手を触れた途端、お兄様との思い出が思い出しました。
エレイナ「な、何でしょうか、エリシアの様子が…。」
私は手渡された矢を1本取り、弓の弦を引いて、矢を射る構えに入ります。私は、お兄様との記憶を頼りに。
射抜く!!
ビュン、と放たれた矢は眼にも見えぬ速さで的には当たらず、隣の木の柵に突き刺さる。
エリシア「………。」
私は驚きました。的には当たらなかったとは言え、何1つも失敗もせずに矢を放つ事が出来ました。
セリスティア{………やっぱり私の思った通りだった。ゲーム本編でのエリシアは主人公であるアリサと私ことセリスティアとは同学年の中でも1番の優等生。とくにクロノ√でのエリシアは好感度を上げる毎に、主人公と良き友人になる最中、ある学校の実技イベントの1つでエリシアが弓を使ってシーンがあったのを私は思い出した。もしやと思った結果、的は外れたけれど弓の扱い方は身体に染みていた。何しろ一度だけクロノに弓の使い方を教えてくれたからな。}
結果。『鑑定』の技術をエリシアに使った結果。技術リストから新たに『弓術1』『射撃1』『射撃補正1』が追加されると共にエリシアの総合値が少しプラスされる。
エリシア「あっ……。」
自分が射抜いた矢が的から外れた事に悲しげな顔をするエリシア。しかし、悲しかったエリシアの表情は直ぐ様に気合い入れるかの様に強気になり、セリスティアにお願いした。
エリシア「お姉様!もう1回お願いします!」
セリスティア「エリシア、良いわよ。誰か矢を持って来て!」
職員の1人が追加の矢の束が入った籠をエリシアの隣の芝生に置くと、エリシアは籠の中の矢を1本取り出し直ぐ様に射抜く体勢に入る。
エリシア「行きます!」
私が放たれた矢はまた外れ、射抜いて、放ち、的に外れ、射抜き、放って、外れて、射抜き、放って、また外れるの繰り返し。だけど…。
的のギリギリの所に矢が当たりました。
エリシア「あっ!」
セレスティア「エリシア、その調子で続けて。」
エレイナ「エリシアなら出来ます!頑張って下さい。いいえら頑張って!!」
お姉様とエレイナ様を始め、多くの職員の皆さんが私を応援してくれてます。何でしょう、この胸から熱く感じる感覚は…。
何でしょう、次は…。行ける気がします!!
セリスティア{エリシアの眼に炎が…}
籠の中から矢を手に取り、弦を引き、矢を放とうとした瞬間、私の中に秘めた力が目覚めたのでしょうか。
エリシア「今なら、行けます!!」
弦を離し、矢を放つ、瞬間、放たれた矢の周りに風が纏われ槍の様に鋭くさせ、そして…。矢は的のド真ん中に当たると共に的は破壊する。
エリシア「これが、私の…。」
セリスティア「まさか今のって。魔法弓術。『風魔の矢』?。」
エレイナ「す、凄い、ですわ…。エリシアがやったわ!!」
エレイナ様の喜びと共に工房の皆さんの歓声が響きました。凄い、これってもしかして…。
セリスティア「エリシアへの歓声よ!!」
瞬間、お姉様が私を抱き締めて来ました。
エリシア「お、お姉様っ!?」
セリスティア「良かった。貴女は強くなれるわよエリシア。」
エリシア「本当、ですか?足手まといには、なりませんか?」
セレスティア「足手まとい?そんな訳無いでしょう!第一、もしもエリシアに悪口を言って来る輩が現れましたら私が貴女に代わって相手をするわ!!だからエリシア、これからは私とお姉ちゃんと一緒に強くなりましょう!!」
エリシア「お姉様……はいっ!エリシアは、お姉様達と一緒に強くなります!!」
*
それからの毎日は変わりました。数日毎に朝食を終えて直ぐに工房へと向かって弓の訓練を初めました。工房の皆さんの御協力を得て、弓の調整のして下さったり、素早く矢を放つコツを教えて下さったり、後、頑張ってるご褒美としてお菓子を下さったり致しました。これはお父様には内緒ですね。
それだけでは有りません。
私も私なりに自分で魔法の訓練を初めました。最初は本の通りにしていたのですが、お姉様のやり方を見様見真似で試しに行った方が早いと理解しました。
それからの私の毎日はお姉様の所へ魔法の訓練したり、工房で弓の訓練をしたり、時にはお姉様達と楽しく遊んで、唯一の趣味である読書も忘れてはいけません。
だから何時か、お姉様とエレイナ様、そして強くなられた私の3人で共に敵と戦うその姿の様に。私、これからもセリスティアお姉様を目指します!!
セレスティアとカレンの協力を得て強くなる事に成功。
エリシアの現在の総合値。
基本情報
名前:エリシア・S・シルフィード
性別:女
年齢:7
属性:風
職業:貴族令嬢
*
総合値
Lv:1
HP:42/42
MP:208/208+33
攻撃力:5+6
魔法力:106+33
器用力:14+51
防御力:2
機動力:3+10
*
所有技術
『風耐性{弱}1』『風魔法{下}1』
『読書10{最大}』『集中9』『分析5』
『解析6』『探知6』
『黒薔薇の呪いー16』
追加技術
『弓術4』『射撃3』『射撃補正4』『連射2』
『風魔の矢1』『連射速度4』『集中3』
『魔法動作{弱}2』『魔力操作{弱}2』
『反応速度{弱}4』『回避動作{弱}2』