悪役令嬢、お姉ちゃんと共に水浴びをする。
夕方、お姉ちゃんとの実地訓練を終えると、私は1人、裸のまま川の水に浸かっていた。
セリスティア「はぁ〜〜〜っ。気持ち良い〜。」
此処の川の水で身体を冷やすのはカレンと実地訓練して以来かな、でもまさか急遽1晩だけ夜営をする事となる何てね…。無論、各親からの了承も得ているとカレンに伝えられた事は驚いたけれど…。
気持ち良くしている最中、お姉ちゃんが此方へやって来た。
エレイナ「こんな所に居たのねセリスティアって……。」
セリスティア「あ、お姉ちゃん。」
エレイナ「お前……まさかと思うが裸で川に浸かってる訳、無いわよね!?」
近くに置かれた脱いだ私の服を見て、額を青ざめながら私が裸で川に浸かってる事に引きながらも聞き出した。
セリスティア「え?そうだけれど?」
エレイナ「やっぱり!セリスティアお前なぁ、良い歳した貴族の令嬢様が裸のままで何やってるのさ!?」
セリスティア「あれ?もしかしてお姉ちゃん知らないの?此処の川の水はね、身体を冷やすと共に怪我を癒やす効果が増すって前にカレンから聞いたのよ〜。」
エレイナ「本当なのそれ?しかし、裸なのは流石に……。」
セリスティア「直接、裸もとい直に触れないと効果が出ないのよ〜。あ、お姉ちゃんも良かったら浸かってみない?とっても気持ち良いよ。」
エレイナ「は、はぁ!?入るわけ無いでしょう!!そんな恥ずかしい事、私がやる訳が………。」
エレイナは顔を赤くしながらもセリスティアの誘いを断ろうとするが、妹の裸体を見た途端、セリスティアからゆっくりと眼を逸らすもチラチラと見つめる最中、結果。
エレイナ「………い、いくら妹でも、同じ女同士だからって、あ、あんまり此方を見るんじゃないわよ。」
そう言いながらお姉ちゃんは私の方を見ずに、顔を赤くしながら衣服を脱ぎ始めるも未だに私をチラチラと見つめるお姉ちゃん。
衣服と下着を脱ぎ終えて丸裸となると、お姉ちゃんも川の中に身体を浸かり座った瞬間、全身が感じたのか気持ち良さそうな表情をする。
エレイナ「ん〜〜〜っ!何よこれ〜。冷たくて良い気持ちじゃないの〜。」
セリスティア「でしょう。」
私はそう返事をするとお姉ちゃんは私の隣にへと寄りながら一緒に水に浸かる。
………。
どれくらい気持ち良く水に浸かったのだろうか?お互いに何も喋らず何も語らず仕舞い。
沈黙が長引いて我慢が出来なく感じたのか先にセリスティアが口を開いた。
セリスティア「………今日のお姉ちゃん、結構強かったよ。」
エレイナ「!」
セリスティア「いや〜知らなかったわ本当に。まさかカレンの仕事に付き添いがてらに魔物退治だけで強くなる何て驚いちゃったわ〜。」
エレイナ「そ、そうかしら?」
セリスティア「そうだよ。戦いごっこの時よりも滅茶苦茶強かったよ。」
エレイナ「そっか、そっか〜〜〜。」
魔物退治で積み続けた自分の訓練の成果が今回の実戦訓練で見事、良い結果で成し遂げられる事に成功を果たした最中、突然とお姉ちゃんは夜空に向かって叫びながら自分の両足をジタバタし出す。
エレイナ「ああもう!悔しい悔しい悔しいったらありゃしないよもうっ!!」
そう、今回の実戦訓練の勝者は私だった。最後の殴り合いの最中、初撃目だけ青春の条件反射なのか、手加減せずに思い込んでやってしまった為、吹っ飛んでしまう程の威力でお姉ちゃんを倒してしまったからだ。内心、心の底からお姉ちゃんに謝罪するよ本当に…。
でもまあ、お互い頬を殴られた事で痛み分けで手打ちになったけれどね。
そう思っているとお姉ちゃんは足をジタバタするのを止めると小さな声で私に言った。
エレイナ「……次は負けないからね。っと!」
するとお姉ちゃんは何時の間にか私の背後に回り込み、ぎゅっと抱きしめながら両手で私の身体を擽らせる様に触れ始める。
エレイナ「私がお前に負けて落ち込んでると思ってたでしょ!?このこのこのっ!!」
セリスティア「ひゃあっ!?ちょっ!お、お姉ちゃん!?ど、何処触ってっ!?」
エレイナ「………セリスティア、お前。」
セリスティア「な、何?」
エレイナ「………肉付き固くなってない?」
セリスティア「なっ!?そう言うお姉ちゃんには言われたく無いわよ!!」
何かカチンと来た。自分の胸が最近少しずつながらに大きくなってるけれど肝心のお姉ちゃんの胸の方がまだまだ大きい事に、何故ならば、さっきから私の背中から大きくて柔らかい2つの物体が感じているからだ。
お姉ちゃんは私を抱えながらゆっくりと川の水の中に身体を座り浸からせながら、微笑ましい顔で私との思い出を話始めた。
エレイナ「そう言えばセリスティアとこうやって一緒に裸になるのは何時以来かな?セリスティアは覚えてる…訳が無いよね、何しろお前は4歳の頃だったから。」
そっか、そう言えばお姉ちゃんって私がセリスティアになる前から付き合いが長い幼馴染なんだったっけ。忘れてたわ。けど、昔のセリスティアか…。何か少し興味あるかも。
セリスティア「ねぇお姉ちゃん、昔の私ってどんなのだったの?」
エレイナ「そうね、今見たいな性格とは違うけれどさ、ちっちゃい頃は何時も良く後ろにくっついていたのよ。私の事を『ねぇたん、ねぇたん』って呼んでてさ。そう言えば昔一度だけ服が泥だらけに成程に遊んでた事があったっけ、あの後にお母様に怒られてから一緒にお風呂に入ったのよ、今見たいにこんな風にお前をぎゅっと抱きしめながら、ね。」
そう言いながらお姉ちゃんは私を少し強く抱き締める。それと共に背中にお姉ちゃんの胸の感触が増して行くのは勿論、気の所為では無い。
エレイナ「けど、お前が頭を強く打って死に掛けそうになったって知った時は私が泣きそうになる程に滅茶苦茶心配したけど、本当に生きてて良かったよ…。」
セリスティア「………。」
違う、違うのお姉ちゃん。
私は貴女の知っている幼馴染のセリスティア何かじゃない、中身はこの世界を舞台とした乙女ゲーの推しゲーマー系ヲタ女子なのよ。
だから私にとってセリスティアと言うのはあくまで彼女自身の破滅√を避ける為の駒の1つでしかない事は分かっている。
けど、今の私は悪役令嬢のセリスティアとしてではなく、私だけのセリスティアを演じている。だから私が今、エレイナお姉ちゃんに伝えるなら…。
セリスティア「うん、大丈夫、もう大丈夫だよお姉ちゃん、心配しないで、もうあんな事で私は居なくならないから…。」
エレイナ「セリスティア…。」
お姉ちゃんは今にでも泣きそうな顔をしながら全身震えるも右腕で涙を拭いて、お姉ちゃんは何か決意を固めたのか、ある事を私に宣言した。
エレイナ「決めたわ!これからはお姉ちゃん、セリスティアと一緒に強くなる事を目指すわ!それならセリスティアが遠くに行っちゃう事も無いしさ、このこのこのっ!!」
セリスティア「うわっ!?お姉ちゃん!流石に髪は止めてって!?」
お姉ちゃんは笑いながら私の髪をわしゃわしゃと撫で回す、一緒に強くなるか、競いながら強くなるのも良いけど、案外、誰かと一緒に強くなるのも良いかもしれない。
そう思っていると…。
エリシア「………今のお話、流石に見過ごせません。」
セリス&エレイナ『!?』
何時から隠れていたのだろうか、木の陰からひょこっとエリシアが姿を現す、しかも頬を膨らませながら珍しくも怒っていた。
セリスティア「エ、エリシア?あ、貴女何時から其処に居たの?」
エレイナ「さ、流石の私も、き、気付かなかったわ…。」
エリシア「えっと、レイラさんが、夕飯の支度が出来たと言われまして…その、お姉様方が水浴びを初めてから……。その、狡いですっ!お姉様方だけ、一緒の目標が出来て、私だけ除け者にして狡いですっ!」
セリスティア「何を!?」
エリシア「私も、セリスお姉様と一緒に強くなりたいですっ!」
頬を膨らませながら怒っていた表情から瞳を潤せ今にでも泣きそうな眼で私を見つめるエリシア。どうしようと考えながら私はお姉ちゃんに相談する。
セリスティア「お姉ちゃん、どうする?」
エレイナ「んーー。そう言うのはセリスティアに任せるわ、こう言うのってどうも後が面倒だから。」
セリスティア「だよね……。それじゃあエリシアも一緒に強くなりましょう!」
エリシア「お姉様、はいっ!」
確して私達3人は競う事無く共に強くなる事を目指す事となった。そんな中、木の陰からカレンがこっそりと陰ながら見守っていた。
カレン「………。」
レイラ「宜しいのですか?お声を掛けなくても、御夕飯が冷めてしまいますよ?」
カレン「何、少しくらい食事の時間を遅らせても問題は無いだろう。」
エリシアは2人に飛び付き、そのまま川にドボンと落ちると3人は川から上がると共に水遊びをし始める。
レイラ「友情、ですか。カレン様にもそう言った御経験とかは?」
カレン「………どうだろうな、私以外の騎士団員は全員が男のみで構成されていたから。同僚は居らず仕舞いだったが、騎士団長を始め、多くの先輩達から私の努力が認められて同じ騎士団の仲間として意識してくれた事は今にでも忘れてはいない。」
レイラ「………そうですか。友達と言うのは、嘸かし良い物なのですね。」
友情と言う物に憧れに胸を抱くレイラ。
カレン「…ああ、そうだな。」
強くなる事を決めた私達3人、支える私お付きのメイド、私達に戦い方を教えてくれる女騎士、其々、胸に秘めた思いは夜空の星に向けて願うも。
私は、強くなると共に絶対に破滅√を回避する事を誰よりも強く願うのだった。