悪役令嬢、女騎士による本格的な実戦訓練に挑む。{決着編}
さて、これからどうやって本気のカレンと戦いながらあの大型盾を破壊するか、同じ所を少しずつ斬り付けてから破壊は流石にかなりの時間が掛かるからこれは駄目だ。
だとしたら攻略法は只1つ。
セリスティア「魔法剣……しかないわよね。」
カレン「どうしたセリス!もしやと思うが私への攻略法を考えている積りか!?」
セリスティア「だとしたらどうする?」
カレン「そんなの決まってる、戦いの最中に敵が考えてる内に倒すまでだ!!」
そう言うとカレンは剣を両手持ちに切り替えて剣先を上にへと向ける。この構えは確か攻撃技術の基本技の1つ…。
カレン「行くぞ。『剛破斬』!!」
力一杯の大振りの斬撃が川の水を断ち割ると共に私に向かって襲い掛かる!!
『剛破斬』。
剣士系の攻撃技術にして基本技の1つ。名前の通りに力一杯のパワーで大きく剣を振るう斬撃を繰り出す、ゲームでは近距離で決める技だけれど、この場合は遠距離でも使用可能!しかし一見からして、高威力だけど欠点がある。それは…。
セリスティア「一直線にしか当たらない事!!」
右に避けるとカレンの剛破斬は私の位置にあった後ろの木に直撃しそのまま真っ二つに両断される。き、基本技なのに何て威力なのよ本当に…もしあんなのを食らったら冗談抜きで死んでるわよ本気で。
相手がもしも私じゃなかったら今頃戦意喪失をして降参を宣言してるだろう。けど、私は違う!私は破滅√回避の為に自分を磨くって決めたんだから!!
セリスティア「行くぞぉぉぉっ!!」
カレン「仕掛けるか、来いっ!!」
此処は速攻で仕掛けるのみ!!私は『加速』と『突撃』の技術によりカレンに向かって高速の速さで斬りに掛かる!!
セリスティア「剛破斬は高威力の技術だけれど連続での使用は出来ない!!何故なら次に使われる前に攻撃をすれば発動が出来なくなるから!!」
カレン「そうだ!!確かにこの技は君の言う通りに強力だが連続では使えないのが弱点だ!しかし、その弱点をカバーする為に…」
一気に斬撃が決められるもカレンは大型盾で防ぎ止める。
カレン「この盾があるからだ!!『力の盾』!!」
瞬間、カレンの大型盾から赤いオーラが纏い現れ力が増し始める!確かこの技術は装備された盾と合わせて自身の防御力の数値分を攻撃力に変換させて反射させる攻撃波動を放つんだっけ、跳ね返されて私に当たる訳には行かないっ!!だったら…。
セリスティア「技術『剣術・受け流し』っ!!」
私は受け流しで軌道を左へと逸らすと共に一気にカレンから後退するも。
カレン「まだだ!!『進軍の盾』!!」
先を読まれたのか、カレンは『進軍の盾』の発動と同時に私に特攻を仕掛ける!!
セリスティア「『跳躍』!!」
より高く空へと向けて跳躍しながらカレンの攻撃を避けると共にカレンの頭上を飛び越えて背後に回り込むと同時に『突撃』の技術と共に斬り掛かる!!
セリスティア「はあああああっ!!」
カレン「『力の盾』!!」
私の『突撃』が当たると共にカレンの『力の盾』とぶつかる、しかし私は『受け流し』で攻撃反射の波動を右へと受け流すと同時に私は右足を思いっきり1歩踏み込ませ、身を右回転させてカレンの盾を斬り込む!!
セリスティア「『回転斬り』!!」
斬撃を決め込むと同時にカレンを押し出す、一定の距離を離れると共に私は左手に魔力を集め『火球』を生み出すと同時に私はカレンに向かって駆け出す!!
私が攻撃魔法を発動し自分に向けて撃って来る事に予期したカレンは直ぐ様に大型盾で防ごうと防御の体勢を構える。
残念だけどカレン、これは攻撃の為の魔法じゃないの、本来の狙い、それは……。
セリスティア「『火球』ゥ!!」
カレン「!!」
軽く飛び、カレンの1歩前の位置に火球をバスケのダンクシュート見たいに撃ち込む!!それにただ撃ち込んだだけじゃない。
カレン「これはっ……。」
火球を川の水に撃ち込んだ事により蒸気が生み出されカレンの視界を遮り始める。
カレン「霧?いや違う、これはっ!!」
一定期間の間だけれど、これでカレンの『威圧眼』は使う事が出来ない!
セリスティア「でやああああっ!!!」
この機を逃さない!私は蒸気の中に突っ込みカレンに斬り込む。対してカレンは反応動作は遅れるも何とか防ぐが時間の問題。私は右から、左から、上から、背後からと再び四方八方に連続で斬り込み続ける!!
カレン{この蒸気のせいで私の視界を遮られたか防御の反応が遅れてしまう!川の水に魔法を撃ち込むとは何て考えを…だが!!}
カレン「『剣術・回転斬り』っ!!」
カレンは『剣術・回転斬り』で生み出された蒸気を掻き消し遮られた視界が現すと共に居合斬りの体勢のまま真っ向からカレンに駆ける私の姿が現される。
セリスティア「やばっ!?」
カレン「とても悪く無い作戦だったが残念だったなセリスティア!」
カレンは剣を両手持ちに切り替え、剣先を天に上げ『剛破斬』の構えを取る。至近距離での剛破斬を受けたらかなりの大ダメージを負い私は戦闘不能で即終了。
カレン「これで終わりだ。『剛破斬』!!」
一撃必殺のカレンの剛破斬が私に向かって繰り出し放たれる。ああ殺られる…。
と思ったかしら?逆に来ると思ったわ。
セリスティア「これを待っていたわ!!」
瞬間、鞘ごと剣が魔力の炎に燃え始めると共に抜刀する。
私に当たるギリギリ、剣の刃身はもうボロボロだ。チャンスは一度きり。もし失敗したら刃は砕けて即終了。けどやるしかない!
何故なら私はセリスティア・K・クラリスロード。破滅√回避を目指す悪役令嬢だ!!
セリスティア「合体技術『魔法剣術・爆裂居合斬り』!!」
一か八かの『魔法剣』と『居合斬り』の合体技術が剛破斬に触れて強烈な衝撃波が生み出させれるら周囲の木々の葉が吹き飛ばされ、川の水が溢れ飛ぶ。
カレン「凄い、凄いぞセリス!!まさかこんな隠し玉を持っていたとは!!」
セリスティア「負けたくないから、カレン、貴女に、貴女に勝つ為に!!」
双者の斬撃がぶつかり合う中、徐々に攻撃力の差で押し出されていく。諦めきれない私は『強化』の技術で攻撃力を強くさせて行く。後は自分の総合値の数値全てを全振り、後は意地と気合でカバーするのみ!!
セリスティア「行っけえええええっ!!」
パキィィィィィン!!!
私の剣の刃が砕かれると同時に剛破斬のその威力分を足された魔法剣の斬撃がカレンに向かって跳ね返されて行く!
カレン「技術『強化』!!『力の盾』!!」
反射された斬撃がカレンの盾に直撃し防ごうとカレンは力を込めて抑えるも。ズズズとゆっくりと押し出されて行く。
カレン「ぐうううううっ!!!」
カレンは『力の盾』を発動しているとは言え反射しようとするが、威力が強過ぎるせいなのか強化の発動が起きない!
届け、届け、私の思いと共に、この一撃を届いて。
セリスティア「届けえええええっ!!!」
たった一言の叫びが届いたのか、今まで私が斬り込んだ数多の傷跡のお陰様なのか、カレンの大型盾に大きな亀裂が生み出されると共に砕け、遂に私の攻撃が直撃する。
カレン「なっ……。」
ドゴォォォォォォォン!!!
私の全てを込めた一撃で全てを絞り切ったのか、右手の力の抜け、持っていた刃の無い剣をポトリと落とし、私は地に跪いた。
セリスティア「はぁ……はぁ……はぁ……。」
今、眼に写り込んでるのは反射された攻撃で生み出された土煙のみ、あんな予想外な一撃を食らったとしたら流石のカレンでも無事では…。
カレン「………まさか私の『力の盾』でも跳ね返させない程の強い威力の攻撃を放つとはね。」
セリスティア「っ!!」
土埃が消えると共に彼女の姿を現し出す、カレンは無事だった。怪我は疎か傷1つも無く、着込んでいた防具が少し土埃で汚れた状態で平然と立っていた。
セリスティア「そ、そんな……。」
届かなかった。私の全てを込めた一撃が。
カレン「正直驚いたものだよ、もしアレを防ぎ切れなかったら軽い怪我では済まなかっただろう。」
そう言いながらカレンは私の元へと歩き寄る。
セリスティア「っ………。」
駄目だ。もう立てない、剣は折れた。魔法も…。やっぱり実力の差ではカレンがかなり有利だったんだ。
カレン「セリスティア。」
セリスティア「………。」
俯いて彼女の顔を見上げられない、怖い、怖くてどうしたら良いのか分からない。
カレン「………この実戦訓練の結果、私の負けだ。」
セリスティア「………………えっ?」
今、カレンは私に向かって何て言ったの?
負けたって…。
カレン「何時まで俯いてる積もりだ?私の盾を良く見てくれ。」
私はカレンの言った通りに目線を見上げ、カレンの大型盾を見つめた瞬間、眼を大きくしながら驚いた。純銀製の大型盾は半壊もとい右半分が破壊されていたからだ。
奇跡は、私の思いは届いたんだと。
これはたった1つの技術の能力による物だった。
『剣術・居合斬り』
鞘に納めた状態で構えながら一瞬にして鞘から剣を抜いて敵を斬り倒す剣術、無論、ただの攻撃技術ではない、敵の攻撃を繰り出すと同時にカウンターで反射する事が出来る。
後は私の総合値に賭けて、カレンの剛破斬を魔法剣による居合で反射させたのだ。正直、これは賭けだった。
セリスティア「………あれ?」
カレンの半壊した盾を見た途端、私は全ての力が抜け落ち川の水に濡れながら大の字になった。
カレン「セ、セリス?お、おい大丈夫か!?」
倒れ込んだ私はもう疲れてしまったのか、冷たい川の水に気持ち良くなりながらゆっくりと意識を失ったのであった。
こうして私の実戦訓練は勝てない筈の戦いに勝利すると共に全ての訓練の終わりを迎えたのだった。
*
レイラ「御勝利おめでとう御座います、お嬢様。」
気が付くと空は何時の間にか暗くなっており、眼を覚ますとレイラは喜びながら実戦訓練で私が勝利した事を知り、私に勝利の祝の言葉を伝えられていた。
セリスティア「有難うレイラ。と、言いたい処だけれど貴女、私とカレンとの戦いを陰ながらじっと見ていたんでしょう?」
カレン「気付いていたのか?」
セリスティア「カレンと戦ってる途中からね、何か人影が私達を覗き込んでいたのよ。何しろこの森の中に居る人間は私とカレン、そしてレイラの3人だけ何だから。」
レイラ「………流石はお嬢様です。戦いの最中に隠れ見守っていた私の姿を察知するとはお見逸れ致しました。」
そう、実は実戦訓練の最中に何度も激しい戦闘音が聴こえたのか、レイラは心配がてら様子を見に来ていたそうだ。
セリスティア「心配なのは良く分かったけれど訓練の最中に巻き込まれなくて本当に良かったわ。」
レイラ「以後、気を付けます。」
カレン「やはり自分の従者には心優しいのだね。」
セリスティア「当たり前でしょ!レイラとはもう2年近くの付き合いに何だから!私にとっては大事な家族なの。」
レイラ「お嬢様、私の事を家族と…。」
レイラは自分が家族だと認識し感激していた。
そんな矢先、何故かカレンは暗い表情をしていた。もしかして反射した私の攻撃を食らって何処か見えない部分に怪我でも…。
セリスティア「ど、どうかしたのカレン?もしかして何処か怪我でもしちゃったんじゃあ…。」
カレン「いや、怪我はしていないから大丈夫だ。………家族か、羨ましいな。」
セリスティア「………カレン?」
私はカレンに声を掛けようとしたその時、何処からかグゥ〜〜〜と聴き慣れた音が大きく鳴り始める、うん、言われるまでもないわね。はい、そうです。正直に言いますと腹の音が鳴ったのは私です。
セリスティア「そ、そう言えば眼が覚めてから何も飲まず食わずだったわね〜。レイラ、何か食べる物は無いかしら?」
誤魔化そうとするとレイラとカレンは互いに顔を見つめ合わせた途端、2人一緒に息合うかの様に私を見つめながら笑い始める。
セリスティア「ちょっ!?な、何笑ってるのよ!!?」
レイラ「い、いえ、そ、それはそのフフフッ……。」
カレン「アハハハハ!!」
セリスティア「だ、だからって、笑わないで頂戴よもう!!」
2人の笑い声は夜空まで届くかの様に響いた中、私は2人の笑い合う姿を見て今まで貯まっていた疲れが吹っ飛ぶかの様に元気を取り戻し、微笑んだ。
明日は朝食済ませてから直ぐに屋敷に帰るだけだ。そして、カレンとはもう…。
確して、7日間による野外訓練は6日目の夜を迎えたと同時に終わりを迎えたのだった。