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神花の契り  作者: 廃人仙女
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神花縁を絶つ術

 神花楼の調度品はすべて、手で竹を切り組み立てている。神花域の竹は普通の竹とは異なり、切って加工しても傷む事は無い。その代わり、霊力を使ってもこの竹を切る落とすことはできないのだ。神花域の竹を切り落とすためには、霊力を帯びない刃物を使わなければならない。

 そのせいで、五年前に穎水が竹模様の扇子を作ってから神花域を出た後、渓月と散華は二人で作林の竹を切り、手作業で調度品を一から作り直したのだ。もっとも、穎水はそのことを一切知らないが。

「ところで、その扇子はいつ穎水からもらったのですか? 確か、あの日ではなかったでしょう?」

「いえ、あの日ですよ。でも、わたくしがこの扇子をいただいたときには、師匠は近くに会いませんでした。確か、師匠が先に竹林へ向かっていて、わたくしがその後を追っていたんです。そしたら、その途中で突然穎水が戻ってきて、わたくしにこの扇子を差し出したのです。もし断ったら何をされるかが分からないので、そのまま受け取りましたが」

「なるほど。でも、穎水はどうしてこの扇子を渓月に渡したのでしょう?」


 三日後、神花湖から五本の芽が生えてきた。それと同時に、張られていた保護陣も消える。

 神花湖の隣で、渓月は地べたに座りながら、禁書を読んでいた。もはや神花楼の禁書棚から手当たり次第に書物をとっているせいで、今一体何の本を読んでいるのかさえもわからなくなってきていたが。

 渓月は帝花種から芽が生えたのを一瞥してから書物をぺらりとめくる。すると、ちょうどその時、彼女はある項目に格別の興味を惹かれた。

「神花縁を絶つ術」

 これが使える条件は、たったの二つ。一つに、天帝の霊力が低いこと。二つに、神花に特殊な体質があることだった。書物の中で、特殊な体質の例として、人形(ひとがた)になって、すぐに誰もを圧倒する霊力を持つこと、雷に耐性があること、俗気に影響を受けないことが挙げられていた。

 その条件に合うことを確認してから、渓月はまた続きを読み始める。

 神花縁を絶つために行動を起こすのは、神花である帝神だけでいい。まずは、自らの霊力を全て神花痕に集中させ、それを時間をかけて一つの丹薬にする。神花痕の中で丹薬になったら、それを体内から取り出し、機をうかがって自らの主に飲ませる。それから、神花自身が命を断った後に、自然と神花縁が切れる仕組みとなっているのだ。

 渓月は禁書を伏せ、頭を抱えた。今は、穎水が虎視眈々と天帝の地位を狙っている。その中で、永池との神花縁を切るために、霊力を全て丹薬に仕上げている時に穎水に反乱を起こされてもしたら。その時は、永池を守るどころか、自分のことすら守れるかがわからない。

 だがすぐに、「待てよ」と思い直した。穎水は渓月に自身の帝神となることを望んでいる。となれば、その道を渓月から絶ってしまえば。むしろ、永池を守ることにつながるのではないか。

 彼女は一瞬で考えをまとめ、禁書を閉じた。それから何も迷いもなく、自らの霊力を全て神花痕に集中させた。

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