表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

第一章 第二話 『悪役令嬢と妹好きな兄者の復興途上』(幕間1/3)

今回から三話にわたって国連特殊部隊やそれと対立する黒シャツ隊の視点のお話になります。まだアデルとは国連特殊部隊の面々とは出会いませんが今後、大きく関わることになります。戦闘シーンの描写に力を入れたのでぜひお楽しみください。それでは、いい読書を!

『戦い抜いた男として講和会議に列席するために、数千人の死が必要なのだ』

〘"帝国の建国者"ベニート・ムッソリーニ〙


リギンボグエン ニテリオロパ-ラヴォア大陸間横断鉄道 特別車(3号車) 列車内


「はぁ…説明を聞いてくださいよ」


目の前の韓国人国連職員、もとい、私たちの上司である藩 基龍 課長はため息を着いてそう呟いた。見回すと私も含めてほとんど聞いてないみたいだった。唯一、責任感の強い 神凪ちゃんがご丁寧にメモまで取っている。きっと後でみんなに教えてくれるのだろう。


「もう一度、言いますよ。現在、このホファンブルク王国で禁忌技術制定委員会が指定した禁忌技術がSNN協定委員会の1部門である義務労働再調整センターによって運用されているようです」

「義務労働再調整センターって何?」


彼女自身の愛銃である S&W M500 を分解して掃除をしていたアンジェリキ・ガラニスが銀髪の1本おさげを揺らしながら顔を上げて質問する。碧い眼が宝石みたいで美しい。ちょっと口が悪いけど頼れる猟犬だ。


「アンジェさん。SNN協定委員会が運営している強制労働施設の事ですよ」

「ふーん。説明ありがと。神凪」


アンジェちゃんの質問に答えたのはさっきから藩さんの説明を真面目に聞いていた黒髪ロングの美少女、濡烏 神凪だ。真面目な子で任務に対して誠実に取り込んでくれる。


「まだつかないの?」


そう不満を漏らしたのは対物ライフルを2つ、しかも、銃剣付きというイカれた装備をした少女、ヴェロニカだ。今も、窓の外を見て話を聞いてないが、狙撃の腕は間違いない。


「後、6時間くらいですね」


藩さんは腕時計と地図を見比べながら答えてくれる。どうやらまだかかるようだ。


「今回の禁忌技術って何さ?」

「いつも言っている通りですが…禁忌技術制定委員会はこの世の中に悪影響を及ぼす技術の拡散防止、製造方法等の破棄を目的としているんです」

「ミアさん。それは聞いちゃ駄目な約束ですよ」

「まじでー?」

「分かってて聞いているんですか?」

「ははは」


私の疑問に藩さんがいつも通りの返答を繰り返す。そして、いつも通り、神凪が補足をする。


私はこの部隊…国際連合 UNESCO 禁忌技術制定委員会 特殊部隊 パンドラ・ボックスの隊長…ミア。苗字はない。苦労してこの地位を手に入れたんだ。深入りして解雇されたら保護者の皆様に申し訳ない。


「はは。そうだったね」

「んー?3時の方向。謎の車両部隊。狙撃手が居る。伏せて」


ヴェロニカが窓の外を見ながら警告する。その言葉に一斉に伏せると窓がパァンと割れた。ほかの車両から悲鳴が聞こえる。こちらを狙っている訳では無いとなると山賊?それにしては車両が多すぎる。


「ヴェロニカ、狙える?」

「やってみるー…たいちょー、銃出してー」

「ちょい待ち…はい、どうぞ」


ヴェロニカはアンジェに返事をして、私にヴェロニカの愛銃であるシモノフPTRS1941とデグチャレフPTRD1941を取り出すように言ってきた。私の異能力は1m四方の4次元空間を保有していてその中に重量を無視してなんでも詰め込めるというもの。その為、でかい対物ライフルは分解して収納してあるのだ。ヴェロニカが対物ライフルを組み立てている間、私はその間にSPR A3Gを取り出して窓からそっと外を伺う。


「たいちょー、どう?」


ヴェロニカが聞いてくる。窓の外を見ると500メートルくらい離れたところに原っぱを爆走している豆戦車と軍用トラックの群れが居た。中央にはリーダー格なのか、歩兵戦闘車が居る。車両部隊のあちこちにスコープの輝きが見える。狙撃手だろう。


豆戦車(タンケッテ)と軍用トラックを中核とした車両部隊だね。歩兵戦闘車に指揮官が乗ってると思う。狙撃手が10人くらい。やれる?ヴェロニカちゃん」

「うちに任せてよ。りょーかいだよ!」

「じゃあ、私がスポッターをやりますね」


神凪ちゃんがスコープを持ちだしてヴェロニカちゃんの観測手をやってくれるらしい。それなら、私はアンジェちゃんと別の部屋で狙撃をしよう。


「アンジェちゃん、別の部屋から狙撃しよう」

「…了解」


ーーーーー

ニテリオロパ-ラヴォア大陸間横断鉄道 特別車(3号車) 列車内


シモノフPTRS1941…愛称 シモちゃん。デグチャレフPTRD1941…愛称 デグちゃん。うちはこの2つの愛銃をそうやって呼んでるんだ。たいちょーやアンジェっちは絶対に呼んでくれないけど。かなっちは優しいから呼んでくれるんだ。


「ど〜?かなっち?」

「風が強いです…列車も動いてますし…5度修正、距離516m、5ノッチ半、歩兵戦闘車上のスナイパー…と操縦手も狙える?」

「はーい。うん、ドライバーも丸見えだね」


そう。うちは構造物を透視して敵の位置を視認することが出来る異能力を持っているの。前にあった異世界転生者はこの能力をウォールハックと呼んでいた。そして、チートじゃないかって怒ってたんだ。なんか恨みでもあるのかな、この能力に。


「装甲貫けるかなぁ」

「国旗とマークを見る限りイタリャーナの黒シャツ隊ですね。歩兵戦闘車の方は分かりませんが…豆戦車の方はイタリャーナのL3でしょう。いとも容易く貫けるとは思います。」


かなっちと話しながら射撃体制を整える。さっきから銃声とぱすっぱすっという音は聞こえてきていて、おそらく、敵の狙撃手がこちらを狙っているんだろう。対応が早いし、敵はおそらく手練。でも、さすがにどちらも動いてるから当たらない感じなのかな?でも、うちなら。シモちゃんの引き金を引いた。


スコープの中で敵の頭が爆ぜる。


「ヘッドショット。流石です。ヴェロニカさん!」


瞬時にデグちゃんのスコープを覗く。敵の車両たちはこちらに真一文字に向かってきている。あとは装甲が貫けるかどうか。


「装甲を貫通して…ないですね」

「ドライバーも生きてる〜」


ダメだった。イタリャーナ軍の癖に装甲貫けないなんて許せない。てか、めっちゃ砲塔旋回してるー!


「かなっちー!敵主砲来るよー!」

「はい!」


かなっちに呼びかけつつ、シモちゃんとデグちゃんを引っ張り車両左側にある廊下へと飛び込む。轟音と共にさっきまでいた部屋が倒壊し外がよく見えるようになっていた。


「かちょー、あれなにー?」

「イタリャーナの歩兵戦闘車の VCCー80 ダルドです。国連のデータベースによれば正面装甲は14.5mm機銃弾に抗堪性のあるものです。側面なら貫けるとは思いますが…」


先に廊下に避難していた藩かちょーが歩兵戦闘車のデータを教えてくれる。その間も、散発的に轟音と射撃音が聞こえてくる。


「今のうちに側面から狙える位置がないか探して移動しましょう」

「そうだねー、後ろの方の車両に行ってみる?」


列車内を移動している間、悲惨な様子を目にすることになった。砲撃と狙撃によってそこかしこに死体が重なっている。廊下の隅で少し裕福そうな服装の母娘が震えているようだ。近くには整えられた髭のおじさんが頭に穴を開けて転がっている。大きな穴が空いた客室には列車の乗務員たちがボルトアクションライフルを構えて撃ち返していた。


「ここにする?」

「ここでは側面を取れません。もっと後ろの車両じゃないと…」

「でも…」


うちが家族の方を見ると16、7歳くらいだろうか、娘さんと目が合ってしまう。私より3つくらい年上のお姉さんの目は恐怖でうるんでいた。


「あなた方は!?」


逡巡していると列車の乗務員に話しかけられた。


「我々は国際連合の特殊部隊です!」


かなっちがそう返答すると乗務員は驚いていた。しかし、すぐに表情を戻し、何かを考えているようだった。


「すみません。一緒にここで戦っていただけませんか?」


職員はそう提案してくる。確かに、ここならこの家族も守れるし…いいかもしれない


「うん!いい…」

「申し訳ありません。ここはあなたたち2人で十分では?」

「か…かなっち…?」


しかし、かなっちはどうやら賛成したいわけではなさそうだった。それを聞いた乗務員も折れるつもりはなくまだ話を続ける。


「すまないが…他にも乗客を安全な位置に退避させなければならない」

「…そうですか。ヴェロニカさん。すみません。1人で狙撃をお願いします」

「うん!わかった!任せて!」


そうと決まれば早い。うちも、乗務員さんの片割れも走り出す。あの無法者どもをおっぱわらないと!


ーーーーー

ニテリオロパ-ラヴォア大陸間横断鉄道 二等客車(8号車) 列車内


「ヘッドショット」

「ふー!これで三人目だ。よゆー」

「あまり慢心しないでよ」


調子に乗っていると、アンジェちゃんに窘められた。しかし、どうやら敵は派手な対物ライフルの狙撃に気を取られてこちらには気づいていないようだ。


「大丈夫っしょ。まだ気づいてないし」


アンジェちゃんの観測結果も待たずにスコープを覗き込む。スコープのきらめきは明らかにこちらを向いている。


「あ、まじか」


スコープを叩き割られる。そして、銃弾は咄嗟に右に避けた私の左目を掠める。


「だから言ったじゃん…」

「はははは…こりゃここはやめた方が良さそう」

「スナイパー戦も終わり。敵車両部隊が二手に別れたし、列車の後方と前方から挟撃するつもりじゃない?」

「へぇ、黒シャツ隊と言えどもこの列車吹き飛ばす気はないんだ」

「この列車を攻撃してる時点で国連と争ってるようなもんでしょ?」

「さぁ?彼らにも何かしらの線引きがあるんでしょ」


挟撃となると…守らなきゃダメなのは運転室と乗客と…あとは課長くらい?とりあえず、ヴェロニカちゃんや神凪ちゃんに連絡を取らなければ。トランシーバーを取り出して呼びかける。


「ヴェロニカちゃんー、神凪ちゃんー?報告よろしくー」

「今は後ろの車両に移動中だよ〜。シモちゃんやデグちゃんじゃ歩兵戦闘車は倒せなさそうー」


と、ヴェロニカちゃん。


「私は今は5号車で職員の方と一緒に一般の方を守っています」


と神凪ちゃん。


「なるほどねー。神凪ちゃんは一般客を6号車に集めて護衛して。乗務員さん達にも伝えてね。ヴェロニカちゃんは運転室に敵が入ってこないように近接戦闘好きでしょ?藩さんも運転室に押し込んでね。」

「わかりました。「りょーかい!」」

「アンジェちゃんは後ろの車両の方から避難誘導して。私はとりあえず最後方の車両から来るやつをミニガンで薙ぎ倒す」

「わかった」


さぁて。今度は打って変わって近距離戦か。悪くないね。そっちの方が手っ取り早く敵を殺せるし。


ーーーーー

ニテリオロパ-ラヴォア大陸間横断鉄道 列車乗務員待機室(10号車) 列車内


とりあえず、無限収納の能力で取り出したミニガンを三脚の上に取り付ける。やっぱ重いな、これ。そんな事をしている最中、アンジェちゃんは乗務員さんと共に一般人を避難誘導している。


「乗客の皆さん。6号車に落ち着いて避難してください。近くに乗務員がいる場合には指示をよく聞いて避難してください」


車内放送も流れ始めた。これならすぐに避難も済むかもしれないな。と思ったらすぐに敵が来た。すぐ列車の後方に敵の軍用トラックが現れた。が、私は迷わずトリガーを引いて、トラックの幌で伏せていたスナイパー、運転席、荷台に弾をばらまいていく。たちまちのうちにトラックは落伍した。


「Minigun! Portate i carri armati al fron…(ミニガンだ!戦車を前に押し出…)」

「ふぅ!さすがミニガン!最大毎分6000発は神っしょ!」

「狙撃されるかもだから撃たない時は扉の陰に隠れて!」

「わかってるよ!アンジェちゃん」


と、言っている間に次の敵…豆戦車が来た。あ、これ、まず…そう思考した次の瞬間、肩をがっと掴まれ引きづり倒される。


ズガガガガガ


という轟音と共にさっきまでいたところに豆戦車の重機関銃が掃射してくる。更に、敵の対戦車火器がぶち込まれたのか、ミニガンと車両後部は鉄くずになった。


「Obiettivo Forze speciali dell'ONU!?(国連の特殊部隊がターゲットだろ!?)」

「おー、ありがとう。アンジェちゃん」

「お礼はいいから!敵が乗り込んでくる!」


見れば、鉄くずと化した場所から黒シャツ隊が銃を乱射しながら乗り込んできた。てか、ボルトアクションライフルじゃん。カルカノかな?見たところイタリャーナ人じゃないし。


無限収納からAKー47を取り出して敵に撃ち込む。それに合わせてアンジェちゃんも愛銃のM500を叩き込む。飛び込んできた奴らはひとまず掃討できたようだ。


「その拳銃重くてでかくない?拳銃の利点ある?」

「銃は大きい方がいいでしょ」


と、話していると、倒れていた敵が起き上がりドイツの拳銃ルガーP08をもって突貫してきた。


「Muori, bastardo!(死ね!このやろう!)」

「っまじか!アンジェちゃん!」

「問題ないし!」


アンジェちゃんはルガーをM500で横薙ぎに弾き飛ばすと、そのまま銃床で敵を殴りつけてふらついてるところに銃弾をゼロ距離でぶち込んだ。


「ひゅー!ないすぅー」

「銃は大きい方がいいでしょ?」

「かも?」

「くそ!9号車からもきやがったぞ!」


職員の怒声を聞いて9号車の方を見ると軍用トラックから黒シャツ隊が乗り込んできて避難している乗客を次々と射殺していた。私とアンジェちゃんは素早く近くの部屋に飛び込んで射線をきる。


「援護するから9号車に!」

「了解っ!!」


無限収納にAKー47をしまって代わりにFG42を取り出して再度、後部から車内に飛び込んできた敵にぶち込んでいく。数人が倒れ、後の数人は遮蔽物に身を隠した。


「ごー!!」


私の合図と共にアンジェちゃん自身もM500を撃ちながら駆け出していく。更に、乗務員さんたちも援護射撃をしてくれる。敵も私の合図に気づいて撃ち返してくる。


「おーけー!」


よし、何とか向こう側に行けたみたいだ。もう1斉射くらい念の為に撃ち込んどこ。


「こっちは行ける!そっちは!?」


アンジェちゃんの問いかけに周りを見渡してみる。私と…乗務員が2人。そして、乗務員から武器をもらった民間人が2人。悪くはないね。


「大丈夫!」

「死なないでね?隊長」

「そちらこそ…ね?」

「言うじゃん」


遅滞戦闘か。どこまでいけるかな?リギンボグエンという街の南部はSNNの連中の肝いりの町や国の中心に近い。北部のスラム街は見捨ててもここの防衛は捨てないはず。暫くしたら援軍が来るだろう。


ーーーーー

ニテリオロパ-ラヴォア大陸間横断鉄道 石炭室(2号車) 列車内


銃声が聞こえる。どうやら、既に先頭車両では戦闘が始まっているようだ。足が震える。僕はこんなことをするために国際連合に入った訳では無いのだが。いつもそうだ。こんな貧乏くじを引かされるのだ。僕が立ち止まったのを見て不思議そうな顔をしながら部下のヴェロニカさんが振り返る。


「かちょー?行くよー!」

「私は文官で戦闘なんてできないのにどうして…」

「抵抗しないで死にたいわけじゃないでしょー?」

「それはそうですが…抵抗したら死ぬんですよ?」

「変なのー…ん?かちょー!そこの角に隠れて!」


途端、銃声とマズルフラッシュが視界に飛び込む。さっき聞いたミアさんからの報告では敵の歩兵はカルカノM1938を持っていると聞いていたのだが…どう見てもアサルトライフルだ。国連のデータベースによるとベレッタ AR70/90。おそらく、精鋭が乗り込んできているようだ。


「ヴェロニカさん。どうやら、敵の精鋭部隊のようです。アサルトライフルを持っていますし、慎重に行動してください!いつものやつはやめてくださいね!」

「大丈夫、大丈夫!うち、大丈夫だから!」

「は?」

「うらぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


ヴェロニカさんはそう言うと敵の前に飛び出していったのだ!それは敵にとっても予想外だったようでアサルトライフルを構えていた敵兵はそのままヴェロニカさんの対物ライフルに無理やり取り付けられていた銃剣に串刺しにされた。


「うらぁぁぁぁ!!」

「うぐぁぁ」

「Impossibile!E' una carica alla baionetta!?(ありえない!銃剣突撃だと!?)」


そのまま、銃剣に突き刺さった敵兵をそのままにして後ろにいた敵兵の身体に弾をぶち込み、間髪をいれずにもう片方の対物ライフルを隣の敵兵に撃ち込む。残った最後の一人はアサルトライフルを乱射するが、ヴェロニカさんがそいつ目掛けて敵が刺さっていない方の対物ライフルを投擲しそれはその敵の脳天へと突き刺さった。


「よし!かちょー終わったよぉ?」

「あぁ…」


敵の血を浴びて真っ赤になったヴェロニカさんが銃剣から敵を引き抜きつつ報告してくれる。


「とりあえず、かちょーは運転室に居てねー?」

「あぁ…」


石炭が大量に散らばる運転室の中に入ると茫然自失といった様子のボルトアクションライフルを持った乗務員と怯えている客。必死に石炭を入れたり、運転している乗務員。我々には彼らを守る使命も…あるのだろう。


ーーーーー

ニテリオロパ-ラヴォア大陸間横断鉄道 一等客室(5号車) 列車内


「百人隊長(大尉)!どうやら敵は即席のバリケードを!」

「ジリジリ近寄って突き崩す他あるまい。敵はボルトアクションしか持っていない。注意すべきなのは国連の特殊部隊だけだ。」


ふと、目の端に震えながら蹲る黒髪の少女が目に入る。逃げ遅れた一般客だろう。可哀想だが、致し方あるまい。捕虜は取るなと言われているしな。


「嬢ちゃん、悪く思うなよ」


彼女に拳銃を突きつけると、彼女は顔をあげて微笑んだ。俺は動揺した。そして、彼女の手にソードオフのショットガンが握られており、その銃口の先にあるのが俺の頭だと認識し、彼女は俺には理解できない言葉で何かを言…ずどん!


ーーーーー

ニテリオロパ-ラヴォア大陸間横断鉄道 一等客室(5号車) 列車内


「悪く思わないでくださいね?」


そのまま隊長格であろう敵兵は崩れ落ちた。動揺が走る敵兵を横目に座席の下に隠しておいたウィンチェスターM1901で近くにいた敵兵を射殺し、バリケードに向けて走る。味方の乗務員たちの援護射撃の中、2つのショットガンに弾込めをすると乗り越えざまに敵兵を2人射殺する。残っている敵兵は数名。味方で戦えるのは3名ですか。


「ここは任せました!」

「「分かりましたっ!」」


職員たちのその言葉に軽く頷いて、私は7号車の方へと向かう。きっと向こう側にも敵は来ているのでしょう。アンジェさんが合流するまでの辛抱ですけど…


「結構…きついですね…」


読んでくださり、ありがとうございます!感想、募集してます!今回は国連特殊部隊『パンドラ・ボックス』視点がメインでしたが次回は黒シャツ隊 特殊部隊『カヴァッロ・ゾーネ』視点がメインになります。個性の強いキャラが登場しますのでご期待ください!今回のおまけはこの世界における国際連合と作中の組織である禁忌技術制定委員会、特殊部隊『パンドラ・ボックス』の設定を記しておきます。


・この世界の国際連合について

この世界の国際連合は現実に存在する同名の機構より権限が強く、超大国を含む加盟国に対して絶大な影響力を及ぼす事ができます。(安全保障決議矯正平和維持軍)常備軍を保有している為、加盟国に対して軍事的な制裁を行ったり、非加盟国に攻撃を行ったりする事もあります。2度目の世界大戦の末、蛮族や異常気象や異常現象に対抗する為に結成されました。


・UNESCO 禁忌技術制定委員会

UNESCO(国際連合教育科学文化機関)は現実にも存在する国際連合内の機構で、経済社会理事会の下に置かれた組織です。禁忌技術制定委員会はその下部組織として存在する作中の組織です。ヴァチカンの十字教の法王を中心とした会議で世界を破滅に導きかねない技術を封印するかどうかを決めています。


・特殊部隊『パンドラ・ボックス』

禁忌技術制定委員会 傘下の少数精鋭のコマンド部隊です。状況によっては国際連合 安全保障決議矯正平和維持軍 から兵士を供給することもあります。国際連合は他にも多くの特殊部隊を保有しており、様々な状況下でそれらを駆使して問題を解決しています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ