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夢と現実  作者: 石川技院
12/14

売人と仲間:05


長妻の部屋は、どこにでもある2階建てアパートの一室だった。

前原は、アパートに面した道路にメルセデスを停めると、車から降りた。

歩いて部屋に向かう途中、長妻が契約している駐車スペースを確認した。


車は無い。


長妻は無免許で、契約している駐車スペースには訪れた仲間などが利用していると前に聞いた事があった。

前原は、ホッと胸をなでおろした。

恐らく今いるのは前原一人か、居ても若い女一人だろう。


前原は深く深呼吸をした。

何を恐れてるんだ、落ち着け。と、自分に言い聞かせるとドアの横にあるチャイムを押した。


数秒後、髪をオールバックに撫でつけた小柄な男が出てきた。長妻だ。

長妻は灰色のスウェットパンツに半袖のシャツを着付けている。

そのシャツからは、和彫りの七分がはみ出ていた。


「早かったじゃんか、まぁ入んなよ。」


長妻の顔に、笑顔はこれっぽっちも見られなかった。


「いや、いいっすよ。自分はここで。」


前原は苦笑しながらいった。

中に入ってはダメだ、と自分に言い聞かせていた。


「いいじゃんか、少しっくらい。こんなとこより中の方が安全だろ?」


長妻は前原の目をジッと見つめた。長妻の瞳孔は開いていた。


「自分、時間がないので。今日は勘弁してくださいよ。」


いかにも申し訳なさそうにいってみせた。


「なんだよ時間て」


長妻は表情を崩さずにいった。


「それよりよ、今から女が来るんだ。漬けてある女だから一緒にキメようぜ。」


笑顔を作って話しているつもりだろうが、その笑顔がひきつっていた。


前原は考えた。

まさかこんな状況だとは思ってもみなかった。

来たこと自体が間違いだった。

しかし長妻は何を考えているのだ。


「わかりました、でも少しだけですよ。」


前原は仕方なしに了承すると、そのまま部屋へと上がった。



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