悪役令嬢、女騎士による本格的な実戦訓練に挑む。{攻略編}
草木が揺れ、陽当りは良好、冷たい川の水が流れる音と共に風が吹く最中、カレンは1人、川の底に剣先を突き刺し眼を瞑りながら弟子を待っていた。
カレン「………。」
ガサッ……ガサッ……パキッ!
茂みが荒れ揺れ、小枝を踏み折って、此方へと向かう足音が聴こえた事に気付くとカレンはゆっくりと眼を開けると共に此方の方を振り向いた。
セリスティア「………………カレン。」
カレン「……待っていたぞ。」
対峙する両者、主にカレンは私の姿を見ると自分の準備は既に完了している事に気付き、微笑みながら私に言った。
カレン「この様子から見ればセリス、君の準備はもう終えた見たいだな。」
セリスティア「ええ、もう何時でも大丈夫です。」
カレン「……なあ、セリス、今ならまだ後戻り出来る。それでも私と戦うか?」
セリスティア「………そんなの当たり前だよカレン、私はその為に貴女に挑むんだから。」
カレン「……そうか、なら、私ももう迷いも何も無いな。」
そう言うとカレンは突き刺した剣を抜き、大型盾を後ろに構えながら戦闘態勢を取り始める。
カレン「これより実戦訓練を行う!ルールは簡単だ。先に意識喪失による戦闘不能及び降参宣言を行った方が負けと見なす、と、言いたい処だが、特別に、私の左手に装備しているこの『盾』に破壊出来る程のダメージを少しでも食らったら君の勝ちとする。無論、技術と魔法の使用も認める。準備は良いか!?」
全ての準備を整え終えた私は自ら剣を抜き、カレンに向け構える。
セリスティア「勿論っ!!」
互いに剣先を向けながら両者は相手を見つめる、真剣勝負では良くある事が今、私の前で起きている。エレノアお姉ちゃんと何時もやってる戦いごっことは全く別物の本当の戦いをこれから私は身を知って味わう事に!
セリスティア「手加減無しで全力で参ります、師匠!!」
カレン「ああ、行くぞ、セリスティアぁ!!」
私が1歩踏み出したと同時に川の水の波紋が多く生み出される、先に仕掛ける!
セリスティア「『強化』!!『加速』っ!!」
『強化』の技術で私の攻撃力を一定時間の間に上昇させ。『加速』の技術で私自身の動きを速くさせ、水を踏み出す音と共に眼にも見えぬ速さでカレンに向かって駆け出す。
互いに至近距離に入った瞬間、私は真正面からカレンに斬り掛かる!しかしカレンは素早く盾で防ごうと斬撃の決める位置に盾を移動させる。
セリスティア「『跳躍』っ!!」
そう来ると思った私は『跳躍』の技術を使って左横へと素早くフェイントで身を低く飛ばせてカレンに斬り掛かる!
カレン「はあっ!」
しかし、私の予想通りにカレンは自分の剣で私の斬撃を防ぎ止める。これも予想通り!
セリスティア「『剣術・受け流し』!」
私は防御技術『剣術・受け流し』でカレンの防御を左側へと受け流す、刃と刃に火花を走り出しながら左へと軌道を流すと同時にカレンは防御を受け流された事で少し押されるも、私は左へと移動と共に不意打ちがてらに背後から斬り込む!
セリスティア「隙あり!!」
私の剣が縦に振り下ろし斬りに掛かり命中した。筈だった…。
セリスティア「なっ……。」
カレンは私の斬撃を素早く大型盾で防いだ。重装備系の鎧を装備しているとは言え何て機動力なのよもうっ!!
カレン「どうした?この程度の斬撃では私に傷1つも付けられないぞ。」
セリスティア「そんな事、分かってるわよっ!!」
私は力一杯に左足で盾を蹴り出し、少しだけれどカレンを押し出す、蹴りを決めたと同時に私は上へと『跳躍』をし、空中降下しながらの斬撃を振り放つ!!
しかしカレンの動作は速く、大型盾を左手で一気に上へと持ち上げると同時に空中降下からの私の斬撃を完全に防ぐ!!
セリスティア「まだまだぁ!!」
カレン「っ!!」
右掌に魔力を集め炎の球を生み出す!
セリスティア「火球!!」
私の火球をカレンの大型盾に零距離で打ち込むと共に急ぎ後退、同時に小さい爆発を起こしカレンが見えなくなる程に煙を生み出す。
セリスティア「………やった?」
大きな風が吹き煙を掻き消すも、カレンは平然と立っており、肝心の盾の方は撃ち込んだ部分に焦げ跡が残っているだけで正直、無傷。
カレン「………。」
セリスティア「だよね、こんなしょぼい攻撃魔法じゃ、盾に傷1つも付けられないわよねっ!!」
私は『強化』と『加速』そして『跳躍』の技術を連続で使用し真っ向からカレンを斬り込むも盾で防がれると共に左へと受け流すと同時に後退して距離を取る!
後退した私は『突撃』の技術でカレンに向かって一気に突っ込む!
カレン「ぐうっ!!」
カレンは動作反応で速い盾を移動し私の『突撃』を防ぐも、少しながらに押し出される!まだよ、まだ私の攻撃は終わっていない!
私は『突撃』の状態のまま『受け流し』を使い、右側へと軌道を変えて移動してから剣で斬り込む!
セリスティア「たああっ!!」
カレンは素早く剣で受け止めると同時に盾をゆっくりと引かせる。来る、バッシュの構えだ!
カレン「何時までも決められると思うな!シールドバッ……!?」
私はカレンがバッシュを繰り出す前に後退して再び距離を取る。
カレン{成程、私がバッシュを使わせない様にまんまと距離を取ったと言う事か…。攻撃を行ってからの離脱、しかも……。}
後退したばかりの私は『加速』で速く動き、カレンの真横に斬り掛かるも、またもや盾で防ぐ。
カレン{私の視界外から奇襲を繰り出す2つの戦法で私を押し込むとはな…。伊達に速攻で仕掛けてる訳ではない様だ!}
私は『加速』と『跳躍』の2つの技術を使い、今度は四方八方から繰り出すヒット&アウェイ戦法でカレンの気を一気に逸らす!
セリスティア「はあああっ!!」
カレン「むんっ!」
セリスティア「でやああああっ!!」
カレン「はあっ!!」
セリスティア「うおおおおおっ!!!」
カレン「せえいっ!!」
しかし、四方八方からなる私の速攻をカレンは時には剣で受け止め、または盾で私の速攻を全て防ぎ切る!だったら…。
セリスティア「真正面から仕掛ける!!」
再び後退した私は『強化』の技術で自分の攻撃力を上げてから、1歩だけ踏み出してからカレンに向かって真正面から斬り掛かる!
セリスティア「ぐぬぬぬっ……。」
カレン「やるじゃないか、『強化』の技術で自分の攻撃力を強くさせ私を押し出し。『加速』と『跳躍』の2つの技術で私の気を逸らした隙に奇襲を仕掛ける。そして攻撃を行うと同時に距離を取る。先程の私の『シールドバッシュ』を繰り出す前に君は直ぐ様に後退をした。しかし!」
互いの剣と剣の押し合いの最中、力量、いいや、攻撃力の差なのか、幾らカレンに鍛えられて総合値が上がっても差はカレンの方が有利。
カレン「技術『強化』ぁ!!」
グググとカレンの腕力が増した様な音が聴こえると共に私が押されていく!!不味い!此処でバッシュを食らい決められたら…。急いでこの場から離れて。
カレン「バッシュを放とうと思っているだろう?セリス。」
セリスティア「!!」
嘘、私の考えが読まれた!?
カレン「申し訳無いがセリス、そう何度も後退させる訳には行かない!!」
瞬間、私はカレンの眼を自然と見つめ合った途端、眼にも見えない強力な威圧が襲い掛かると共に私の身体が動けなくなる!?
セリスティア「い、う、動けないっ!?一体何が…。」
カレン「これは特殊攻撃型技術の1つ。『威圧眼』。私の体内に秘めた力を眼に込ませ、視界内に写る者達に向けて睨み見つけるだけでその者達を動けなくする事が出来る、また。高確率で戦意喪失、意識を失くす事も可能。」
セリスティア「ううっ……。」
そう言えばゲームに出て来るモンスターの使用する技術の中には時に行動不能状態にさせる物があるのを身を食らってから思い出したよ。
カレン「こうやって速さ自慢の鼠を動けなくする時はこの技術だ。そして。これから私が使う攻撃技術はとても強力だ。身を持って味わい給え!!」
一気に大型盾を引かせて構えると共にカレンの身体から赤いオーラが纏われるかの様に放出される。恐らくこれは魔力を使った攻撃技術。
セリスティア「技術『硬化』ぁ!!」
私は受けるダメージを減少させる為に『硬化』の技術を発動させ自分の防御力を強くする!動けないとは言え技術の発動は出来る。後は身を持って耐えるしか……。
カレン「受けろ。『進軍の盾』!!」
カレンは大型盾を構えながら、威圧で動けない私を盾で押し込ませると同時に一気に吹っ飛ばされる。
セリスティア「………かはあっ!!」
凄い、これがカレンの本気の攻撃…。
こんなの食らった私は恐らくHPの大半を減らされているだろう、吹っ飛ばされながらも私は残りのHPを確認する。
残りHPはたったの10近く、回復アイテムも無し、もしもう1発食らえば即実戦訓練は終了。
ああ、駄目だ私……負けたくない。カレンに!!
セリスティア「『受け身』っ!!」
この実戦訓練に負けられない私は『受け身』の技術で地面に剣を突き刺して何とか体勢を整え直す。結構離れてる位置にいるけれどどうする?
カレン「まだ立てれる見たいだなセリス。」
セリスティア「当たり前でしょ!誰のお陰で鍛えられたと思ってるの!?」
カレン「確かにそうだな、なら此処からは私も本気で戦わせて貰うぞ!!」
ちょっとちょっと!今までの戦いは手を抜いていたって事なの!?本気のカレンの実力、ボロボロの私の姿を見て何笑ってるのよ本当に…。
セリスティア「ああ……もうっ!!あんな姿を見てしまったら私も全力を出すしかないじゃないのよ!!」
どうやら私は滅茶苦茶諦めの悪い質見たいだ。