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怪奇浪漫BOX   作者: 座堂しへら
シャマンの戯れ
82/267

82 プロローグ

Shalomシャロム Chaverimハヴェリム

 Shalomシャロム Chaverimハヴェリム

 Shalomシャロム Shalomシャロムー」


「……またその歌」


 ベッドの上で微睡まどろんでいた空愛羅そあらは、薄く目を開けて女を見た。女は機嫌が良さそうで、窓の側でネイルを塗って、光を当てて眺めている。お気に入りのエメラルドグリーン。いつだったか、故郷の海の色だと教えてくれた。


「知ってる?イスラエル民謡よ。さようなら友よ、また会おうって歌ってるの。ユダヤ人の歴史は、離散と終結の繰り返しだからね、昔も今も。だから、永遠の別れではなく、また会おう、なのよ」


「ナタニアは、故郷が恋しい?」


「いいえ。愛してるけど、全てを置いて来た国だもの。恋しくはないわ」


「愛と恋は違う?」


「違う。愛は永遠。恋はたわむれ」


「よく分かんない」


 空愛羅そあら不貞腐ふてくされたように、眉間に皺を寄せて、寝返りを打つ。


「お風呂にお湯を張ったわ。そろそろ始める?」


「うん。本当に、苦しくない?」


「眠ったように、逝けるみたいだよ」


「良かった」


「本当にいい?」


「いいの。もう、何もいらない」


 空愛羅は、のっそりと起き上がる。何日も着続けていたセーラー服は、皺くちゃだった。


「愛があるわ」


 その言葉に、少女は応えず、制服のリボンを外し、女に渡した。


「餞別。これくらいしか、あげられる物、無い」


「せんべつ?」


 女は首を傾げる。流暢りゅうちょうに日本語を話すが、まだ知らない単語もある様だった。少女は笑って、言葉を探す。


「贈り物。別れの印ってやつ」


「シャローム」


 女は笑って受け取ると、永遠の愛を求めて、注射器を掴んだ。

第四章です。9時に続話をアップします。

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