表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

第一章 第零話 『悪役令嬢と人民の擁護者の赤色革命』

皆様!はじめまして。なろう初投稿の 盲目的なデモクラット と申します。私の作品を読もうと手に取ってくださりありがとうございます!!それでは、読書をお楽しみください!

『多数に追随するな。自分自身で決断せよ。そして人々をも納得させ、リードしていけ。』

 〘"鉄の女"マーガレット・サッチャー〙


 第一章 第零話 『悪役令嬢と人民の擁護者の赤色革命』


「アデルハイト・ボルクス・スイミット!俺は貴様との婚約を破棄する!」


 煌びやかに舞踏場を彩るシャンデリアは舞台装置としてこの場の主役たちを照らしだしている。たった今、私に向けて婚約破棄を宣言した王子と王子に抱き寄せられている赤色のドレスの少女はこちらをキッと睨みつけていた。シャンデリアの光が眩しい。彼女達が正義だと思わせる何かがこのワンシーンには間違いなくあった。


「アデルハイト…貴女が今まで行なってきた人民への悪辣なる攻撃は言語道断、許されるものではない!あな…貴様を…いや、この国で邪知暴虐の限りを尽くすブルジョワジーども!貴様ら、反プロレタリアート分子を祖国から排除する!」


 さっきまで私の婚約者で王子だったウィリアムはそう高らかに告げた。彼の言葉は10年前、いや、それ以前の私でも理解できなかっただろう。私にはほとんど役に立たないゲーム知識しかないんだから…。頭がぼうっとする。しかし、現実は騒々しく、私が意識の外へと逃げることを良しとしなかった。騒がしい会場のあちこちでパーティの参加者たちは私の方を見たり、ウィリアムの方を見たりしながらどよどよとしていた。そんな中を友人たちが、私の様子を心配して混乱した会場を掻き分けて駆け寄ろうとしている。それを阻止しようとしたのか、幾人かのウィリアムの取り巻きが立ちはだかった。そんな騒然とした空気を糺すかのように怒声が響く。


「ウィリアム殿下!!!ご乱心召されたかっ!!!?」


 国王陛下の忠臣であるバルドさんがウィリアムに向けて唾を飛ばし、机を激しく揺らしながら怒鳴り散らしたのだ。食器が震え、椅子が倒れる。あまりの剣幕に後ろにいたメイドがあわあわと腰を抜かして床に座り込んでいた。


「バルド・ダット・スワンサー国防大臣。貴方は何も分かっていない」

「変わってきたのだ。我々もこの国も!」


 バルドさんの言う通りだ。10年でこの国も色々と変わってきた。バルドさんは保守派として私たちの改革には反対の立場をとってきていた。それでも、バルドさんは悪人ではなかったし、私たちやバルドさん、あのウィリアムでさえもこの国をより良くしようという気持ちに嘘偽りなんてあるわけが無い。


「ウィリアム殿下」


私は思わず声を上げていた。ウィリアムが目を丸くしてこちらを見ている。


「もう少し待っていただけませんか?」

「待つ…だと?」


ウィリアムは怒りを押し殺すような低い声で私の言葉を繰り返した。


「あの時から10年も待ったんだ」


靴でたんたんたんと床を鳴らす。ウィリアムがイラついているのが目に見えてわかる。しかし、彼は口角をあげている。笑っているのだ。


「あの…時…」


私はその言葉を繰り返すしかなかった。


「…10年前の今日。SNNエスエヌエヌ4ヶ国連合船団砲撃事件があった…その日から待ったんだよ」


 ウィリアムはそう言いながら、赤色のドレスの少女、リーゼロッテ・ロートのドレスの背中の編み上げの紐を丁寧に丁寧に外していく。段々とあらわになっていく肌に会場は再び騒がしくなった。しかし、そのざわめきもしだいに静かになっていった。リーゼロッテの肌は焼け爛れており、そのあまりの醜悪さに誰もが口を噤む。その静寂を突き破るようにリーゼロッテは口を開いた。


「……私は、あの時…焼かれました。超大国の傲慢さに、祖国の無関心に、そして、皆様の悪徳に。仲間と私の血は赤い赤い炎に焼かれたのです」


私は黙るしかない。10年前の今日。私たちはこの国をより良くするために、変える為に立ち上がった。しかし、足りなかったんだ。血が流れないように変えるには時間が足りなかった。自分自身の不甲斐なさに悔しくて悲しくなる。ウィリアムはそんな私をちらりと見やるとリーゼロッテをギュッと抱きしめて笑顔がこわばる。一瞬、ほんの一瞬だけそんな表情を見せた。


「……貴様らが」


バルドさんが静かに口を開く。


「あぁん?」


ウィリアムは笑ってはいる。


「貴様らが悪い」

「きぃさぁまぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ウィリアムは剣を抜くと大きく振りかぶり、それをバルドさんに向けて振り下ろした。


「バルドさん!!!」


私が叫ぶと同時に肉が軋む音と剣と剣が合わさる高い音が重なる。


「どういうつもりだ。エルドウィン」


ウィリアムの剣はバルドさんの肩をしっかりと捉え、血がダラダラと床にこぼれおちる。しかし、剣はそこで止まっていた。ウィリアムの側にいて、彼とリーゼロッテに危害を及ぼすものを排除する為にいるであろう騎士団2番隊 隊長のエルドウィン・ゴーズ・ナティアスがウィリアムの剣を止めていたのだ。


「ウィリアム殿下。貴方の正義に賛同したのは流血を抑えるためです。だから…やめてください」

「わかった」


ウィリアムは思ったより簡単に剣をしまう。顔はずっと引きつっている。靴をたんたんたんと再び鳴らしながらウィリアムは言葉を続けた。


「国防大臣。何が…悪いんだ?言ってみろ」

「あなた方は血を流すことを躊躇わなかった。自分たちの血を…そして、あなた方の敵の血を…」


ウィリアムは返事をしなかった。すぐにキッと表情を改めて騎士団達に命令を下す。


「騎士団員諸君。彼らを拘束しろ。人民の敵だ」


どかどかと舞踏場に入り込んでくる騎士団達にこの国の要人と未来の要人達は為す術なく拘束されていった。私の方にも壇上からエルドウィンと数人の騎士団員が私を拘束する為に降りて走ってくる。だが、その前に私の警護として控えていた国軍の兵士が立ち塞がる。徴兵されたのだろう。年齢を感じさせる皺の刻まれた顔、まめが多くできた掌。騎士団員たちは訓練された戦士。名も知らない国軍の兵士は、そんな彼らの前で覚悟を決めているようだった。


「スイミット様!お逃げください!」

「させるかぁぁぁ!」


騎士の1人が袈裟斬りしたのを兵士はライフルを横に構え、それを受け止めようとした。


「人民すら守れない騎士のパチモンに何ができる!」

「ごがはっ…碧色の光よ…」


騎士の気迫は凄まじくライフルごと兵士を切り捨てた。私を逃がす為に命を賭けた兵士の血で私の純白のドレスは赤く赤く染まっている。逃げることもできなかった。私はしゃがみこんで彼の手を握る。


「ごめんなさい。なんにもできなくてごめんなさい」

「ぐふっ…スイミッ…トさ…ま。自由なこの…国を…俺…の…子供に…見せてくだ…がはっ…」


彼は私に希望を託して息絶える。その顔は確かに子供たちが平和で自由な国で生きていける。それを確信しているかのように安らかだった。私は彼らの遺志を背負って未来を勝ち取らなければならないのだ。いつの間にか、私の傍らにはエルドウィンが立っていた。彼は仲間の騎士が殺した兵士に祈りを捧げる。そして、私に向き直ると小さく謝罪の言葉を口にした。


「アデルハイト…ごめん」

「……私は絶対に諦めたりはしません。お兄様もフランツ殿下も」

「……」


「ウィリアム殿下に伝えてください。流れる血は最小限にしましょう…と」


彼は小さく頷くと私に手錠をかける。この先、何が起こるかは分からない。私のゲーム知識も、兄者の政治知識も、フランツ殿下の優しさも…そして、皆の決意も…どれだけ役に立つかも分からない。それでも、私たちはやるしかないんだ。


この国を赤く染めない為に。

読んでくださり、ありがとうございます!感想とかあると励みになります。好きなキャラとか、このシーン好きとかぜひ教えてください!第二話は1月29日の夕方くらいに投稿します!それから、ここでは、作中のキャラたちによる用語解説のコーナーとかもやります!では、おまけということでお楽しみください!

-----------------

アデルハイト「第一回!!用語解説のコーナー!!」

リーゼロッテ「待ってください。どんなテンションで始めてんですか。」

アデルハイト「え、だって、第一回ですよ?」

リーゼロッテ「えぇ……」

アデルハイト「じゃあ、リーゼちゃん!今日の用語よろしくぅ!!」

リーゼロッテ「…はぁ。情緒ぐちゃぐちゃになる。…今日の用語は『共産主義』です。」

アデルハイト「確か…めっちゃ簡単に言うと全ての人を平等にしよーって感じですよね?」

リーゼロッテ「そう。史実ではドイツのマルクスらが提唱し、ロシアのレーニンがそれを目標とする国を創りあげた。」

アデルハイト「理想では…聞こえはいいけど実際、無茶でしょ。国民全員が欲望捨てて、みんなの為に動くなんてさ」

リーゼロッテ「……民主主義にも専制主義にもありとあらゆる主義思想に欠点がある。史実でたくさんあった失敗も試行錯誤の一つに過ぎないわ。」

アデルハイト「じゃあ、リーゼちゃんは共産主義の為に頑張るんですか?」

リーゼロッテ「うん。」

アデルハイト「がんばれ!私、リーゼちゃんのそーゆー所好き!」

リーゼロッテ「……」

アデルハイト「じゃあ、最後にタイトルコールを!」

アデルハイト・リーゼロッテ「『赤色に染まった私 ~悪役令嬢に転生した私は反プロレタリアート的なので断罪されるそうです~』!!今後ともよろしくお願いいたします!!」

アデルハイト「ふぅ…疲れた」


リーゼロッテ「私もあんたのこと好きだよ。」

アデルハイト「なんだって?」

リーゼロッテ「いいや、なんでも。」


次回第一章 第一話 『悪役令嬢と国民の指導者の改革開始』(序)

幼いアデルハイトとエルドウィンが泥臭い現実を大冒険します!乞うご期待!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ