第二話 vs魔法使い
「それではまず、実践魔法の授業です。皆さん、ペアを作って実際に魔法を使って戦闘をしましょう。好きなだけやり合ってよいですが……殺さぬように」
早速1時間目だ。しかも魔法を使っての戦闘だ。魔法の使えない俺にはできない。昔はそう思っていた。だけど、今は違う。
「よろしくな、新入り。ま、お前みたいな高校から入学してきたやつは中学からの内部進学生である俺には勝てないだろうけどな」
こいつがペアのやつか。
はっきり言ってうざいな……
「やってみなきゃわからないでしょ」
「そうだな……なら、さっさとやろうぜ!
火球弾!!」
ヒュンヒュンヒュン
無数の火の玉が俺を襲う。早い上に隙がない。自負するだけあって同年代にしてはかなりのやり手だ。
「よっはっ、おりゃ」
俺は全力で炎を避ける。魔法が使えないならフィジカルでこれは俺のモットーだ。
「糞、素早いな……ならこれはどうだ、
火炎柱!!」
「うわっ!」
地面から幾本もの炎の柱が上がり、俺は必死で避ける。だが、いつどこから炎が上がるかわからない上に、あたったら重症は避けられないだろう。
「どうだ!俺の魔法は!さぁ早くお前も魔法を使いな」
「……」
「へぇ、使わないのか。これは俺を舐めてるってことだな。糞、ふざけやがって……
爆炎火球!!」
「うわっ!!」
空中で大量の爆発が起こり、俺の体はふっとばされる。いくらフィジカルを鍛えていたとは言え、このレベルの魔法相手には太刀打ちできない。
なら……
「俺は魔法は使わない。だが……もっとすごいやつを見せてやるよ」
「何だよ……それは」
俺は体中の魔力に神経を集中させる。俺は魔法を使う時に必要な器官『ゲート』に欠損があるから魔法は撃てない。だが、魔力の操作ならできる。
だから、ありったけを。
「一分制限魔術!身体強化魔術!!」
「な、何だ……全身から魔力が溢れ出してやがる……」
俺の魔術、身体強化は一分の制限で無理やりゲートを使わずに魔力を全身に回す。
精密な魔力の操作はできないが、その分を俺の圧倒的な量の魔力でカバーする。
「おりゃぁ!!」
「ひっ……」
ドガーン
「ぐは……」
俺の全力のパンチをくらい、彼は白目を向いて倒れる。勿論、死んではない
「よっしゃ!勝った!」
初めての魔法使いとの戦闘だったが勝てて嬉しい。やった……
「うん?」
なんか全身がムズムズする。いや、なんかコントロールできない。やばい……魔力が暴走……
ドガーン
「キャー」
「どうした!事故か!」
「森が……」
皆の声が聞こえる。やっちゃった……
体中の魔力が暴走して森を全て破壊してしまった。
「ヤベ……限界だ……」
全身の魔力を使ってしまった弊害で俺はぐらりと倒れ込む。
「大丈夫かな……ここでの学園生活……」
こうしてここでの学園生活1日目が終わったのである。